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あたしは皆に愛されてる。

害虫女と呼ばれつつある、元々のゲームのヒロイン視点です。

書いてて疲れるキャラでした。

本当に謎思考過ぎて。


とりあえず、目の前にいたら、ぶん殴ると思います。

イメージとしては、乙女ゲーヒロインを、悪い方に強調してみた感じです。

かなりイライラすると思いますが、読んだ後の文句は本人へお願いします(笑)


 あたしの名前はリンカ。

 一応、貴族の娘なんだけど、貧乏貴族で領地は農村だから、あたし的には平民に毛が生えたぐらいだと思ってる。

 あたしは一人娘だから、いつかはお婿さんをとって跡を継ぐ、とか考えてたんだけど、父さんと王都に出かけた時、つい魔法でごろつきを吹っ飛ばしちゃったんだよね。

 そこを同い年ぐらいの男の子に見られちゃって……。

 何か大笑いされて、面白いヤツだなって、失礼だよね?

「お前、名前は?」

「普通、自分が名乗るのが先だと思うけど?」

 偉そうだから、つい喧嘩腰で返したら、少年は楽しそうに笑って、ロディアスだと名乗ってくれた。

 あたしも言い過ぎたから、反省しながら、

「リンカっていうの。よろしく」

と、笑顔で挨拶してみた。

 そうしたら、急に、か、可愛いとか、言われて、ロディアス目がおかしいのかもしれない。

 こんな田舎臭いあたしに向かって、かわ、可愛いだなんて。

 おたおたしてたら、またロディアスが笑った。

 からかわれたと思い、ロディアスを殴る真似をしたら、悪い悪い、と軽く謝られた。

 あたしは心が広いから許してあげよう。

 わざとらしく偉ぶって答えたら、ロディアスは顔を赤くしてブツブツ言ってた。

 変なロディアス。

 その後、ロディアスは王都を色々案内してくれて、気付いたら夕方で。

 お別れの時間が来ちゃった。

 あたしは、明日帰らないといけない。これだお別れだ、と。

 ロディアスにそう告げると、ロディアスは何かを考えているような表情をし、あ、あたしの、頬っぺたにキスをして走り去って行った。

 怒鳴ろうとした時には、もうロディアスの姿はなくて、胸がしくしく痛んだ気がした。

 次の日、あたしがノロノロと宿の部屋で荷造りをしてると、父さんが飛び込んできた。

 年頃の娘の部屋なんだからノックぐらいしてよ、と文句を言うあたしに、父さんは真っ青な顔で宿の入り口の方を指差してる。

「な、な、な、リンカ、お前、いつの間に、王子と、お知り合いに……!?」

 どもってて、何を言ってるのかよくわからない。

 かろうじて、王子って単語は聞こえたけど……。

 あたしが首を傾げていると、廊下がガヤガヤと騒がしくなり、父さんが開け放っていたドアから、見覚えのある顔が覗く。

 それは、昨日知り合ったばかりの少年で、さっきまで会いたくて仕方がなかった顔。

「ロディアス! お別れの挨拶に来てくれたの?」

 嬉しくなって駆け寄ると、ロディアスにギュッと抱き締められる。

「いや、違う。今日からお前は、俺の屋敷で暮らすんだ」

「え!?」

 あたしが固まっていると、父さんが何故か跪きながら説明してくれる。

「お前には魔法の才能があるそうだ。それを見込んで、そちらの方がお前にその環境を用意してくれるらしい」

 拒否する、のは無理っぽいよね、これ。

 一体何が起きてるのか、あたしにはよくわからない。

 けど、抱き締めてくるロディアスが嬉しそうだから、どうでもよくなった。

 あたしって単純だから、友達が嬉しそうなら、自分も嬉しくなっちゃうんだよね。

 こうして、あたしは名前しか知らない少年と暮らすことになったんだけど、ロディアスが第二王子だって知ってビックリするなんて、その時のあたしには知る由もなかった。

 ロディアス……様って付けようとしたら、全力で嫌がられたから、あたしはロディアスって呼んでるんだけど。

 あ、話がそれちゃったけど、ロディアスの屋敷で暮らすようになって、いっつも綺麗なドレスを着せてもらえるようになった。

 いらないって言うんだけど、ロディアスが余ってるから、と押し付けてくるから、仕方なく着ている。

 もう家から持ってきたドレスより、ロディアスがくれたドレスの方が多いぐらいだ。

 少し寂しいのは、同性の友達が出来ない事かな。

 ロディアスにくっついてお城へ行っても、女の子達は遠巻きにヒソヒソ話してて、近づいてきてくれない。

 みんな、ロディアスと友達のあたしに嫉妬してるんだと思う。

 あたしに嫉妬するぐらいなら、ロディアスへ話しかけて、友達になってもらえばいいのにね?

 ロディアスは、勘違いされやすいけど、優しくて強くて、寂しがり屋なのに。

 そうロディアスに伝えたら、そっぽを向いて、何かブツブツ言ってたけど。

 怒ってる訳じゃないみたい。

 友達が少ないのはロディアスも一緒で、あたしが知ってるのは一人しかいない。

 ミハエルっていって、ロディアスより格好いい人初めて見た。

 でも、笑顔が何か変と言うか、あたしを見る目が変なんだよね。

 もしかして、ミハエルもあたしと仲良くなりたいけど、ロディアスがヤキモチ妬きだから、話しかけられないのかもしれない。

 そうとわかったら、明日からはあたしから話しかけてあげなきゃ。

 あたしがミハエルと仲良くなりたいのって言えば、ロディアスもあんまりヤキモチ妬かないと思うし。

 ってことで、即行動した。

 ミハエルは照れてるのか、ちょっと笑顔が戸惑っていた。

 照れなくてもいいのに。

 照れなくても、でも思い出したけど、ロディアスの屋敷の使用人も照れ屋なんだよね。

 あたしは使用人だからって下に見たりしないから、きちんと挨拶して、お礼とか言うの。それで、うちの使用人とは仲良しだったんだけど……

 ロディアスの屋敷の使用人は、どんなに話しかけても、お礼とか言ったりしても、ずっと他人行儀のまま。

 手伝いすることない? って言ったら、みんなそそくさと消えちゃったし……。恥ずかしがり屋さんなんだね、やっぱり。

 で、同い年ぐらいの格好いい使用人を追いかけてたら、慌てたのか転んじゃって……。

 えぇと、そう!

 失敗見られたら恥ずかしいよね? だから、あたしは気を利かせて、見ないふりをして、そこから走って離れたよ。

 別にあたしのせいで転んだ訳じゃないし。勝手に逃げて転んだんだから。

 走った先にはロディアスがいたから、一緒にお茶をしようって誘われて、ロディアスの部屋へと向かう。

 道中、さっき転んだ使用人の話をしたら、

「トロくて使えない使用人とはな」

と、怒ってたからあたしは、あんまり責めないであげて、とお願いしてあげたんだ。

 ロディアスったら、リンカは優しいな、って笑ってくれて、またキスされちゃった。

 今度は唇。

 恥ずかしくて怒っちゃったけど、本当はそんなに嫌じゃないのは、内緒。

「……チッ、あいつ、あんな所で何してやがる」

 あたしが恥ずかしくて俯いてると、ロディアスが低い声で誰かを罵るのが聞こえた。

 あたしへ向けた言葉な訳がないし、周囲を見渡すと、ロディアスは何処かを睨んでいた。

 視線の先にいたのは、さっき転んだドジな使用人……それと、さっきまではいなかった年下の女の子がいた。

 儚い雰囲気の、かなり可愛い女の子。……あたしだって、ロディアスは可愛いって言ってくれるし? 負けてないと思う。

 そのそこそこ可愛い女の子は、使用人が散らかしてしまった荷物を集めて、使用人に渡してあげていた。

 転んだ時に出来たらしい怪我も、きちんと治療されている。

 ズルいと思ったあたしは悪くない。

 あたしがしてあげるって言ったら、みんな断ってあたしから逃げるくせに、あの女の子には普通に接してるんだよ?

 いくら恥ずかしがり屋だからって、あたしだって傷つくよ?

「行くぞ、リンカ」

 あたしが悲しくなってると、察してくれたのか、ロディアスは手を握って引っ張ってってくれる。

 ロディアスは本当に優しい。

 その時、視線を感じて女の子を見ると、あたし達を見て寂しそうに微笑んでいた。

 途端に、あたしは嬉しくなった。

 どうしてかって?

 たぶん、あの女の子はロディアスが好きなんだと気付いたから。

 でも、ロディアスはあの女の子が嫌いみたい。

 きっと嫌われるような事をしちゃったんだよね。

 あんなに可愛いのに、可哀想。

 もし今度会ったら、あたしが友達になってあげようかな?

 そうすれば、ロディアスも少しは話しかけてあげるかもしれないし。

 あたしって、お節介かな?





 その女の子が、ロディアスの婚約者だって知ったのは、ロディアスが婚約破棄を告げた後だった。

 婚約破棄は仕方ないと思う。

 だって、あの女の子、あたしに嫌がらせしたんだって。

 あたしがロディアスと仲良くしたから、だよね?

 でも、ロディアスはあの女の子より、あたしと仲良くしたかったんだから、しょうがないのに。

 あの女の子は、心が狭いよね。

 けど、これで邪魔者はいなくなったから、もっとロディアスと過ごせる。

 ミハエルも来てくれるし、本当に楽しい。

 何かロディアスは悩んでるけど、大丈夫、元気出して、あたしがいるよ、と繰り返して元気づけてあげた。

 あたしの笑顔が好きって言ってたからニコニコして、毎日あちこち連れ出してあげた。

 屋敷の中でふさぎ込んでたら、体にも良くないよね?

「ロディアス、夜更かしは良くないよ?」

 欠伸してるし、目の下に隈が見えたからそう注意したんだけど、無言でため息吐かれた。

 相当疲れてるんだね、ロディアス。

「夜はしっかり寝ないと、駄目……」

「何も知らないくせに!」

 もう一度注意したら、怒鳴られた。



 なんで、なんで、なんで?



 ロディアスはすぐ謝ってくれたけど、あたしの内心はぐるぐるとなんで? が渦巻いてた。




 次の日から、ロディアスはあたしと遊ばなくなった。

 使用人からは、さらに距離を取られてる気が……嫌われてる訳ないよね? だって、あたしが嫌われる訳ないし。

 遠くから見たロディアスは、頬っぺたが腫れてて、知らない人みたいな顔をしていた。

 もしかして……虫歯?

 だから、この間怒鳴ったんだ、とあたしは一人で納得する。

 あたしに会いに来ないのも、あの顔見られたくなくて来ないんだ、と納得する。

 せっかくだし、サボってた勉強をしっかりして魔法の腕を上げて、ロディアスを驚かせるのも楽しいかもしれない。




 けど、いつまで経っても、ロディアスは会いに来てくれないし、ロディアスの屋敷からは追い出されて、あたしは王都で一人暮らしを始めた。

 お金はロディアスが出してくれたから、あたしは悠々自適に暮らしてる。

 婚約者がいなくなっちゃったし、結婚前の男女が同じ屋根の下って良くないからって、いきなり追い出さなくたっていいのに、ってたまたま通りがかったミハエルに訴えておいた。

 ロディアスは、親友から怒られればいいと思う。

 ミハエルは意外と毒舌なのか、

「死ねばいいのに」

って、笑顔で言ってたから、相当怒られそうだね、ロディアス。あたしは心が広いから、謝ったら許してあげるけど。

 あたしが出て行くっていう話をしたら、使用人はやっと素直になってくれて、笑顔で見送ってくれた。

 ふふ、やっぱりあたしが嫌われている訳なんてないよね。

 ロディアスは別れが寂しいのか、出て来てはくれなかったのが、ちょっと寂しい。




 一人暮らしを始めて、せっかくだから食堂で働き始めた。

 ロディアスに甘えっぱなしじゃ良くないし。

 自分で言うのも何だけど、看板娘って感じで、結構人気なんだよね。

 城に近いから、騎士さんとか兵士さんが多いみたい。

 ムキムキの汗臭いような男の人ばっかりかと思ってたら、美人な男の人もいた。

 男の人に美人も変だけど、本当に物腰が柔らかくて美人な人だ。

 初めて会った時に、名前を聞かれたから、あたしの事が気になってるんだと思う。

 困ったなぁ、あたしにはロディアスがいるのに。

 その美人な騎士さんは、ほぼ毎日来るようになったんだよね。

 体が弱いのか、いつもお腹を押さえてて、消化の良い物ばっかり注文するのは、ちょっと心配かな。

 しばらく見なくて心配してたんだけど、何日かして来た美人な騎士さんは、一人じゃなくて珍しく連れがいた。

 その人を見た瞬間、あたしは目が離せなくなった。

 逞しく美しい、野生の肉食獣みたいな男の人。

「オーガスト、暴れないでくださいよ?」

「……善処はする」

 オーガストさんって言うんだ、と名前を知れて嬉しくなっていたあたしは、ふと周囲を見渡し、あれだけいたお客様が一人もいなくなっている事に気付いて首を傾げる。

 そんなあたしを、オーガストさんはじっと見つめてくる。

 あたしは目が離せず、ただオーガストさんの瞳を見つめ返していた。

 正直、食い殺されるんじゃないか、ってぐらい強い視線で、あたしの心臓は口から飛び出しそうなぐらいバクバクしてる。

「叩き潰しては駄目か?」

「……オーガスト、私を殺す気ですか?」

 そんな謎の会話をして、美人な騎士さんとオーガストさんは去っていった。

 注文してないのに、結構な金額をテーブルへ置いて。

「騎士団長さんが来たから、みんな怖がって帰っちまったな。ま、詫び込みの値段か」

 食堂の旦那さんが、そんな事を言いながら苦笑して置かれたお金を集めている。

 集まったお金は、たぶんいつものお昼の売り上げの2倍はある。

「オーガストさんは騎士団長さんなんですね……」

 あたしをあれだけ見ていたんだから、きっとオーガストさんはあたし目当てで来たんだろう。

 でも、あたしにはロディアスが……。




 ロディアス、早く迎えに来てくれないと、あたし浮気しちゃうから!




 あたしは心の中で叫んでから、うふふ、と笑う。





 そうだ、今度、ロディアスの元婚約者の子に会いに行こうかな。

 きっと寂しいだろうし、友達になってあげよう。

 ロディアスも、喜んでくれるよね?

尻切れトンボですが、ここで私が力尽きました。


このままの勢いでメルディへ会いに行く……それ何てホラー、な状態です。


場合によっては削除するかもしれません。

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