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愛している人が、わからない。

シリアス風サブタイトルですが、わからないのは、ギャグ的なものです。


何故か、たまたまこちらも下着ネタです。


少しいたしてるっぽい表現ありますので、嫌な方はご注意ください。

 愛され過ぎで、幸せが溢れそうな時、どうしたら良いんだろう。

 とりあえず、注ぐのは、色んな意味で、手加減希望です。




 紆余曲折あったけど、私とミハエルは、いわゆる、えぇと、まぁ、結ばれました。

 前世での経験が薄かったから、色々濃厚過ぎて、私は二日ほどベッドの住人と化している。

 と言うか、絶対、ミハエルのせいだと思う。

 あ、あんな獣みたいな、ミハエル、初めて見たもん!

 思わず、食事を持ってきてくれたサヤにそう訴えたら、生ぬるい眼差しで見つめられ、そっと新しい下着を差し出された。

 サヤがいなくなった後、広げて見た下着は、防御力は皆無で、ある意味、夜の攻撃力だけは高そうな代物で……。

 他に着る物がなかった事もあり、サヤの意図がわからいまま、私は下着だけを身にまとい、ふかふかなベッドへ沈み込む。

 今は、いくら寝ても、寝足りないぐらいだから。

 私が寝ている間に、部屋に入って来るのは、サヤぐらいなので、私は油断しきっていた。

 もう一人、この屋敷には、断り無く私の部屋に入ることが出来る人物の存在を、完全に失念していた。




 肌を這う手の感覚に、意識が浮上した私が見たのは、ギラギラとした眼差しで私を見下ろす、ミハエルだった。

 ミハエルが帰ってきたってことは、もう夕方なんだろう……って、あれ?

「え? なに、ミハ……っ、ちょ……」

「ごめん、待てない」

 余裕のない表情をし、掠れた声で囁いたミハエルは、本当に全く待ってくれなかった。

 思考があっという間に蕩ける中、一瞬だけ思い出したのは、サヤの生ぬるい眼差し。

 たぶん、ミハエルの本気はそんなもんじゃない、って教えたかったんだろうけど。




「実地は止めて……」




「メルディ、大丈夫?」

 申し訳なさそうな顔をしたミハエルが、水を注いだコップを差し出してくれるが、私にはそれを受け取る余力すらない。

 まさに指一本動かせない。

「……むり」

 何とかそれだけ伝えると、さらに申し訳なさそうな顔になったミハエルは、私をベッドから抱き起こし、コップを口元へ運んでくれる。

「ん……っ」

 飲み切れなかった水が顎を伝い、それをミハエルが唇で吸いとってくれるけど……何かエロい。

「も、ほんと、むり……」

 プルプルと弱々しく頭を振ると、優しく頭を撫でられ、ベッドへ再び寝かされる。

 お風呂は意識を失ってる間に入れてもらったのか、パジャマを着せられ、眠っていたようだ。

 あはは、慣れてきた自分が怖い。

 私が遠い目をしていると、何を勘違いしたのか、ミハエルに手を握られる。

 そのまま、私の手に額を寄せたミハエルの姿は、祈りを捧げているように見える。

「ごめんね。メルディが、あんまり可愛い格好だから、我慢出来なくて……」

 嫌いにならないで、と全身で訴える、シュンとしたミハエルの姿に、私は思わずクスクス笑う。

「きらいになんて、ならないよ? でも、ときどきは、てかげん、してね?」

 さすがに体が持たない。

 私って、普通のご令嬢よりは、丈夫で体力ある筈なのに。

「……えっと、善処しないと、駄目だよね?」

 さらにシュンとしたミハエルは、格好良いのに可愛くて、私はひとまず――。




「よし、体力作りしよっか、サヤ」

「メルディ様は、たまに斜め上を突っ走りますね」

 サヤにそう宣言をしたら、生あたたかい眼差しで見られたが、何だかんだで付き合ってくれるサヤは優しいよね。

 体力作りといっても、前世みたいにジョギングって訳にはいかないので、とりあえずウォーキング――つまりは散歩の距離を増やす。

 もちろん、一人ではなく、サヤかお兄様、たまにお(義)姉様が付き合ってくれる。

 努力のおかげか、慣れか、ミハエルの自制心かわからないけど、意識を飛ばす回数は、少し減った。

 私は嬉しくなり、散歩の距離をさらに増やす。

 そんなある日のこと、サヤもお兄様も都合が悪く、私は一人で散歩へ抜け出していた。

 もうミハエルの背後事情は解決したので、屋敷の近くなら大丈夫だと、そう思って。

 実際、特に危険なことは起こらず、私は散歩を終えようとしたが、最後の最後で、思いがけない人物と再会する。




「メルディ! やっと見つけたぞ!」




 それは、私の名前だけの元婚約者、ろであす……違った、ロディアス様だった。

 名前を間違えるぐらい、忘れかけていたロディアス様は、相変わらず格好良かったが、以前のように胸が痛んだり、ときめいたりは全くしない。

 どうやら、私はすっかりミハエルにぞっこん――。

「メルディ、聞いてるのか!?」

 間近から怒鳴られ、思考を飛ばしていた私は、思わず肩を揺らす。

 気付くと、ロディアス様との距離は、一メートルぐらいしかない。

 婚約していた時ですら、こんな間近から見つめ合うこと無かったのに。

 何しに来たんだろう。

 何か、微妙にモジモジして、偉そうに喋ってる。

 恋に恋してた時は、俺様で格好良く見えたんだけどなぁ、と乙女ゲーム時代まで遡っていた私は、もしかしたら、という可能性に気付く。

 私って、悪役令嬢に間違われている? と。

 そう言えば、ヒロインは出て来たけど、悪役令嬢には出会えてない。でも、確かいたはず。

 私の婚約破棄の原因になった令嬢は、違ったし。あんなに小物ではなかったんだよね。

 ライバル的な令嬢の他に、ヒロインなリンカさんをいたぶり、かませ犬な役目をする悪役令嬢は。

 きっとロディアス様は、その悪役令嬢が、私だと思って、文句を言いに来たんだ。

 私はそう結論づけた。

 ロディアス様は、まだ何か喋っているけど、気にしない。

 誤解はきちんと解かないと、親友しているミハエルにも迷惑がかかっちゃうし。

 ミハエルは、私の……だ、旦那様になる訳だし。

 自分の内心の言葉で頬を染めながら、私は熱っぽく演説を続けていたロディアス様を、気合を入れて睨み付ける。

「あの、私はもう、ロディアス様を、何とも思っていませんし、リンカさんへ嫌がらせをしたりしてないですから! お願いですから、もう構わないで……」

 そこまで言った瞬間、不意にロディアス様の腕が伸びてきて、キツく抱き締められる。

 どうしよう、サヤ直伝の股間蹴りを使うべきか?

 けど、一応ミハエルの親友だし、第二王子だし、電撃ぐらいに……いや、それもマズイよね?

 混乱する私の耳元で、ロディアス様が、ハァハァ言っていて気持ち悪い。

 それが混乱に拍車をかける。

 何でどうして、どうなった?

 涙目であわあわしていると、抱き締められた時と同様に、不意にロディアス様からの拘束が外れる。

 見ると、ロディアス様の背後には、息を切らしたお兄様の姿がある。

 お兄様が、ロディアス様を剥ぎ取ってくれたようだ。

「騎士団長、だったな? 何をする」

 上に立つ者の傲慢さで、ロディアス様がお兄様へ、低い声音で恫喝じみた事をするが、明らかに迫力不足だ。

 まぁ、私のお兄様は、ロディアス様より、背が高くて迫力があるからね。

 私がブラコン炸裂させていると、お兄様から抱き締められる。

 うふふ。相当急いだのか、お兄様の心臓の音が聞こえて、落ち着く。

 私は甘えたくて、ギュッとお兄様へしがみついたのだが、怯えていると勘違いされたのか、ロディアス様への圧が上がる。

「何をする? メルディは私の(妹)だからな。当然だろう」

 妹を省略されたけど、お兄様はたまにこんな言い方をする。

 嫌じゃないから、私は気にしてない。

 お姉様も悪のりして、

「メルディはわたくしのよ?」

とか、言って、二人で笑ってくれるから、私は二人が大好き……って、話が反れちゃった。

 その間にも、お兄様とロディアス様は睨みあっている。

 お兄様は、いつも通り立っているだけ、なんだけど。

「貴様が、メルディを……っ」

 何でロディアス様は怒ってるんだろう。

 まだ嫌がらせの犯人だって疑われてる?

「ロディアス様、どうか私の事は忘れてください」

 私も忘れるんで、と内心で付け足し、私はお兄様の首に腕を回す。

 すると、すぐにお兄様は私を抱き上げ、スタスタと歩き出し、そのまま、さらに加速してロディアス様を引き離す。

 慣れない人だと、お兄様酔いをしそうだけど、私やお姉様は慣れてるので、全然平気だ。

 逆にあたたかく逞しい胸の安心感で、眠くなる。と言うか、寝ました。

 目が覚めたら、サヤにガッツリお説教され、帰ってきたミハエルに、ベッドの住人に逆戻りさせられた。

 ミハエルが、親友であるロディアス様と仲違いしないよう、頑張ったのに……。

 色んな涙で顔ボロボロにしながら説明したら、ミハエルは一瞬だけ何とも言えない顔をし、私をギュッと抱き締める。

「もうアイツには会わないで?」

「……ミハの親友、なのに?」

「そう。結婚式には呼ぶから、ね」

 良くわからないけど、会っても嫌がらせを責められるんだろうし、私はコクリと頷き、ミハエルを抱き締め返す。

「も、ちょっと、やさしく、して?」

 今の素直な気持ちを伝えたら、ミハエルの目が熱を帯び――。




 その後のことは、話したくないデス。




「メルディ様は、無自覚にミハエル様を煽り過ぎです」




 サヤ、そう言っても、私にはミハエルのツボが何処にあるのか、全く不明だよ。

 私が、ミハエルを好きなとこなら、いくらでも挙げられるんだけど……。

 そう日課のノートに書いていたら、気配を消して近寄ってきたミハエルに盗み読みされ、

「一個ずつ、教えてあげるよ? メルディの、好きな所」

と、背後から抱き締めて、甘く囁かれる。

 ロディアス様に抱き締められ、囁かれた時には悪寒しかなかったが、ミハエルにやられると、私は何だか溶けそうな気分になる。




 でも――。




「実地は、止めて……って」




 残念ながら、またしばらくは、ベッド生活になりそうだけど、これは、幸せな悩みだろう。




 本当に、ミハエルのツボは何処に?


「ねぇ、普通、助けに来るの、俺じゃないかな?」(ばいミハエル)

何故か、お兄様来ちゃいました(笑)

そして、勘違い暴走野郎と化している、ろであす。


お兄様は、第一王子派なので、ろであすの扱いは雑です。

しかも、可愛い可愛い(かける無限)なメルディに、痴漢していた野郎なんで。

そろそろ糖分過多で、胸焼けしそうです。

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