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童話契約物語  作者: ia
序章
7/30

6

 

 パチ。



 あれ?さっき見たのと同じ部屋。


 なんかリセットされた感じだなぁ。




「おはよー、よく寝たね?でももうすぐまた夜だよ?」



 隣を見ると、人がいた。



「あ、拉致犯」



「呼び方…」



 え、だってその通りじゃん。



 声と顔からして、多分最初に拉致られた時と先程の時、どちらにも追ってきた奴だろう。



「それに関してはごめんねー」



 にこっと笑い謝罪してくる奴。


 許したくはないがそうしたところで何も変わらないしなぁ…

 ていうか、なんて?



「夜!?」



 窓の外を見ると、ほんとだ結構暗い。



「今までずっと寝てたんだよ!起こしてもおきなくって!」



 そんなに寝ていたのか…やっぱ一昨日の徹夜が駄目だったか。



「ていうか、君の身体能力すごいねー!」



「そう?というか、私最後5階くらいの高さの建物から落ちた気がするんだけど」



 そしてそこから先の記憶がない。



「あぁ、ナチが助けてくれたの。ま、みんな紹介するからとりあえず準備しなよ、先行っとくから1階上に来てね!あ、逃げちゃダメだよ!」



「いや、紹介しなくてい…」



 バタン。


 私の話を聞かずに一方的に喋り、拉致犯は部屋を出て行った。

 改めて部屋を見回す。1LKっぽい。


 窓は相変わらず何にもされてない。逃げられるじゃん。


 でも体力がないんだよねー。昨日…いや、今日使っちゃって。


 ここがどこかもわからないから、とりあえず準備して上に行くか…


 てか、準備って顔洗うくらいだけど。


 洗面所に行き顔を洗う。

 ついでに手櫛で髪もといておく。

 あー、ちょっと体がベタベタするな。


 そんなこんなで準備ができたので扉を開ける。




 目の前には扉があって、右を見ると廊下がある。

 その廊下を進むと右側に上る階段を見つけた。


 ここか。


 階段を上っていく。

 と、すぐ左手に扉がある。真っ直ぐ進むと、さらに上へと続く階段。どうやら5階は一部屋だけのようだ。



 コンコン。


 ガチャ。



「あ、来た!どうぞー」



「失礼します」



 部屋に入る。と、そこには4人の男が座っていた。



「やっぱりそんな可愛くないねー。普通って感じ?」



 右側に座っている見た目可愛げな小柄男がそう言う。

 出会い頭で何言ってるんだこいつ。

 普通で悪かったな。



「ちょ、ホオお前失礼すぎるだろっ!」



 そう言ったのは器用貧乏って感じのイケメン。声的に1番最初に拉致ってきた人だろう。



「ごめんね、あいつ性格歪んでるから。さ、座って」



 扉を開けたさっきまで一緒にいた男が言う。こいつもどっちかっていうと可愛い感じだな。


 言われるままに席に座ろうとするが。



「椅子、あと一つしかないよ」



「うん」



 いや、うんじゃなくて。



「あなたの椅子でしょ」



「そんなんいいよー」



「私立ってられるし」



「僕もだよ」



 なかなか座らない。



「…じゃあ、ありがとう」



「はーい」



 ついに折れてしまった。


 まぁいい。座らせてもらおう。


 改めて全員の顔を見渡す。

 …うん、イケメンだな。面白いくらいイケメン。しかもそれぞれちょっとずつ系統が違う。ここの部屋だけイケメンの過剰供給である。



「そういえば、昨日…さっきは全員白髪に黄色い目だったのに今は違うんだ。やっぱ染めてたの?」



「え、知らない?」



「え?」



 知らないって、いきなりどうしたんだ。知るわけないだろう。何がだ。



「ほら、やっぱり違うんじゃん!そんな子はいない、もしくはシオンの見間違いだって!」



 ホオ、と呼ばれた子が声を張り上げる。


 なにか知らないが違うなら帰してほしい。



「なんで私をこんなとこに拉致したのか、説明願えますか?」



 私の問に器用貧乏っぽい人ー確か、シオンと呼ばれていたーが答える。

 


「あー、えっと、実は昨日のは擬似的に身体能力をあげることができたり、魔法が使えたりできるようになる、変身?みたいなものなんだ。俺らはそれをホワイトって呼んでるんだけど」



 …………。



「はい?魔法?変身?」



「うん」



「…信じられない、ですね…今のご時世そんなものは幼稚園児でも信じるか怪しいところですよ?大丈夫ですか?カラコンいれて髪を染めたのでは?」



「違うんだ。で、僕らは同じようにホワイトになる者同士で集まった集団。噂ではPHANTOMSとか言われてるらしいね」



 じゃあ、噂の集団はほんとにいて…

 …中二病集団だったのか…イケメンのくせして。



「で、なんで私を?」



「それがぁー、一昨日シオンが夜に、黄色く目が光った女を見たらしくてー、その出没位置と特徴を元に探したら、一致する君を見つけた訳ー」



 ホオ、と呼ばれた奴がだるそうに自分の髪を弄りながら言う。



「僕ら、今仲間が欲しいんだ。というのも、なんか魔物みたいなのが夜出没するから」



「え!?」



 何言ってるんだコイツ。

 駄目だ、関わっちゃいけない臭がスゴくする。



「その怪物はどうやらホワイトにしか倒せないらしいから…最近はその魔物も進化して強くなってるんだー。はい、これ」



 席を譲ってくれた子が言いながら私の前にチャーハンがのったお皿を置く。



「そうなんだ…え?何これ」



「昨日の夜から何にも食べてないでしょー?あるもので作ったから適当だけど、食べて」



 にっこり笑いながらそう言う…ユマ、だっけ。いい人だなぁ。いや拉致ってる時点でいい人ではないか。

 早速食べさせてもらう。実は言われた通りお腹が減っていたんだよね。



「お、美味しい!!!」



 うっま!!すごい美味しい。適当とか絶対嘘だろっていうくらい美味しい。



「ありがとー♪」



「…もう、そいつ全然知らないじゃん!さっきもなんか引いてるような目してたしさ!帰そうよ!」



 ホオ(もう呼び捨てでいいや)が叫ぶ。



「いや、待て。昨日、信じられないくらいの身体能力だったよな。あれはどうしたんだ?」



 2回目に拉致ってきた、確かリクトという名の奴がきいてくる。



「私元々アスレチックとか大好きで。小さい頃はいろんなアスレチックまわってたからじゃないかな?」



「……そうなんだ」



 なんか怪しまれてない?ほんとだってば!



「でも、壁を蹴って降りたり上ったりしたのは初めてだったよ?」



「危なっ!よくやったね!?」



 立っている…ユマ?が驚く。

 火事場の馬鹿力ってやつでは?



「ねぇ、ちなみにさ、君の名前は?」



「…言う必要なくないですか?」



「僕、俎頗(まなは)ユマ」



 …先に名乗られたら言うしかないじゃないか。チャーハンの件もあるし。美味し。



航益(わたま) 藺緒(いお)



「あー、俺は掵原(はばはら)リクト!」



「俺は邏梳(らそ)シオン」



「何この流れ。僕名前なんて言いたくな」



「ホオ」



「…榛中(しんなか)ホオ」



「…で、ずっと寝てるのが蜂道(ほうどう)ナチね!」



 当たってる。私の記憶力も伊達ではないようだ。



「でも、ホワイトを探してるんでしょ?じゃあもう私、関係なくないかな?」



 とにかく帰りたい。



「うーん…じゃあ、あのさ、もし、これから僕達以外のホワイトをみたら、教えてくれない?」



「うん、あんまり夜中に外出ないけど、見たら言うね」



「出てたじゃん」



「あれは急に雪見饅頭がーーーって!そういえば私の雪見饅頭は!?」



「あ、それなら僕が食べた」



 榛中ホオが悪びれもなく言う。



「はぁ!?あれは私が買ったの!!!」



「もう、いいじゃん別にー。美味しく頂いておいたからさ」



「!?!?」



「おいホオ、それは駄目だろ。買い直してこい」



「は?なんで?」



「お前が悪いな、それは」



「じゃー、ついでに魔物倒しにいこっ!いおちゃんも見てみた方がいいって!」



「いや、私魔物は見なくても」



「みんなしてなんなのさ!その子を庇って!」



 怒ったように椅子から立ち上がり声を荒らげるホオ。



「いや、今のは普通にお前が悪いだろ…」



「もう!買い直してくればいいんでしょ!」



 そう言って榛中ホオが扉から出て行った。



「あ、待ってホオ!ほら、いおちゃん行こっ!」



「え、あ、うん…」



 俎頗ユマに連れられ、扉を出て屋上へと向かう。


 え、上から行くの?




 屋上の扉を開けて屋上に出た時、俎頗ユマはホワイト、とかいうやつになっていた。


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