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「ねぇ、あんた」
蜂道ナチが誰から助けに行こうか考えていると、青年が声を掛けてきた。
青年は少し不本意そうな顔をしている。
「もうやばいから僕ご主人連れて帰るよ。あとのダークメア退治、手伝って僕らを追いかけてこないようにしといて。代わりに、欲しがってる情報、やるからさ」
早口でそう言いながら青年は小さく折り畳まれた紙切れをどこからか出して蜂道ナチに渡した。
もうやばい、というのは少女のホワイトがそう遠くないうちにとけてしまうということを示す。
時間がない故に自分のご主人が渡すのを面倒くさがっていた情報を渡すことと自分の主人の元の姿を晒してしまうこと、どちらも達成することは難しいと判断し、どちらを優先するべきなのか悩んだ末の苦渋の選択なのだろう。
「…わかった」
「じゃ、帰るね。追跡したら許さないから」
渡すが早いか、青年はさっと踵を返し眠ったままの彼のご主人とやらのところまで行くと、その身体を抱き上げ、颯爽と去っていった。
それを確認した蜂道ナチはそのあと、残り4人に順番に加勢してダークメアを倒していく。一人一体ならともかく、2人がかりでやればそう手強くはなかった。
「ナチ、助かった…」
「あれ、あの子と猫人間はーっ!?」
ようやく全てのケリオスを倒し、床にへばった4人は、次第に猫耳の青年と少女が消えたことに気づく。
「帰った」
「はぁ!?なんで止めなかったのさ!」
「これ、情報。猫がくれた」
「まじか!?何が書いてあるんだ!?」
全員、ナチの手元にある紙切れをのぞき込む。
折られていた紙切れをそっと広げると…
「住所?」
「はぁ?なんで…」
「ここに行けってことじゃない?」
どこかわからない場所の住所が書かれていた。わからないと言っても、ここから行けない距離ではないことは判断できる。
「じゃあ、明日行ってみるか。今夜はもう疲れたし、時間もないしな」
シオンの一言に皆が賛成し、意見がまとまる。
そのまま彼らは下の建物へと入っていった。




