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童話契約物語  作者: ia
第1章
18/30

17

 


 身体が吹き飛ぶ。


 いきなりきた衝撃にどうすることもできず、そのまま場外へ全身が出た。



「え…」


「は!?」



 俎頗ユマと秦中ホオの驚く声が聞こえる。



「あっぶな…。今のはびっくりしたわ。やられたかと思った…」



 勝負あり。

 私の勝ちである。



「なんでなんだ!?今、撃ったのはシオンだっただろ!?」



 掵原リクトも驚きを隠しきれていないが、1番驚いたのは羅梳シオンだろう。

 発動しててよかった…

 戦いの最中に使うと警戒されると思い、来る前からアビリティーをつけていたのだ。



「いろいろあるのよ…」



 だが、さすがに冷や汗をかいた。


 今、何が起こったのか。

 簡潔に言うと、私ではなく邏梳シオンが吹き飛ばされたのだ。

 なぜか。

 私がキャラのアビリティで跳ね返したから。


 故に、まさか跳ね返されるなんて思ってなかった邏梳シオンが、自分の攻撃によって場外に吹き飛ばされたというわけ。

 ゼロ距離攻撃だったからこちらにも多少反動が来たけどね。


 いや、でもホンット危なかった。油断してた。

 あの時の私に感謝である。



「一体なんなの…魔法が効かないなんて」


「しかも髪の毛動くし…」


「動きも止めてくる…倒せんのか?」


「さぁ、最後よ」



 ようやくここまできた。

 あと1人で終わりだ。

 未だに眠っている蜂道ナチを見据える。



「ナチーーっ!起きてっ」


「………。…終わったのか」


「いや、それが全員負けちまって。出てくれねぇか?」


「あいつ変な技使ってくるよ!!」


「攻撃魔法も効かねえみたいだ」



 全員からいろいろな事を一気に言われてもぼうっとしている。


 蜂道ナチ…


 一番侮れないやつ。


 そもそもこいつのせいでこんな勝負をするハメになったし。いや、提案は私がしたけれども。


 それに、はじめの時のあの腹筋。すっごいムカつく。


 でも、あの時捕まったことを考えると下手に動くのは自分が相手の位置を見失ってしまう可能性がある為得策じゃない。始めは距離を取り、その後瞬間移動するのは控えよう。


 蜂道ナチが私の前に向かい合って立つ。

 まだ眠たげで、ぼうっとしている。

 でも油断してはいけない。なぜなら最初に会った時だって、捕まった時だって、いつも、眠たげだったから。



「じゃあ、始めましょう」



 ラストステージを。



「はじめ!」


「‘マカロ’」



 作戦通りすぐさま瞬間移動魔法を使い距離をおく。



 さぁ、どんな風に仕掛けてくるかーーーーーー!?!?


 いない。

 寒気がはしる。


 背後から気配がするーー



「‘マカロ’ッ」



 なんであんな速くーーーーだって、私も人一倍速いはずなのに。



 蜂道ナチの正面に瞬間移動する。

 これは、短期決着の方がいいかもしれない。



「“ダブルソード”」



 すぐさま髪を剣に変え攻撃する。けど、


 …当たらない…


 特別激しく動いてるわけではないのに、全て避けられているのだ。


 まるで、全てわかっているかのように。

 何これ、おかしくない!?


 焦りを沈めるべく一旦、後ろに下がり距離を置く。



 …ストップモーション、使うか…?いや、あれは相手の目を見てしないと効果がないし、まずそこまでの状況に持っていけない気がする。しかももう魔力もギリギリだ。


 なら、どうする?


 でもやつも避けるばかりで攻撃は一切してこない。


 なんで…


 あ。


 少し考えてある予想にたどり着く。

 …もしかして、私が勝手に魔力を使い果たすのを待ってる?


 魔力が切れると魔法類は何も使えなくなる。もちろんアビリティーも。さらには力がでなくなり、時間がたつと最終的にホワイトの状態も維持できず、元に戻ってしまうのだ。


 体力も使うが、やはり魔力があってこそなので、もしそうなれば私が勝つのは無理に等しくなる。

 まさかそれを知って…?



 だが、まだ大丈夫だ。先ほどのアビリティとラプを切ればあと1回、何かを使えるだろう。


 やはりあの時カッとなってストップモーションを使ったのが駄目だったか…


 ガクッ



「!!!?」



 その時、急に足の力が抜けた。

 本当に、何の前触れもなく。


「え…」



 力が…出ない…?

 もう魔力切れ!?



「…なんで、」



 そんな、ありえない。こんなにはやく切れるなんて。

 今日のために最近魔力も必要最低限しか使わなかったのに!



 まさか、アビリティー…!?

 いや、でも…!!!


 コツ、コツ、コツ…


 ゆっくりと蜂道ナチが近づいてくる。

 なのに動けない。足が動かない。


 こんなことになるまで気づかないのなんて、おかしい。



 コツ…。


 ついに目の前に立たれた。



「なんで仲間になってくれないんだ?」



 蜂道ナチの顔を睨むと、こちらを見つめる感情の読めない瞳にぶつかる。



「…決まってるでしょ。組むメリットがないわ」


「…そんなもの、必要か?」


「私には必要よ。現に、あなた達だって情報の為に最初私を引き込もうとしたし、今だってその為に戦ってるんじゃない」


「…お互いに人手は増えるだろ」


「自分1人で足りてるわ」


「……。じゃあ、眠ってもらうぞ…」



 どうしても攻撃的な私を説得するのを諦め、とりあえず情報を掴むためゲームを終わらせるべく蜂道ナチが屈み、こちらに右手を近づけてくる。



「……まだよ」



 言いながら、アビリティを全て消す。

 髪が元の長さに戻っていく。

 そしてあちらが睡眠魔法をかける寸前、私は賭けに出た。

 お願い、出てきて。


「“puss in boots”!!!」




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