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童話契約物語  作者: ia
第1章
14/30

13

 


「私はアキノっていうんだ」



 彼女とよりケリオスが多く現れそうな場所に行こうという話になったので移動していた途中、走りながら彼女がそう言った。


 アキノさん、か。



「私はイオっていいます」



「そっか。イオちゃんね。さっきの短剣で戦っているところからして、普段はキャラ召喚専門なんだよね?」



 そう。私は武器を使うのがすごく下手な上に、武器を収納し自由に出し入れする保管魔法は、この短剣で精一杯なのだ。



「そうなんですよ。保管魔法使えなくて、これが限界です」



「そっかー。私の妹もそっち専門であんまり武器使ったりしないから妹と同じ感じか。やっぱ魔法にも相性あるんだねー。でも、それじゃあ魔力切れちゃうと大変じゃない?」



 そう。大変なのだ。

 絶賛今その状態だが。



「私は銃専門だからなぁ、逆にキャラとかそんな長く出せないんだよねー」



 あはは、と笑うアキノさんの手には確かに、先程からちょくちょく違う銃が収まっている。



「でも銃だけは店で新しいの見ちゃうとつい買っちゃうからいっぱいあるんだ」



 そうなのか。私は武器屋は行ったことないから分からないけど…



 ダァン!



「!?」



 いきなりアキノさんが大きめの銃をだし発砲した。



「盗み聞きはよくないよね」



「?」



 アキノさんはにこやかに笑いながら銃を撃った方向にそう言ったのでそこらへんを見回したが、誰もいない。


 ん…?どういうことだろ。



「なんでもないよ。さ、続けよっか」



 何があったのか気になったが、アキノさんがそう言うので再びケリオス討伐に集中することにした。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 同時刻、とある屋上。



「っ!」



 ヒュッ!



 突然飛んできた銃弾を避ける。



「………!!!」



 銃弾は避けていなければ確実に眉間に当たる軌道だった。

 それを悟り少年は思わず息を呑む。



「どうしたの?」



 横からの音に異変を感じた少女が、自身が操り続けているノートパソコンの画面に視線を寄越したまま少年に問う。


 そこには野外だとは思えないほどの機器が屋上の床に広げられていて、それらは少女を中心に展開している。



「バレてた、聞いてたの」



 少し驚いた顔でそう言いながら少女の隣に置いてあったキャスケットを被る少年。



「…距離は?」



 少女はやはり画面上から視線を外さず、手をキーボード上に踊らせながら続けて冷静にそう質問する。



「1500くらい…聞いてたの、バレるなんて」



 聞いてからそう時間も経ってなかったのに飛んできたということは、すぐにこちらの存在に気づいたということである。



 この距離と短時間で気づかれた事に、少年はただ純粋に驚いた。



「それもそうだけど、それでここまで銃弾を飛ばすなんて、相当な腕ね…」



 絶えず手をキーボードの上で動かしながら独り言のように呟く少女。



「でも、聞けたよ、情報」



 キャスケットの前部分を持ちより目深に下げる。



「新しい情報だと、いいけど」



 退屈そうにそう呟きながら、少女はマウスを持ちカチリと画面をクリックした。




 ーーーーーーーーーーーーーーー





「…で」



「私の勝ちね!」



 アキノさんのお陰で討伐勝負は私の勝ちだった。



 いやもう、アキノさんが強いのなんのって。



 出てくる敵1発で仕留めていくからね。

 私を助けてくれた時は念のために2発撃ったのだろう。絶対そうだ。



「心配する必要なかったな…」



「ありすすごいにゃ」



 私を含め全員が私が勝つと思っていなかったので、そりゃあみんなすごく驚いた顔をした。



「いや、途中で危なかったところを助けてもらって、それでその人と一緒にやってたんだ」



 慌ててアキノさんの事を伝える。



 ちなみにアキノさんは少し前に別れた。



「今度からは気をつけなよ?」



 そう言って去っていった背中がすごくかっこよかった。



「残念だったねー☆助けに行こうかと思ってたのに」



「何言ってんだお前」



「とにかくありす、無事でよかったにゃ」



「うん、全部その人のお陰!」



 今度会ったらお礼しよう。



「それはそうと、イオ、PHANTOMSとかいう奴らとの対戦、もうすぐでしょ」



「うん」



 2人には事の顛末とこれからの予定を全て話した。

 なのでもうすぐPHANTOMSと対戦するということも知っている。



「無理しちゃダメよ」



「わかってる。そのために最近魔力必要最低限しか使ってないから!」



 グッ、と親指をミハルに向けて立てる。



「僕が加勢しに行こうかにゃ?」



 ミハルの後ろから自分を指さしながらひょこっと顔を出すチェシャ。



「いいえ、大丈夫よ。ちゃんと勝つわ」



 気持ちはありがたいが、他の人のキャラを借りて勝負なんてフェアじゃないだろう。



「…じゃあとりあえず今日の討伐勝負はイオの勝ちってことで。解散するか」



 キリのいいとこらへんでヒビキがそう締めくくり、解散することになった。



「楽しかったよ~!また近いうちにしましょう☆」



「………」



 楽しかったというのを身体で表すように空中でクルクルと回転する泉を迷惑そうに見るヒビキ。



「今日は負けたけど今度は勝つにゃ!」



「そうね」



 チェシャとミハルはもう既に次回に目を向けている。



「みんな、今回は私の我が儘に付き合ってくれてありがと!じゃあ、またね!」



そんな4人に向けて感謝を述べる。



「まったねー!」



「おう」



「にゃ!」



「えぇ」




 満月のゲリラ討伐勝負はこうして幕を閉じた。



 PHANTOMSとの対戦まで、あと2日ーーー




一部修正しました。

結構その修正により話が変わってきます。すいません。

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