グランドガーデン201
まだかな、まだかな。今日もあなたの帰りを待つ。
一人ご飯を作って待っているのは嫌いではない。むしろあなたのために何かできるのって素敵だと思うし光栄だよ。
今夜はあなたの好きな肉じゃが。はやく美味しそうに食べる顔が見たいよ。
コツンコツンコツン
あ!これはあなたの足音だ!
うちのマンションは壁が薄いのか、外の廊下を歩く人の足音がよく聞こえる。そして、この足音は間違いなくあなたの足音だ。毎日聞いているのだから間違いない。
胸の鼓動が高鳴るのを感じながら私は玄関へと向かった。
ガチャガチャ
はやく鍵を開けて!
「ただいま」
「おかえりなさい」
「お、いいにおいするね」
「今夜は肉じゃがよ」
「いいねぇ!」
あなたはネクタイを緩めながらリビングへ向かう。私はその後をそっとついていく。既に食卓に食べる準備の出来ているご飯を見つけあなたは微笑む。
「着替えてくるね」
そう言い奥の寝室へ向かうあなたを見送り、私はいつもつかっているパソコンの前に腰掛ける。本当に幸せそうな顔をするんだから。
ただ、あの浮気女とははやく別れてもらわないとね。女狐め。でも、いいの。私はいい女。そんなことでいちいち目くじらをたてないわ。
「いただきまーす」
あぁ、本当に幸せそう。はやく引っ越したい。あなたの住んでいる202号室に。