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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第45章 小さく、しかし大切な依頼

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第800話 幼馴染ーズ

 翌朝。やはり結局ユリィはその日は桜達の所で一緒に繋げたベッドで雑魚寝して眠ったのであるが、朝になって、彼女は桜達を起こさない様に密かにカイトと皐月の部屋兼自分の部屋に戻る事にした。着替えがあるし、お寝坊さん(カイト)を起こさないといけないからだ。が、そこで、事件が再度勃発した。


「たっだいまー・・・朝だよー・・・これよりユリィちゃん恒例の寝起きドッキリいっちゃいまー・・・え?」


 朝一で二人が寝息を立てているのを見ていたずらを決めたユリィであるが、そこで思わず目を瞬かせる事になる。というのも、カイトと皐月が同じベッドで寝ていたのだ。しかも、皐月はカイトの腕を枕にしていた。どう見ても、腕枕である。

 と、そうして固まるユリィであるが、そこにカイトが目を覚ました。どうやらユリィの気配が揺れ動いた事によって、目を覚ましてしまったらしい。


「・・・ん? ああ、ユリィか。おはよ」

「あー、うん。おはよ・・・まぁ・・・しょうがないんじゃない? 何時かそうなると思ってたからね。うん。私は受け入れるよ。でも、皆には言った方が良いんじゃないかな? 受け入れてくれると言うか皆何時かこうなるだろうなー、って昨日も話してたけど、まさか噂してる横で、かー・・・ごめんね? 言ってくれればよかったのに・・・溜まってたの?」

「あぁ? 何がだよ・・・?・・・ぴぎゃ!?」


 寝起き早々ユリィが自らの右横を指し示したのを見て、カイトが変な悲鳴を上げる。そこの皐月は昨夜は履いていた筈のズボンが無く、下着が見えていた。おまけに自分が腕枕もしていたのだ。何があったのだ、と非常に疑わしい状況だった。

 というよりも、この状況では一つしか考えられなかった。転がった幾つもの酒瓶。同じベッドで腕枕をして寝ていた男女。お互いに半裸に近い状況。導き出される答えは、酔った勢いで一夜のあやまち、であろう。


「え、何これ。え? もしかして・・・オレ・・・ついに一線超えちゃった・・・?」


 記憶が無い。何かがあった事だけは、覚えている。だが、カイトが最後に覚えていたのは、皐月が対戦ゲームで自らに敗北した所だった。そんな顔を真っ青にして混乱するカイトの様子に、ユリィがただごとでは無い事を悟って問いかけた。


「えーっと、何があったの?」

「いや・・・二人でゲームした所までは、覚えてたんだが・・・なんだ・・・そこから、何かが・・・」


 どうやらカイトは昨夜の記憶を封印する事で対処したらしい。頭が奇妙な程にずきずきと痛んでいた。


「うっ・・・頭が・・・無茶苦茶いてぇ・・・なぐられたみたいにずきずきする・・・」

「と、とりあえず落ち着こう? まだ、ヤッちゃったと決まったわけじゃない・・・あー・・・これは駄目かもねー」


 カイトが起き上がった事で見えた皐月の状態に、ユリィが諦めを浮かべる。というのも、皐月はどうやら昨夜から魔術を使ったままだったようだ。つまり、きちんと胸の膨らみが確認出来たのであった。

 基本的に<<転化の法(てんかのほう)>>は一度使えばもう一度使うまでは性別は変換した方で固定される。元来これは医療用の魔術で、性同一性障害の者達の為にも使われる物なのだから当然だろう。時限制になっていたりすると困るからだ。というわけで、勿論子供も産める身体だ。

 後に聞けば、フューリアは夫の死後、主に病院を慰問したりして過ごしているようだ。そこで、覚えたらしい。こういった医療の為の魔術の伝播は皇族としてなんら不思議な事ではない。

 それに性同一性障害という症状はカイトがかつて残していた。なのでそういった事に対する偏見は、実は地球よりも遥かにエネフィアの方が小さい。今ではそれの治療に使われる様に改良されていたのであった。

 中学生のカイトが知っていた理由は、勿論皐月の関係だ。小学校の頃に一度疑われた、というかそう言うのに理解の無い教師だった所為もあり、皐月が傷付いていたのであった。そこから、カイトと仲良くなったのである。奇しくも、その魔術がここで変に作用していた。


「なぁ、ユリィ・・・オレさ。前世では男抱いてるんだよね・・・大丈夫なのかな・・・オレ、オレだよな・・・前世が食い込んだりしてないよな・・・? 自分で言うのもなんだけどさ、前世も結構アクの強い奴だったんだよな・・・」

「え? あ、ああ、そう言えば言ってたっけ。で、でも可愛い男の子だったんでしょ? の、ノーカンで良いんじゃないかな・・・?」

「ふふ・・・現世じゃ大丈夫、って思ってたんだけどさ・・・自信無くなっちゃった・・・」


 ずーん、と落ち込むカイトに対して、ユリィが必死で慰める。ちなみに、カイトの言う事は仕方がない。カイトの前世は戦国時代の武将だ。当時は衆道と言ってそれが普通だったのだ。現に武田信玄は浮気を疑われて手紙を出した証拠が残っているし、他にも織田信長であれば『前田利家』と『森蘭丸』の逸話が残されている。徳川家康であれば、井伊直政を寵愛した事が知られている。何一つ残っていないのは豊臣秀吉ぐらいなものだ。

 これらは、当時の風習だ。それに対して今の時代に生まれ育った者達が何かを言うべきではない。今の常識が未来の常識ではないかもしれないのだ。無粋というよりも、それはしてはならないことだろう。

 とは言え、やはりそれを自らの事として見ているカイトとしては、なんとも言えない。しかも、これはさすがに気心の知れた仲間にも相談出来ない。とは言え、一人で抱え込む事も無理だったらしい。なのでユリィにだけは、相談したのであった。

 まぁ、カイトとしてのせめてもの救いは記憶にある限りはガチムチの男ではなく、皐月系統の可愛らしい男の子だった事なのだろう。如何に彼とてガチムチの男の裸を見るのは避けたいらしい。いわゆる、男の娘と言っても良いかもしれない。

 それでも、それはそれだ。男には変わりがない。それはそれで趣味を疑いたくなるので大いに落ち込んでいたし、前世を垣間見た当時はかなりなんとも言えない空気を醸し出していたのであった。


「・・・うみゅ」


 と、そんな騒動を繰り広げていたからだろうか。皐月が目を覚ました。それに、カイトが一瞬で行動を起こした。


「きゃ」

「皐月! お願いだから教えてくれ! 昨夜何も無かったよな! 無かったと言ってくれ!」

「昨夜・・・? あ・・・」


 がしっ、と肩を掴まれた皐月が少し頬を赤らめる。何時もの事であるが、演技か本気がわからない。が、今のカイトには本気と捉えられたようだ。


「何があった!? 教えてくれ!」

「えーっと・・・」


 そうして、カイトの剣幕から、あ、これは少しやばいかも、と思ったらしい――冗談のつもりだったらしい――皐月が、昨夜あった事を話し始めるのだった。




 どうやら、皐月は少々やり過ぎたらしい。久し振りにカイトを徹底的に弄べる事を見て、調子に乗りすぎたようだ。次の瞬間、どさっ、という音と共に皐月がベッドに押し倒された。


「・・・あれ?」


 唐突に押し倒されて、皐月が頬を引き攣らせる。カイトならば絶対に安心だ、と思い込んでいたが故の予想外の出来事に大いに焦っていた。まさかそのカイトが暴走するとは思っていなかったのだ。


「前々からさ、思ってたんだよな。お前が女なら、って」

「え? ちょ、カイト? ほ、ほら、男に戻ったから、ね?」


 明らかに拙い。それを悟った皐月が大慌てで男に戻る。だが、カイトはそれでも止まらなかった。それどころか、逆に背徳感が増した、と言わんばかりに更に強く皐月の身体を固定した。


「もう、良いよな。我慢しなくて・・・もう止まらないからな。男に戻っててももう知るもんか。どうせ前世じゃ戦国武将だったお陰で男も関係なしなんだ・・・ふっかけたの、お前だからな・・・」

「あ・・・え・・・?」

「力抜けよ? 安心しろ。前世の武将様にやり方は教えてもらってるから。具体的には魔王を名乗ったバカ殿様。あいつ、男も女もどっちの初物も食っちゃってるから大丈夫だって」


 おとがいを上げられた皐月の顔に、カイトの顔が近づいていく。そうして両者の距離が限りなく近付いた次の瞬間、カイトがヘッドバッドを食らわせた。


「ぴぎゃ!」

「オレ様を舐めんな!」

「・・・へ?」


 カイトが唐突に笑顔を見せた事に、皐月がぽかん、と呆ける。完全に演技には見えなかったのだが、どうやら流石カイト、という所だったらしい。


「いつまでもやられたままでたまるか! こちとら伝説の勇者様じゃい! 大ピンチからの切り返しは得意技なのだよ!」


 先程とは打って変わって、カイトが勝ち誇る。が、内心はかなり危なかった、というのが正直な所だ。とは言え、それでもなんとかなったのは、なんとかなった。まぁ、危なかったからこそのいつもは見せない態度だ。敢えて演じる事で、踏みとどまっていたのである。

 と、そうして虎口を逃れたからか、皐月が非常に悔しそうな顔を浮かべる。喉元過ぎればなんとやら、である。自らの危険は忘れ去ったらしい。


「ぐぬぬ・・・」

「いや、実際は前世の記憶が出てこないとガチで危なかったんだけどな」


 カイトが笑いながら、とりあえず手を振って正直な所を白状する。前世の彼は戦国乱世を生き抜いた武将だ。その時の経験と言うかその前世があったお陰で、危うい所で逃れる事が出来たのである。

 例えるのなら、崖の上で腕を振り回してぎりぎり後ろに尻餅をつく事が出来た、と言うところだった。本当にギリギリである。

 ちなみに、もしカイトが本当に吹っ切れていた場合、先にカイトが述べた様などこの優男だ、というような優しい事は言わない。一気に襲い掛かる。

 そこらで見分けがつく者には見分けがつけられたりするのだが、皐月はそのカイトを知らないので見分けられなかったのだ。流石に彼女もカイトの閨での話は知らないのである。桜達ならば、という所だろう。


「ふぅ・・・ま、これがわかったら変な事はするなよ。オレじゃなかったら確実に危なかったぞ? ま、これに懲りたらそいつはもう止めとくんだな」

「ぐぬぬ・・・」


 ドヤ顔で忠告するカイトに対して、皐月が臍を噛む。間違えてはならないが、彼女とて一線を越えられるのは困る。彼女自身がどうなるかの予想が出来ないからだ。とは言え、ここまでドヤ顔を晒されては、彼女も頭に来るものがあったらしい。


「ぐぬ・・・っ! ほー・・・へー・・・ということは、カイトはまだ大丈夫って事ね?」

「あったぼうよ。この程度なら、まだ大丈夫。一回耐えたなら、もう一度でも対処出来らぁな」

「じゃあ、試してやろうじゃん」

「あ?」


 ぽん、という音と共に、皐月が再び女の子に変わる。しかも今度はきわどいシースルーのネグリジェだ。完全に男を誘惑する衣服であった。どこで手に入れたのか素直に聞いてみたくなる状況だった。


「ごふぅ!?」

「これでどう!?」

「何考えてやがりますか、このお馬鹿様は!」

「こっからはチキンレースといこうじゃない! 一生モノのトラウマを残してやる!」

「おい、ちょっと落ち着け!」


 完全に頭に血が上っている様子の皐月を見て、カイトが宥めすかす。現状はかなりやばい。カイトでも本当に襲いかかりそうになる程の危険度だ。

 と、そこでカイトがようやく、本当の違和感に気付いた。皐月の鼻息が荒かったから、その吐息がかなり酒臭かった事に気付いたのだ。


「・・・ん? 酒くさっ!? お前、何飲んだ!?」

「はぁ? 何? お酒の所為にするつもり? うっわ。チキン」

「違うって! お前、無茶苦茶酒くさいぞ!」


 よく見れば皐月は目が潤み、頬は羞恥や怒りとは別の要因で赤らんでいた。カイトは当初、周囲が酒臭いのは己がお酒を結構飲んでいるからだ、と思っていた。現に試合の最中でも酒を飲んでいる。

 彼は酒好きなのだから、当然である。だから、気づかなかった。己の吐息も酒臭いが皐月の息もかなり酒臭かったのだ。

 皐月が近くに来て息を荒げた事で、はっきりとわかったのだ。彼女自身の息が物凄い酒臭かったのである。そうして、カイトが皐月が先程まで飲んでいたコップに顔を寄せる。甘い匂いがしていたのでジュースだと思っていたが、かなり度数の高いアルコール臭が漂っていた。


「あーーーー! おまっ、これ! オレの秘蔵酒飲んだな!?」

「うにゅ?」


 カイトの問いかけに、皐月が首を傾げる。これはカイトの失態だった。地元の酒が手に入った、という事で部屋に備え付けの冷蔵庫に度数の高いここらの地酒を冷やしておいたのだが、どうやら皐月はそれを誤って口にしてしまったのだろう。

 甘い匂いもしているし甘かった事もあり、どうやら幸か不幸か皐月の口にあってしまったようだ。甘い上にそれなりに高かった事で悪酔いする事もなく、更には度数を知らない事からグビグビと酒が進み、結果が今なのであった。


「あ、飲みたいの? どぞどぞ。ちょっと唾液入ってるかもだけど」

「余計に飲めるか!」

「私の酒が飲めないの!?」

「そう言う問題じゃないし、オレの酒だよ! って、冷蔵庫! あ・・・うわぁーん! 大半無くなってる! 楽しみにしてたのに!」


 冷蔵庫へと駆け寄ったカイトが中を確認して愕然となる。楽しみにしていた酒は大半が無くなっていた。というわけで、皐月の餌食になる前にカイトは酒瓶から一気飲みする事にした。こちらもこちらで焦りに加えて混乱、何合かになる酒の複合効果で正常な判断ができなくなっているらしい。


「ぷふぁ! くそう! 無茶苦茶美味いじゃんかよ! 明日朝一で買いに行く!」

「あー! ずるい!」

「あ、おい!」

「ん・・・れろ・・・出てこないー・・・」

「うぁ・・・」


 どうやら怒った上に暴れまわった所為で酔いが一気に回ったらしい。皐月は正常な思考が失われている様子だった。カイトが飲み干した酒瓶を逆さにして口を舐めて、正真正銘最後の一滴まで味わおうとしていた。相当気に入ったようだ。

 そんな様子は非常に淫靡で、カイトからしても思わず男である事を忘れそうになるほどだった。どうやらカイトも怒り混じりで高い度数の酒を一気飲みしたおまけに暴れまわっている所為で、かなり頭にまで酒が回ってしまったようだ。事が事だったので、通常起動している予備の思考回路を起動させる暇もなかった。


「追加!」

「やだ! つーか、てめ! 酒の恨みは怖いんだぞ!」

「じゃあ、酒!」

「意味わかんねーよ! 代金払え!」

「幼馴染のよしみで良いでしょ! おごれ!」


 どうやら二人共酔っ払っている上に売り言葉に買い言葉の様だ。ただでさえ皐月の前ではカイトも羽目をはずしやすいというのに、完全に酔っているのだ。最早二人共支離滅裂だった。


「あぁ!? 酒の恨みは怖いんだよ! 女になってんだったら身体で払わせんぞこら!」

「これでもやれる!?」

「はっ! 男に戻ったからって止まると思ってんじゃねーぞ! そっちでもドロドロにしてやるよ!」

「きゃあ! このやろ!」

「うぐっ!」


 身の危険を感じ取ったらしい皐月が、カイトの頭を偶然近くにあった酒瓶で殴る。それでどうやらトドメになったらしい。カイトの正常な意識はここで完全に失われる。と、それで一度こてん、となったカイトにのしかかられて、皐月が動けなくなった。


「あれ・・・動けない・・・ふぁー・・・」


 皐月の目がゆっくりと閉じられていく。どうやらカイトをどける程の気力は彼女にも残っていなかったようだ。そうして、皐月の記憶もそこで途切れる事になるのだった。




 というわけで、話は再び朝に戻る。そうしてようやく、カイトが頭痛の原因を理解した。頭痛は精神的によるものではなく、本当に殴られたから痛かったのだ。いくらカイトでも殺気の無い打撃は障壁では防げない。あの状況ではクリーンヒットするしかなかったのだ。


「ってことは・・・頭痛の原因はお前か! 道理で痛いわけだ!」

「襲われると思ったのよ。いや、ほんとに。お尻に危険感じたもの。実際カイト揉みまくってたし。うっかりいつもあんな感じで女の子のお尻揉んでるんだ、って思っちゃったぐらいだし」

「・・・マジかよ・・・あっぶねー・・・」

「あぁ、本当に可愛ければアウトじゃないんだ・・・」


 皐月――男に戻った――の真顔での言葉に、カイトも疲れた様にため息を吐いて、ユリィが半笑いを浮かべる。どうやらカイトも途中から記憶が戻ったようだ。

 そうして粗方理解した二人は、安堵するように立ち上がって着替え始める。と、そんな二人に対して、ユリィがぼそり、と呟いた。


「・・・んー・・・でも、それは良かったんだけど、じゃあどうして二人共あんな状況だったの? そもそも皐月は最後男に戻ってたって話だよね? ネグリジェとかはわかったんだけどさ・・・明らかに酒瓶も言ってる以上に多いし・・・」


 ユリィの一言で、部屋の空気が凍りつく。二人も気付いたのだ。そう言えば、と。


「「・・・」」


 カイトと皐月は暫く見つめ合う。が、そうして出せた答えは、これ一つだけだ。


「カイトが飲んだのがコケてるだけでしょ。暴れてたし、ゲームしながら二人で飲んでたしね。あんた何本飲んだか覚えてる?」

「流石に覚えてないな・・ま、多分それだろ。腕枕は・・・うん、わからん。えーっと、皐月? 一応聞いておくけど、今お尻は?」

「大丈夫大丈夫。全然平気」

「ほらな。なんの問題もなかったわけだ。オレが一度スイッチ入って一度で終わるはずないもん」

「・・・ま、それならそれでイイんじゃないかな」


 どうやら二人は昨日の夜から今日の朝までの事を完全に闇に葬る事にしたようだ。下手に掘り起こして地雷どころか核爆弾が埋まっていても困る。臭いものには蓋、というのが正解の時もあるのだ。なら、ユリィもかなり呆れながらもそれに従う事にした。


「絶対何時か間違い起こるだろうなー・・・まぁ、いっか。間違い起こってくれた方が楽しいし」


 二人が着替え始めた事を受けて、ユリィが笑いながら着替え始める。そうして、朝から非常に疲れる事になったカイトと皐月は、その日一日なんとも言えない様子で過ごすのだった。

 ちなみに。後日この話はどういうわけか弥生の耳に入ったらしく、大爆笑しながらサムズアップしていたらしい。そして更に彼女曰く、かわいいは正義、だのイケイケゴーゴー、だのと言っていたらしいのだが、そんな危ないよだれを垂らす彼女を見て、カイトと皐月が深い溜め息を吐いたのであった。

 お読み頂きありがとうございました。すいません。800話の記念すべき話がこんな馬鹿話で。ちなみに、本当に何も間違いは起きていません。念のため。

 次回予告:第801話『作業再開』

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