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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第41章 帰還への一歩編

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第693話 ブリーフィング

 ミヤモト家での夕食を食べ終えて、カイト達はヤマトを連れて再びブリーフィングを行う為に会議に出る事にしていた。ヤマトが最初に居なかったのは、あの時はまだ道場を閉めておらず、道場の師範代としての役割があったからだ。そうして会議が再開されると、再度マギクが幾つかの事を伝えて、武蔵に水を向けた。


「と、言うわけで、ここからは武蔵殿とソフィーティア少佐にお願いしたい」

「うむ。引き受けよう・・・が、その前に、よ。ほれ、姫を呼んでこい」

「わかりました」


 武蔵の言葉を受けて、カイトが頭を下げる。姫とは旭姫の事だ。彼女も今回の作戦に主力級として加わる為、ここからは会議に参加するのである。そうして、カイトが会議室を後にする。

 向かうのは、武蔵の家から少し離れて、純和風の一軒家だ。武蔵邸よりも質素であるが、同時にそこよりも品の良い一軒家だ。大きさそのものは一人住まいなのでそこまでではない。まあ、そう言ってもやはり格があるのでそれなりに大きくはあるのだが。


「と、言うわけですので、ご同行を」

「わかりました。では、お願い致します」


 お姫様モードに戻っていた旭姫がカイトに手を差し出す。それをカイトが取って、転移術を行使した。


「お連れ致しました」

「うむ・・・では、お主は姫の横に座っておれ」

「はい」


 基本的にカイトは弟子扱いであるが、このような公の場では旭姫の従者に命ぜられる。旭姫の立場を考えれば、従者の一人もおらねば格好が付かない、という判断であった。そうして、旭姫が所定の位置に座ったのを受けて、武蔵が改めて作戦会議を開始する。


「さて・・・それで、よ。調査計画について、改めて全員で話し合う事にしよう・・・これが、レガドの全容じゃな」


 武蔵の言葉に合わせて、会議室に設置された大きなプロジェクターに画像が表示される。それは古都レガドの全体図だった。それを見ると、どうやらレガドの構造は正確な4段構造になっているわけではないらしい。下に行くにしたがって狭くなっているので、簡単に言えば円錐状、と考えれば良いだろう。

 とは言え、一つ不思議な事があった。古都レガドの大きさはどう考えてもこの浮遊都市の半分以下なのだ。まぁ、これはさもありなん、という所だろう。実のところ浮遊都市の全貌は誰も理解していない。そもそも武蔵が呼ばれる前から街に住んでいた者達でさえ、全貌は把握していないのだ。現状で解析出来ているのは3割程度だ。未踏破領域がまだまだたくさんあったのである。


「さて・・・先にもマギクが言うたが、安全な第一層はすでに調査済みじゃ。が、ここはそもそも簡易なメンテナンスを行うエリアで、謂わば表層部といえる。常日頃メンテナンスを行っておるので、大した異常が見付かっておらん事は確認済みじゃ」


 第一層は謂わば、お風呂の為の熱を輸送したりするインフラ系や、古都レガドが浮遊都市レインガルドに変化した後に設置された物だ。それ故、大半の概要は街の者達でも把握しているし調査も出来ており、問題が起きていない事は確認されていたらしい。


「で、よ。第二層。ここからが今回の調査になる・・・まあ、街の者には敢えて言う必要は無いじゃろうが、日本と公爵家の面子も居る故、改めて説明しておこう」


 武蔵の言葉に合わせて、プロジェクターの中の第二層にあたる部分が拡大表示される。広さとしてはやはりここが一番広いエリアだった。


「ここは謂わば大昔の研究施設の名残じゃな。研究施設と言うても、重要な物は無い。作った物を実験する実験エリア、と言うべきじゃな。とは言え、それ故、広さとしては一番ここが広い。そして敵数にしても一番多くなっておる。それ故、人足についてもここに一番の数を配置する」


 ぽぅ、という音と共にプロジェクターに赤い丸が灯り、第二層に配置される。赤い丸の数は約60。第二層攻略の面子だった。ここの主力は冒険部40名だ。他は武蔵の弟子の中でも入りたてで実戦経験が少ない者達やここが初陣だ、という者達はここに回されていた。

 最も数が必要だった為、ここに冒険部が配置されたのである。とは言え、勿論怪我の可能性等もあるので、全員が一斉に、ということはない。予備役も含まれていたし、休憩を兼ねて輪番制で臨むつもりだった。そうして、その表示が終わった後は、そのさらに下の第三層が映しだされた。そこは小さな部屋が幾つも配置されたエリアだった。


「さて、次が第三層じゃな。ここは謂わば研究エリアと考えれば良い。それ故、些か重要な設備も多く、防備にしても第二層よりも質が高い兵装を有するゴーレムが配置されておる。が、同時に研究設備故、部屋数こそ多いものの広さとしてはそこまでではない。故にここには儂の弟子を筆頭として、公爵家からの増援を配置する」


 今度は緑色の光が灯り、第三層に配置される。数は約40。ここにはアルを筆頭にした公爵軍特殊部隊や武蔵の弟子の中でも印可――所謂お墨付きの事――を与えられた腕利き達が配置されることになっていた。一斉にはいらないのも勿論、一緒だ。そうして、その説明を更にティナが引き継いだ。


「何か異常を起こしておる可能性があるとすれば、ここじゃな。ここは基本的に何らかの研究を引き継いでおり、今でも継続的に研究をしている事が確認されておる。重点的に調査してもらう事になるじゃろう。何らかの研究、とは聞くな。それを調査するのは難しい。なにせ管理は誰もしておらぬからな」

「うむ・・・ということで、ここは基本的に全部屋を回る事になる。一日では終わらん。数百の部屋があるからのう」


 武蔵が笑いながら、数日必要だ、と告げる。かつてシャムロックに騙されてソラ達が遺跡の調査を行った時でさえ、2日掛かりだったのだ。人数は10倍近くとは言え、規模も10倍近くあるのだ。それだけ掛かるのも無理はない。

 幸いな事といえば、今回は調査をしながらではない、という事ぐらいだろう。異常が起きているかどうかを判断するだけなので、そこまで時間が掛かる事は無い予定だった。


「さて・・・で、次は最下層の第四層以降じゃな。ここからは、儂らが担当する」


 第四層以降。そういった武蔵の言葉に合わせて、残る下部分と青い丸が10個程が映しだされる。ここは、武蔵や旭姫、カイト、ヤマトにステラ達を主力とした少数精鋭部隊が向かう事になっていた。そうして、ティナが解説を引き継いだ。


「ここに異常が起きていた場合が、一番厄介じゃな。ここは謂わば動力炉や最重要の研究設備が設置された最重要エリア。部屋数こそ少ないしエリアも少ないが、調査そのものに時間を掛けるつもりじゃ。防衛施設にしても、段違いの物が配置されておる」

「儂と姫が転移してきた際の転移装置もここにあるはずじゃな。他にも何ぞわからぬ装置が無数に転がっておる。安易に触ると何処に飛ばされるかわからんことにも成り得んから、あまり触りたくはないんじゃが・・・まあ、一応調査だけはしておかねばならんじゃろう」


 武蔵がため息混じりに首を振る。本来、ここには設置されている道具や設備の危険性から魔術師や研究者を引き連れて入りたい所なのであるが、残念ながら遺跡のシステム上それは出来ない様になっていた。諦めるしかない。


「まあ、日本の者共が必要としておる装置があると考えられるのは、ここじゃな。ということで、その調査についてはそこの男に任せい」


 ティナはカイトを指差して、彼に任せる様に告げておく。今回は一番下に目指す物があるのだが、流石にそこまでたどり着けるのはカイトだけだ。幾ら簡単な遺跡だ、といえどもそれは他に比べて簡単なだけだ。今の冒険部の面子では到底たどり着ける事のないエリアだった。無茶をされても困る。

 そうして、ティナが更に続けた。次に映しだされたのは、浮遊都市レインガルドを含めた周囲の映像だった。そこにはいくつかの軍艦が浮かんでいた。


「さて・・・で、これが内側の配置になるわけじゃが。当然、外側で何かが起きる可能性もある。武蔵殿の弟子の内皆伝持ちの半数に加え、我々公爵軍から飛空艇数隻、更には外洋には皇国海軍の第3艦隊が待機しておる。万が一の場合にはそちらが対応することにしておる」


 流石に自分達の領海のすぐ近くで面倒事が起きてもらっても困る。なので公爵軍と皇国軍も来ていた、というわけであった。そして外の都市部には、中の調査隊には入らないものの更にたくさんの武蔵の弟子達や公爵軍が配置されていたのである。そうして、武蔵が総括に入った。


「これが、今回の作戦の概要じゃな。まあ、実際に気を付けるべきは、中よ。まずいちばんの注意事項は、蒸気じゃ。特に第二層はそこに注意せねばならん。時折高圧の蒸気が吹き出す為、やけどせん様にな」

「第三層以下の者には意味は無いじゃろうが、第二層の小僧共には十分に危険じゃ。配管にあまり近づくでないぞ」


 ティナが武蔵の言葉を引き継いで、藤堂に告げる。このために、気配を読む方法を教えたのである。蒸気は何時、何処から噴き出してくるかわからない。それを気配で読み取って、一瞬で避けなければならないのである。更には場合によっては他の者に注意を促す必要もあった。そうして、ティナが更に続けた。


「さて・・・まあ、大雑把な解説はそれで良かろう。ここからが、この遺跡の特別な所じゃな・・・」


 ティナはそう言うと、プロジェクターを操って一つの何らかの巨大な金属製の人型を浮かび上がらせる。無骨さがある独特なフォルムだった。


「さて・・・まぁ、このレガドの厄介な所なのじゃが、実は最下層の更に下。第5層があるんじゃが・・・そこにたどり着く為には、この巨大なゴーレムを三機同時に機能停止にせねばならん。これは最下層にたどり着く為だけ、じゃな。全ての安全装置が解除されてはじめて、中心部にたどり着けるわけじゃ。が・・・まぁ、これが厄介でのう。見たまんま、100メートル級の超巨大ゴーレムじゃな。武装は山程。これを第一層を除いた各階層で同時に停止させねばならんのよ」


 ティナが呆れ混じりに、金属製の人型についてを語る。どうやらこの金属製の人型は所謂戦闘用のゴーレムらしい。大規模討伐戦になりそうだった。と、そこでブラスから質問が出た。


「ソフィーティア少佐。遺跡に前に入られた方が機能停止にさせているのでは?」

「良い着眼点じゃな。が、ここが、この遺跡の素晴らしい所でのう。この遺跡は謂わば人造の『迷宮(ダンジョン)』じゃ。それ故、0時を起点として内部の全ての防衛装置がリセットされる様子でな。つまり、毎日解除せねばならん事になるじゃろう」

「研究者達はどうしていたんですか?」

「わからん。が、おそらく何らかの特殊な魔道具を持ちあわせて、素通り出来る様にしておったんじゃろうな。そうでなければ遺跡に入れもせん」


 ブラスの再度の問いかけに、ティナは前々からの推測を告げる。当たり前だが、この遺跡には技術者や研究者達も入っていたのだ。

 であれば、何らかの方法で剣士以外進入禁止という条件から除外される為の魔道具か認識票に類する何かがあるはずなのであった。が、残念ながら、それは見付かってない。ゆえにアテには出来ない。そうして、ティナが続けた。


「なぜ剣士達しか入れんのか、ということはおそらく護衛が必要な場合があるからじゃろう。護衛も入れぬでは高貴な身分の者が来た場合に問題じゃからな」


 ティナの言っている事は単なる推測だが、それは道理を伴った物だった。なのでブラスもそれを確かに、と受け止める。そうして更に幾つかの質問を受け入れて、ティナは彼女ら技術者達がどういう風な事を行うのか、という説明に入った。


「で、よ。お主らが実働部隊とするのなら、余らオペレーター達は第一層の最上部にある司令室に待機することになっておる。先ほどの合間に機材を遺跡の司令室の物と同期させる事に成功した。流石に各階層毎で連絡が取り合えるかはわからぬが、少なくとも司令室と各階層の間で情報の伝達は出来るじゃろうし、予想経路等から、現在地を把握する事もできよう。外からのナビゲートは可能、と考えてよいぞ」


 外からのアドバイスが貰えるのとそうでないのとでは、やはり安心感も安全度も違ってくる。なのでティナの言葉に、一同はそれを良しと受け入れる。


「まあ、それと同時に、各個人に取り付けた魔道具からお主らの見ている映像をリアルタイムで送れる様にしておる。こちらからも見れるので、万が一の場合には協力を依頼するじゃろうし、対策もなんとか取れる様にするつもりじゃ」


 技術者を中には連れていけないということは、現地で剣士達が改修作業も行わなければならないのだ。そのために確認出来る魔道具を携行させるつもりだったのである。そうして、とりあえず伝えるべき事を伝え終えて、武蔵が頷いた。


「うむ。では伝えるべき事は以上じゃな」

「わかりました。では、よろしくお願い致します」


 武蔵の言葉を聞いて、マギクが改めて頭を下げる。こうして、この日のブリーフィングが終わり、終会となったのであった。

 お読み頂きありがとうございました。

 次回予告:第694話『組織』

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