第3951話 雷の試練編 ――ブリーフィング――
瞬の強化のため、雷の聖域へと訪れていたカイト。そんな彼らがたどり着いた雷の聖域だが、これはカイトも見た事がないという、近未来の施設のような構造であった。そうして攻略を行う前の小休止を挟んでいたカイト達であったが、そこに響いたのは妹の浬の声であった。
そうして宇宙港に似た場所を進んでいた一同であったが、手に入れた地図に表示される巨大ドームを目指して進むも、その到着直前にまるでこれから試練の本番と言わんばかりに幾つかの隊に分けて飛ばされる事になっていた。
というわけで飛ばされた先で調査を重ねたカイトであったが、数個の部屋を経てたどり着いたのは謂わばコントロールルームや司令室という部屋で、他のエリアとの通信機能を備えた部屋であった。
そうして通信機能を使ってアイナディスと情報共有をしていたわけだが、カイトは幾つもの試練を超えた実績を持ち、アイナディスは一度雷の試練を突破して、冒険者としての経歴も数百年という大ベテランだ。彼らが圧倒的に早かったのは否めなかった。
「うーん……やっぱりソラ達はそっちにはいないか。先輩も然り」
『まぁ、私と彼らは別にするでしょう。区画としては……四つですね。正確には最初に居たエリアも含め五つ、ですが』
どうやらカイト達がたどり着いた部屋は作戦会議室も兼ねていたらしい。ここでのみ映像と情報の共有が可能らしく、コンソールを介して同じ映像を確認することが出来る様子だった。
「エリア1がオレ達が居るエリア。エリア2がアイナが居るエリア。エリア3と4はそれなら、か」
『でしょう。大精霊様のお考えというか傾向というか……おそらくあの二人を一緒にするとは思えない』
「そしてアイナやオレと一緒にするとも、か」
雷華の性格というか、難易度を考えた場合はやはりその四者を完全に別々にするか。カイトはアイナディスの言葉にそう考えながら同意する。
『ええ……貴方は完全に別枠として、私はどうしても地球のこういった技術……科学技術……でしたか? そういうのは明るくない。他方、地球の子らは魔術に明るくない。双方を理解しているのは貴方を筆頭に、両方の世界に触れたソラや瞬達となる。必然として、この組分けになったのでしょう』
「だろうな……ま、それについては当たり前という所ではあったか」
カイトを筆頭にしてソラ、瞬についてもある程度魔術と科学文明の発達から宇宙港というものは理解が出来る。だがアイナディスに至っては宇宙はまだしも宇宙に港を作る、というところで想像は出来ず、やはり困惑する事は多くあった。
だが宇宙港は地球では創作物で良く語られる内容だ。なのでその技術の高さに驚きを浮かべる事はあっても困惑する事はあまりない。なのでその知識の面でアイナディスのフォローが可能だった。そしてもちろん、戦闘面で高くフォロー力も高い彼女だ。カイト抜きでもフォローはしてのけるだろう。
「にしても、アイナ。お前ももう少し時間掛かるかも、と思ったんだが」
『どういう意味ですか?』
「いや、留置場だ。あそこの脱出にもう少し時間が掛かるかとな」
『ああ、あれですか。まぁ、確かに昔の私なら苦労したかもしれませんが……平和になってより遺跡を何度か巡ると、ああいった完全に閉鎖されるような場所にも閉じ込められる事がありましたので』
「なるほど……確かにここまで高度なものではなくても、原始的なものはある。そこから類推することはアイナなら余裕か」
『余裕、とまではいきませんでしたけどね』
カイトの称賛に対して、どこかアイナディスは鼻高々という様子だ。と、そんなわけで話を繰り広げていると、唐突にソラの映像が映り込む。
『……なんだこれ?』
「ああ、ソラか。そっちも着いたみたいだな」
『え? カイト? 何がどうなってんだ?』
「んー……説明は別にしてやれるんだが……一つ聞きたいんだが、先輩はそっちか?」
『いや、こっちには居ないよ。俺と空也と……まぁ、それはそれとして。ってことは先輩はそっちにも居ないのか?』
「ああ」
若干何が起きているかわからず困惑した様子のソラの問いかけに、カイトは一つ頷いた。と、そうしてソラへの説明をどうしたものか、と考えていると、今度は瞬の映像が映り込んだ。
『……なるほど。やはり推測通り通信機という所みたいだな』
『あ、先輩』
「ああ、丁度よい。これで多分全員かな」
分けられたエリアは5つで、内一つは一番最初にたどり着いた一般の立ち入りが頻繁になるのだろう宇宙港のエリアだ。そこを除くと全部に飛ばされたと思われる4つが表示されたのを見て、カイトは一つ頷く。そうして、彼は後から到着したソラと瞬の両者及び一緒に居ると思われる面々に向けて状況と情報を共有する。
『なるほどな……』
『ってことは、とりあえず合流するためには各隊で各エリアをある程度攻略しないと駄目ってことか』
「ああ。今回は風の試練より更に長くなりそうだ」
『そっかぁ……でもてことは、用意した前線基地は使えなさそうか』
カイトの言葉にソラは少しだけ苦い顔だ。元々試練に長い時間が掛かる事は覚悟の上だったが、無補給かつ傷の治癒などが受けられない、というのはそこそこ厄介だと感じられたのだ。そしてこれに、カイトは少しだけ困ったような顔を浮かべる。
「そこ、なんだよな……おそらくどうにかしてあそこに戻る手段は用意されていると思うんだが」
『そうなのか?』
「ああ……いや、無理な高難易度もあり得るが、今回はそこまで高難易度にはしていないはずだ。もちろん、だからと班分けをこっちで自由にやる、というのは無理だろう。端末に個人認証がされている事を考えると、おそらく設定された端末ごとに飛ばされるはずだ。だがそれはそれとして、だな」
どうやらカイトとしてはどこかで補給が可能にはなっていると思っているらしい。実際、今の所戦闘も罠もないだけで、どこかからは罠も戦闘も普通にあると彼は考えていた。
今は敢えて言うのならまだ危険性を低く見積もられているだけで、試練の進行に合わせて警戒態勢が厳しくなっていく、というような想定である。というわけでおそらくどこかに補給が可能になる施設やなにかがあると考える彼が、一同に取り急ぎの指針を指示した。
「とりあえず、全員一度2時間後に再集合だ。もしあの最初のエリアに戻れたら、こちらに戻れるかも試して再集合」
『あっちで合流にはしないのか?』
「もし見付かってない隊があったら、何が起きたかわからないだろ?」
『あ、なるほど』
カイトの指摘に瞬が納得を露わにする。というわけで、4隊はとりあえずは戻るための経路やらを探す事にして、一旦の作戦会議を終わらせて行動を再開する事にするのだった。
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