表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4006/4030

第3935話 雷の試練編 ――試験――

 暗黒大陸へ向かう航路の最中に発見された幽霊船により構築された幽霊船団。この対応のため、冒険者ユニオンは皇国へと協力を要請。皇帝レオンハルトより指示を受けたカイトは各地から霊力や退魔の力を操る者を招集し幽霊船団の除霊に成功する。

 カイトは再び遠征の総指揮を行うというバルフレアの帰還と合わせて今回の一件の調査報告を皇国へと上げると、それと入れ替わるように皇国から瞬の契約者としての聖域があるという<<雷雨の森>>への渡航許可が下りていた。そうして<<雷雨の森>>へとたどり着いた一同であったが、雨が降った事により少しの待機を挟んだ後、<<雷雨の森>>の中へと足を進めていた。

 というわけで道中無数というしかない雷に四方八方から打たれながらも進み続け、およそ半日ほど。昼に近付いた頃に、一同は最深部とでも言うべき場所にたどり着く。そうして最深部からついにたどり着いた雷の聖域は、どうやら今回ホログラムが浮かび、構造材はなぞの金属と近未来的かつSF映画やアニメのような様相であった。

 そんな雷の試練にて再度地球側で試練の攻略に臨んでいた浬らと合流したカイトであったが、ひとまず試練に臨む前にアイナディスの手によって一度瞬らを含め今の実力を試される事になっていた。


「で……これ、なのか。俺達もこっちか」

「まぁ……あの二人相手に勝てるのか、って言われたら……あっはははは」

「ま、まぁ……言わんとする所はわからんではないが」


 ソラの半ば乾いた笑いに、瞬も盛大に苦笑いで応ずる。今回の組分けだが、もはや言うまでもないだろうが瞬、ソラに加え地球組。相対するのはアイナディスとソレイユの二人だ。

 だが瞬にもソラにもこの二人を相手にほぼほぼ自分達二人ではまるっきり相手にならないだろうと考えており、それは地球組だけでこの二人に相対させないだろう、と納得しかなかった。

 ちなみにセレスティアとイミナの二人は流石にアイナディス達も本気でやる事になるので、地球側がついて行けなくなる可能性を危惧して不参加だ。というわけで組分けに納得しかない瞬だったが、そんな彼は地面の感触を確かめるように数度屈伸を繰り返す。


「ふむ……少し引っかかりが弱いな」

「床も金属っすからね……ってか、今更ながらっすけど俺、あんまり金属床で戦った事ないっすね」

「俺もだ……思えば意外とこういう金属製の床は見ないな。いや、地球でも見ないか」

「確かに」


 言われてみれば地球でも近未来的な建物だと床が不思議な金属のような物質で覆われているのは見るが、そういう床は見ないな。瞬の指摘にソラもそういえば、と納得する。と、そうして納得して彼はふと気になったらしい。


「……ってか、むっちゃ今更の話っすけど、この床って金属なんっすかね」

「なに?」

「いや、金属に見えるってだけで金属じゃない、ってむっちゃありそうじゃないっすか?」

「なるほど……確かに加工が施されている可能性は十分にありそうだな……」


 これが金属なら金属の性質を有しているだろうが、金属でなければ自分達が想像した動きが出来ないかもしれない。ソラの指摘に瞬はメタリックな外観を有する床に触れてみる。


「なんかわかります?」

「いや……ひんやりと冷たいだけだな」

「まぁ……床っすからね」

「ああ……ただツルツルと滑りそうではある……という所か」


 滑り止めは施されているかもしれないが、その効果は如何ほどかと問われれば思ったほどではなさそうだ、というのが瞬の返答だ。というわけで二人は足場に注意する事にした。


「とりあえず、思いっきり踏ん張ってもヤバい可能性ありそうっすね」

「ああ……特にお前は気をつけた方が良いかもしれないな」

「っすね……特に俺の場合踏ん張らないと受け止めきれないんで」


 ぐっぐっ。ソラは数度床を踏みしめて、自らの感覚をこの床に合わせる。この床が金属にせよそうでないにせよ、少なくとも何かしらの技術により加工された硬質の素材である事は間違いないだろう。地面や木の床のように抉るように踏ん張る事は難しい。普通に考えて動いて、一番痛い目に遭う可能性が高いのは他でもないソラであった。


「まぁ、後の問題は戦いながら考えるか。どういう素材性質か、まで考えるほどの時間は与えてはくれんだろう」

「でしょうね……ってか、あっち面子の今の実力ってどんなもんなんっしょね」

「わからん……数カ月が経過しているという事だったが」


 ソラの問いかけに瞬が半ば苦笑する。こちらはほとんど一ヶ月経過したかしていないか、という程度しか経過していないにも関わらず、向こうではすでに数カ月が経過しているというのだ。しかもその間には光、土、水、氷の試練を突破しているという。風の試練も含めれば、この雷の試練で六個目だ。

 まぁ、自分達の時間軸で考えればすでに全ての試練を突破して呪いも解呪して、今は別の問題に相対しているという事らしいのだが、それはそれとしても見違えていた。


「それにしたってレベルアップが凄まじいな。あれで数ヶ月か。俺達も駆け足で駆け上がったという事らしいが」

「数ヶ月の中に更に追加で何ヶ月かは試練の中でやってるでしょうからね。実質、俺同様に一年ぐらいやってんじゃないっすかね」

「あ、そういえばお前は強制収容所で一年経過したか」

「うっす……まぁ、あっちは外で一ヶ月ぐらいだったらしいっすけど……あれ? 俺もしかして同盟の所含めると二年経ってる……?」

「そ、そういえば……俺も一年経過したのか」


 ソラの気付きに、瞬も思わず目を丸くする。もう一人のカイト達の下での冒険だが、春にあちらを訪れてその後、帰る直前は冬になりつつあるという頃合いだった。なので一年は経過していないが、季節が三つ巡る程度には長居していたのであった。そして向こうの状態もあり、レベルアップは十分になし得たのであった。というわけで、そんな彼の言葉にアイナディスの言葉が響く。


『そう伺っています……なので簡単には倒れないと期待していますよ』

「聞いてたんですか?」

『ええ……皇国には話せない話でしたでしょうが、私は契約者。聞いて問題ないだけの資格を有していますので』

「なるほど……」


 確かにあちらの世界の過去に行った、という話は皇帝レオンハルトにはするな、とカイトからは口酸っぱく言われており、その理由も時を司る大精霊云々の話をせねばならないため、という至極納得しかないものであった。

 というわけでカイトの指示に納得しかなかった二人は誰にも明かしていなかったが、同様に契約者であれば同じように万が一の世界の危機において動かねばならない戦士の一人だ。話したとて問題になるとは思えなかった。


『さて……それでは久方ぶりになりますが。最低限、以前の程度ではない事は見せてくださいますね?』

「「……」」


 ばちばちばち。アイナディスが楽しげに笑い、紫電が舞い踊る。どうやら最低限度として、以前何かの折に模擬戦を行った程度の戦闘力を最初に設定したようだ。そしてもちろん、その横ではソレイユが楽しげに支度を行っていた。


「今更だが……冗談キツいな」

「っすね……」


 今更だが、相手は冒険者の中でも最上位。並み居る屈強な冒険者達さえ、この少女二人を前にしては逃げ惑うほどの猛者だ。本来ならば関わりさえ持てない相手になるはずだが、どういうわけかカイトの下で活動することで関わりが出来ていたわけだ。


「……まぁ、まだスカサハさんよりはマシか」

「そう思える先輩が羨ましいっす」

「あはは……よし。やるか」

「うっす……空也、煌士。そっち大丈夫か?」

「はい、私の方は何時でも……お強いと伺いましたが」

「無茶苦茶な」


 自らの弟の問いかけに、ソラはどこか自棄っぱちに笑う。アイナディスの強さは何度も目の当たりにしているし、ソレイユについては緊急時にマクスウェルから遠征先に支援を貰った事が何度もある。射程距離もその速度も凄まじい事は言うまでもない。


「少なくとも油断したら瞬殺される……てかぶっちゃけ、試練の時のシルフィちゃんとは比べ物にならん領域だ」

「だ、大精霊に……ですか」

「ああ……ま、数ヶ月経過して、しかも試練五つ攻略してんだろ? 頼りにすっから」

「あ、あははは……」


 そう頼りにされても困るのだけど。ソラの冗談めかした言葉に、空也が恥ずかしげに笑う。というわけで、両者共に準備が終わったと判断された瞬間。アイナディスが頷いて、ソレイユの弓から数百本もの矢が放たれるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ