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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3794話 様々な力編 ――鋼の巨人:決着――

 過去世の力が使えないため、その代替としてソラが契約者となるべく訪れる事になっていた風の聖域。挑む前から何処かの世界で起きた異変による通行止めというトラブルに見舞われながらもなんとかたどり着いた聖域の攻略を開始する。

 そうこうして大穴エリアを攻略して次のエリアへと足を伸ばした一同を出迎えたのは、広大な草原エリアであった。そこに横たわる鋼の巨人を警戒しながら鋼の巨人がもたれ掛かる小山の周辺を探索したソラ達であったが、ぐるりと一周した所で現れたのは鋼の巨人よりも更に巨大な漆黒の巨人であった。

 というわけで漆黒の巨人の妨害を受けながらも鋼の巨人の調査を繰り返していたソラ達だったが、調査の結果なんとか鋼の巨人の起動に成功。鋼の巨人を駆って、出現した漆黒の巨人と戦うことになる。そうしてソラはなんとか牽制を繰り返しながら二体同時の戦闘を避けつつ、空中戦を繰り広げていた。


「くっ……」

『決め手に欠けるわね』

「だな」


 どうしたものか。ソラは片手は軽機関銃型の魔銃を振り回しながら、もう片方の手で盾を操りながら<<地母儀典(キュベレイ)>>のどこか苦みの乗った言葉に応ずる。


(二体同時に戦わない様に常に動きながら戦ってるけど……やっぱ一体分の防御力だからか硬いんだよ)


 どの攻撃もある程度本気で斬りつけてはいるが、如何せんこれは二体の漆黒の巨人が融合。一体分の漆黒の巨人が翼に変化した姿が今の漆黒の巨人だ。一体分の出力がそのまま防御に回されていると考えて良いようで、一体目の漆黒の巨人を貫いた時と同じ出力で攻撃しても貫けなかったのだ。


(多分薄くはなってるけど、圧縮されてる……って感じなんだろうな……やっぱこいつらは一体ってよりも二体って考えた方が良さそうだ)


 防御力の高さはそういうことなのだろう。ソラは最初は効果があったはずの魔導砲さえ効果がない状況をそう判断する。


「はぁ!」


 兎にも角にも二体同時に戦うことは即ち四体同時に戦うということだ。ソラはそう再認識すると、眼の前でこちらに殴りかかってくる一体に向けて盾を振り抜いて吹き飛ばす。そうしてその反動を利用して距離を取ると、更にそのまま背面に飛行して二体の漆黒の巨人から距離を離す。


「……」


 どうしたものか。幸いなことにすでにトリン達からは距離が離れすぎているといえるほど離れており、戻るにはどうするかと考えた方が良いレベルだ。周囲の被害を気にする必要はさほどないだろう。故にソラは意を決した。


「頭部、使えるか?」

『使えるわ……ただどうなるかはわからないわ。それに出力を考えれば……』

「……一発。撃てて二発か」


 <<地母儀典(キュベレイ)>>の言葉に、ソラもおそらくそうだろうと納得する。そもそも彼女の言う通り、頭部の高出力魔導砲は高出力と言われている通りかなりの出力が考えられる。となるとソラに掛かる負担も今までとは比較にならないはずで、飛翔していられるかさえ未知数だ。

 やるなら覚悟を決める必要があった。というわけでソラは軽機関銃型の魔銃と肩部、腰部の魔導砲で弾幕を繰り広げ、二体共足止めしながら数秒だけ思考する。


(多分二体同時に相手取って当てるのは無理だ)


 最終的な結論として、ソラはそう判断する。この二体がどう連携してくるかもわからないし、もし足を止める必要があった瞬間どうしようもない。もう一体から滅多打ちにされるだけだ。


「最低、一体は潰さないと駄目か」

『でしょうね……でもどうする?』

「最初の一体目って追ってるか?」

『ええ』


 ソラの問いかけを受けて、彼が盾で吹き飛ばさなかった方の漆黒の巨人を<<地母儀典(キュベレイ)>>は拡大する。こちらは軽機関銃で牽制をしていたからかもう一体に比べてソラに肉薄してきており、おそらくあと十数秒で交戦になると考えられた。


「よし……近接戦に入る。肩部と腰部お願い」

『ええ』


 そうなると気合を入れてやらないとな。ソラは拡大された漆黒の巨人の片方に向け、片手剣を取り出して構える。流石に四つの武器を同時に操れるほどソラは器用ではない。というわけでソラは限界まで軽機関銃型の魔銃を使って牽制をして先制攻撃を防ぐと、限界と判断した所で軽機関銃を投げ捨てる。そしてそれと共に現れた盾を、ソラはしかし引っ掴まなかった。


『盾は良いの?』

「ああ……思いっきり叩き込む。その代わり、ランチャーを頼めるか?」

『なるほど……わかったわ』


 ソラの意図を読み取って、<<地母儀典(キュベレイ)>>が一つ了承を示す。とはいえ、だからとすぐに顕現するわけではなかった。


「ふぅ……」


 ここからは速攻を仕掛けないと駄目だ。ソラは意識を研ぎ澄まして、ここから先の流れをイメージする。そうして彼が意識を研ぎ澄ませると共に、一体目の漆黒の巨人が彼へと肉薄した。


「おぉおおおお!」


 雄叫びを上げて、ソラが大上段から剣を振り下ろす。それに対して漆黒の巨人は拳を振ってそれを迎撃するものの、流石に鋼の巨人の最大の膂力だ。しかも翼も飛翔機などで飛んでいるわけではなく、瞬間的な出力であれば鋼の巨人に軍配が上がったらしい。轟音と共に、防御ごと思い切り地面へと落下していくことになる。そしてそれを受けて、ソラは即座に剣を投げ捨て同時に現れた手持ち式のランチャーへと切り替える。


「こいつでも食らっとけ!」


 おそらく足止めは出来て数秒、良くて十数秒だろう。そう<<地母儀典(キュベレイ)>>に言われていたので使わなかったわけだが、今はその数秒、十数秒さえあれば良い。なのでソラは地面に落下していく漆黒の巨人に向けて魔力で出来た網を発射。更にそのままランチャーを更に投げ捨てて顕現を解除し、現れる剣と盾を手にする。


「おらよ!」


 一体目を叩き落としたと同時に接敵となったもう一体の漆黒の巨人はすでに殴り掛かる姿勢を見せていた。牽制もほとんど出来ていなかったのだから仕方がないだろう。

 なのでソラは盾で打撃の一撃目を防ぐと、そのまま二撃目が放たれる前にカウンターで剣を振るう。だがこれに漆黒の巨人は腕を振って軌道を逸らして、返礼とばかりに足を振り上げる。


「読めてんだよ!」

『撃つわ!』

「おうっ! ぐっ!」


 獰猛に笑いながら、ソラは飛翔機をカット。自身も下に移動することで回避する。そうして更に空中で姿勢をわずかに上にすると、そのまま<<地母儀典(キュベレイ)>>が腰部と肩部の魔導砲を同時発射。流石に至近距離の一撃により鋼の巨人も大きく揺れるが、その衝撃さえ更に利用。まるで落ちる様に降下する。


「くっ! まだまだ!」


 衝撃さえ利用して急降下しながらソラが追いかけるのは、先程網で絡め取った一体目だ。一体さえ倒してしまえばあとはどうにかなる。そう判断したのと、一体目は半分ほど削った上に剣で貫いたのだ。ダメージがあったはずで、喩え見た目上は二体目の漆黒の巨人と同じでもその分防御力は低いのでは、と考えたのである。そうして今度は空中でくるりと反転して地面に轟音と土煙を上げて落着した一体目を正面に捉える。


「ぐっ!」


 頭部の魔導砲を起動すると共に、ソラから莫大な魔力が吸い取られる。それにしかめっ面を浮かべながらも、ソラはしっかりと一体目の漆黒の巨人に向けて照準を合わせた。


「食らい、やがれ!」


 数十メートルの距離がほぼ一瞬で無いに等しいまで縮まると、その瞬間。ソラは容赦なく頭部魔導砲の引き金を引く。そうして放たれた光条は漆黒の巨人を飲み込んで余りある巨大さで、反動はおそらく漆黒の巨人より重いだろう鋼の巨人を上へと大きく押し戻すほどであった。


「……良し! あとはお前だけだ!」


 流石にこの出力では耐えられなかったか。ソラは盛大にしかめっ面を浮かべながらも、内心でガッツポーズを浮かべる。そうして彼は再度飛翔機を点火して飛翔。そのまま四門の魔導砲で足止めした二体目の漆黒の巨人の討伐に取り掛かることにして、この数分後。一体だけならばなんとかなったようで、なんとか二体の漆黒の巨人との空中戦を制するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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