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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3775話 様々な力編 ――再挑戦――

 過去世の力が使えないため、その代替としてソラが契約者となるべく訪れる事になっていた風の聖域。挑む前から何処かの世界で起きた異変による通行止めというトラブルに見舞われながらもなんとかたどり着いた聖域の攻略を開始する。

 そうして六本腕の守護者もどきを討伐した後。改めて調査を開始するソラ達であったが、その眼の前には小さな足場と数百メートルもの突風が吹き荒れる穴が広がっていた。

 というわけで実弟の空也と共にその調査に乗り出したソラであったが、その途中にあるレバーを引いた途端現れた蛇を模したかのような守護者もどきが出現するも一時撤退を余儀なくされていた。

 そうして一時撤退を行ったソラ達であったが、その後監督するというカイトが自身が率いる班の攻略を見届けた所で、再度攻略となっていた。なっていたのだが、再度入った部屋を見てソラは少し気後れする事になる。


「……マジ?」

「まぁ、試練だし。出たらもう一度最初からはまぁ……別に不思議ないが」

「ってことは今後撤退は出来ないってこと?」

「ああ、いや……流石にそこまでキツくはない。最初の所に入るまでのエリアはなかっただろ?」

「あ、そういえば……」


 カイトの指摘に、ソラは一番最初に透明なかまいたちと交戦したエリアに入る事なく、巨大な木をくり抜いた迷宮(ダンジョン)のような場所に来ていた事を思い出す。意識がここから先の蛇を模した守護者もどきに集中していたので、すっかり気づかなかったようだ。


「そんな塩梅で一度攻略すれば、そこの攻略度は保存される……ま、オートセーブみたいなもんか。迷宮(ダンジョン)の場合はそれが多いな。ただ攻略しきらず撤退すると、こういう感じで最初に戻される事は多い」

「てことは撤退して体制を立て直す場合、きちんと休んだ方が良いのか」

「そ。もう一回やり直す事になるから、それを踏まえて段取りを構築するべきだな」


 だから作戦会議を兼ねて少し休む様に指示していたのか。ソラはカイトの指示の意味を理解して、なるほどと納得を露わにする。というわけで納得した彼であるが、改めて部屋の中を覗き見る。


「で、もう一回あいつらと、か……それはそれで嫌なんだけど」

「勝てはしたんだろ。なら問題ない。あと、流石にオレも居るしな……問題ないよな?」

『別に良いよー。もう一回攻略した所だし。ただ部屋が攻略してないからここまで戻ってるだけだし。一度見た所をもう一回見たって面白くないしねー』


 カイトの問いかけに、シルフィードはどこか興味なさげにそう応ずる。彼女の試練で本来ならば全てを見るべきなのだろうが、彼女からしてみればわかっている展開を逐一気にする必要なぞないのだろう。

 しかもこの部屋のメインは更に先のレバーを引いた後。巨大な蛇を模した守護者もどきだ。その前の準備運動になぞ興味なくても当然の話であった。


「あいよ……リィル。お前も準備運動代わりにあの六本腕潰しておけ。上の飛んでるのはオレが片付ける」

「了解です」

「ソラ。それで良いな? リィルもいれば楽に倒せるはずだ」

「まぁな……よっしゃ。じゃ、もう一回やりますかね」


 二人で攻略方法や攻撃方法も理解できていなかったから多少苦戦はさせられたが、リィルまで一緒に居て一度攻略済みであるのならソラにも問題は特に考えられなかった。というわけで彼もかなり軽い様子になったらしい。そうしてそんな彼が再度口を開いて、軽い指示を出す。


「由利。さっきと同じく砲台の一撃は俺が。その間に移動して遠距離戦の体制を構築してくれ。トリン、先に六本腕を潰す方で良いよな?」

「良いと思うよ。それに空中をカイトさんが全て引き受けてくれるのなら、こっちにはかなり人的余裕がある。多分君達が六本腕を倒す間にこっちも倒せると思う」

「あ、それもそうか……なら手早く終わらせるか」


 双銃をくるくるくるくると回して遊ぶカイトを見て、ソラは確かにこの男に支援なぞ不要かと判断する。そしてそうであるのなら、元々リィルの支援を行っていた人員の手が空くということだ。確かに可能かもしれなかった。そうして大凡の作戦会議が終わった所で、ソラがカイトを見る。


「号令は任せる。先頭もお前で行け……オレだと砲撃を避けながら接近する事も出来ちまうからな」

「だよなー……よっしゃ。はぁ!」


 カイトの軽口に笑いながら、ソラは一つ気合を入れて扉を押し開ける。そうして先程と同様にそれに気付いた砲台が彼へと砲撃を開始し、それに負けず彼は更に前に出る。それを数度繰り返してある程度接近した所で、カイトを先頭にして全員が部屋の中へと侵入。再び交戦が開始される事になるのだった。




 さてカイトが加わった事で軽く六本腕の守護者もどき達を討伐した後。ソラと空也は改めて空洞エリアへと突入すると、先程より少し早い時間でレバーまで到達しつつあった。と、そんな道中だ。空也がソラへと問いかけていた。


「カイトさんはいつもあんな感じなのですか?」

「あんな感じ? そりゃ、あんな感じだけど……確かあいつの性格を模した使い魔と一緒なんだろ? 確かに性格は前と少し違うかもだけど……そんな驚く事か?」


 カイトは地球でも正体を隠しながら裏世界の顔役――異族達や魔術師がいる世界という意味で不法行為を行う者たちの意味ではない――として動いているという。

 その繋がりは二人の実父であり日本国総理大臣である星矢や、果てはアメリカの大統領とも繋がっているという。その彼が消えたとあっては裏世界の治安や秩序に影響しかねず、彼は自身の性格などを模した使い魔を残していたそうだ。今の空也らはそのカイトの使い魔や彼の知己の者たちに指導を貰っていたのである。というわけでカイトの性格なら別になにか不思議はないと思ったソラであったが、空也が聞きたかったのはそうではなかったようだ。


「ああ、いえ……そちらについては別に。戦い方です。刀以外もああも使いこなすのか、と」

『それは私も思ったな。銃……いや、魔銃か。見事なものだった。いや、海瑠に教えを授けられる時点でさもありなんなのやもしれんか』


 空也の疑問に対して、<<三日月宗近>>が同意と納得を口にする。一応は地球でもそれを見ていたわけだが、それでも本物は格が違ったとひと目でわかったようだ。だがそんな彼に、ソラが半眼で睨む。


「……お前、まさか戦いながらそんなの見てたの?」

「あ……い、いえ……申し訳ありません」

「はぁ……せめて戦闘中はやめとけよ。怪我するぞ」

「す、すみません……」


 確かにそれはそうだった。空也は憧れた相手の戦いが見れるとどうしても興味が抑えきれなかったようだ。しかも幸いな事にリィルまで居たおかげで、彼に掛かる負担も減っていた。なので余所見出来る余裕が出来てしまったのだろう。というわけでかなり恥ずかしげに謝罪する彼に呆れながらも、ソラが教えてくれた。


「まぁ、そうだな。なんか色々と使ってる。今回は空中戦かつ高機動の相手って事で銃使ったんだろ。これがもっと動きが鈍いヤツなら弓やら槍やら別のも使ってたのかもな……でも正直な所わからん。あいつの手札は多すぎて……」

「そうなるのが良いのでしょうか」

『「やめておけ」』


 やはり憧れがあるからだろう。自身もそうなるべきなのだろうかと悩むかの様に口にする空也に、ソラと<<三日月宗近>>が呆れる様に首を振る。


「あんなもん、誰か真似しようとして出来るもんじゃない。俺だってせいぜい魔導書と拳での戦い方を学ぼうとしてる程度だしな」

「魔導書?」

「え? ああ、そういえば今のお前には教えてなかったっけ」


 この空也が自分達の基準で十数ヶ月以上も昔なのだとすると、確かに<<地母儀典(キュベレイ)>>を入手する前かもしれない。ソラは一度は話していたが、今の彼が知らないのは無理もないと思ったようだ。だがそうであるのなら、と彼も思い直す。


「まぁ、詳しくはまた何かで話すと思う。どこで話したか忘れたけど、親父とかにも話してるし」

「そうなのですか」

「おう……ま、そんな塩梅で俺も手札なんてそんな多くない。先輩でさえ槍とナイフだけだし、ナイフもどっちかってと魔術の補助具らしいしな」

「ナイフが?」

「らしい」


 ここらは流石に俺に聞いてくれるなよ。ソラは空也に笑いながら、そう態度で示す。そうしてそんな話をしながら進んでいると、あっという間にレバーの所まで再び到着する。


「空也! 良いな! 今度はさっさと逃げるぞ!」

「はい!」

「じゃあ、合わせろ! 3! 2! 1!」

「「っ!」」


 がこん。二人はソラの掛け声と同時にレバーを動かす。そうしてそれと共に先程同様に下の大穴から巨大な蛇の守護神もどきが現れて、それと共に二人は大急ぎで入口側までの撤退を開始。入口側のカイトらと合流して再チャレンジを開始する事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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