表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3826/3938

第3772話 様々な力編 ――次の試練――

 過去世の力が使えないため、その代替としてソラが契約者となるべく訪れる事になっていた風の聖域。挑む前から何処かの世界で起きた異変による通行止めというトラブルに見舞われながらもなんとかたどり着いた聖域の攻略を開始する。

 というわけでたどり着いた部屋の一つにてソラは六本腕の人形と戦闘を開始。これを加護を使用する事により撃破するわけであるが、そこでソラは空也が複数の加護を使いこなす事を知るに至っていた。そうして六本腕の人形を討伐した後。改めて調査を開始するソラ達であったが、その眼の前には小さな足場と数百メートルもの突風が吹き荒れる穴が広がっていた。そこにソラは空也と共に調査に乗り出す。


「っと、とと、っと!」


 やはり誰かが乗り出すと突風が吹き荒れる仕組みか。ソラは飛空術を使って飛翔を試み、しかし即座に吹き荒れる風により姿勢を崩しそうになっていた。そしてそうであるのなら、と彼は口を開いた。


「<<風よ>>!」

『どうにか行けそう……だな』

「おう……でもこれ、マジで俺じゃなきゃまずかっただろ」


 全員で一斉に飛び出さなかったのは本当に正解だった。ソラは<<偉大なる太陽(ソル・グランデ)>>の言葉に頷きつつも、少しだけ先ほどの自分の判断は正しかったと安堵する。無論そのような状況なので彼も全速力での飛翔はまず無理で、戦闘もかなり厳しかった。

 というわけで彼も少しだけ待機して、風の勢いが緩くなった瞬間を狙って移動する。そうして移動と同時に、空也へと声を掛ける。


「空也! 時々勢いよく風が吹き出すタイミングがあるみたいだ! あんま勢いに任せて飛ぶなよ!」

「みたいですね! 注意します!」


 浮かぶ足場を風を纏いながら跳躍しながらも、空也もまた風の勢いに差がある事は気付いていたらしい。風の勢いを見極めながら進んでいた。というわけでレバーまで大凡半分ほどを半時間ほど掛けて通過したところで、ソラは一度停止。空也の乗る足場まで移動する。


「空也、そっち問題ないか?」

「はい……そちらは? ずっと浮いていますが」

「問題ないよ。とりあえずは……だけど」


 このまま何も起きなければ良いんだけど。ソラは後半分ほどまでたどり着いたところで、起きるならそろそろ起きても良い頃だと考えていた。かなり警戒心強めに周囲を確認していた。


「由利。どっか問題あったりしてそう?」

『……ないっぽいかな』

「ってことは多分……なんだろうなぁ……」


 こんな状況だ。おそらく下から上がってくるパターンだろう。ソラはある意味のお約束として、そう考えていた。


「はぁ……由利。下からなにか来たらすぐに言ってくれ」

『了解』

「はぁ……良し。とりあえず行くか」

「はい」


 ひとまずなにもない事はなにもないのだし、行ける所まで行ってみて考えてみるか。ソラは警戒しつつも、とりあえず先へと進んでみる事にする。というわけで進み続ける事更に半時ほど。二人が足場に乗り出して大体一時間といった所だ。ついに二人は分かれ道と言える場所までたどり着く。


「空也。あっち頼めるか?」

「わかりました」


 とりあえず足場とレバーは2つずつだ。なので一緒に進む事は出来ない。というわけで今度は別れてレバーまで向かうが、何事もなくレバーのある足場までたどり着いた。


「……結局なんにも起きなかったけど、と……」

『まぁ、そんな簡単な話にはなるまいな』

「だよなぁ……」


 ここまで一応荒れた風で飛び難くはあったものの、飛びにくかっただけでなにかが起きたわけではない。だが試練だ。何も起きない事があり得るかと言われれば、ないだろうと言うしかなかった。というわけでソラは今度はレバーに注意する。


「俺の腰ほどの長さのレバー……多分これを引いたら、だろうな」

『注意しろよ』

「おう……ふっ!」


 レバーの足場にはどちらに動くかわかるような亀裂があり、ソラはそれに従ってレバーを引いてみる。そして案の定。その瞬間に異変は起きた。


「え? なんだ?」

『ソラ、下!』

「へ?」


 なにかが大きく、そして素早く動いた際に風が動くような音が鳴り響いた事に気付いて周囲を警戒したソラに、由利からの念話と彼女が矢を射る様子が目の端に映る。そうして彼女の矢が飛ぶ方向を見て、ソラは目を見開く事になる。


「……あぁ……? じょ、冗談だろ!? く、空也! 手を離せ! すぐ逃げるぞ!」

「わ、わかりました!」


 下から出てきたのは巨大な東洋の龍にも蛇にも似た細長い個体だ。体はこの部屋で戦った金ピカと同じおもちゃのような印象の物体で覆われており、ところどころに妙な魔石が取り付けられていた。と、そんな巨大な蛇の個体が足場を吹き飛ばしながら上昇。上を旋回しながら滞空し、魔石が光り輝く。


「絶対ヤバい! 絶対にヤバい!」


 こんなの見なくてもわかる。ソラは蛇のような個体の体の各所で光り輝く魔石が何を意味するかを理解するまでもなく、直感的にヤバいと察していた。というわけで先ほどより更に荒れ狂う乱気流の中を必死で飛びつつ、彼は空也の撤退を支援するべく彼の真上へと移動する。


「空也! とりあえず何も気にせず戻れ! 上は俺が防ぐ!」

「すみません! お願いします!」

「おう! っ」


 ついに攻撃が始まった。ソラは真上の蛇の個体の各所に嵌まった魔石からまるで爆撃の様に無数の光球が降り注ぐ光景を目の端で捉える。光球は一つひとつが強大な力を有しており、ソラならばなんとか防げそうという程度であった。

 といっても降り注ぐそんな光球の雨は入口側に待機していた由利を筆頭にした面々による狙撃でソラ達に直撃しそうなものは破壊されており、とりあえずなんとか撤退は出来そうという所であった。

 というわけでなんとか撤退は出来そうかと内心で安堵するソラであったが、天井がひときわ輝いたのを知覚して思わず上を振り向いた。


「……マジ?」

「っ……!」


 蛇の口が開いてその口腔に宿る輝きに気付いて盛大に顔を顰めるソラに、空也もまた一瞬顔を顰めるも彼は意を決したかの様に刀を握り腰だめに地面をしっかりと踏みしめる。それにソラが気付いて、思わず声を荒げて足場に着地して彼を足場へと押し付ける。


『「やめろ!」』


 ソラの声と共に<<三日月宗近>>もまた声を荒げる。流石にあれを切れるほどの実力は空也にはない。それどころか<<偉大なる太陽(ソル・グランデ)>>を使わなければソラでも無理だろう。というわけで取るべき選択肢は回避一択だ。


『馬鹿者! 止まるな!』

「っ」


 しまった。ソラは<<偉大なる太陽(ソル・グランデ)>>の言葉にやるべきは彼を強引にその場から動かす事だったと失策を理解する。だが流石に気付いた所で遅すぎる。


「空也! 攻撃をあわせ……え?」

「何が……」


 2人分の攻撃を叩き込めばなんとか防げないか。そう判断したソラであったが、その瞬間だ。一条の光条が迸って、蛇の個体の顔面を吹き飛ばしたのだ。そうして更に次の瞬間。白銀の閃光が飛翔して、蛇の頭を足場の下まで叩き落とす。


「ふぅ……来て早々は流石に焦った……それはともかくだ。空也。流石にやれるかどうかは一瞬で判断しろ。今のはどう考えても無理だっただろう」

「あ、申し訳ありません……」

「カイト?」


 現れたのはカイトで、白銀の閃光はエドナだ。何故逆ルートを進んでいたはずの彼が、この場に居なかったはずのエドナまで連れてここに。そんな疑問を得ながらも、ひとまずソラは助かった事に安堵する。


「まぁ……とりあえず助かった。ありがとう」

「おう……っと、別に倒したわけじゃないから、さっさと退け。ヤツはすぐに戻ってくるぞ」

「っと! 空也! 急いで逃げるぞ!」

「は、はい!」


 カイトの言葉にソラはひとまず疑問を全部飲み込んで撤退する事を決める。そうして、カイトの手助けを受ける形で二人は急いで入口まで戻る事に成功するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ