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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3769話 様々な力編 ――戦闘開始――

 過去世の力が使えないため、その代替としてソラが契約者となるべく訪れる事になっていた風の聖域。挑む前から何処かの世界で起きた異変による通行止めというトラブルに見舞われながらもなんとかたどり着いた聖域であったが、そこでシルフィードのいたずらにより桜らが合流。

 更にその先で、地球で活動していたカイトの弟妹である浬や海瑠。桜の実弟の煌士やソラの実弟の空也などと合流。シルフィードの思惑を読み取ったカイトの指示で二つのパーティを一度解体し、ソラは実弟の空也らと共に攻略に臨んでいた。

 そんな一同がたどり着いたのは、直径数百メートルにも及ぶだろう巨大な木をくり抜いて作られた様に見えるエリアで、中央に何かを捧げる事が出来そうな祭壇が一つある空間であった。というわけでおそらくエントランスだろうエリアの調査を終えた後。一同は唯一進む事が可能な扉の前に集合していた。


「「「……」」」


 一応先に声が漏れる事はないと思うが、それが油断である可能性は否定しきれない。故にソラを先頭にして、一同無言で視線だけで合図を交わし合う。なお、隊列としては先頭をソラ及び空也。その後トリン。その更に後ろに由利ら遠距離攻撃を行う面子を入れて、最後尾にリィルだ。

 リィルが最後尾である理由は彼女が一番実戦経験が豊富で、突入と同時に後ろに敵が現れた場合、由利は兎も角地球側の鳴海と侑子という少女ら――浬の同級生で一緒に事件に巻き込まれた――が対応しきれないためだ。一応どちらも身体能力が高いので対応しきれないわけではないが、実戦経験には乏しい。万が一を考えた対応だった。とまぁ、それはさておき。無言で隊列を整え後ろを向いたソラが、最後に空也と視線を交わす。


「……」

「……」


 こくん、こくん。共に問題ない事を確認すると、空也がドアノブに手を掛ける。ソラが先頭で突入する理由は非常に明確で、盾を持つのが彼しかいないからだ。突入と同時に攻撃が始まる可能性を考えていたのである。というわけで空也が指折り数え、カウントダウンをジェスチャーで示す。そしてゼロになったと同時に、扉が押し開かれて中の様子がはっきりと見える様になる。


「っ!」


 がんっ、と大きな音を立てて扉が開かれると同時に、ソラは意を決して中へと突入する。中に見えた幾つもの変な物体が敵なのか、この部屋を攻略するために必要な何かの装置の一種なのか。先手必勝で行くべきか、それとも何かの道具として様子見するべきか。それさえわかっていない。


(どっちだ!?)


 幸いな事に入って即座にこちらに気付いて攻撃が加えられるという事はないらしい。ソラは先に見えた金メッキの虫型の個体や六本腕の個体などが即座に反応していない様子で、まだ対応出来る猶予はあると理解する。だが、やはりその猶予も決して油断出来るものではなかったことを彼は思い知る事になる。


「っ! 由利!」

「了解!」


 何かが目の端で光った。それをソラが察したと同時に、彼はそれが何かを理解するよりも前に由利に声掛けを送る。そしてその次の瞬間、彼に向けてこぶし大の光球が放たれて、それに応ずるかの様に由利が矢を放つ。


「っぅ」


 やっぱりさっきのかまいたちなんて目でもないよな。ソラは自分の盾に激突した光球の衝撃を受け流しながら顔を顰める。そうして顔を顰めながらも、後ろから放たれた矢の行方をしっかり確認。何が自分を攻撃したかを理解する。


(砲台か!)


 由利の矢の先にあったのは、まるで作り物のような金色の砲台だ。まるで車止めのような形状のそれは土台の上が円筒状で回転する様になっており、その上にまるでガラスのような何かが埋まっており、それが光り輝いていた。

 そして彼が輝きに気付いたその瞬間。細長い光線が放たれて、由利の放った矢を迎撃する。由利の矢の発射から反応まで、わずかコンマ数秒。先程のソラの突入から考えればとてもではないが考えられない反応速度であった。


「っ! 駄目! 迎撃された!」

「そんな軽くは攻略させてくれないってこったな! っ」


 次撃が来る。ソラは砲台の上にあるガラスのような物体に再度光が収束していくのを目視する。狙いはもちろん、唯一部屋に入っている自分だろう。とはいえ、彼とてそう何度も受けられるわけではないし、何より砲台の攻撃と時同じくして部屋の中も大きく動きが出ていた。それにトリンが声を上げた。


「っ! 皆、内部へ突入! ソラ! 前へ! 入口を空けて!」

「りょーかい!」


 おそらくターゲットは唯一部屋に入っている自分だろう。ソラは先程以上の火力が収束していることを肌身に感じ、後ろの面々にダメージが及ばない様に、かつ入口での戦闘は絶対に避けるべきとの判断で中へと更に踏み込む。

 そんな彼の目には六本腕の人形や虫型の個体がこちらへ向けて移動している様子が見て取れており、交戦は不可避であると誰でも理解出来た。そして彼が更に内部へと突入した瞬間、先程より二回りは巨大な光球が、ソラへ向けて放たれた。


「っ」


 これは自分以外が受ける事は出来ないだろう。ソラはしっかりと地面を踏みしめて衝撃に備える。


「くぅ!」


 こんなの俺以外が直撃したら跡形も残らないぞ。ソラはいよいよ本格的な試練と呼べるだけの攻撃が放たれた事に盛大に顔を顰めながらも、なんとかそれを防ぎ切る。


「全員、こいつは受けるな! 俺以外無理だ!」


 <<操作盾コントロール・シールド>>を幾つも宙に浮かべながら、ソラは全員に向けて注意喚起を行う。流石に多対多の戦いになると戦場が広がる事は避けられない。こうするしかなかった。


「トリン! 全体の監督は頼む! 俺は全体をフォローする!」

「了解!」


 流石にソラも全体を見ながら全体をフォローするような戦い方は出来ない。そんなものが出来るのはカイトぐらいにまでならないと無理だ。故に彼が考えたのは自分は戦闘に主軸を起きつつ、トリンに全体の確認をして貰ってその指示に従って全体のフォローをするという分業であった。そうしてトリンの前に人数分のモニターに似た板が浮かび、更に中央にソラを映したモニターが表示される。


(まずはどこに行くべきだ)


 まだ交戦は始まっていないし、砲台も一気に数が増えた上に由利による矢の速射によりその迎撃に手一杯になっているようだ。逆説的に言えば由利も動きを封じられている事になるが、彼女一人が掛り切りになる事で他が動ける。その間に他を討伐してしまえば勝機は十分にあると言えた。そうして数瞬だけ状況を精査して、彼は最初に倒すべき相手を見定める。


「空也!」

「はい!」


 多分自分と同じ事を考えていたよな。ソラは一直線に同じ方向へと駆け出していた空也を見て声を掛ける。向かう先は、六本腕の人形だ。と、その道中。リィルが声を発した。


「ソラ! 上はこちらで! 鳴海さん、侑子さんを借ります!」

「了解っす!」


 この状況で飛べるのは自分達だけだし、誰かが上空に居る虫型の個体や鳥型の個体――覗き見た時は見えなかった――を抑えねば上から攻撃を一方的にされるのだ。そしていくらリィルでも試練において一人で複数体の相手を相手取って戦うほど自信過剰ではない。支援を用意して戦うようにしていた。そうして、各所で本格的な交戦がスタートする事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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