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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3762話 様々な力編 ――攻略開始――

 過去世の力が使えないため、その代替としてソラが契約者となるべく訪れる事になっていた風の聖域。挑む前から何処かの世界で起きた異変による通行止めというトラブルに見舞われながらもなんとかたどり着いた聖域であったが、そこでシルフィードのいたずらにより桜らが合流。

 更にその先で、地球で活動していたカイトの弟妹である浬や海瑠。更に桜の実弟の煌士やソラの実弟の空也などと合流。ソラや煌士らと共に情報交換と班分けを行ったわけだがその後カイトはというと、試練に挑むための簡易拠点の設営を行っていた。というわけで内部の時間で一夜明けて、一同は改めて出発と相成っていたのだが、そこで瞬がぼんやりと中央の扉を見ながらカイトへと問いかける。


「……なぁ、ぶっちゃけるとだけどさ。このど真ん中の扉って壊せないよな」

「まぁ、無理だろうな。強度は星造(せいぞう)魔道具やら世造(せいぞう)魔道具に匹敵するだろう」

「なにそれ」


 何か聞き慣れない単語が平然と出てきた。ソラは自身の問いかけに応ずる形で出された単語が聞き慣れず、小首を傾げる。とはいえ、どこかで聞いた事があるかもとも思ったようだ。


星造(せいぞう)魔道具は星が作った魔道具。世造(せいぞう)魔道具は世界が作った魔道具だ。共に天然物の魔道具とも言われる」

「天然物? 魔道具ってのはあくまで誰かが作るものだろ?」

「星と世界が作ってるだろ」

「いや、星も世界……いや、世界はあり得るかもだけど。星が?」

「んー……まぁ、自浄作用の一環や自己保全の一環と言っても良いかもしれんな」


 ソラの疑問はカイトの様にそういった世界のシステム側に触れてきたり、アイナディスらの様に世界の深い部分に関わるような超高位の冒険者でなければ冒険者では知らない事だ。なので彼の疑問こそがもっともであり、カイトもどう話したものかと少しだけ悩んだ様子がありつつも教えてくれた。


「自浄作用の一環は……そうだな。あ、そうだ。お前確かヴィヴィから<<時戻しの杖>>を借りた事あったな?」

「ああ、俺ってかレックスさんだけど」

「それはどっちでも良い。とりあえずああいう世界の危機に際して貸し出される、絶大な力を有する……そうだな。それこそ世界の法則さえ歪めかねない力を持つ魔道具。その多くが星造(せいぞう)魔道具だ」

「あ、なるほど……確かにあのサイズであの力を有するとなると、普通に考えりゃ無理だよな……」


 あれは世界側から貸与された、という触れ込みなので魔法でさえ対策できると言われて納得していたが、ではあれを誰が作ったかと問われればソラも自然世界や星だと納得出来た。


「そうだな。ティナでも無理だろう……有名な所で言えば日本の天岩戸もその類になる」

「へー……え? あれそうなの?」

「アマテラス以外の神様でさえ開けない、って時点で魔道具の類だ。それが天然自然のものだった、というだけだ。アマテラスは権限を有していたから開けるというだけだな」

「はー……」


 なるほどああいう神話に記される類であったのなら、確かに早々お目にかかれないのも納得だ。ソラはカイトの言葉に感心しつつも納得する。そしてそれに納得出来れば、自ずとこの破壊が無理だというのも納得出来た。


「とどのつまりこれは天岩戸レベルの強度と」

「神様が無理、と匙を投げるレベル、というわけだな」

「そりゃ無理だ。傷一つ付かないんじゃね?」

「だろうな」


 こんこん、と中央の大扉を叩くソラに、カイトは笑う。これはあくまで木で出来ている様に見えるだけで、実際にこれが木なのかどうかと言われれば誰にもわからない。


「お前はやれるのか?」

「是非で問われりゃ()になるが……やらんよ、そんな興ざめな。ま、仕掛けぐらいは破壊するかもだけどな」

「あはは」


 そもそもあくまで試練だ。そしてカイトは色々と奇策を弄せる存在だが、こういう試練でなんの突拍子もなくそんな無粋な事はしないようだ。笑う彼にソラもまた笑っていた。と、そんなソラにカイトがはたと思い出した様に告げた。


「ああ、そうだ。そこは覚えておけ。真面目に攻略も良いが、ぶっちゃけ堂々巡りに陥る事もある。往年のルクスもそこら真面目に考えすぎて攻略失敗しかかってた事が何度かあってなぁ」

「あのルクスさんで?」

「ああ……ぶっちゃけ壊すが正解になる事もある。そこら柔軟な発想はしっかり持っておけ」

「おう」


 どうやらあくまで試練は試練。軽く考えるわけにもいかないというわけか。ソラはカイトの言葉に気を引き締める。というわけでそんなこんなを話していると、気付けば全員が集合していたようだ。


「良し……全員揃ったな。って、なんでオレが音頭取ってるかはわからんが」

「やっぱりお前が音頭取るのが一番似合うからじゃね?」

「あはは……」


 そもそもここでのカイトの立ち位置は単なる助っ人だ。そして本来の流れであればソラの試練にさえ攻略の手助けをするつもりはなかったのだが、シルフィードがせっかく妹達を連れてきたのだからと助言を与える程度なら良いから同行しろと強弁したので同行となったのだ。

 なお、そういうわけなのでカイトは浬達と。ソラは自身の弟である空也と一緒で別班になっていた。そしてこの両方の全員に面識があるのはカイトだけだ。彼が音頭を取るのが正解だっただろう。というわけで苦笑気味に音頭を取ったカイトだが、特に何か話す事もなかったようだ。


「あー……まぁ、とりあえず。月並みな言葉で悪いが、全員怪我のない様に無茶はしないようにな。そして怪我した奴はリーシャの所で怪我を治して貰う様に。リーシャの医者としての腕は保証する……なんかこれだと学校の遠足だな」

「「「あはは」」」


 演説は慣れているカイトだが、今回は演説とは違う。何より相手は弟妹達まで含まれているのだ。どうしてもそういうお兄さん的な様子が色濃く出てしまっている様子だった。


「あはは……ま、とりあえず。気を抜いて良いものでもないが、肩の力を入れすぎてどうにかなる場所でもない。ソラ、そっちの面倒と取りまとめはしっかりな」

「おう……って、オカンかよ」

「うるせぇよ……じゃ、全員行くぞ」


 カイトの言葉に合わせたかの様に、二つの扉が同時に誰が開くでもなく開かれる。そうして、二つに分かれた一同がそれぞれの扉へと進んでいくのだった。

 お読み頂きありがとうございました。カイトルートは別で書いているので、ソラルートです。

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