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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3559話 はるかな過去編 ――合流――

 カイト達主導で行われている北の砦攻略作戦。その重要な要素を占める古代の飛空艇の復元に携わる事になったソラ達はその流れで飛空艇の陽動として使われる事になった輸送車の量産計画にも携わる事になり、北の砦攻略において重要な役割を担う事になっていた。

 というわけで作戦の始動から数ヶ月の月日を経て、シンフォニア王国にて数百台にもなる簡易量産型の輸送車の準備や古代の飛空艇の復元を終えた<<七竜の同盟>>は一路<<雷鳴の谷>>と呼ばれる特殊な地形に砦を築いた魔族軍との交戦に向けて出立。<<雷鳴の谷>>からの砲撃を避けるべく迂回してレジディア王国側に結集した戦力と合流したその戦力は、同盟の総戦力の3割以上という大戦力となっていた。

 そうして合流を果たした同盟軍は戦力を整えると、一度集まっての会議をする事になっていた。というわけで今回の作戦の全容を話し合うべく有力者達が集まる場に向かうわけだが、ソラは会合前に一応は顔見知りを探す事にする。


「おやっさんは……ん?」

「おう、お前ら。元気だったみてぇだな」

「フェリクスさん。お久しぶりです。お元気でしたか?」

「元気元気。前の戦いで北がやられて暫くは街の再建計画やらに忙しくなっちまってな。おかげで元気が有り余っちまってる」


 ソラの問いかけにフェリクスが上機嫌に笑う。というわけで挨拶を交わしお互いの無事を確かめたところで、ソラが念の為に問いかけた。


「フェリクス将軍もこの戦いに?」

「今回の戦いにゃ距離を取ってでかい一撃を叩き込める札が必要だってんでな。丁度街の再建計画も一段落したところだから、ちょっと運動がてらにな。何より、北が突破してくれりゃ南は防戦に集中出来る。軍にゃ南の突破を急がせろなんていう馬鹿な奴らも居るがな。流石に俺達だけじゃどうにもならん」

「南……あ、そっか。北っていうんだから南にも砦があるんっすね」


 南の突破という言葉を少し考えて、ソラは南にも砦があるのだと理解する。これにフェリクスは何を今更と笑った。


「そりゃそうだろう。東西南北四つの砦が中央を守ってる。この内西と東は大将軍が常駐しないし、戦力的にも北と南より少ないからいっそ無視も出来る。俺みたいに少数戦力なら色々と裏でやってこうやって北に渡る事も出来るんだが……流石に南北はそうも言ってられなくてな」

「なるほど……北は<<七竜の同盟>>とエザフォス帝国。南は……すんません。将軍のところ以外にも?」

「ウチと同程度の規模の国がチラホラな。後は同盟を結んでたり交戦状態だったり……そこらは北も南もさほど変わらんがな。ま、お前さんの想像通り、東西の砦は南北での連携の阻害。南北の砦は南北の連携そのものの阻害だ。どっちも魔術的な要所を押さえられちまってるから、地域として連合軍を組むならこの南北の砦の攻略は必須だ」


 どこかで戦力が偏った時点で、南北の砦から軍が出てきてそいつらの地元は壊滅って塩梅だな。フェリクスは何度か連携を取ろうとした国々が滅ぼされた流れを思い出して、少しだけ苦い顔を浮かべる。

 一応まだ統一王朝が滅んで久しい頃にはそういった連携を取る動きは残っていたようだ。だがそれも魔族達の妨害に何度も遭う中で誰もが諦めにも似た空気が出来上がり、今の独立独歩の風潮になっていったのである。無論、同盟や連合の構築を防ごうとする魔族側の思惑だとはほとんどの者が理解しながらも、そうせざるを得なかった。というわけでため息を吐いたフェリクスであったが、気を取り直した。


「だが逆に言えば南北さえ攻略しちまえば、この戦争の終結も見えてくる」

「同盟や連合が組める、ってわけですね」

「そういうことだ。だから魔族側も必死で妨害してくるだろうよ」

「まぁ……そうっすよねぇ……」

「ま、だから俺達も来たんだ。多少の砲撃戦なら心得があるから、存分に突っ込めや」

「うっす!」


 フェリクスの激励にソラが気合を入れて応ずる。


「っと、引き止めて悪かったな。アルダートか? それとも瞬の小僧か?」

「あ、おやっさんっす。一応作戦前に会っておこうかと……」

「あいつならさっきカイトの所に行くって言ってたぞ。おそらくあの中央のデカい……なんだ? ありゃ」

「ああ、指揮車っすね。あれで全体の指揮を行うんっす。で、指揮用の魔道具やら一式揃えてる奴です」

「はー……流石天才ちゃんってわけか……まぁ、そっちに向かったみたいだ」

「ありがとうございます」


 ひとまず向かうべき場所はわかったな。ソラはフェリクスに礼を言うと、その場を後にする。瞬達と離れて行動していたのは魔導鎧の調整に手間取ってしまい、後で追いかける形だったからだ。

 そこで瞬らがおやっさんの所へ行く、という事だったので彼を探していたのであった。というわけでフェリクスから情報を得た彼は一路指揮車へと目指して歩いていく。すると案の定、そこにはすでにおやっさんや瞬達が一緒だった。


「おう、ソラ。久しぶりだな」

「おやっさんもご無沙汰してます」

「おう。お前も作戦会議だったな」

「うっす」


 瞬からソラは遅れてくるとは聞いていたし、会合の開始までは遅れていない。そして事情もしょうがないと認められるものだったのでおやっさんも特に目くじらを立てたりはしなかったようだ。


「さっきフェリクスともあったんだが、お前も後で挨拶ぐらいはしておけ」

「あ、それならこっち来る前にさっきそこで会いました」

「なんだ。そうだったのか」

「うっす……で、なんで中に入らず外で待ってるんですか?」

「ああ、中に今……っと、出てきたか」


 会合は指揮車の中で行われる事になっていた。諸々地図などの一式が指揮車の中に揃っているからだ。というわけで中で入れば良いのに、と思ったソラだったが事情があったようだ。というわけで出てきた兵士の特徴を見て、ソラはなるほどと納得する。


「あれは……北の?」

「ああ。近衛兵だ……今回、北の連中も相当本気で攻略に参加するらしいな。臨時で連合が出来そうだ」

「こっちの情報をどっかから、って感じっすかね」

「だろうな。おそらく情報部の質としちゃ北の方が上だろう」


 ソラの問いかけにおやっさんは一つ頷いた。そうして一同は指揮車の中に入るわけだが、そこではすでに今回の作戦の総指揮官であるレックスとカイトが座っていた。が、その評定は少しだけ力に満ちており、良い連絡があったのだと察せられた。


「おう、もう入って良いな?」

「おやっさん。ああ……ま、さっき見てただろうが、それについてはこっからの会合で話すよ」


 やはり案の定という所か。カイトの表情で全員がエザフォス帝国も本気で今回の作戦に参加するのだと理解する。そうして彼らと同様にエザフォス帝国の使者が出ていくのを待っていた各国や各地の将軍達が指揮車に入ってきて、会合が開始されることになるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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