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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3554話 はるかな過去編 ――帰還――

 カイト達主導で行われている北の砦攻略作戦。その重要な要素を占める古代の飛空艇の復元に携わる事になったソラ達。そんな彼らは冒険者としての活動の傍ら時にテストパイロットとして、時に極秘裏に飛空艇の部品を運ぶ輸送隊の一員として活躍しながら、日々を過ごしていた。

 そんな中でソラ達はマクダウェル領まで解毒薬を手に入れるべく赴いていたわけであるが、その帰り道。貴族派の妨害で一番厄介な正規兵による妨害を受ける事を懸念して冒険者達ぐらいしか使わない裏道を使って王都へと帰る事にしたソラはその道中で明らかに敵意ある何者かによる攻撃を受けるに至っていた。

 というわけでそんな妨害をなんとか退けるものの毒に倒れる事になったソラであったが、幸いな事にカイトが手配してくれていた解毒薬のお陰で無事に回復。襲撃者の情報を手に入れていた事で現れたカイトにその情報を引き渡すと、カイトは急ぎ自身を支援する貴族である公爵へとその情報を渡しに走る事になる。その一方で旅を再開したソラ達であったが、なんとか特に妨害もなく王都へと戻って来ていた。


「ふぅ……すんません、乗せてもらって」

「構わんよ。我々の作戦に協力して貰っているのだからな」


 ソラの感謝に対して、グレイスが笑いながら首を振る。徒歩で最初から最後まで踏破する事も不可能ではなかったが、流石にそれは体力的にも時間的にも負担が大きい。というわけで別件で動いていたグレイスに少しだけ待つ様にカイトから指示が出ており、ソラ達には彼女らと合流する様に指示があったのであった。


「そういえば開発は順調そうなのか? ノワールはかなり凹んでいたが……あいつの凹みは少し当てにならない所があるからな」

「あー……」


 常人からすればそこで凹むのか、という所で凹むのは天才だからなのかもしれない。ソラはグレイスの問いかけに納得する。彼女は別件の関係でここ暫く王都を離れていたそうで、輸送車や飛空艇の開発状況をあまり理解していなかったのだ。


「大丈夫は大丈夫と思います。色々と難しい所が多いらしいんですけど……結局それが出来るのは彼女ぐらいだ、ってカイトも言ってましたし」

「そうだな……ノワールは少し変な所で完璧主義に近い所があるからな」


 今回はそれに加えて納期に大幅に遅れを生じさせてしまっているという所で少し凹んでいたという所か。グレイスは今回のグレイスの落ち込み方に関してそう思う。というわけで色々と話しながら部隊と共にソラ達は王都へ帰還。約一週間ぶりに王都のホームへと帰り着く事になるのだった。




 さて一同が王都に帰還して翌日。ソラは瞬からの伝言を受けて、王城の地下に居るノワールを尋ねる事になっていた。そんな彼が見たのは、輸送車と並んだ分解されたいくつかの部品だった。


「ごめんなさい、呼び立てておいてこんな散らかってて……」

「いえ……でもなんすか、これ」

「輸送車を分解した部品です。前にお伝えしたかと思うのですが、輸送車の構造を簡略化して量産して、操縦を自動化。砦へ突撃させる事になりましたので、その量産に必要な部品を作っていたんです。これは簡略化した部品ですね」

「なるほど……」


 それでこんな大量に並んでいたのか。というわけで興味深い様子で並んだ輸送車の簡易量産用の部品を見ていたソラだが、その最奥には組み上げられた簡易量産型とでも言うべき輸送車があった。


「あ、完成形もあるんですね。少し小さい?」

「ええ。量産する上で色々と必要のない機能を省いて、その上で積載量も減らしたので……大半はこういう小型の輸送車になりました」

「そういえばそもそもは鉱物を運ぶための輸送車なんでしたっけ」

「ええ。ただ今回は人を運ぶだけですし、大量に入れても結局……ですので。何より突撃するので人が乗るわけでもありませんしね」


 ソラの問いかけに応じながら、今回は輸送車の積載量は求められていないがための構造と語る。そしてそういうわけでもあるので、二回りほどの小型化となったとのことであった。というわけでそんな簡易量産型の輸送車を見ながら進むこと暫く。最奥には飛空艇があった。が、そんな飛空艇には見慣れない、飛翔機にも似た円筒状の小型の魔道具が据え付けられていた。


「……なんすか、これ」

「使い捨ての障壁を発生させる魔道具です。一時的に強力な障壁を展開して、強引に突破を可能としているものです。これの確認をお願いしたくて、来てもらったんです」

「へー……左右で二つありますけど、共鳴させてパワーアップとかしてるんですか?」

「出来なくはないですけど……あの砦の魔導砲相手に多少パワーアップした所で意味はないでしょうね」


 ソラの問いかけを理論的には可能と告げながらも、同時に無意味であるとノワールは語る。何よりそんなもので防げているのならこんな攻略に頭を悩ませたり、古代の魔道具を頼ったりする必要はないのだ。当然であった。


「ただ直撃は避けてください。直撃されれば障壁なんて紙で作った壁も同然。間違いなく撃墜します」

「じゃあ、こいつは何を?」

「かすった場合の対処、という所です。全てを次元潜航で避けるとなると、どだい到着まで耐えきれないでしょうから……ある程度は障壁で対処出来る様にしたい所です」

「なるほど……」


 一応飛空艇は復元出来ていると言われているが、その復元がどこまで完璧かはノワール自身にもわかっていない。次元潜航も出来る事は確定しているし魔導砲の一撃を避けられる事は間違いないが、どれだけの時間耐久出来るかは未知数だ。壊れる限界まで試験するなぞ以ての外である以上、使わないに越したことはなかった。


「というわけで今日はその試験と使い分けをしつつ、という訓練をして貰いたいんです。後はこの使い捨ての障壁発生装置は輸送車にも乗せますので、そのタイミングなどのデータを確保もしたいので、暫くはそちらのお手伝いをお願い出来ますか?」

「わかりました」


 この障壁発生装置はノワールが拵えたものらしいが、構造としては単純で使い捨てるという前提で高出力にしているらしい。なので軍の工兵達でも量産出来るそうで、輸送車にも搭載してなるべく近づける様にしているそうであった。本来馬車などであれば重量などの関係で搭載は夢のまた夢だが、ここらが出来るのは輸送車の強みと言えただろう。というわけで、ソラはここから暫くの間瞬と交代交代で障壁発生装置の改修や自動化に協力する事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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