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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3497話 はるかな過去編 ――共闘――

 『強欲の罪(グリード)』。どこかの世界で一大帝国を気付くという魔物と類するにはあまりに文明的な行動を見せる魔物。後にそれとなる『強欲の罪(グリード)』の雛との戦いの最中にソラ達の縁を使い未来の世界から呼び出されたカイトであったが、まるで彼に呼応する様に『強欲の罪(グリード)』もまた未来の世界からの影響を受けることになっていた。

 というわけでカイトと同様にこの時代に呼び込まれたらしい『女王』は楽しげに笑いながら、この世界に舞い降りる。


「ふぅむ……いやはや。これは中々面白い」

「面白くねぇよ」


 双剣を構え、『女王』を前にしてカイトは盛大にしかめっ面だ。無理もない。なにせ彼からしてみれば最悪の七体の魔物の一体だ。それが最盛期そのものの姿で出てくるのだから、嫌にならない方がおかしいだろう。一方の『女王』はというと楽しげだ。


「貴様に屈辱を与えるにはどうするべきか、と長く考えておったわけであるが。流石に世界の旅人では元の世界に手出しも出来んと思うわけであったが……」


 ぺろり。まるで妖艶に、それでいて上品に。『女王』はかつて自身を討伐せしめた龍神の故郷をまるで狩人が獲物を見るような目で見る。


「おっと……舌舐めずりなぞ品のない。が……くくく。面白い。その横の女は……なんだ。単なる世界の仲介者の一人か……とはいえ、やはり(えにし)ある存在は多いのか? 以前妾を討滅せしめた時より強い感情を感じるぞ?」

「てめぇ……」


 わかった上で言ってやがるな、この女。カイトは『女王』の嗜虐的な視線に対して苛立ちを露わにする。これに『女王』は更に機嫌を良くする。


「おぉ、良いぞ良いぞ、その視線。そうでなくてはな……まぁ、許せ。これでも妾とて貴様に殺された恨みはある。この程度嗜虐してもよかろう。何より此度は妾の敗北が定められているが故な。その前借りよ。本当なら出てきてやらんでも良かったわけであるが……」

「ならなぜ出てくるなんていう酔狂をしたんだ?」

「それは簡単よ。貴様で遊ぶためよ」


 まじか、こいつ。カイトは自分がここで敗死することも織り込んだ上で顕現したという『女王』の狂気じみた行動に盛大に顔を顰める。


「カイト……所詮魔物の戯言だよ。狂気の沙汰なんて思っていないよ」

「……そりゃそうか」


 そもそも今の『女王』にとって、本体とは上空で浮かぶ巨大な触手の海だ。と、そんな彼の横に極光がゆっくりと舞い降りる。


「その女が首魁か」

「ほう……これは面白い。この世界には『刈り取る者』までおるのか」

「ほう……」


 どうやらこの女は自分が何者かを理解出来る知性があるらしい。大魔王は『女王』の言葉に僅かな意外感を見せる。そうして大魔王はそんな『女王』を興味深い様子で観察する。


「貴様、何だ? 我の目には魔物として映っているが……」

「司令塔という所よ。妾を倒せばあの上の塊はコントロールを失い、単なる魔物に成り果てよう。ま、その先はその龍神の知る通り、またどこかの世界へたどり着き一大勢力となるがな」

「ふむ……」


 言葉の端々に感じる知性に、大魔王はこの存在がおそらく魔物ではないのだと理解する。そしてだからこそ、大魔王は楽しげだった。


「面白いぞ、貴様」

「妾としても面白い……破壊の精霊が相手とは。戦ってくれるのであろう? そこの龍神と共に」

「あぁ? お前ら二人でやっててくれよ。オレは上の片付けるからよ」

「これこれ。せっかく妾が直々に遊んでやろうというておるのに、勝手が許されると思うておるのか?」


 もう好きにしてくれ。楽しげに笑い合う二人の王達にカイトは盛大に呆れていた。だが、彼の勝手を許すような『女王』でもなかった。彼女はカイトが虚空を蹴ろうとした瞬間、愛用の杖を虚空から取り出して虚空を軽く小突く。


「っ……」

「これは……ちょっとすごいね。カイト、こんなのと戦ってたの?」

「まだまだ。本来であればこの星系全てを覆い尽くすぞ?」


 星一つ分を完全に両断しても余裕で余りある巨大な空間と次元の断層に思わず称賛を口にするヴィヴィアンに、『女王』は少しだけ困った様に笑う。これでさえ、最盛期には程遠かった。


「さ。これでお主は妾と遊ぶしかのうなった……誰よりお主こそが理解しておるな? 妾は相当に、しつこいぞ?」


 次元も空間も本体から遠ざけて、『女王』は楽しげに笑う。元々彼女にとって敗北は決定事項。そもそも顕現する必要さえなかったのだ。それなのにカイトと相見えられるというだけでこの場に顕現している以上、カイトを逃がすつもりなぞ毛頭なかった。

 というわけで大魔王やヴィヴィアンという神々をも上回る猛者と共にありながらも自分しか見ていない『女王』に、カイトも諦めたようだ。


「しつこすぎんだろ……いいぜ。やってやるよ。ただし三対一だ。お前相手にタイマンなんぞもう二度とやりたくねぇ」

「構わん構わん……何より妾にとってここでの戦いは意味がない。単なる余興よ」

「なんの余興だよ……」


 『女王』の言葉にカイトはがっくりと肩を落とす。そんな彼に、双剣の精霊達が問いかける。


『若様……良いのですか? あの大化生の写し身は最悪、この星さえ破壊しかねません。そうなれば……』

『いえ、我らが創生の力を振るうことは構いません。ですがマスターの方は……』

「そうならない様に頑張る」

『『……御意』』


 もし万が一そうなった場合は覚悟を決めてやる。カイトの言葉に双肩の精霊達もまた覚悟を決めて、再びの交戦に備える。そうして彼が腰を落として交戦に備えて、口を開いた。


「ヴィ……間隙を狙ってくれ」

「その方が……良さそうだね。リィもモルも居ないし」


 重要なのは如何に休む隙を与えないか。ヴィヴィアンは今のカイトに合わせられつつ、間隙を狙えるのが自分ぐらいしかいないと理解したようだ。というわけでヴィヴィアンの返答を受け、カイトはついで大魔王へと告げる。


「大魔王様は……好きにやってくれや」

「……まさか貴公と共闘か。今日という一日は本当に面白くて仕方がない」

「今度はお前が世界を破壊しようなんてやめてくれよ」

「もしこの世界を全て征服し、それでやることがなくなったならわからんぞ」

「そこまでやったなら好きにしてくれ」


 楽しくて仕方がない。そんな様子で笑う大魔王はカイトと並んで両手剣を構える。こんな場でカイトと『女王』が本気で戦えば周囲がどうなるかわからない。かといって手加減して勝てる相手でもないだろう。大魔王は自身もその領域に居ればこそ、そう判断していた。


「「「……」」」


 全ての算段を整えて、四人の間に一瞬の沈黙が舞い降りる。そうして次の瞬間。『女王』が虚空を軽く小突いた。


「さて……龍神は兎も角他の二人が足切りせんで良いか。試させて貰うぞ? 妾は邪魔をされるのが嫌い故な」


 現れたのはヴィヴィアンと大魔王の前に無数の光球と、三者を引き剥がす様な空間の拡張だ。『女王』自身はカイトしかまだ見ないらしい。そうして無数の光球が発射されると共に『女王』はカイトに向けて魔術を編む。


「さぁ、楽しい一時を始めるとしよう」


 『女王』の言葉と共に、カイトへと無数の魔術が迸る。そうしてそれを掻い潜りながら、カイトは女王へと進撃を開始するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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