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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3405話 はるかな過去編 ――捕獲作戦――

 世界の情報の抹消。世界の崩壊さえ招きかねない事態の収拾に乗り出すことになっていたカイトはシンフォニア王国を始めとして様々な地を巡り情報を集めて回っていた。そんな中で北の帝国ことエザフォス帝国から帰還するわけであるが、そこで待ち受けていたのは大将軍達の指示書を携えた女魔族イヴリースであった。

 そんな彼女から魔族が今回の一件を受けて進軍を停止することを決めたことを知ることになった彼はシンフォニア王国の王都に戻ると、次はベルナデットの指示に従って『狭間の魔物』を用いたなにかの実験に加わることになり、自分はソラ達と共に『狭間の魔物』の捕獲作戦に参加することになっていた。というわけでモルテと合流した彼らはかつて魔族の侵攻により放棄された軍の砦へと赴いていた。


「<<隔絶結界(かくぜつけっかい)>>はとどのつまり、世界との関係を絶つことで世界からの影響を絶つってものさね。だから結界という意味で言えば、大した強さはないもんさ」

「ということは破ることそのものは簡単……なんですか?」

「まさか。破ることは簡単じゃない……というよりもそういった普通の結界みたいに破るとか破らないとか、封ずるとか解き放つとかそういう類のものじゃないのさ」

「結界なのに……ですか」


 モルテの言葉に瞬が不思議そうに小首を傾げる。あまり実感がなかったようだ。とはいえ、これは言い回しの仕方がなさというのもあった。なのでモルテも特に気にせず、教えてくれた。


「うーん……正直に言えば結界っていう言い方がマズい気はしなくもないねぇ。ただ言い方として良い言い回しはないから、結界と言われているだけとも言えるしねぇ。かといって封印か、と言われればそうでもないし」

「つまり封じ込めたりするものではない……ということと」

「そう。それは間違いないさね。でもじゃあ何をするんだ、と言われればやっぱり閉じ込めたりするのに近い。だから名目上は結界扱いしてるわけさ」

「はぁ……」


 どうやら世界のシステムに関することだからか、人の世の言葉に当てはめるのが難しい類の物らしい。モルテの説明し難そうな様子から、瞬はそれを察する。


「と、とりあえず理解は難しいことは理解出来ました」

「それで良いさね。こういう世界のシステムに影響が出るような術は普通は使えないし、使うのなら御者やってくれてる剣士くんみたいに神剣の類の補助が必要さね。だから基本的には理解した所で無意味ってわけ」

「わかりました」


 やはりこういう話は気にした所で無意味か。瞬は自身で習得する見込みはほぼない事から、あまり詳しく聞いた所で意味がないと理解したらしい。気を取り直す。というわけでそんな彼が今回は国内かつ隠密に行動しなくて良いので外でエドナに乗って移動していたカイトに声を掛ける。


「そういえばカイト。何時頃到着しそうなんだ? 確か王都から二日ということだったよな?」

「ああ。王都から二日の古い砦だ。昔は王国軍が周囲の盗賊とかを見張ったりしてた砦だったんだが……戦力の再編やら魔族の侵攻やらで放棄されることになった砦の一つだ……まぁ、体よく放棄した感も強いんだが」

「体よく放棄?」

「ああ……ほら、ウチって最初の侵攻の際、奇襲を受けて国全体が一年間石化させられちまっただろう? 生き残ったのはオレとかのごく一部だけ……まぁ、当然な話なんだが全体的に施設も砦も一年間完全に野ざらしも一緒ってわけで……」

「古くなってたから修繕するより放棄した方が良いというわけか」


 今しがた、カイトも古い砦と言っている。なので一年間も修繕もされることなく完全に放置されてしまえば、どうなるかは察するにあまりあるだろう。


「そういうこと。砦を残すと各個撃破されるより、戦力の再編に合わせて放棄したってわけ。まぁ、だから『狭間の魔物』も利用できるとして隠れたんじゃないか、って話だな。結界は一応使えない様に破壊しているが……砦の建物そのものは残っているし、地下もあるから潜むには十分ってわけだ」

「で、利用されたわけか」

「流石に完全に破壊するわけにもいかんかったからな」


 瞬の指摘にカイトが笑う。というわけでそんな笑い話を繰り広げながら移動することしばらく。一同の前に野営地が見えてきた。そうしてその野営地に近付くと、馬に乗った若い兵士がこちらへと駆け寄ってくる。


「止ま……マクダウェル卿! お待ちしておりました!」

「ああ……状況の報告を頼みたい」

「はっ! 隊長の所へご案内致します」


 さすがは勇者かつ騎士団長という所なのだろう。しかも乗っている馬は天馬と偽装も出来ない。この組み合わせだけで彼と認識されるようだ。というわけでカイトの要請を受けて、一同はそのまま簡易に設営された野営地の中へと通される。


「お待ちしておりました、マクダウェル卿」

「ええ。お久しぶりです、ロッシュ卿」

「久しぶり、というほどではありませんよ。姉からも聞いておりましたし」


 どうやらロッシュという隊長とカイトは知り合いだったらしい。にこやかな表情で両者が握手を交わす。と、そんな彼が今回の連れ合いとなったソラ達を見て怪訝な怪訝な様子を浮かべる。


「……彼らは?」

「若い奴らは護衛の冒険者……ちょっと訳ありで。しばらく一緒に行動しています」

「ああ、彼らが例の……」


 ここしばらくカイトが隠密行動をしていたわけであるが、完全に情報が消えるわけではないらしい。不思議な若い冒険者と共に行動している、とソラ達も少し噂になっていたようだ。というわけで、得心した様子のロッシュへカイトはモルテを紹介する。


「それでこちらが冥界より派遣された死神殿」

「お初、お目にかかりますわ」

「っぅ……」


 なんだそれ。見た目だけは良いモルテだ。それが非常に上品に一礼したのもあって思わず息を呑んだロッシュに対して、カイトは不気味な物を見るかのような様子で顔を顰める。


「……なに? お茶目にしてもそこまでいくと不気味だぞ」

「いえ、第一印象ぐらいよくしてみようかと」

「ボロが出る前にやめとけ……そもそも第一印象気にするんだったらオレへの第一印象は最悪も度が過ぎただろ。第一お前、堅苦しいの嫌いだろ」

「あはははは……ま、それもそうさね。あんまり固いのは無しとしとくんな」

「え? あ、はぁ……」


 あれ、急にがさつさが出てきたぞ。今までのおしとやかな美人という様子がいきなり雲散霧消し現れた普段のモルテに、ロッシュが思わず困惑を露わにする。


「まぁ、とりあえず状況の報告を頼みます」

「あ、わかりました……とりあえずあの丘の上で砦を見ながらお話するのが良いかと」

「わかりました……ソラ。一旦荷下ろしやらを頼む」

「ああ」


 カイトの要請を受けて、ロッシュも気を取り直して野営地から少し離れた所にある小高い丘を指し示す。砦はこの裏側にあるようで、見通しの若干の悪さも砦を放棄する一因となっていた。というわけで小高い丘に登った二人であるが、そこでカイトが苦笑する。


「……すっかりボロボロですね」

「もう十年ほど放棄されていますから……記憶と比べてどうですか?」

「記憶にもないですよ。来たのも父が生きていた頃に一度か二度。一度目の侵攻の折り、おや……アルダート殿と共に一度ぐらいです。一応、再編の折りに陛下の御行(みゆき)に同行し見たと思いますが」

「そうでしたか……私も今回の一件で訪れた以外、放棄されて以降は初めてですよ」

「そういえばここら出身でしたか」


 何処か懐かしげながらもさみしげなロッシュに、カイトはそんな様子で問いかける。これにロッシュは一つ頷いた。


「ええ。父は元々この砦の出身でした。それで武勲を立て、異動となりましたが……私が幼い頃は父に連れられ、姉と共によくこの砦へ来ていました、まぁ、おかげでここらの地理には明るく、今回隊長の任を請け負うこととなったのですが」

「そうでしたね……で、どういう状況ですか?」

「見ての通り……と言う所ですが。やはり明るい間はあまり動きは見受けられない様子です。ただ夜になると、時折なにかが動いている音がしております。また時折ですが、魔物も入り込んでいるようです」

「……魔物が」


 どうやっているかは定かではないが、おそらく魔物を呼び寄せて融合しているのだろう。これに顔を顰めるカイトであるが、そのままロッシュへと問いかける。


「魔物については?」

「ご命令の通り、放置しております。といってもほとんどがゴブリンなどの取るに足りない雑魚ばかりですが……」

「そうですか……ふむ……」


 やはり調査結果の通り、最初融合するのは弱い魔物がほとんどという所か。カイトは自滅を防ぐためと判断する。というわけでおおよそは想定通りと出来そうと判断する・


「結界の準備などは?」

「整えております。連絡の通り、明日の朝には全て行動に入れるかと」

「わかりました……テントに戻って作戦の詳細をお伝えします」

「わかりました」


 カイトの言葉にロッシュが応ずる。そうして、カイトは丘を後にしてロッシュへと今回の作戦を伝達。その準備に取り掛かってもらうのだった。


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