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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3086話 はるかな過去編 ――次へ――

 『時空流異門』と呼ばれる時と空間の異常現象に巻き込まれ、過去の時代のセレスティア達の世界に飛ばされてしまっていたソラや瞬達。そんな彼らは後の時代に八英傑と呼ばれる八人の英雄達の一人として名を残す事になる過去世のカイトや、その配下の騎士達。そして同じく後の八英傑の英雄達と遭遇し、彼らからの支援を受けながら元の時代へ戻るべく冒険者としての活動を重ねていた。

 そんな中でカイトからの要請で古代の魔道具を調査する協力を担う事になった一同は、飛空艇に関しての情報を提供する事となり、王城の地下研究室を訪れていた。そうして研究への協力を終えた一同はカイトと共に地上へと戻っていたのであるが、そこでのんびり話をしていた。


「……え? お前これからレジディア王国まで行くの?」

「おう……レックスに今回の調査結果を報告する必要もあるからな」

「普通、そこって伝令飛ばすとかじゃないの?」

「伝令飛ばしたら数日掛かるだろ。返答持ち帰るのも含めりゃ一週間だ。自分ですっ飛んだ方が早いし確実だ」

「「「……」」」


 さすがカイトである。この後即座にレジディア王国まで行くつもりらしかった。まぁ、一応今回の一件は朝一番でやっていたので、彼の速度次第なら十分に日帰りも可能というわけなのだろう。というわけで、呆気にとられながらソラが笑って告げる。


「お前、本当にフットワーク軽いんだな」

「騎士団だからフットワークは軽くないとな……」


 ふぃー! ソラの言葉に笑ったカイトが、指笛を鳴らす。すると、どこからともなく純白の天馬が現れた。その背にカイトはなんの迷いもなく跨った。


「よし……じゃあ、レジディアまでひとっ飛び頼む」

「なんていうか、未来のお前もそうだけど。やっぱお前はお前なんだなー」

「……そうか。それなら安心だ。政治家やってる、って聞いたら動いてるのかね、と心配になったもんだが」

「自分の街を彷徨いてるらしい、って聞いてるよ」

「そりゃオレらしい」


 過去世のカイト自身、休暇になると密かに街を出歩いている姿が目撃されているということだ。未来の自身もそうである事に彼は満足げだった。というわけで、満足げに笑った彼はすぐに気を引き締めた。


「……それはそうとして。とりあえず行ってくる。つってもまぁ、明日には戻ってくるからなにか用事があったりしたら明日また来てくれ」

「おう」

「そっちはこれから拠点の改修か?」

「あ、そっか。そういや言ってないよな……暫くは仮住まいになる」


 どこに入れていたっけ。ソラは自身のポケットをまさぐって、暫くの仮住まいの住所を書いた紙を探す。今回の一件でもそうであったが、カイトが急に来る事もある。何より今のホームを紹介してくれたのは彼だ。色々と支援を貰っている以上、次の居場所を伝えておこうと思って準備していたのであった。


「あ、あった。これが次の住所。つっても改修が終わるまでだけど。戻る時にはまた知らせに来るよ」

「そうか……じゃあ、暫く用事があったらこっちに向かうよ。多分あいつらの事だから今回だけで終わらないだろうからな」

「そ、そう」


 あはは。笑いながら告げるカイトに、ソラは少しだけ頬を引き攣らせる。そうして一同は一通り話し合って、お互いが向かうべき場所へと向かっていくのだった。




 さてこの日はどれだけ時間が掛かるかわからなかったため予定を完全に空けていたため、ホームに戻るだけだったソラ達の一方。カイトはというとエドナと共に音速を遥かに超過した速度で天を駆けていた。まぁ、そんな姿は隣国レジディアに入って早々に目撃される事になる。


「なんだ!?」

「あれは……ああ、シンフォニアのカイトだ」

「ああ、なんだ……また何かあったか?」

「悪い事じゃないと良いんだが……」


 何度も言われている事であるが、カイトはその活躍もありレジディア王国にはほぼ顔パスで入国出来る。が、基本的に彼も自分の立場がわかっているので事前通知をする事が多いし、そうでないなら緊急事態である事が多かった。目撃した巡回の兵士達が不安になるのも無理はないだろう。

 というわけで、巡回の兵士達からカイトが来た事の報告はすぐにレジディアの王都へと飛んでいき、彼が到着する頃には王都の付近でレックスが彼を待ってくれていた。


「おっと」

「おう。例の件か?」

「ああ」


 流石は政治的な思考であればカイト以上という所だろう。レックスはカイトが今回来た理由をおおよそ理解していたようだ。というわけで、二人は手短に要件を終わらせる事にした。


「というわけで、これ」

「あいよ……実際の所、どうだったんだ? 自分達で作れそうか?」

「そうだな……ノワ曰く、銀の山からの支援があれば飛翔機……推進ユニットは作れるだろう、という事だ」

「へー……さすが。って、わけにはいかないんだろ?」


 カイトが急ぎで来たということは、そう簡単に話が進んだわけではないということだ。レックスは今回のカイトの訪問からそれも読み取っていたようだ。


「ああ……ソラ達に飛空艇の調査の協力を依頼して、サルファの魔眼を活用してエネフィアの飛空艇の艦橋? 飛空艇では操舵室をそう言うらしいんだが……それを再現して貰った」

「で、結果は芳しくないと」

「ノワ曰く、艦橋の技術的にはあいつの腕でさえ数世代先を行っているらしい。どうにも地球の技術が関わっているせいもあるそうだ」

「なるほどね……」


 確かに聞いている限りでは飛翔機は再現できそうだ、というのはレックスも思っていた。が、ソラ達を招聘したのはそうは問屋が卸さないだろう、とも思っていたからだ。そして事実、そうだったというだけであった。


「わかった。こっちは引き続き発掘を急ぐ……あ、見ていくか? 結構凄い事になってるぞ」

「マジ? ちょっと見ていくか……陛下に発掘現場の状況を報告しておきたいしな」


 今回の古代の飛空艇の復元作業は同盟が国家の事業として動かしているものだ。なので今回のように調査結果は同盟全体で共有されているし、発掘の進捗も同様だった。というわけで、この後はカイトは予定を切り替え、白銀と漆黒の二つの光がレジディア王国の僻地を目指して駆け抜けていくのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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