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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3057話 はるかな過去編 ――ボス部屋――

 『時空流異門』に巻き込まれ、異なる時間軸。異なる世界線へと飛ばされてしまったソラや瞬達。そんな彼らが飛ばされてしまったのは、セレスティア達の世界の過去の時代であった。そこは戦国乱世と呼ばれる時代であったのだが、幸運にも後にその時代を終わらせたと言われる八英傑と呼ばれる八人の英雄達として名を残すこの時代のカイトやその配下の騎士達と遭遇し、彼らからの支援を受ける事になっていた。

 というわけで元の時代に戻るべく冒険者としての活動を開始させる一同であったのだが、ひとまずは資金集めのため迷宮(ダンジョン)の攻略に赴く事になっていた。というわけで、王都付近の迷宮(ダンジョン)に挑んた一同であったが、幾度もの罠と交戦を経てなんとか最後のボス部屋までたどり着いていた。


「ふぅ……なーんとか来れたっすね。いや、割とキツかった。まぁ、セーフルームがわかりやすいのは助かりますけどね。ここだけ元の豪華な部屋なんで……」

「ああ……にしてもおやっさんの話通り、四迷宮以上の難易度である事は間違いないな」


 ボス部屋の前のセーフルームにたどり着いて一休み、となった所で口を開いたソラに対して、瞬もまた今までに遭遇した罠や敵の数々を思い出して同意する。


「あのモンスターハウスの上位版みたいなの、今後ももし見付かるなら注意した方が良いかもしれないっすね」

「あれか……確かに原因を潰さない限り無限に、となると撤退も視野に入れないと厳しそうだな……その分、メリットも大きかったが」

「っすね」


 二人が思い出すのは先に手に入れた『復元の光(リバース・ライト)』という懐中電灯のような形の魔導具だ。これ以上の魔導具が手に入っているか否かは鑑定してもらわないとわからないが、もしその領域の品が他にも出ていたのであれば利益としてはかなり高かった。

 無論その分危険度が高かったので回復薬の購入量も増やしていた――実際使ってもいる――ので費用は掛かっているが、十分元は取れるだろう。と、そんな事を思い出していたソラがふと思い出した様に口を開く。


「そういや、今更っすけどあの門番でドロップなかったっすね」

「む? そういえば……なかったな。門番でドロップがある場合もある、とは聞いているから偶然かもしれんな」

「確定ドロップの敵だったら有り難かったんっすけどね」

「あはは。確かにあの強さなら、そうであったら有り難かったな」


 少しだけ冗談めかして口にするソラに、瞬も楽しげに頬を緩ませる。迷宮(ダンジョン)では強さによっては何かしらの宝を確定で落としてくれる魔物がいたのだが、そういった魔物は非常にレアリティが高いかつ強さもその迷宮(ダンジョン)では上位に位置するのであった。というわけでひとしきり笑いあった所で、イミナが口を挟んだ。


「二人共、問題はないか?」

「あ、はい。大丈夫です。後もうちょっとでボスと戦うには十分な魔力は回復するかと」

「そうか。なら出発は三十分後で大丈夫か?」

「ええ」


 回復薬を飲んだ所で、魔力の回復にはやはり時間が掛かる。そして回復に必要な時間は魔力保有量が増えれば増えるほど長くなる。それこそカイトほどでなくても最上位の戦士達になれば完全回復まで何日も、という事は珍しくもなかった。

 というわけで、一同は回復できるタイミングでは比較的長めに休憩を取る様になっていた。そうして、この三十分後。一同は休憩や道具の整理を終わらせて最後のボス部屋へと挑戦していく事になるのだった。




 さて一同が王都近郊の迷宮(ダンジョン)へ挑戦しておよそ一日と少し。三十分の休憩を経た一同がたどり着いたボス部屋に待ち受けていたのは、この迷宮(ダンジョン)で最も多い敵であった鎧の魔物だった。とはいえ、その見た目にソラも瞬も思わず苦笑を浮かべていた。


「まーた豪華っすねー。あんな細工、意味無いのに」

「売ったら高そう……だな。美術品として、になるだろうが」

「っすね……まぁ、着れる人居るんか、って話っすけど」

「あはは」


 それはそうだな。瞬はソラの言葉に楽しげに笑う。というのも、ボスの鎧の魔物は金銀の縁取りがされたり金色の角があったり各部に魔石らしい宝石が取り付けられたりとかなり豪華な鎧姿ではあったのだが、その大きさは3メートル程度と非常に大きく常人なら身に着けられないようなサイズだった。


「まぁ、それはおいておいて……とりあえずあの剣は片手剣なのか両手剣なのか、大剣なのかという所ではあるが」

「あれが片手剣なら正直嫌っすけど……魔物相手に常識求めるのもって感じっすね」

「そうだな……盾……は見えんが」

「どうなんっしょ」


 二人が次いで見るのは、豪華な大鎧の横に立てかけられているこれまた巨大な剣だ。そのサイズは大鎧のサイズに見合った巨大さで、刀身だけで大鎧と同じぐらいのサイズがあった。

 こんなものが直撃すればタダでは済まない。それを想像するのが簡単な巨大さであった。と、そんな事を話し合いながら敵の情報を取得するソラに、イミナが問いかける。


「ソラ……防げるか?」

「防ぎたいか、と言われりゃ絶対に嫌ですね」

「そうか」


 防ぎたいか、に対して否を述べたソラに、イミナがその意図を理解して苦笑を浮かべる。防ぎたくはないが防ぐしかないなら自分が防ぐ。そういう意味が言葉の裏には潜んでいた。というわけで、イミナも一つ頷いた。


「なら頼む……直撃すればマズそうだ」

「了解っす。多分こいつは不死系じゃないっぽいんで、<<偉大なる太陽(ソル・グランデ)>>の攻撃も普通の攻撃と変わらない事になっちまうと思いますし」

「だろう……君が居てくれて助かった」

「そう言って貰えりゃ、タンクの面目躍如っすね」


 イミナの感謝に対して、ソラが一つ気合を入れる。そうして、改めて気を引き締めた一同がボス部屋の中に入っていく。


「「「……」」」


 来る。ボス部屋に入ると同時に大鎧の目の部分に怪しい光が灯るのを、一同は見る。吹き荒れる魔力も今までの道中の雑魚鎧達とは比べ物にならず、これからの戦いが激しいものになる事を予想させた。そうして、ゆっくりとした動きで大鎧が横に立て掛けられていた巨大な剣に手を伸ばし、戦闘が開始される事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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