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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3051話 はるかな過去編 ――偽装――

 『時空流異門』と呼ばれる時空間の異常現象に巻き込まれ、セレスティアたちの世界の過去の時代へと飛ばされてしまったソラや瞬達。そんな彼らは後のセレスティア達の時代において八英傑と呼ばれる八人の英雄達の一人として名を残す事になるこの時代の――というよりある種前世の――カイトや、その配下の騎士達と会合する。

 そうして紆余曲折を経ながらも冒険者としての活動を開始させた一同であるが、今はひとまずホームとして利用している邸宅の改修を行うべく資金集めに奔走する事となり、その一環で王都近郊にある迷宮(ダンジョン)を目指していた。


「おや、管理事務所になにか用かい?」

「こりゃ珍しい……落とし物か?」

「え? あ、いえ、あの……」


 管理事務所建屋の入口前にたどり着いた一同を待っていたのは、どこからどう見ても管理人らしい老年の男性達だ。彼らは入口前で何かしらのボードゲーム――チェスのようなものに見えたが少し違っていた――を楽しんでいる様子だった。そんな様子に困惑するソラであったが、ひとまず聞いてみる事にする。


「あの……ここで迷宮(ダンジョン)を管理して」

「おや、落とし物かい。じゃ、こっちへ来なさい。手続きの紙を書いて貰わないと」

「え、あ、はい」


 なるほど。どうやら便宜的には鍵を落とし物扱いしているというわけなのか。自身の言葉を遮られたソラはここでこの老人達が言っている事を理解する。というわけで、立ち上がった老人の一人に案内されて建物の中に入った一同であるが、そこで老人から怒られる事になる。


「あんたらなぁ。外で大っぴらに迷宮(ダンジョン)なんて言っちゃ駄目だよ。そりゃ、知ってるヤツも多いし、今回は幸い誰も近くに居なかったから良いけどね。表向きの依頼で清掃とかやってくれてるお仲間さん居る事ぐらい知ってるだろ。誰か聞いてたらどうするんだ」

「す、すんません……」


 確かに迂闊ではあった。ソラは老人の説教に対してただただ謝罪する。とはいえ、そういったわかっていない冒険者に会うのはこれが初めてではなかったらしい。老人はため息を吐きながらも、入り口からすぐの所にある所定の用紙を取り出してくれた。


「えっと……ああ、こっちは普通の落とし物のリストで……ああ、こっちだこっちだ。はい、これに名前書いて。代表者だけで良いから」

「わかりました」


 この迷宮(ダンジョン)は王国が管理しているのだ。当たり前かもしれないが、入退場はきちんと記録が取られている様子だった。というわけで、用紙に記名したソラを見て案内の老人が一つ頷いた。


「はい、どうも……あ、ここにも記入を」

「あ、すんません」

「んー……良し。じゃあ、もし何かあった場合はこの記載されている住所に連絡が行くからね」

「はい」


 記載内容は住所と氏名に加え、どこの支部に現在所属しているかという内容だ。そこらを記入を確認し元の棚の中へと仕舞った所で、老人は一つ頷いた。


「良し。じゃ、後は……」


 用紙を専用の戸棚に仕舞って鍵を掛けた老人は、ソラ達を横目に戸棚の近くにあった操作盤を操作していく。そうして数十秒。何かの操作が終わったらしく、老人が一つ頷いた。


「良し……そこの壁、動くから注意してね」

「え? うぉ!」


 がこんっ。そんな音と共に壁の一部が動いて、その近くに立っていた瞬が驚きの声を上げる。


「はい。じゃ、このままこの道をまっすぐ行けば、迷宮(ダンジョン)の入り口だ。鍵はわかってると思うけど、扉の前で使ってね」

「はい、ありがとうございます」


 どうやらこれで終わりらしい。ソラは老人に一つ頭を下げて立ち上がる。と、そんな彼の背にそうだ、と老人が声を掛けた。


「あ、そうだ。今度からもしここに来る時は清掃の依頼の第二清掃室からの依頼を受けて、その依頼で来たって言ってね。それが冒険者達の偽装用の依頼だから」

「あ、わかりました。第二清掃室からの依頼ですね」

「そう。じゃ、お願いね」


 やはりいつもいつも落とし物ではそれはそれで不思議に思われるだろう。というわけで、清掃の依頼に偽装しておいて、手続きやらで中に入っていく風を装うのが一般らしかった。そうして老人に見送られ奥へと進んでいくわけであるが、そこでイミナが少しだけ驚いた様子で周囲を見回す。


「この通路……確かにあったが、この奥には何も無い広場があっただけだったと思うんだが」

「もしかして迷宮(ダンジョン)の入り口が消えちゃったとかじゃないですかね」

「確かに数百年も経過しているなら、それもあり得るか」


 ソラの推測に対して、イミナが一つ頷いた。確かに彼女らの時代は数百年が経過しているのだ。失くなっていても不思議はなかった。そうしてそんな事を話しながら進むこと少し。奥の扉の前にたどり着く。


「鍵……あ、多分これかな」


 おそらくこの板状のコンソールに鍵をかざせば良いのかな。ソラはとりあえずやってみる。すると、扉が普通に開かれて青白く輝く渦が一同に姿を見せた。


「これが……」

「良く見る迷宮(ダンジョン)の入り口だな」


 どうやら正解だったらしい。ソラは捕まる事がなくてよかった、と胸を撫で下ろす。そうして、一同は迷宮(ダンジョン)へと潜入していくのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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