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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第3017話 はるかな過去編 ――相談――

 『時空流異門』に巻き込まれ、セレスティア達の世界の過去の時代へと飛ばされてしまったソラ達。そんな彼らは騎士であり後の時代で八英傑の主軸の一人と讃えられたこの時代のカイトや、その仲間達と会合。元の時代へ戻るべく冒険者としての活動を開始させる。

 そんな中でこの世界のカイトが孤児であったこと、にも関わらず無双の武勲を打ち立てていたことから貴族達から妬まれ疎まれる存在であること。そしてその結果、多くの貴族から様々な方向で排除するべく動かれていることを理解。今後も関わらない可能性がなかったことから、まずは防備を固める方向性で動いていた。

 というわけでまずはホームの強化ということで冒険者を取りまとめるおやっさんに見積もりを頼むと共に、自分達は資金集めに奔走することになるわけであるが、瞬はその中で自分達に足りていないものを理解。未来のカイトから教えてもらっていたナイフを自由自在に操る練習をしていた。


「よし……が、やはり難点は費用が掛かることか……」


 何度となく言われていることであるが、使い捨てナイフというのは確かに使い捨てるためのものなので高価な物ではない。それこぞ言ってしまえば地球で言う所の100円均一などのような所でも買えてしまう。

 が、それはあくまでも一本だけなら100円というわけで、それが何十何百本と買い込めば一度の戦闘でも費用は高く付くのであった。


「ふっ……」


 残った数本の使い捨てナイフに再度雷を帯びて、瞬は浮かせる感覚を確かめる。ここまでなら雷を帯びているだけなのでナイフの刀身にダメージはほぼ無いが、敵にぶつけたり炎を纏わせたりすると一気にダメージが蓄積する。火炎を纏わせておくことは出来なかった。


「……ふぅ。こんなものか」

「お疲れ様です、瞬……問題はなさそうですね」

「問題だらけと言えば、問題だらけだがな。コストの面、手間の面……課題は山程ある」

「まだ即興で刻むことは難しいですか?」

「練習、しかないだろうなぁ……」


 リィルの指摘に対して、瞬はわずかに苦笑する。実は彼のしていた物理的に刀身にルーン文字を刻み込むという作業であるが、ルーン文字に限らず簡単な程度であれば魔力だけで一瞬でしてしまえる者も居るらしい。が、それを瞬に求めるのは酷というものであった。とはいえ、それはリィルにもわかっていたようだ。


「まぁ、物理的な媒体に魔力だけで刻印を刻むのは一部の魔術師だけが出来ること……それも貴方の様に魔力である程度道具を編める方だけが出来る特殊技能とも言えます。一朝一夕に身に付くなら、ですか」

「そう言ってくれると助かる……はぁ。少年老い易く学成り難し、とは言ったものだが。これは時間が掛かりそうだ」


 空いた時間を使え。そう思うかもしれないが、空いた時間があったら瞬とて他のやるべきことに時間を充てている。何より作る数は10や20ではないのだ。遠征で数日依頼に出ることを考えれば、最低でも100はつくらねばならない。

 しかも一度でそれだ。手作業でやるなら、慣れてきたとしても一本一分程度は掛かるだろうから、一度の遠征に出るために相当な時間が必要になることが予想された。


「いっそ、使い捨てだから穂先だけ生み出すのも手ではないですか?」

「それか……それな……」

「……すでに聞いていた様子でしたか」


 それが出来れば苦労しないよな。そんな様子で笑う瞬に、リィルもおおよそを察したようだ。すーっと視線を逸らす。そうして、そんな彼女へと瞬がカイトに聞いたままを答えた。


「出来るならやってみ、とのことだ……ルーン文字二つを刻んだナイフを何十本も作り出すことは俺にはまだ出来ない」

「な、なるほど……確かに簡単とは言えそれを生み出すナイフに刻み込んだ上になると話は別と……」

「そういうことだ」


 やれやれ。瞬は楽な道は無いものだ、とため息を吐く。もちろんこれはあくまでも今の瞬ではという所であって、今後修練を積めばその限りではない。というわけで、今はこれだった。


「とりあえず、帰ってからはルーンを金属に刻む練習をしないとな……」

「ですが何に刻むつもりですか? 冒険部の様に壊れた武器の破片が転がっているわけでもないでしょうし」

「……そうだった……」


 完全に冒険部時代と同じ考えになっていた。瞬はリィルの指摘に思わず肩を落とす。冒険部のみならず、冒険者にとって普通は武器は消耗品だ。長々と年単位で愛用出来ればそれはもはや達人の部類だ。

 というわけで冒険部では壊れた武器の部品を再利用したり、こういった魔術師達が刻印を刻む訓練で使うために集めており、瞬はそれを貰うつもりだったのであった。


「……何か手が無いか、カイトに聞いてみるか」

「……こっちの、カイトで良いですよね?」

「流石にな」


 今更そんなミスはしない。リィルの言葉に瞬は笑う。というわけで、この墓所の清掃は瞬が更に小範囲への攻撃を手に入れたことで安全度を増して、特に問題もなく終わりを告げることになるのだった。




 さて明けて翌日。瞬はというと昨日の話からカイトの所へと向かっていたわけであるが、そこにはソラが一緒だった。


「で、お前はなぜ一緒に来るんだ?」

「ああ、実は昨日先輩方が依頼に出てる間に考えてたんっすけど……ほら、この間セレスちゃんが他大陸に聖域がある可能性が高いことは把握出来た、って言ってたの覚えてます?」

「ああ、都での一件か……そう言えばそんなことを言っていたな」


 少なくとも異大陸に一つ聖域があることが確定している、ということをセレスティアは口にしていた。とはいえ、ここはすでに魔族に攻め落とされた後――後の彼女曰く魔族もそれを察知して先手を打ったのではとのこと――なので、彼女らは手出し出来なかったのだ。というわけでそれを思い出した瞬に、ソラが指摘する。


「でもそれって未来の話で、今は関係無いでしょ? いや、俺も聖域の場所が不変なのか、って言われるとぶっちゃけさぁ、って話なんっすけど」

「なるほど、確かにな……ということは他大陸に行けないか相談しよう、という腹か」

「あー、いや、すんません。それも出来ればなんっすけど……多分出たら最後、数ヶ月は掛かりそうなんで今の所は却下っすね。大精霊の誰かはさっぱりっすけど、カイトからは離れるな、ってのは他大陸はアウトでしょうし」

「そ、そうなのか」


 この流れからそうだろう。そう想像した瞬であったが、ソラの否定に思わずたたらを踏む。とはいえ、それなら何を相談したいのか、と彼には疑問だった。


「なら何を相談するんだ?」

「いや、この間八英傑のアイクさん? ってのが異大陸にも行ってるって話してたじゃないっすか。なら詳しい情報持ってないかな、って」

「なるほど……確かにこの大陸以外の情報は持っていそうだな……」

「っす。で、そこの所どうなのかなー、ってカイトに話聞いてみたくて」


 スイレリアの所にある契約者の情報はあくまでもこの大陸に限った内容だ。異大陸の契約者の話についてはほぼほぼ記載がなく、あったとしても大陸を渡った契約者の話が大半だ。

 向こうで何をした、ということなどは大半が伝聞程度で、詳しくはなかった。契約者の情報を集める上で、直に異大陸に触れた者の所感というものが知りたかったのである。


「そうか……まぁ、それについては任せる。俺は俺の聞きたいことを聞くだけだからな」

「それで良いと思いますよ……で、それはそれとして。問題は会えるか、って所っすね」

「それな……」


 相手は王国最優の騎士で、王様であるアルヴァからの信頼も絶大だ。忙しいだろうことは想像するまでもなく、会おうとして会えるかどうかと言われれば非常に微妙だった。

 とまぁ、そんなこんなで王城へ向かって一般開放されているエリアで話をしてみたわけであるが、どういう事情かあっけらかんと通してもらえることになる。


「……なんかあっさり行けちゃいましたね……」

「あ、あぁ……あ、えーっと……その、大丈夫なんですか?」

「はい。騎士団本部より通す様に通達がありましたので……」


 どうやら困惑しているのは通す様に言われた文官も一緒だったらしい。瞬の問いかけに困った様に頷いた。というわけで瞬が何週間ぶりかの道を通って中庭を通り抜けて、『蒼の騎士団』本部へとたどり着いた。そしてそこの入り口で待っていたのは、カイト麾下の四騎士が一人。この時代のルクスだった。


「ああ、待ってましたよ。ご苦労さまでした」

「いえ……エドウィン卿。では、私はこれにて」

「はい」


 ルクスは案内してきた文官に一つ頭を下げ、その背を見送る。そうして文官の背中を見送った後、改めて二人に向き直る。


「お二人共、お久しぶりです。団長に相談があるとか」

「ええ……ちょっと戦闘面の相談と、今後の活動に関しての相談で……」

「なるほど。皆さんも大変ですね」


 ソラの返答に、ルクスがいつもの柔和な笑みを浮かべながら頷いた。そうして、今度は彼に案内されながら二人は本部の会議室へと通される。が、そこで待っていたのはカイトではなくその麾下の四騎士の残り三人だった。これに、二人共小首を傾げる。


「あれ?」

「来たか」

「はぁ……後で兄さんが怒りますよ」

「そう言うなら同席しなければ良いまでのことだったろうに」

「そ、それはそうなんですけど……」


 グレイスの言葉に、クロードがかなり恥ずかしげにそっぽを向く。とはいえ、そんな様子でソラはおおよその状況は掴めたらしい。


「あれ……もしかしてカイト不在だったり……します?」

「この様子を見て団長が来ると思うのなら、貴方の頭は大したものね」

「ですよねー」


 今度はライムの指摘に、ソラはそれはそうだろうと納得する。なにせこの四人が居てカイトが居ないのだ。その時点で最初からカイトが不在だろうというのは察するにあまりあった。そんな彼に、今度はルクスが告げた。


「何も取って食おうと思っているわけではありません。少し話を聞いておきたい、というのと話をしておきたい、というのがあったのでお呼びいたしました。団長不在で四騎士全員が在籍というのも割りとレアなことですし」

「ま、貴様らにとっては運が悪かったとでも思え。滅多にない所でどうするか考えていたら、そこに貴様らが来たんだ」


 どうやらこの場は四騎士達が意図して作り上げたものではなかったらしい。が、四騎士達に用事がなかったわけではないため、これ幸いとこの場に通させたのであった。というわけで、グレイスがそのまま場を取り仕切る。


「とりあえず、改めて自己紹介してからにするか」


 先にルクスも言っているが、何もソラ達に敵意があるわけではない。というわけで円滑な話し合いを進めるためにも、と彼女が自己紹介を行い、とりあえずソラと瞬は四騎士との会合に臨むことになるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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