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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第2727話 合同演習編 ――神と神――

 皇帝レオンハルト主導で行われていた合同軍事演習三日目。それも残り二時間と少しとなった所でカイトが『神』を召喚した事により、それを読んでいた防衛側も『神』を召喚。歴史上でも稀な『神』対『神』の戦いにもつれ込んでいた。

 が、そんな戦いは一対五の不利な状況でありながらも剣士でありながらも魔術師という優位を活かしたカイトが防衛側の『神』の一柱を切り捨てるに至っていた。


「何だ……あの戦闘力は」

「ありえん。『神』をああも操るとは……」

「誰なんだ?」


 どうやら大半はカイトが『神』を召喚した瞬間を見ていなかったらしい。まぁ、無理もない。彼以外にも無数の猛者がそこかしこで戦っていたし、<<無冠の部隊(ノーオーダーズ)>>にレジスタンスの戦士達と皇国でも滅多にお目にかかれない猛者達まで大量に戦っているのだ。

 たかだかランクA冒険者の一人に過ぎないカイトに注目していられる余裕は誰にもなかった。が、当然そんな並み居る猛者達よりカイトを見る方が楽しいと皇帝レオンハルトは専用に用意されたモニターで密かにカイトを観察していたようだ。楽しげに笑っていた。


「なるほど……考えれば考えるほど厄介だな」


 剣士でもありながら、『神の書』を使えるほどの魔術師でもある。それは考えれば考えるほど、厄介な事この上なかった。


「通常、魔術師に近接戦を望むのなぞ筋違いも良い所だ。なのに彼と戦うのならそれさえ強いられるか」

「厄介……で良いのでしょうか」

「厄介と言うしかない。さりとて近接戦闘を挑んでも今度は魔術師としての彼まで待ち受ける……割と嫌な話だ」


 これは道理であるが、魔術師と例えば剣士が近接戦闘を行って魔術師が勝てる可能性はよほど地力に差がなければ皆無に等しい。そして<<機械神(デウスマキナ)>>の戦闘力は操縦者に依存する。近接戦こそを主戦場とするカイトに魔術師達が敵うわけがなかった。


「さて……ここから一気に巻き返しが始まるか」


 『神』と『神』の戦いにおいてはおそらくカイトとティナが前線に出た時点で攻略側陣営が圧倒的に優位に立つだろう。皇帝レオンハルトはそう判断する。そうして、『神』と『神』の戦いは一対多から多対多の戦いにもつれ込むのだった。




 さて皇帝レオンハルトが楽しげに観戦していた一方。『神』を駆るカイトにティナ率いる『神』の本隊が合流していた。


「そいつが<<ソロモンの小さな鍵(レメゲトン)>>の『神』か?」

『まぁ、そうじゃのう』

「ほう」


 ティナの返答にカイトは目を僅かに見開く。何か含みがあったのだ。彼女をして優れた魔術師と敬われるソロモン王。それがその才能の全てを費やして記したという魔導書だ。何かしらの仕掛けがあっても不思議はなかった。


『もう何度目かの称賛かはわからぬが、ソロモン王は実に優れておった。魔導書に人造精霊を拵えたり、複数の魔導書で連携可能な七十二柱の使い魔達を仕込んだり……統括システムによるコントロール体制を整えたりと列挙すれば枚挙に暇がない』

「それを全部操ってるお前もお前なんだがね……」


 ティナの称賛に対して、カイトは別方面では父親大好きな<<ソロモンの小さな鍵(レメゲトン)>>をして父を超えていると言わしめるティナもまた大概だと呆れ返る。


「まぁ、そりゃ良い。で、何が優れてたんだ?」

『両方あった』

「は?」

『<<機械神(デウスマキナ)>>と<<人造神(デミゴット)>>の両方あった』

「えぇ……」


 それが事実なら凄まじいな。カイトは彼でさえ聞いた事がない――もちろんティナも聞いた事がなかった――事実に顔を顰める。とはいえ、ティナはこれに対してさもありなんと告げる。


『いや、考えれば道理ではあった。何しろ五冊で一個の魔導書じゃ。余裕がたっぷりある様子でのう。ソロモン王も両方同時は考えておらぬ様子じゃったので今術式を改良中じゃが、ゆくは両方同時にとかもできそうじゃのう』

「マジか……」


 相変わらず魔術に関しては他の追随を許さないだけの事はあったらしい。ティナは製作者たるソロモン王さえ想定していない高みに進み続けているようだ。カイトはただただため息を履いた。とはいえ、それはともかくとしてもこれで両軍共に『神』が勢ぞろいした形だ。故にカイトは気を取り直す。


「まぁ、良いわ。お前に魔術で呆れるのは今更だ……しゃ、やるか」

『うむ』


 カイトの言葉にティナもまた気合を入れ直す。そんな彼女であるが、今回は<<機械神(デウスマキナ)>>を選択したらしい。機械の魔術師に似た『神』の眼前に機械の杖を顕現させる。と、そういうわけで攻略側の『神』が集結したと同時だ。防衛側で再度巨大な魔法陣が組み上げられる。


「おいおい……まだ増えるのか」

『防衛側は世界中から来ておる感じじゃからのう……動員、掛けられたんじゃろ』


 組み上げられた魔法陣の数は三つ。攻略側の『神』が四柱なので、防衛側の総計八柱を合わせ一日に十二柱も『神』が召喚されるという異常事態だった。

 まぁ、これはカイトがどうせ興が乗ってやってくるだろう、とレヴィが初日から見通していたため防衛側は多く動員でき、それに対する攻略側はカイトが思いついたのでやった、という話だ。なのでもしかしたらまだ『神の書』を持つ魔術師が居たかもしれないが、これだけしか動員出来なかったのだ。


「そうか……まぁ、兵力差はあるが」

『こっちは質で良いじゃろ』

「それはそうか」


 ティナの言葉に対して、カイトは残る二柱の『神』を見る。この内、片方は見知っていた。


「シャーリーの『神』か……相変わらず目では見えんな」

『見えんが確かにそこにおるぞ』

「わかってる……次元と空間を司る『神』か」


 姿は見えずとも確かにそこにあると断言出来る『神』の姿に、カイトは改めてこれが敵でなくて良かったと心底安心する。シャーリーもまた『神の書』を持つ魔術師だった。


「シャーリー。魔力は大丈夫か?」

『あ、うん。問題無いよ。あの当時よりは私も強くなってるから』

「そうか……万が一の時はどっさり持ってって良いからな。『神』を十柱二十柱召喚したってわけないだけはある。悪いな、急に言って」

『ありがとう』


 シャーリーが持つ魔導書はエンテシア一族が代々受け継いできた『神の書』の一冊で、聞けばルナリア文明より更に古い文明が作った超古代の遺産との事だそうだ。が、それ故に要求される魔力の量や魔術師としての腕は凄まじいらしく、サポートはしっかりするつもりだったようだ。


「で、最後の一柱は誰だ? えらくべっぴんさんな女神みたいだが。これは見た事がないな」

『私です』

「アイナ? お前、『神の書』なんて持ってたのか?」


 響いた声にカイトは目を丸くする。元々魔術師としても優れた才覚を有している彼女なので『神の書』を持っていても不思議はなかったが、持っていたなんて聞いた事はなかったのだ。


『持っていた、というよりも手に入れた、という方が正確です。今回はあまりお役に立てないのでこの程度は御役に立とうかと』

「いや、八大幹部を単騎で抑えておきながらお役に立てないって……」


 アイナディスの返答にカイトはため息を吐く。彼女は緒戦でバーンタインの一子カリマを抑え込んでいた――今は<<氷結結界>>の崩壊と共にカリマが引いたのでクズハの防衛に回っている――のだ。

 無論、相手も<<暁>>なので、相対戦力比は相当なものだっただろう。それを抑えてくれていただけで十分なのに、相変わらず真面目な事であった。


『あの程度ではまだ相手になりませんよ。後百年早い』

「エルフが言うとマジだもんなぁ……まぁ、良いや。にしても、えらくべっぴんさんじゃん。こんな『神』も居たのか」

『ありがとうございます。地母神だそうです』

「ほぉ」


 確かに言われてみれば地母神を思わせる様相だ。カイトはアイナディスの言葉に超巨大な女性の姿を取る――身体の一部が木々で覆われている等『神』を思わせる部分はある――『神』に感心したように頷いた。


『ああ、一応言いますがこの『神』は支援型なので前線には出ません。その点はご勘案を』

「りょーかい……支援が二。攻撃……でお前は良いよな?」

『良いぞ。というより、じゃから<<機械神(デウスマキナ)>>で出た。どうやら攻撃の<<機械神(デウスマキナ)>>。支援の<<人造神(デミゴッド)>>と分かれておる様子でな。流石に現状ではお主単騎に前線は任せられんじゃろうて』

「そうか」


 やれるがやりたいかと言われれば素直にやりたくない。カイトはティナの言葉を有り難く受け入れる事にする。というわけで、カイトはある意味馴染みのメンツと言えば馴染みのメンツと共に改めて防衛側の『神』との戦闘を開始するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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