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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第十三章 英雄の再来

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第255話 英雄再来

 団体戦も終わり、約1時間が経過した頃。エルロード達公爵軍の面々は、頭を抱えていた。


「……いくらなんでも冗談だろう……」

「いや、閣下の場合は伝承が伝承だから、あながち……」

「道理でクズハ様までお出になられるわけだ……」


 特に頭を痛めているエルロードとブラスの二人は自身らが待機するテントで、上がってきた報告を前に、他の幹部らと一緒に畏怖と頭痛を感じていた。彼等は元々クズハも完全武装で参戦する、というので演武的な物かと思っていたのだが、その予想は大いに外れたのであった。


「……この写真。本物と思うか?」

「絶対、本物だね。後、噂だと、貴賓席にメガネの知的な美丈夫と、金髪で赤い目の美女もいらっしゃったそうだ」


 エルロードが持った写真に映るのは、三人の男性。その中の二人は、会ったことがないまでも、よく見知っていた。いや、それどころか冗談でも知らないといえば、確実にまだ存命中の父親達からげんこつが飛んでくるぐらいだ。


「はぁ……断頭台に上がる死刑囚の気分を知ることになるとは……」

「わかるよ……」


 本来ならば上官のこのような姿は決して目にさせるべきでは無いのだが、この場では誰もそれを指摘することはない。全員が同じ表情をしていたのだ。


「行くか……全員、装備だけは念入りに確認しろ」

「手加減、はしてもらえると思う……多分」


 誰もがお互いの無事を祈り合う中、二人してため息を吐いて、部下を引き連れてテントを出てエキシビジョンマッチの舞台に向かうのであった。なおそんな上官の後ろを部下達も揃って全員必死で準備を整えながら、その後に続くのであった。




 同じ頃。エキシビジョンマッチが行われる会場には、クズハという美少女目的の男子生徒と、美男子――と噂される――二人を見ようと言う大勢の観客が集まっていた。とはいえ、開戦までは未だ少しあるので、今いるのはクズハを筆頭に、ローブで身を覆う男三人だけだ。


『さーて! 皆さんお待ちかね! エキシビジョンマッチのお時間がやってまいりました! つーか、三人組の名前と来歴、これあってるの?……え、マジ?どうやったの? いや、気にすんな、って気になるわよ!』


 誰かと話しているらしい真琴が、不満気に声を張り上げる。そんな真琴を、ユリィが呆れ顔で止めた。


『あー、気にしたって無駄。本人も釈然としてないし、誰も説明できないもの。大昔に学者たちが総出で匙投げたらしいよ』


 らしい、では無く、正真正銘学者達が匙を投げたのをユリィは笑いながら見ていたので、今も覚えている。後の皇帝主導でその力のデッドコピーを生み出そうという計画だったのだが、完全に頓挫したのだった。


『え、なにそれ? ま、後で問い詰めるか……ごほん、では、気を取り直して参りましょう!』

『今回のエキシビジョンマッチでは対するのは公爵家の皆さんと!』


 兎にも角にも真琴も気にしても仕方がないと思ったのか、気を取り直して声を張り上げる。気になったのなら後で問い詰めれば良いのか、と気付いた事が大きかった。


『謎の三人衆! つーか、3人で100人規模の軍勢とやりあうとか馬鹿じゃないのか!』

『そう思うのは当たり前! 馬鹿か強者かは自分の目で確認すべし! ルールは簡単、最後まで立っていた方が勝者!』

『さて、では謎の三人衆にフードを取っていただきましょう!』

『では、どうぞ!』


 ユリィの合図をきっかけに、今までずっとローブのフードをかぶっていた三人がフードを取り、全員がローブを投げ捨てる。そうして晒された素顔に、女生徒達が黄色い歓声を上げた。


「かー! やっぱフードはあつっくるしいな! つーか、お前さんら相変わらず女にモテるなぁ、オイ」


 唯一黄色い歓声を浴びないバランタインが半眼で他の二人を睨む。そんな彼に、カイトが笑いながら問いかけた。


「かかあ天下のおっさんがモテてもしょうがねぇだろ。それともあれか? 自殺志願者か?」

「母ちゃんたちには内緒だぞ、と」


 バランタインはカイトの言葉に、何かを思い出したらしく真っ青になっていた。どうやら武神と言われようとも、妻には勝てないらしい。


「お兄様もルクスさんもウィルさんも、社交界の華でしたので。お兄様に近寄る有象無象を追い払うのは苦労させられました」


 そんな二人に対して、クズハが品の良い笑みで告げる。なお、バランタインは公の立場が脱走した奴隷であるので、公の場に出るのは遠慮していたのである。なので殆ど社交場に出ることは無かった。まあ、当人が好まなかった事も大きい。


「社交界の三羽鴉か、懐かしいね」


 クズハの言葉を聞いたルクスが懐かしげに語る。社交場で常に一緒に屯する三人を指して、三羽鴉と呼ばれたのも今は昔である。まあ、今も通用しそうではあるが。


「つーか、なんであの皇子様を出さねえんだ?拗ねるぞ」

「あん? 相手が泣くぞ? ま、あっちは今日はお休み、ということで」


 バランタインの問いかけに、だんだんと入場してきた公爵軍の面々を見ながらカイトは口端を歪める。それは何時ものカイトが見せる事の無い、獰猛な戦士の笑みだった。


「手加減でなんとかなってくれるといいよね」


 ルクスはそれに対して、見ている全ての女性を魅了する微笑みで笑う。


「ま、3日程寝込みゃなんとかなるだろ」


 バランタインはにぃ、と獰猛に犬歯を見せて笑う。三者三様に、喩えクズハが混じった所で負けるとは思っていなかった。


「大丈夫です。皆には明日から数日休暇を取らせてあります。思う存分、やってください」


 そう言ってクズハがカメラ越しでも男子生徒を赤面させる微笑を浮かべる。そうして、全員が準備運動を始め、ここに伝説が再現されたのであった。




 それからしばらく。カイト達へと向けられる歓声が鳴り止まなかったので、真琴が放送で注意を促した。


『はい! そういうわけで、そろそろ歓声が途絶えてくれないと、御三方のご紹介が出来ませんよー』

『正体不明のままで終わらせとく?』


 二人の言葉に、一旦場が静まり返る。それを受けて、ユリィは懐かしさを多分に含んだ笑みを何時ものおちゃらけた笑みで隠して、打ち合わせ通りに三人の来歴の紹介を始める。


『じゃあ、まずはこの大男! 豪快なその身に炎を纏い、あらゆる敵を灰燼へ帰す!』

『今は無きウルカ王国の元剣奴という不遇の身に生まれ、繰り返すは見世物の日々! そして男は決意する! この世から奴隷という身分をなくすことを! そうして始まる王国からの逃亡、妻を得て仲間を得て、進むは果て無き旅路! 冒険者となった男が永き戦いの果てに得た物は圧倒的な武勇と生き残る知恵! そうして旅路の最中で出会った少年や仲間と共に数多の大陸、数多の戦場を転戦し、男は遂には大戦を終わらせる英雄となった!』

『全ての戦士達が憧れてやまぬ武名を有するのはこの男! バーンシュタット家初代当主! <<炎武神(えんぶしん)>>バランタイン・バーンシュタット!』


 その名が告げられた瞬間、誰もがぽかん、と口を開けて呆然となる。しかし、真琴とユリィはそれを予想できていたので、それを無視して放送を続ける。


『さー、皆さん呆然とするのはわかりますが、無視して続けます!』

『甘いマスクに高身長の整った肉体! 繰り出される剣技は圧倒的にして優麗! その立ち振舞は騎士の中の騎士!』

『皇国の隣、ルクセリオン教国が名門ヴァイスリッター家の長男として生を受け、数多の女性を魅了する美貌に圧倒的な武名、礼儀正しい人柄、次期聖騎士団団長最有力、美人の幼馴染みとの非公式的な婚約関係と、誰もが羨む順風満帆と思われたその人生!』

『しかし転機は訪れる! 総本山ルクセリオへの魔物の襲来! 少年はそこで婚約者の真実を知り、苦悩する! 後に親友となる皇子が問いかける……貴様の大切な物は教えか、否か! そうして選んだのは幼馴染みとの逃避行! 名門たる家を、騎士としての地位を、約束された栄誉を捨てて幼馴染みの少女や仲間と共に逃げ出した! 国を捨てた少年は幼馴染みに支えられながら、後の親友達と共に数多の戦場を駆け抜ける! そうして少年は友と共に、遂に大戦を終わらせる英雄となった!』

『大人となった少年を見た誰もが言う! 騎士とは与えられる地位ではなく胸に抱く心意気だ、と! そうして、数多の者から認められた男は騎士の代名詞となり、勇者となった親友の補佐を務めた!』

『全ての騎士の憧れとなったのはこの男! エンテシア系ヴァイスリッター家初代当主! <<聖騎士(パラディン)>>ルクス=ロット=ヴァイスリッター!』


 二人目の名前が上げられ、最後の一人の名前が大分と予想出来ていた観客達を前に、真琴は紹介を続ける。


『そして、最後はこの男! 我らと同じく日本で生まれ育ち、若くして飛ばされたのは見知らぬ異世界! 誰ぞ知る、帰還の望みさえ無い戦乱の時代に降り立った無力な少年が、いつしか戦乱を終わらせる勇者となる、と! 大賢者に拾われた少年は、遂には戦乱に巻き込まれる!皇に命ぜられて戦うことを強制された少年は、賢者と妖精、数人の仲間と共に旅に出た! 戦うことさえ知らなかった少年は数多の出会いと別れを経て成長を続ける! そうして、戦士としての息吹が芽生え始めた頃に、悲劇が訪れた!』

『狂い、猛る龍との遭遇! そこで少年と妖精は仲間を失う! 悲しみの内、少年は妖精を連れて旅を続ける事を決意する! これ以上悲劇を繰り返させぬ為、堕ちし龍をこの手で討つ、と! 数多の大陸、数多の戦場を二人は渡り、遂には猛る龍を討った! 旅は終わり、これからは安寧を得よう。そう思う二人だが、運命は彼等に歴史の表舞台に上がる事を望んだ!』

『皇都の危急を知った少年は、義姉を救うために遂に歴史の表に躍り出る! そうして、火の手が上がる皇都へと舞い戻った少年が姉を救い、更に出会ったのは親友となる後の賢帝! この出会いが全てを変えた! 二人は協力して敵を打ち砕き、遂に絶望の中に小さな希望が生まれる!』


 真琴との掛け合いの最中、ユリィは少しだけ武勇伝を語る自慢気な感情とは別の感情を得た。これは間違いなく、自分達の物語だ。

 だが、それには幾つもの語られなかった物語がある。それを思い出していたのだ。それ故に、彼女には何処か悲しみが存在していた。こうして英雄譚として語られる裏には、何人もの死者や別離を経験した者達が居る。それを、図らずも思い出してしまったのであった。だが、そんな事をおくびも出さず、ユリィは顔に妖精らしい愛嬌のある可愛らしい笑顔を浮かべて、更に続けた。


『全ての力を束ねる、そう提案した皇子に協力し、少年は再び旅に出る! そうして彼らは数多大陸の危機を救う! 人々は噂する、武勇を振るい危急に陥った国を救った者達が居る、知謀を尽くし苦境に陥る一族を救った者達が居る、希望を掲げて数多の民を救う者達が居る、と!』

『多くの民を救い、希望となり始めた頃、ある龍が言う、血の繋がらぬ妹を救ってくれと。龍の望みを受け入れて、一同は捕らえられし魔王を救いに向かう! 些細な行き違いから戦闘となった両者だが、遂には和解を果たし、ここに大戦を終わらせる英傑が揃った!』

『彼等の手で結成されるのは数多国家、数多種族を超えた連合軍! 大戦を終わらせる、誰もがそんな決意を胸に秘め、森羅万象を解き明かし、武勇は万雷の如く轟く僭王が率いる万魔の軍勢へと相対する! 数多の血が流れ、数多の英傑が散っていく中、仲間に支えられ、少年は決して負けぬと立ち向かい、遂に勝利を手に入れる! そして鳴り響く勝鬨、称賛を背に、少年は勇者となった!』

『最後はこの男! 勇者の代名詞となり、数多の仲間と共に偉業を成し遂げた大英雄! <<勇者(ザ・ブレイバー)>>カイト・マクダウェル!』


 そうして、ついに二人の口からカイトの名前が告げられた。それに呆然とする観客たちだが、ここで真琴がようやくテンションを落として解説を入れた。


『まー、皆さんの気持ちはよーく、わかります。なんでも、死者を少しだけ呼び戻す術があるそうで、ここらで一つお伽話の勇者について知ってもらおうか、というクズハ様からの提案だそうです』

『降霊術っていう魔術系統の一つの最上位に位置する術なんだけど、超上位の術者しか使えない術な上、往年の実力で呼びだそうものなら、かなり魔力の消耗も激しいから、こんな所でないと使えない術だよ。と、いうことで、今回は最大で往年の10%程度での再現となります。彼等の最盛期を再現しようものなら、多分、国一つの人材が総出で必要なんじゃないかな?』


 尚、公にはクズハの力、ということになっているが、召喚しているのは当然カイトである。ここまでの精度だと、カイト以外に出来る者が居ないのだ。まあ、こんな身内の集まりで誰にもバレないと思ったが故に出せる魔術なのだった。

 ちなみに、この魔術を見れば一発でカイトの帰還がバレるらしいので、カイトは色々とバレない様に密偵には気を遣っている、とのこと。昨夜ソラとのやり取りで盛んに公爵家の密偵が動いていたのはこういう理由からだった。


『……天災よりひどいですね』

『と、言うか、天災が素足で逃げ出すクラスだからねー、あの時代の英雄達って。現在の人からしてみれば、ふざけるのもいい加減にしろ、ってレベルで』


 真琴の言葉に呆れ顔でユリィがそういうが、当人も天災が素足で逃げ出す英雄の一人である。とは言え、そんな言われ方をした方は、文句の一つも言いたくなる。


「俺たちゃ化け物かなんかか」


 ユリィの言葉にバランタインが呆れ顔で肩をすくめるが、そんなバランタインを、カイトとルクスの二人が笑っていた。


「おっさんは似たようなもんだろ」

「カイト、よく大怪獣決戦じゃねえか、って騒いでたよね」

「未だにあれ、意味わかんねえんだが……つうか、原案お前さんだろ?」

「それは認める。が、やらせた本人もびっくりな怪獣っぷり。光の巨人になるかなー、とか思ってたりしたんだが……これが開けてビックリ玉手箱。どう見ても怪獣側だったぞ、と」


 ケタケタと笑いながらやらせた本人――カイト――が大笑いする。そんなカイトに呆れ返るバランタインを、ルクスが宥める。


「お前な……」

「まあまあ。」

「まあ、ガキ受け良かったからいいんだがな」


 戦力的にも他の用途でもメリットはあったので特に気にしていないバランタインは、肩をすくめるに留めた。そんな彼に対して、ルクスが笑いながら問いかける。


「でも、今日は使う気無いんでしょ?」

「多分、な。ま、期待以上なら、使ってやる。その程度のご褒美はくれてやらんとな」


 そう言って、バランタインは入場を始める公爵軍を見る。その顔には笑みが浮かび、今にも飛びかからんばかりの獰猛な魔力が猛り始める。


「まあ、僕も期待以上なら、少しは見せてあげても良いかな」


 ルクスは優雅に微笑み、穏やかな魔力が漂い始める。


「期待してろ。少しは、やれるようになっている」


 今まで彼等の稽古をつけてきたカイトが、そう断言する。そうしてカイトは口端を歪めて一旦笑みを見せ、深呼吸して静謐な気配を纏い、静かに凶悪な魔力を漲らせる。


「俺は左翼陣を貰うぜ。あっちに俺のガキのガキ共が居る」


 そう言って、バランタインがブラスとリィルが指揮を務める左翼を睨む。人数はおよそ25人程、獣人等のを含む複数の種族で構成された混成軍の様相を呈しているが、統率は非常にとれていた。あそこに居るのが、彼の子孫達だ。


「僕は右翼陣だね。僕の子孫達はあそこみたいだ」


 対してルクスはエルロードとルキウス、アルの兄弟が指揮する一団に目を付け、観察を始める。人数はバランタイン側と同じ程度だが、混血も散見されるものの、此方は比較的人間種に近い見た目が多い。此方も当然だが、統率が取れている。


「オレは、中軍か。まあ、ガキが居ねえのは当たり前か」


 そう言ってカイトは、クズハが指揮する中央を見遣る。人数は最も多く、種族も最も多種多様な軍だ。此方は多種多様な公爵家を表す様に、数多の人員で構成されていた。そうしてカイトが言った言葉に、ルクスが笑って問いかけた。


「居たら困るよ。君まだ独身でしょ?」

「お前さん、本気でいい加減結婚しろよ。昔から隠し子騒動が起きまくってんだろ」


 ルクスの言葉に続けて、バランタインが苦言を呈する。さすがに公爵に隠し子など、大騒動となりかねない。前々から注意していたのだが、治っていないのだ。まあ、当人が治すつもりが無いのだから、仕方がないのかもしれない。


「あ? 帰還したら、考える。」

「してるくせに。いい加減にしないと、愛想つかされるよ?」


 カイトの軽口を、ルクスが軽口で返す。視線はクズハに注がれていた。


「いいんだよ、あっちは娶るから」

「あ、やっぱり落ちたんだ。この分だと、アウラもおめでとう、かな。あ、もしかして、ユリィも?」

「……るせ」


 ニヤニヤと笑みを浮かべる親友に、カイトが照れた感じでそっぽを向いた。


「まあ、あんなべっぴんさんになったもんな! しゃーない! しゃーない!」


 カイトの肩を、バシバシと豪快に笑ってバランタインが叩く。カイトはその手を振り払い、半眼となる。が、そんな視線を受けても、バランタインは豪快に笑うだけだ。


「睨むなって! お前さんの女癖は有名だったんだぞ?」

「どうせ他の女の子にも手を出してるんでしょ?」

「ちっ……いい加減、戦闘に入るぞ」


 事実なので、否定のしようが無いカイトは、撤退を決める。先ほどまでの剣呑な雰囲気は何処へやら、再びおふざけが始まる。


「あ、逃げた」

「うるせ! なんでか増えるんだよ!」

「つーか、未だ始まんねえのかよ……いい加減、飽きるぞ。」


 いつまでも変な調子のアナウンスを続けるユリィと真琴に、バランタインがカイト弄りを一旦停止する。


「真琴先輩は忘れてるな。そろそろ本気で指導が入るから、もう始まるだろ」


 カイトも弄られている、というより敢えて乗っているだけなので怒ることは無く、実況席を確認する。これから戦うのは現代の皇国では最強と目される部隊なのに、全く緊張を感じさせないカイトたちは戦闘の開始を待つのであった。

 お読み頂き有難う御座いました。

 次回予告:第255話閑話

 次回は閑話が入ります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 片手間でいいので、異世界に、飛ばされた冒険譚を書いてくれませんか?                忙しいのならいいんですけど
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