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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第2621話 合同演習編 ――炎神の系譜――

 合同軍事演習も間近となった事で打ち合わせやその最終調整のため皇都エンテシアへと呼び出されていたカイト。そんな彼はソラ達からの報告に適時指示を飛ばしながら日々を過ごしていたわけであるが、それと共に彼は軍部からの依頼による魔物の討伐。ユニオンとの調整の日々を過ごしていた。

 というわけで、合同軍事演習が直近まで迫った事によりユニオンの幹部達が皇都に集合しだした事を受け、彼はその一人にして皇帝レオンハルトとは遠縁の親戚にあたるバーンタインを彼の所へ案内していた。

 そこで彼はバーンタインと皇帝レオンハルトが古い知り合いであった事を知る事になるのだが、そのままの流れで皇帝レオンハルトとバーンタインが数十年ぶりに模擬戦を繰り広げていた。


「はぁっ……はぁっ……やはり、バーンタインは強いな……少しは追い付けたかと思ったのだが」

「はははは。そりゃ、こちとら戦うのが仕事だもんで。皇帝様に負けてちゃ立つ瀬がねぇですよ」


 最終的になのだが、やはり皇帝レオンハルトでは八大ギルドの長にしてユニオンでも有数の猛者であるバーンタインには勝てなかった。が、それでもバーンタインも汗一つ掻かずの勝利というわけではなく、ランクS冒険者とそこそこ良い勝負をした程度には汗を掻いていた。というわけで、彼が称賛を送る。


「ただま、やっぱあんたは皇帝にしとくにゃ勿体ない。そんだけの強さがありゃ冒険者としてもやってけたでしょうに」

「ははは……はぁ。ふぅ……流石に疲れた」


 大の字になり寝そべる皇帝レオンハルトであるが、一切の虚栄無く疲れた事を明言する。まぁ、本来守られる立場である彼がバーンタインと良い勝負が出来る時点でおかしいのだ。疲れるのは仕方がない事だろう。


「陛下。こちらを」

「っと……マクダウェル公。合図、助かった」

「いえ……それとお見事でした。持久力の面の増大であれば陛下の方が一枚上手でしょう」

「ふむ……火力と総合力。求める物の差か」

「そんな所かと」


 自身から返却されたコインを懐に戻す皇帝レオンハルトの言葉に、カイトは一つ頭を下げる。そうして小休止を挟んだ後、皇帝レオンハルトは立ち上がった。


「ふぅ……バーンタイン。急な申し出ですまなかったな。それと、久しぶりに手合わせが出来て嬉しかったぞ」

「はぁ……あんたが強引なのはいつもの事でしょうに。ただま、あんたも変わらなくて良かった」


 やはりバーンタインも何十年と冒険者をやっていると、元々は武名を轟かせた貴族がブヨブヨと贅肉が垂れ下がっているのを見る事は少なくなかった。それに対して皇帝レオンハルトは数十年前よりも腕を上げるような成果を見せており、そういった雑多な貴族達とは一線を画していた。というわけで、少し恥ずかしげながらも嬉しそうな顔を見せるバーンタインに、皇帝レオンハルトも嬉しそうだった。


「そうか。これでも日に最低一時間は訓練の時間を取っている。まだまだ現役でも通用しそうか」

「やめといた方が良いですぜ、流石に……後ろの叔父貴やハイゼンベルグ公が何を言うか」

「わかっている。単に言っただけだ」


 やはり若い頃の知り合いだからだろう。皇帝レオンハルトはバーンタインの言葉にどこか子供っぽく拗ねるような様子を見せる。


「そうですかい……とはいえ、元々<<炎武(えんぶ)>>が使えていたのは俺も知ってましたが。あの頃より随分と強くなったもんです」

「マクダウェル公のおかげで、俺も基礎の基礎からやり直す事が出来たのでな。公に聞いたが、やはり西側でもいくらか技術が失伝してしまっていたみたいだな」

「みたいで」


 これについてはカイトその人が指摘していたため、バーンタインとしても認めるしかなかったようだ。というわけで、実は皇帝レオンハルトが神殿都市の<<(あかつき)>>支部に手を出したのはバーンシュタット家から失伝した<<炎武(えんぶ)>>の技術を学ぶためだった。というわけで、ひとしきりの雑談が交わされた所でハイゼンベルグ公ジェイクが口を開いた。


「陛下……ご満足されましたかな?」

「ハイゼンベルグ公……ああ。おおよそ、今の自分がどの程度食い下がれるかは理解出来た」

「それは結構……ですが今後は一度ご相談の上、このような事はして頂ければ」


 一応、歴代皇帝に仕える身としては掣肘しておくのが筋だろう。そう判断したハイゼンベルグ公ジェイクは皇帝レオンハルトに対して一つ諫言を行っておく事にしたようだ。これに皇帝レオンハルトも一つ頷いた。


「わかっている。俺もバーンタインぐらいでなければやらん」

「は……それで、これから如何がなさいますか」

「とりあえず俺もバーンタインも一度身だしなみを整える必要があるだろう。まだ時間はあるな?」

「ここは外より若干、時の進みが早いですので……今から用意を整えても間に合うかと」


 ハイゼンベルグ公ジェイクは腕時計を確認し、今なら十分身だしなみを整えてさも何事もなかったかのような様子で謁見が可能であると判断する。


「そうか……ならば一旦身だしなみを整える。マクダウェル公。改めてで悪いが、バーンタインを謁見の間へ案内してくれ」

「かしこまりました」


 皇帝レオンハルトの指示に、カイトは一つ頭を下げる。そうして皇帝レオンハルトは足早に修練場を後にして、支度に入る。


「はぁ……相変わらず強引な人だ」

「それが貴族……為政者というものなんだろう」

「違いねぇ……で、叔父貴。俺はこれからどうすれば?」

「とりあえず一度シャワーでも浴びて身だしなみを整えてくれ。時間に関しては問題無いだろう。記者の前で汗だくの格好で出たいのなら、それでも良いがな」

「そりゃごめんだ」


 カイトの少し冗談めかした言葉にバーンタインが笑って応ずる。そうして、一同は改めて身だしなみを整える事にして皇帝レオンハルトとの謁見に臨む事になるのだった。




 さて皇帝レオンハルトとバーンタインによる模擬戦からおよそ三十分ほど。両者はひとまずシャワーを浴びて汗を流し、その間に改めて服装を整えてもらいとして何事もなかったかの様に振る舞っていた。

 というわけで、こちらも軍の兵士に偽装したカイトはバーンタインを謁見の間まで送り届けると、記者達による撮影会じみた光景を尻目に次の所へと向かっていた。と言っても、次の所と言っても今度はアイナディスの所だ。


「ふぅ……あら、カイト。バーンタインの方は良いのですか?」

「あっちは終わった。支部への届け出とかも終わってるから、後は謁見を終わらせて貰えば<<(あかつき)>>のここでの仕事は終わりだ。後は誰でも出来るから、オレはこっち」

「そうですね……では、他の八大の動きについて」


 紅茶を飲んで優雅に過ごしていたアイナディスであったが、カイトが戻ってきた――彼女はフロイライン邸に宿泊していた――事もあり仕事に取り掛かる事にしたようだ。というわけで、彼女は<<(あかつき)>>以外の八大ギルドの情報を報告する。


「<<(あかつき)>>とウチについては今更でしょう。バーンタインは先ごろ到着していますし、私はこの通りですから」

「そうだな……バルフレア達について、その後の続報は?」

「つい先程。気象などに荒れは見受けられず。この調子で進めれば、予定より少し早い時間に到着出来そうだ、との事です」

「そうか……ならこっちで陛下の予定調整に動いておこう」


 今のカイトの仕事は八大ギルドの面々と皇国上層部の予定やらの調整だ。なのでバルフレアらが定刻通りに到着出来るのであれば、その様に手配してもらうだけだった。


「それが良いでしょう……ああ、それでクズハ様から連絡がありました。<<魔術師の工房ウィッチーズ・クラフトワークス>>のフィオルンが来た、とのことです。何かご存知の事は?」

「ああ、フィオのお母さん……ティエルンさんを見付けてな。今マクダウェル家に逗留してもらっている。元々フィオからの依頼で探していたから、先に会ってきたんだろう」

「なるほど」


 それなら先にマクスウェルに寄っているのも納得出来る。アイナディスはフィオルンの動きに納得が出来たので、それで良しとしたらしい。というわけで、彼女は<<土小人の大鎚(ドヴェルグのおおづち)>>に言及した。


「それで<<土小人の大鎚(ドヴェルグのおおづち)>>ですが、こちらはやはり鍛冶師達の連合に近いので今回は大々的な参加は見送る、との事です。まぁ、参加してもしなくてもいつもの事、という所でもありますが」

「それもそうか」


 <<土小人の大鎚(ドヴェルグのおおづち)>>は鍛冶師達で作られた連合に近い。なので鍛冶師だから所属している、というだけの者も少なくなく、統一した動きは難しい所があった。が、冒険者が参加する以上彼らも支援役として参加する者は少なくなく、ギルドとして協力しなくても問題はさほどなかった。


「で、後は<<熾天の剣(してんのつるぎ)>>と<<知の探求者達(シーカー)>>ですが……」

「<<知の探求者達(シーカー)>>については演習場の設営の段階から協力してくれているから問題はないな。一足先にジュリウスがエンテシア砦に入っていたはずだ」

「ですね。こちらについては敵ですが……」

「楽しくなりそうだな」

「そう言えるのはあなたぐらいなものでしょう」


 カイトの返答にアイナディスが笑う。実際、八大ギルドの長と戦えるのが楽しみだ、と言える冒険者は滅多に居ない。が、カイトがこう言うのも理由があった。


「滅多に無いぞ? 八大ギルドの長がここまで揃って、しかも敵味方に分かれて配属されてるなんてな」

「まぁ……そうですね」

「なら、存分に楽しみにさせて貰うさ」


 そうですか。カイトの返答にアイナディスが笑う。というわけでフィオルンに関してはこれで良いか、と最後の一つである<<熾天の剣(してんのつるぎ)>>について言及した。


「で、<<熾天の剣(してんのつるぎ)>>はクオンが来るそうだが……まぁ、あそこの飛空艇は速度が速度だからな。遅れる事はないだろう」

「何より来たらこちらに来ますか」

「だろうな……もし来たら連絡を寄越してくれ。陛下の予定をいつ空けられるか、とか調整する」

「わかりました」


 基本的にクオンもアイナディスと同じくフロイライン邸の客間に泊まる事が多かった。なので今回もそうする予定だろうし、そうなるとアイナディスが見かけない道理がなかった。というわけで、カイトはバルフレア達の調整に動く事にして、改めて皇城へ戻る事にするのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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