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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第96章 冒険者達編

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第2523話 冒険者達 ――次の旅――

 賢者ブロンザイトの実弟にして冒険者であるカルサイトの要請を受け、『アダマー』という街で暗躍する裏ギルドの調査に赴いていたカイト以下ソラとトリン。

 そんな彼らは裏ギルドに狙われていたソーラ達から事情を聞き、それを基にして双子大陸のヴァルタード帝国やらと連携する事で裏ギルドを裏から操っていた<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>という非合法組織の撃退に成功する。

 が、組織そのものの根絶が出来たわけではない事を受け、ソーラ達は一旦は冒険部傘下として活動する事となり、ソラはそんな彼らを指揮下に加える事になっていた。

 というわけで、更にブロンザイトの後始末も兼ねてカルサイトもまた冒険部に協力する事が決定して少し。おおよその方針が固まった事で一同はマクダウェル領へと帰還を行っていた。


「てな塩梅だ。ひとまずマクスウェル支部にはこっちから話を通す。そっちも本部権限で<<太陽の牙>>の情報の移動を制限させてくれ」

『わかった。まぁ、基本マクスウェルから移動しなければ情報は本部とマクスウェル支部でしか移動せん。さらにはマクスウェル支部の情報を閲覧しようとしたなら、そこから敵の動きを掴む事も出来るだろう』

「だな……まぁ、それについてはそっちに対応は頼む。こっちはこっちで対応するが……」

『わかっている。ユニオンの内部の内通者についてはこちらが対応するのが筋だ。こちらでやっておこう』


 カイトの言葉にレヴィは一つはっきりと請け負った。今しがたカイトが行っていたのはソーラ達の情報の隠蔽だ。カイトは決してユニオンから<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>への内通者が今回の一人だけとは思っていないし、勿論レヴィもまだ居るだろうと考えている。そんな内通者にソーラ達の事を調べられてはせっかく動きを隠そうとしているのに意味がなかった。


『それで。結局の所ソーラは良いとして他の面々はなぜ<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>に狙われている』

「それについてはさっき語った通り、ミネアという女性が<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>幹部の娘らしい。妾の子らしいが」

『ふむ……<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>の幹部の情報は少ない。彼女から自分の情報を掴まれない様に消そうとしている、というわけだったな』


 ここらについては先程報告があった通りか。レヴィは改めての確認に一つ頷く。そしてそうなると、該当する人物は限られてきた。


『確かミネアとやらは二十代の女性という事だったな?』

「ああ。さっき会いに行ったが、それぐらいだと思う」

『となると……ふむ。<<白い影の子供達(ホワイト・シャドウ)>>幹部の中でそれぐらいの娘が居て不思議のない男はそう居ない』

「何かわかるのか?」

『完全に情報が無いわけではないからな』


 カイトの問いかけにレヴィは一つ頷きながらも、はっきりとした所は明言はしなかった。まだ該当する人物が多いため、はっきりとした所は言えなかったのだ。


『が、おおよそまだ確定した所は出せん。暫くはヴァルタード帝国との間で情報のやり取りをしながら、という所だろうな』

「そうか……一度ぐらいは双子大陸に行かないと駄目っぽいかね」

『そうなるだろう……流石に貴様もあの実験施設の研究資料が残ったままというのは後味が悪いだろう』

「まぁ……な」


 あの研究所で行われていた実験はほぼすべてが非合法なものだ。更に言うとマクダウェル家として不利益になる物もある可能性はあり、マクダウェル家として対処する事が望まれた。


「後味が悪い、というだけで消したいわけじゃないが……消した方が良い資料があるかも、って一点は注意するに値するか」

『だろう……どちらにせよ、動くべきではあるだろう。大義はある』

「か……了解。とりあえずヴァルタード帝国とのやり取りはウチ、ユニオンの対応はそっちに任せる。暫くは動きが活発になるだろうからな」

『わかった。そちらも任せた……わかっていると思うが、ヴァルタードの連中にはソーラ達の動きは伝えるなよ』

「わかってる。向こうもこっちが保護した事がわかりゃ、特段気にしはせんだろう」


 レヴィの返答にカイトは一つ頷いた。なぜミネアが狙われるか、というのははっきりとした所は定かではないが、件の幹部が自分の正体の露呈などを恐れている事は理解出来た。となるとユニオンの本部が動き彼女を保護したのであれば、幹部としては座視はしていられないだろう。

 必ずミネアの居場所を掴もうとユニオン内部にまだ居るだろう内通者を使って情報を探ろうとする事が察せられた。ならば、レヴィはその動きから逆算して幹部の動きを察知するのが役割だった。


『ならば良い……どうせそう言っても向こうも探りを入れてくるだろうがな』

「それはわかってる……ま、ウチと本気で真正面でやりあおうってんなら話は楽で良いんだがね」

『ふ……そうだな。まぁ、流石にどこの非合法組織だろうとマクダウェル家と正面切って戦う根性がある奴は居ない。単体も強いが横も強い。そこが動くと、と考えると正面からはな』

「あっははは……あくまでも正面切ってくるなら、って話だ」


 楽しげに笑うレヴィに合わせ、カイトもまた楽しげに笑う。というわけで一通りの打ち合わせを終えた後、カイトはユニオン本部との通信を終わらせる。


「ふぅ……」

『マスター』

「うん? 何かあったか?」

『ノー……といいますかイエスと言いますか。マザーから連絡が入っています。どうします?』


 今回は自身が後方支援役となっていた事とソーラが居る事がわかっていた事もあり、ティナは動く必要がなかったのでマクスウェルにていつも通りの活動をしてくれている。なのでよほどの急ぎなら通信に割り込んでくる事もあるが、そうでないのなら特段急ぎではない、という事だった。そしてカイトもすでにやり取りは終わったので問題ないし、通信出来る環境に居るのだ。拒む理由が特に見当たらなかった。


「その口ぶりだと別に急ぎでもなさそうだが……まぁ、せっかくだ。繋いでおいてくれ」

『イエス……どうぞ』

『カイト。聞こえとるな』

「おう……なんだ? その口ぶりだと別になんかヤバいネタってわけじゃないんだろ?」

『うむ。特段急ぎの話は……うむ。無いのう。一応合同軍事演習の日取り確定させたいんで連絡よこせ、とハイゼンベルグ家から連絡があったぐらいじゃぞ』


 ここ暫くアウラが中心となりハイゼンベルグ家とやり取りしていたのは『子鬼の王国(ゴブリン・キングダム)』事件の時から言われていた事だ。

 そして各地の貴族で行われていた単独の軍事演習もあらかた終わりつつあり、問題点も見えてきた所だろう。なのでその問題点を踏まえ、次に動こうと考えていたのであった。


「ああ、それか。それだが今しがた本部のレヴィとも話したんだが、遠征の前にやっておきたい、ってバルフレアが言ってるんだと。最終調整だな。遠征を遅らせても良いから、って言ってるそうだ」

『本部の連中と八大も参加すると?』

「みたいだ……確かに八大が参加するのに、八大合同で今まで一度も演習なんて行った事がなかったからな。遠征も睨めば今回の参加者で演習したい、ってのは不思議じゃない」

『ふむ……そういや八大全部が参加する演習なぞ聞いた事がないのう。預言者の献策かのう』


 筋は通っているし、そもそも冒険者ユニオン全体で動こうというのに確認も無しでぶっつけ本番。しかも相手は<<死魔将(しましょう)>>になるのだ。負った被害などを考えれば可能な限り準備をしておこう、というのはわからないではなかった。


『ま、良いわ。それならおそらく爺さまあたりにも連絡が入っとろうて。で、希望日は?』

「特に無い。依頼とかとの兼ね合いを踏まえて決定してくれ、って伝えておいてくれ。後は吉日か」

『わかった……っと、それが連絡した本題ではない』


 そもそもこの話が出たのは急ぎがあるか、という問いかけに対して出たものだ。なのでこれが本題ではないのは最初からわかっていたことだ。


『本題としてはエンテシアの魔女に関する話じゃ』

「あれか……なんだ? まさか向こうから連絡が」

『あるわけなかろう。余の一族じゃぞ』

「ですよねー」


 自分の言葉をばっさりと切り捨てたティナの返答に、カイトは笑って言ってみただけと告げる。とはいえ、そんなものはわかりきっていたのでこちらから探していたわけだし、情報も集まっていた。


『アンブラから連絡じゃ。領内の地質学者仲間から似た女性を見かけた、という報告じゃ。目撃証言は一週間前。そこで話したそうじゃが、一ヶ月はおるつもり、とのことじゃ』

「やっとか……動き回りすぎなんだよ……」


 一応、今までも何度かフィオルンの母ティエルンの目撃情報があったわけだが、それで遣いを送ったり調査の人員を派遣したのであるが、その時にはすでに居なくなっていたというのが大半だった。一応痕跡などから高確率で当人だろうというのがわかっていたが、そこからが掴めていなかった。


『仕方がなかろう。魔女の痕跡を探そうなぞ、並大抵のことでは出来ん。なにせ自分で自由に動けるからのう』

「里があるんだから里に留まっておいてくれや……」

『余の時点で里におらんからのう』

「あっははは……はぁ。わーった。場所は?」


 若干やけっぱちに笑ったものの、カイトは気を取り直す事にしたようだ。


『マクダウェル領西部。ジーマ山脈付近で採掘やっとるっぽいという話じゃ』

「近いな」

『うむ……どうする?』

「どうするもこうするもあるかよ。行く一択。これ以上動かれてたまるか」

『じゃな』


 せっかく見付かった一人目だ。これ以上動き回られる前にさっさと捕まえたい所であった。というわけで二人はそれに同意するのであるが、それならとティナが告げる。


『っと、そうじゃ。それならじゃが、アンブラが連れてけー、といつもの調子で言っとったぞ。どうにもその地質学者仲間と話したのはちょうどあやつもそちらに向かう用事があったのでというらしいな』

「別にオレは問題ないが」

『余も問題ない』


 カイトとそうである以上、ティナもアンブラとは長い付き合いだ。なので二人共別に何か気にする必要はないか、と判断したようだ。というわけでカイトはその後帰り次第即座にエンテシアの魔女が一人ティエルンの探索に出る事を決め、ティナにはその手配を頼む事にするのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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