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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第96章 冒険者達編

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第2495話 冒険者達 ――帰還と出立――

 魔術都市『サンドラ』における数々の出来事を経て、マクスウェルへの帰還の途に着いたカイト。そんな彼はマクスウェルに戻りティナに購入した本の数々を任せると、そのまま即座にマクダウェル公爵邸へと足を運ぶ事になっていた。


「椿。報告を」

「はい……まず現状ですが、事態は思った以上に深刻な様子です」

「わかっている。カルサさんが不意打ちを食らうなんて、並の相手じゃ不可能だ……思った以上にヤバいヤマを引き当てたみたいだな」


 椿の差し出した報告書を見ながら、カイトは真剣な顔でそれを読み込んでいく。彼がここから取り掛かるべきなのは、ソラ達の支援だった。


「ふむ……まず飛空艇についてはこれで良い。重戦艦を使うわけにもいかんからな」

「操縦に専門の人員が必要となりますが、そちらは?」

「アイギスに頼む。最悪の場合は強行着陸もあり得るし、今回は事の性質上司令塔としての役割が欲しい」


 今回、現地のユニオン支部は基本頼れない。なのでソラ達は独自に動くしかないのだが、そうなると相手の戦闘力等を鑑みると撃破される恐れも高かった。

 が、それを危惧してカイトが乗り込めば、今度は警戒を生みかねない。それらを鑑みてカルサイトはカイトによる直接的な支援ではなく、ソラとトリンによる現地の支援とカイトによる後方支援を依頼してきたのであった。


「今回は敵戦力が些か看過できない領域だ。即座に介入するとなると、ホタルよりアイギスの方が良い。そう判断した」

「かしこまりました……その上で一つ疑問なのですが……」

「何かあったか?」


 椿の問いかけに、カイトは書類から顔を上げて首を傾げる。


「いえ……この備品の中に含まれていたソラ様用のウェポンパック。これは一体……」

「ああ、それか。今回はいくつかの事態が想定されている。ちょうどソラにはウェポンパックの使い方に慣れて貰っている所だ。支援もいくつかのパターンに分けて想定している。速攻を仕掛ける必要がある場合には使えるか、と思ってな」

「なるほど……それでこの飛空艇と」

「ああ……まぁ、これについては完全に試験運用の向きもある。よほどが無い限り試験運用の域に留めるつもりだ」


 どうやら今回選択した飛空艇はそこそこ特殊なシステムを有するものだったらしい。椿も話を聞いて納得出来たようだ。そうして一つ語ったカイトであるが、そこに声が響いた。


「ま、そうして貰いたいもんだね。あれは一応そういう想定で作ったものだけどさ」

「オーアか。調整は?」

「ちょうど終わったよ。一応、ソラにもそいつの使い方を踏まえた上で話してやったところ」


 カイトの問いかけにオーアは一つ頷いて、椅子に乱雑に腰掛ける。


「まずソラ達だけど、基本は問題ない様にしてやったよ。交戦も十分可能……は可能なんだけど、そんな事態になっちまったらどっちかっていうと逃げた方が良いよ」

「そりゃ、わかってる。その上で必要に応じてって話だ」

「それなら良いんだけどね。ぶっちゃければあれは近接戦闘にまるっきり向いてない」

「そりゃそうだろ。あれで近接戦闘が出来る奴がいれば聞いてみたいね」

「あんたぐらいなもんだねー」


 カイトの指摘にオーアもまた楽しげに笑う。どうやらそれぐらいには重装備らしいのだが、それ故にか使い勝手は相当に悪いらしかった。というわけでひとしきり笑ったオーアが問いかける。


「まぁ、それはそれとして、だよ。とりあえず一つ聞きたいんだけど、その場合はカルサイトさんが前線って事で良いんだな?」

「それか、現地の冒険者に支援頼むかだな……どうなるかは現状未定だ」

「そうか……まぁ、とりあえずソラには近付かれない様に十分注意する様に告げてる。可能なら総大将もソッコーで支援に入った方が良いよ」

「そうするつもりだ」


 オーアの助言にカイトは一つ頷いた。そうして、更にしばらくの間二人は今回のソラの装備について話し合う事になるのだが、それもそこそこの所でカイトの執務室にノックが響いた。


「ん?」

『カイト、俺だ。入って大丈夫……なのか?』

「ああ。鍵は開いてるから、入ってくれ」

「おーう……やっぱ慣れねぇなぁ、そうやってると。いや、そうやってるのが正しいんだろうけど」


 現在カイトは自分の執務室という事もあり、いつもの偽装を解いて本来の姿で仕事をしている。が、それはソラからすればやはり見慣れぬ姿で、今でも若干やり難いらしかった。これにカイトは笑う。


「慣れてくれ、としか言えんよ……今しがたオーアから報告は聞いた。あれについては使いにくいだろうが……」

「大体はわかったから良いよ。あれはタイマン張る為のもんじゃねぇよな」

「そういうことだな。あいつは流石にタイマンは張れない」


 どうやらそれほどの規模の装備を用意していたらしい。ソラの理解に対してカイトも一つ頷いた。


「だよな……よし。で、それはそれとして。カルサイトさんの件だけど」

「それか……そうだな。椿、ユニオンから送られてきた資料を」

「かしこまりました」


 カイトの指示を受けて、椿がソラへと一通の封筒を差し出す。それはユニオンが厳重に管理する部署が秘密裏に発送する封筒で、蜜蝋等も専用の物が使われていた。その中をソラは確認する。が、そうして彼は首を傾げる事になった。


「えっと……あれ? どこにカルサイトさんが居るかって書いてないぞ?」

「当たり前だ。ユニオンの調査員で今は匿われているんだ。基本的にはどこに居るか、というのではなくどうやれば接触できるか、という形で書かれている。直に行ける様になっているのは非常に稀だ」

「そうなのか……」

「ああ。だからそこに書かれている方法を全部暗記しておけ」

「マジか……」


 結構面倒くさいんだな。ソラはカイトの言葉にどこか嫌そうな顔をしつつも、仕方がないので一通り覚える事にする。


「……良し。大体覚えた。このメモって……」

「持ってけるわけないな」

「だよなー」


 このメモさえ読めば、誰でもわかるのだ。隠している意味がなかった。というわけでカイトの返答に笑ったソラであるが、一転気を取り直す。


「ま、そりゃしゃーないか。で、カイト。お前も来るは来るんだよな?」

「ああ。ただし、オレは万が一の増援部隊を率いての参加だ。だから基本はお前とトリン、カルサさんが現地で調査して、必要に応じてこっちも人員を出す形になる。相手は裏。何が起きるかわからんし、戦力がどの程度かもわからん」

「裏ギルドねぇ……」


 また厄介な相手が来ちまったもんだ。ソラはカイトの言葉を聞きながら、今回の事件について詳細を思い出す。


「確か今回って元々はカルサイトさんが裏ギルドに内通してるっていう内通者を探ってたってのが始まりだよな?」

「ああ。より正確に言えばユニオンの内部に潜んでる内通者の調査だな」

「冗談キツイな……」


 頼るべきユニオン内部に内通者だ。ソラはカイトから改めて聞かされる話に盛大にため息を吐いた。が、それだけで終わらなかったからこそ、今があった。


「まぁ、それについてはそこまで珍しい話じゃない。どうしてもユニオンは規模がでかい。内通者とかが入り込んじまう隙間は存在している……それに対応する為に、カルサさんみたいな調査員が居るんだが……」

「今回は向こうの方が一枚上手だった、か」

「ああ。場所柄も悪かった」


 ソラの指摘にカイトはため息一つ、首を振る。そうして、彼は改めてソラに場所を語る。


「場所はかつてお前が囚われたミニエーラ公国の更に南西。海沿いにあるエネシア大陸南部の国アールデゥ。その北部に位置している『アダマー』という街だな。迷宮(ダンジョン)を中心として発達した都市で、冒険者達が多く滞在している」

「『アマダー』……あれ? そういやさっきあった資料には別の街が書かれていたような……」


 そうだった。そう思ったソラであったが、ふと違和感に気付いて改めて資料に視線を落とす。そうして見てみた資料にはやはり別の街へ行く様に指示が書かれていた。


「あれ……やっぱそうだ」

「書かれているのはカルサさんが匿われている街……というか首都『アールデゥ』だな。基本各国の首都にはユニオン本部直轄の病院がある。支部の職員も正確な場所を知らないようなな」

「もう本当に内通者が居た場合に備えてます、って場所なのか」

「そういうことだ。だから場所は支部の職員も知らない」

「……ん? ってことは皇都エンテシアにもあるのか?」


 各国の首都に本部直轄の病院がある。そう聞いたソラであるが、それならと少し気になったらしい。これにカイトは一つ頷いた。


「ああ。後は特例的なんだが、マクダウェル家もその役割を兼ねている」

「そうなのか?」

「ああ。そもそも皇国はでかいからな。特例的に大国と呼ばれる国にはいくつかの拠点がある……その中でもウチは超特例って所だ」

「まー……攻め込めねぇよなぁ……」


 特に今になっちゃ。ソラはカイトの言葉にそう思う。なにせエネフィアで最強の貴族と呼ばれるマクダウェル家だ。その上、マクスウェルで悪事を働こうものなら出てくるのはクオンをトップとした<<熾天の頂き>>だ。しかもトップがクズハである為、アイナディスも動く可能性がある。横のつながりが強すぎて、ここに運び込まれた時点で裏ギルドも諦めるらしかった。


「ま、そりゃ良い……とりあえず話を元に戻すと、『アダマー』は冒険者達が多く滞在している街だ」

「ただしどれが裏ギルドに内通している冒険者かはわからない、と」

「そういうわけだな」


 なにせ容疑者が大量なのだ。どれがそうなのだ、と当たりをつける事も難しかった。


「わかった……と、言ったは良いんだけどよ。結局、俺は何すりゃ良いんだ? カルサイトさんの増援、ってぐらしか俺何もわかってないんだけど」

「基本は一介の冒険者として活動すりゃ良い。内通者の調査はカルサさんが引き続き行う。まぁ、詳しい話は現地でカルサさんに聞いてくれ。その方が良い」

「それもそうか」


 ここであれやこれやと話していても、そもそもカイトも書類に書かれている事をソラに話しているだけだ。持っている情報としてはソラと大差はなかった。


「ま、一応オレは街の外に飛空艇を控えさせて待機してる。万が一の場合には数分以内には増援に駆けつけられる」

「わかった……他に何かあるか?」

「今の所はないな……オーア。お前からは?」

「あー……まぁ、ないっちゃないんだがねー」


 何かあったかなー。カイトに話を振られ、オーアは少し思い出すような素振りを見せる。そうして、そこからしばらくの間一同はあれやこれやと今回の任務に関する打ち合わせを行う事にするのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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