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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第92章 コンベンション編

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第2322話 コンベンション ――飛空術――

 天桜学園で建造中の研究施設へ導入する設備の購入の参考にするべくリデル領リデル郊外で開かれるコンベンションに参加したカイト率いる冒険部。そんな中でカイトはティナ・灯里ら技術班に設備の視察を任せる事にすると、自身は同じくコンベンションで紹介されている戦闘用の各種兵装や魔道具の類を確認するべくソラ、瞬の両名と共にそのエリアへ足を運んでいた。というわけで一番最初に足を運んだのは、魔導鎧の拡張機能に対応したウェポンパックと呼ばれる拡張機能を紹介している一角であった。


「うお……すっげ……飛翔機こんなあるのか」

「本当に色々とあるな……形状も様々だし、噴出孔の数も統一されていないし……」

「ここらは本当にしっかりと見ておかないといけないところだな。魔導鎧のバランスにも影響してくるし、噴出孔が多ければ良い、というわけにもいかん」


 とりあえず三人が最初に見たのは、飛翔機だ。やはりソラや瞬の領域になってくると空を飛ぶ魔物との交戦は念頭に置かねばならず、対人であれば飛空術や飛翔機付き魔導鎧を装着している者との戦いも視野に入る。結果、飛翔機のオプションは見ておかねばならない物の一つだった。


「飛翔機の噴出孔を増やすと魔力どか食いするもんなぁ……」

「使った事あるのか?」

「うっす……実験体で何度か」

「そうか……」


 基本軽鎧を使うため飛翔機は取り付けられない瞬なので、ここらの使用感については特に興味はなかったらしい。そしてソラとしても飛翔機のオプションは数あるオプションの中でもかなり高価な部類に入るので最初から購入意欲はないらしい。話はこれで終わりとなっていた。


「オプションかぁ……飛翔機、良いんだけどなぁ……欲しいっちゃ欲しいんだけど……」

「高いな、やはり」

「そっすね……」


 苦笑いの瞬に、ソラもまた苦笑いで応ずる。飛翔機のオプション一つで大凡日本円に換算して二桁万円というところだ。確かにランクA相当の冒険者の依頼であれば、一度に数十万、多ければ数百万という事もある。かといって、そう安々手を出せるものではなかった。


「んー……なぁ、カイト。一つ意見聞きたいんだけど、良いか?」

「そのために居るからな。なんだ?」

「飛翔機と飛空術、どっちの方が優れてるんだ?」

「それは考えるまでもなく飛空術だ。無論、飛空術にも幾つか種類があって、それ次第というところではあるけどな」


 ソラの問いかけに、カイトははっきりと飛空術が優れていると断言する。というわけで、彼は飛翔機の話をするためにも飛空術の話をする事にした。


「そうだな……二人は飛空術について、どの程度把握してる?」

「飛空術……空中を舞うための魔術だとは聞いている。が、その系統は幾つもあって、それらを総称して飛空術と呼ぶのだったか」

「ああ……そうか。先輩の場合、ウルカで聞いていたか」

「ああ。あっちだと自分で飛ぶ方が多かった……そういえばそれだからなのか魔導鎧は見なかったな」


 だから魔導鎧についてあまり知らなかったのか。ソラは瞬の言葉にそう思う。そしてここらについては地域性などもあるらしく、その地域性はカイトもわかっていた。


「ああ、ウルカは暑いからな。しかも基本の活動地域に砂漠が含まれる。あまり魔導鎧は好まれないんだ。足場が悪い事もあり、踏ん張りが効かない事も大きい」

「あと、細かいところに砂入るとものすっごい手入れ大変なんっすよ」

「そうなのか」


 やはり使用者だからこそわかる事があるらしい。口を挟んだソラの言葉に瞬はウルカで魔導鎧が好まれない理由を理解して感心した様に頷いた。これに、カイトもまた頷いた。


「ああ。メンテナンス性の悪化は冒険者として見過ごせん要因だ。これについては言うまでもないだろう……だからメンテナンスに時間が掛かる飛翔機付き魔導鎧というのもウルカでは好まれない。それに反比例して、飛空術は逆に発達していると言えるだろう」

「そういう事なのか……確かにバーンタインさんはウルカは飛空術が盛んだし、砂漠で勢い出すと気持ち良いぞー、とか言ってたが」

「あっははは。そこらはおっさんの血筋かもな。おっさんも火照った身体で大空を飛ぶと気持ち良いんだ、って言ってた」

「そうか」


 カイトから教えられたバランタインの話に、瞬も少しだけ笑う。とまぁ、それはさておいて。カイトは気を取り直す。


「っと……話が脱線したな。それで飛空術の系統だがわかりやすく説明するとロケット型、跳躍型、反重力型、概念型の四つだな」

「なんとなーく、理解出来た。なんとなくだけど」

「あはは……まぁ、この四種類はあくまでも大別出来るって話だ。ざっくばらんに、ってところだから完全にこれに分けられるというわけじゃない」


 ソラの返答にカイトは一つ笑ってこの区分が大別である事を明言しておく。そうして、彼は想像しやすい様に実例を挙げる。


「まずロケット型。これはアルとルーファウスが該当する。利点は操作が簡単な事だな。出すか出さないか。出すにしてもどの程度の出力で出すか、という出力操作で飛翔する」

「減速はどうやるんだ?」

「それがこのロケット型のデメリットでもある。ロケット型は出力の操作で減速するから、減速は苦手だ」

「……つまり減速は殆ど考えてなくね?」

「考えてないな。どっちかっていうと出力を絞ってって減速だから、ジェット機とかと似ているかもしれんな」


 思わずツッコまざるを得なかったソラの言葉に、カイトもまたはっきり頷いて地球での例を口にする。とはいえ、これで二人も想像が出来たのか、大凡疑問は解決というところであった。というわけで、カイトは次の飛空術に焦点を合わせる。


「で、次。跳躍型。これはリィルがロケット型との複合で使っている……どちらかといえば先輩もこれが良いかもしれないな」

「そうなのか? どんなのなんだ?」

「ざっくばらんには<<空縮地(からしゅくち)>>の連続だ。地面を蹴る様に虚空を連続して蹴る……故の跳躍型というわけだ。が、飛空というからにはそれに合わせて飛距離を伸ばせる様にしている。なので滑空型と言う者もいる」

「跳んだ後に緩やかに降下する、というわけか」

「そういうこと」


 自身の説明で大凡を理解した瞬に、カイトは一つ頷いた。そうして、彼はこの跳躍型のメリット・デメリットを語る。


「この跳躍型のメリットは瞬間的な速度であれば随一だというところか。まぁ、<<空縮地(からしゅくち)>>と原理的には同じなのだから当然だが。デメリットは言うまでもなく超長距離の飛翔には向いていない」

「まぁ……無理だろうな」


 <<空縮地(からしゅくち)>>であれば瞬もすでに熟達の領域には到達しており、長距離の移動には不向きである事は彼には自明の理であった。が、それでも別のメリットは見過ごせなかった。


「とはいえ、<<空縮地(からしゅくち)>>と似た様な形なのだったら、比較的習得は楽そうか」

「まぁ……楽といえば楽かもしれん。<<空縮地(からしゅくち)>>と似た動作で魔術を織り交ぜ、という体術と魔術の複合を行わなければならないから、それ相応には難易度はあるがな」

「そうか……それでも体術で補えるのならまだ悪くない」


 カイトの返答に対して、瞬は前向きな意見を口にする。まぁ、前向きなのは良い事だし、こればかりはやってみないとわからない。なのでカイトもそのままにさせておく。


「まぁ、そうだろうし、先輩はそういうだろうから先輩向きは先輩向きだ……で、次の反重力型。これはもう言うまでもないだろう。重力操作を行って飛翔する飛空術だな」

「これはまぁ……」

「別に何か疑問はない……な」


 反重力と言われればもう反重力しかない。なのでソラにせよ瞬にせよ疑問はなく、そんなものなのだろうと思うだけであった。これにカイトもまた笑う。


「あはは。そうだな。反重力といえば反重力。SFで語られるあれだ……メリットは概念型に比肩する自由度がある。デメリットはもう言うまでもなく難易度の高さだな。ただでさえ重力操作の魔術は魔術の中でも上位に位置するにも関わらず、それを使って飛翔しようとするんだ。難易度の高さは他二つとは比較にならない」

「「だろうなぁ……」」


 カイトの語るデメリットにソラも瞬も考えるまでもない、と遠い目で同意する。そして二人共これについては恐らく自分たちでは習得は難しいだろう、と考えていた。そして同様にカイトもまたこれは二人向きじゃないだろう、と考えていた。


「これについては流石に魔術師の中でも飛空術を学ぶ段階に到達した魔術師が使う飛空術だ。基本は近接戦闘の戦士が使うものじゃあない」

「そう聞いて安心した」

「全くだ……」


 基本、ソラも瞬も魔術はあまり得意ではない。まだソラであれば風属性。瞬であれば火属性と雷属性の二つはある程度得意としているのでこれらは問題はないが、それでも重力操作のような高い技術力を要求される魔術は無理だ。この領域を求められても困るしかなかった。


「だろうな……オレもこの反重力型を使える様になったのは魔術をある程度収めてからだ。飛空術の方が先だった」

「そうか……最後の概念型というのは?」

「概念型は飛翔・飛空という概念を自身に付与する事により飛翔しよう、という魔術だ。当然、概念を付与する事になるから先の三つと比較しても相当に難しい。が、それ故に使いこなした場合の自由度は比較にならん。さっきロケット型の説明の際、概念型を除いてと言った様に総合的な性能だけでなく特化した性能としても群を抜く性能を保有する」

「その代わり難しい、と」

「さっき言った通りな」


 瞬の言葉にカイトははっきりと頷いた。この概念型は謂わばすべてのいいとこ取りとでも言うような性能であるらしいのだが、それ故にこそ非常に難しい魔術を使わねばならないらしかった。


「まぁ、この概念型だが使えれば非常に便利で自由度の高い飛空術だ。オレが現在使っているのもこれだ」

「最終的には、そこに到れる様にするというところか」

「そうだな。最終的な飛空術の到達点がこの概念型だ。その自由度は概念型開発のきっかけともなる妖精族や天族など、異族としての特性に概念型の飛空術を有している種族にも匹敵する。天族や妖精族の様に自由に飛ぶ魔術、と考えても良いだろう」


 瞬の言葉に一つ頷いたカイトは、この飛空術についての解説を重ねる。そうして、彼が飛空術を総括する。


「まぁ、難易度順に並べるならロケット型、跳躍型、反重力型、概念型。自由度順に並べるのであればその逆と考えれば良い。難しくなればなるほど、飛翔時の自由度が上がるわけだ」

「そうか……で、この飛翔機だが……基本はロケット型と考えて良いのか?」

「そうだな。一般的に流通している飛翔機はすべてロケット型。ちなみに、飛空艇の飛翔機はロケット型と反重力型の複合だ」

「そうか」


 瞬は魔導鎧にオプションで取り付ける飛翔機の形状や噴出孔の数などを見ながら、一つ頷いた。と、そんな彼を横目に同じく飛翔機を見ていたソラがカイトへと問いかける。


「……なぁ、カイト。この円形のは? 噴出孔が見当たらないんだけど……」

「ふむ……これは反重力型だな。反重力を発生させて浮遊しよう、というわけだ」

「これが? ロケット型以外にもあったのか……」

「非常に稀だし……値段は考えたくもないな」

「……お前の予想、どんぐらい?」


 顔を顰めたカイトの言葉を受けて、ソラは興味本位で彼へと問いかける。ソラの見付けた飛翔機はまだ開発段階なのか値段については未記載で、詳しい値段は不明だった。が、先の話であれば相当高価だろうというのはソラもわかったらしい。興味本位であったが、カイトへと問いかける。


「大ミスリル何十枚……という世界だろう。これを買うなら飛空術の修行をするな……」

「だよなー……やめとこ」


 カイトの返答に苦笑いを浮かべたソラであるが、彼の考えとカイトからの返答にほぼ差はなかったので、これについては見なかった事にしたようだ。というわけで、それからも更に暫くの間飛翔機についての確認を行う事になるのだった。

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