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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第91章 新たな素材編

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第2305話 未知の素材 ――最後の作業――

すいません。投稿してないのに気付かず今まで寝落ちしてました。

 『振動石(ヴァイブ・ストーン)』を求めてルナリア文明の非合法組織の地下施設の更に下。非合法組織が採掘を行うために広げていた採掘場を探索していたカイト達。

 そんな彼らは『振動石(ヴァイブ・ストーン)』の鉱脈を見つけ出すと共に、かつての一件で洗脳による同士討ちから辛くも生き延びた者たちの作った脱出経路を探索する事になっていた。というわけで、崩落した地面の中に半ば埋没していた形で発見された掘削機の中でカイト達は軍の調査隊が回収出来る様に色々な作業を行っていた。


「よし……サブのマーカーの設置よし。これで万が一にも回収し損ねる事はないだろう」

『うむ。まぁ、幸いそいつを掘り出す際には魔導機も動かす。さほど問題にはならんじゃろうて』

「そういえば、そういった作業用の魔導機の開発ってどうなってるんだ?」


 一応なのであるが、魔導機もすべてがすべて戦闘用に開発されているわけではない。最終的にはある程度は民生品としての使用も考えられており、単に現状の必要性などから優先的に軍用機が開発されているだけだ。

 というより、軍用機と言うが重要なのは武装だ。武装さえ公開しなければ、別にベースは公開しても問題はない。というわけで、そちらの方面についての進捗をティナが報告する。


『おぉ、それか。とりあえずサリアとの間で話は進めておるよ。ヴィクトル商会にいつも通りベースを預け、そこから量産体制を整える形……じゃのう。飛空艇の時と同じじゃよ』

「いや、だからその進捗だって」

『進捗の度合いとしては別に取り立てて報告する必要も無いかと思っておったんじゃが……聞くか?』

「まぁ、報告の必要性は確かにない。別にウチが作ってるわけじゃないからな。興味本位だ、興味本位」


 僅かな意外感を見せたティナに、カイトもまた単なる興味本位で聞いている事を明言する。これに、ティナもまぁ別に良いか、と特段隠す事もなく明かしてくれた。


『とりあえず、各種の用途に合わせた簡易型は半分ほど完成しておる……という所かのう。ああ、わかっておるじゃろうが、開発しておるのは半魔導機。量産型じゃぞ?』

「そりゃわかってる。流石にフルで魔導機作ったら費用対効果が一気に悪化するからな。採算性度外視なら、良いんだろうが」

『民生品で採算性度外視なぞ、滅多な話じゃないがのう』


 現在開発しているのはあくまでも民間企業が開発する一般向けの機体だ。なのであくまでも商売の一環としての開発であり、採算性度外視なぞありえない話だった。というわけでカイトの言葉に笑うティナは、更に話を続ける。


『ま、そりゃ良い。兎にも角にも開発の進捗は半分ほど。現在は試作機を作成して、採算性に合う様に簡略化を進めておる、という所かのう。機能としてはかなりオミットはしておるよ』

「例えば?」

『まず飛翔機は基本はオミットしておるな。で、マニピュレータも各種用途に合わせて換装出来る形としておる。オプションの換装パーツは掘削用のドリルから戦闘用の物まで様々じゃな』


 カイトの問いかけを受けて、ティナは民間用の魔導機の開発についての進捗を語る。これについては一通り現状を報告するだけで、単にカイトも暇つぶし程度の意味しか持っていなかった。というわけで、そんな話をしながら暫く。飛空艇からの検出が終わりを迎える。


『……ん。結果が出た。問題はなさそうじゃ。後はタイマーをセットし、リモコン起動が可能にしておけ』

「よし……セット完了。これで、全行程終了かな」

『うむ……では、戻ってこい』

「あいよー」


 これで掘削機の回収に必要な手はずはすべて終わった。ティナからの連絡を受けて、カイトは椅子から立ち上がる。そうして一同は転移術で外に出て、飛空艇に乗って拠点まで戻る事にするのだった。




 さて、カイト達が掘削機の回収の手はずを整えて拠点へと戻る事にして暫く。やはりユリィの指摘通り回収に必要な手配を色々としていると、かなりの時間が経過していたらしい。この日はこれ以上何もできない時間になっていた。というわけで、この日はこのままミーティングを行う事にしていた。


「と、いう感じか。基本的な制圧は完了したと言って良いだろう。魔物の発見報告ももう半日は聞いていないな」

「わかった……施設内の結界は?」

「そちらは起動確認を行ったが、若干不具合は起きつつも起動している。後は軍の専門家にまかせて良いだろう」


 カイトの問いかけに、瞬を筆頭にした各部隊を率いる隊長達が報告を行う。どうやら幾つかの機構については問題なく動いてくれたらしく、ある程度の修繕さえしてしまえばそのまま使える可能性が高いとの事であった。

 そしてそこの修繕は彼らの仕事ではない。今回の仕事はあくまでもこの地下施設が存在するか否か、存在磨る場合はどの程度の危険が見込まれるかを確認する事だ。なのでこれで依頼は完遂したと言ってよかった。


「そうか……良し。それならこれで依頼はほぼ完遂と言って良いだろう。ソラ。マーカのセットは?」

「終わってるよ。起動も確認してるし、ここから検出できてるのも確認済み。問題無い」

「よし」


 これで、後続の軍がこの施設を発見し損ねる事は無いだろう。ソラの返答にカイトは一つ頷く。というわけで、彼は明日からの作業について言及する。


「これで一通りは問題無いが……明日からは当初の予定通り、簡易型の魔物避けの結界を各所に設置し、後続の軍の安全を確保する。それが終われば、ここでの仕事も終わりだ……なにか質問は?」

「一つ良いか?」

「ああ」

「魔導炉はどうするんだ? 今のままで良いのか?」

「ふむ……ティナ」


 瞬の問いかけを受けて、カイトはティナへと対応を確認する。現在は小型の魔導炉を使って非常用電源としているが、万が一魔物の攻撃を受けたりすると面倒だ。可能であれば停止させておく方が良いだろう。が、なにかに使うのであれば、起動したままにするのも手だった。


「そうじゃのう……基本的には起動したままで良い。魔導炉付近にも結界は展開するし、持ち込んだ小型魔導炉は新品じゃ。負荷さえ掛けねば暴走する危険はない」

「なにかに使うのか?」

「というより、非常電源として使っておるからのう。通路などを照らす電力は基本あれで賄っておる。なので停止させると後続が面倒というだけじゃ。まぁ、切るなら切るでも良いじゃろうがのう」

「いや、それならつけっぱなしで良い。あの規模の魔導炉なら暴走した所でたかが知れてる。そして軍が来るのもオレ達が帰還してすぐだ。その程度のリスクは負って良いだろう」


 結論から言えばどちらでも良い、と言外に告げたティナに、カイトが結論を下す。今回の遠征に際して、カイトは予めクズハ達に戻り次第即座に軍の部隊が派遣可能な様に手配する様に指示を出している。

 更に加えて皇国にも同様の旨を伝えており、ある程度のサンプルが確保できた時点でそれをベースにソナーを開発。各国で早急に『振動石(ヴァイブ・ストーン)』を確保する、という流れになっていた。


「そうか……ま、それで良いじゃろうて」

「よし……他には?」


 魔導炉についての確認が取れた事を受けて、カイトが他の質問について確認する。が、これには誰も何も言わず、それを受けてカイトは会議を終わらせる事にするのだった。




 さて、採掘エリアの探索も終わり地下施設からの生存者達の脱出経路も確認できて更に二日。カイト率いる冒険部は先にミーティングで話した通り、地下施設の各所に簡易の結界展開装置を設置していた。

 その一方で、カイトは再度最下層の採掘エリアへと乗り込むと魔力濃度の濃さからすでに再発生していた魔物の掃討を進めながら、大気中に含まれる魔力を薄くする作業を行っていた。


「……良し。エリアB-2。魔法陣展開」

『よし……では、取り掛かってくれ』

「あいよ。通信、一度閉じるぞ」

『わーっとるよ』


 ティナの指示を受けたカイトは、地面に刻んだ魔法陣に手を当てる。そうして彼が魔法陣を起動させると、周囲に満ち溢れる魔力が魔法陣へと収束。それが凝縮されて、魔法陣中央に置かれた大きめの魔石へと注ぎ込まれた。


「よし。エリアB-2完了……通信回線、大丈夫か?」

『うむ。そして作業完了は了解じゃ』

「おう……他はどうなってる?」


 これは仕方がない事であるが、この採掘エリアはかなり広い。かといって人海戦術で攻めようにも流石に冒険部では荷が重い。となるとカイト達がやるしかないのだが、今度は人数がネックとなる。仕方がないので幾らかに別れて各所で作業をしていたのであった。


『ほかも順調に進行しておるのう。ま、お主の方が身軽は身軽じゃからペースとしては早いかのう』

「悲しい事に、オレは一人ですからね」

『しゃーなかろう。ツーマンセルを組んだ場合、人数の構成的に誰かは一人になる』

「まぁな」


 ティナの返答にカイトは楽しげに笑う。一人で良いとしたのは彼自身だ。なので気にはしていなかった。


「で、そりゃそれとしてなんだが」

『なんじゃ』

「この魔石……どうするんだ?」


 カイトが見るのは、先に周辺の魔力を凝縮させた魔石だ。これの中にはかなりの量の魔力が蓄積されており、例えば魔道具への外部電源としてなど色々な用途で使う事が可能だった。


『どうしようか悩んでおるのう。まぁ、有って困る物ではないのでなにかに使おうとは思うておるが。あ、当然じゃが冒険部としては使わぬぞ。これはギルドで使うには危険性が高い。改めて言うが、取り扱い注意じゃぞ』

「そりゃ、他の誰でもなくオレが一番良くわかってるよ」


 ティナの注意喚起に対して、カイトは再度笑う。この魔石であるが、早い話がカイトが得意とする<<魔力爆発マナ・エクスプロージョン>>を引き起こし掛けの状態と考えれば良い。

 流石に持ち運びを考えああはならない様に許容量やサイズはきちんと確認しているが、それでも通常以上に蓄えられている事に違いはなかった。というわけで、そこらはわかっているはずのカイトにティナも納得する。


『ま、そうじゃな……一応現状は外部バッテリー的に使うかと思うておる。規格などもそこに合致する物を持ってきたからのう』

「それがベストか」

『まぁのう。魔石は謂わば充電池じゃ。回数無制限の、のう。どっかしらで充電はせねばならん以上、せっかくなのでここでやっちまおうという話じゃな』

「そうか……それで考えりゃ、今回の探索だけで相当数できそうだな」

『じゃのう』


 ランクSクラスの魔物も出るような濃度だ。相当な濃度である事は察するに余りあり、それを凝縮し安全な濃度にまでしているのだ。必然として、かなりの数が必要になっていた。というわけで、そこらの雑談を交わしたカイトであるが、改めて本題に取り掛かる事にする。


「で、ティナ。次の場所の指示を頼む」

『うむ。次はC-3じゃ。もう大半が終わっておるから、今日中には終わるじゃろうて』


 すでに二日間、この作業を繰り返しているのだ。幾ら広いと言っても三つに別れて行動しているため、そろそろすべてが終わるとの事であった。というわけで、カイトはこの後も採掘エリアの安全を確保するべく作業を行い、この日一日の作業を終える事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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