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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第73章 ソラの旅路 ラグナ連邦編

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第1593話 賢者と共に ――癖者の中の裏切り者――

 コレットの張り込み中に謎の敵に捕らえられ、しかし何事もなく解放されたソラ。彼はそんな己のポケットに入れられていたという金縁がされた黒のボタンが内通者に関する最後の手がかりである、とブロンザイトより教えられていた。

 そうして彼はそのブロンザイトより内通者の正体を考えること、という課題を与えられ、その日は内通者に怪しまれない様に飲み会に参加したものの、その後も引き続きホテルに缶詰になり考え込む事となった。そして、その翌日。ソラはとりあえずの答えを手に、再び警察署にやって来ていた。


「おう、ソラか。おはようさん」

「おはようございます」

「おはよーっす」

「うーっす」


 エマニュエルの部下達が詰める部屋にやってきたソラに向けて、マルセロが何時もの様に挨拶する。そうして更にどうやら今日は遅刻していないらしいフロランとも挨拶を交わし、結局昨日はあのまま会う事の無かったニクラスの所へと向かった。なお、コレットは相変わらずまだ来ていなかった。昨日が特例、というわけなのだろう。


「やぁ、ソラくん。昨日は大変だったねー」

「あー……すんません、昨日は……」

「いやぁ、しょうがないよ、あれは」


 申し訳なさそうなソラに対して、ニクラスが何時ものだらけた笑みを浮かべる。それで、ソラはどうやら彼の方はブロンザイトから事の真相等を聞いているのだと把握した。なお、飲み会には彼も参加していたが、内通者の目があると考えて何も話さなかったのだ。

 ちなみに、であるが昨日一日考えて、ソラはこの襲撃者達の正体もおそらく、と当たりを付けられていた。そしてこの口ぶりで、ソラは同時にこの推測が正しい事を理解した。


「で、ソラくん。今日はまた俺と一緒に行動だけど……大丈夫かい?」

「うっす」

「良し」


 昨日の朝と変わらぬソラの返答に、ニクラスが一つ頷いた。まぁ、内通者探しはしているわけであるが、それと共に強盗事件の調査も重要だ。そちらも捨て置けない。というわけで、彼はそのまま今日の仕事を告げる。


「じゃあ、昨日に引き続き今日は朝から強盗事件の聞き込みだ。朝課長は居ないから、適度に俺の方の書類片付けたら行こうか」

「うっす」

「うん……あ、そうだ。午後に課長が出張先から戻るから、その時には一度戻るよ」

「あ、うっす」


 まぁ、エマニュエルは単に首都の古い知人に会いに行ったというだけだ。そしてその友人になるべく迷惑を掛けない様に会うのは就業後にしていた為、どうしても日帰りは無理だったらしい。

 が、夜行便を使って帰還しているらしく、昼前後には帰還出来る、という事らしかった。内通者の捕縛もそれを待ってからとの事である。


「良し。じゃあ、後は三十分ほど待っててよ。色々としないといけない事が多くてさー」


 ニクラスはそう言うなり、改めて書類へと向き直る。と、それとほぼ時同じくして始業のチャイムが鳴り響いて、マルセロとフロランの二人が立ち上がった。


「じゃー、俺とフロランは先聞き込み行ってくらぁ。課長戻ってくる前に最後の羽根伸ばさねぇとな」

「そっすねー。俺もちょいと羽根伸ばしてきまー」

「聞き込みも忘れないでねー」

「おーう」

「うーっす」


 ニクラスの見送りの言葉に対して、二人は気軽に手を振って扉から歩いていく。そうして二人が居なくなった所で、彼は苦笑気味に笑った。


「いやぁ、課長には悪いよねー」

「? 何がっす?」

「いや、だって……課長、コレットが怪しいってあの謎の女性を調べに首都に向かったわけでしょ? 無駄骨になったわけだからね」

「あー……」


 言われて、ソラもまた理解した。そもそもエマニュエルが首都に向かった理由は一人正体が掴めなかった女性の正体を調べる為だ。が、昨日の一件によりソラは目星を付けられたし、ニクラスはブロンザイトより内通者の正体を聞いた。結果的に無駄骨になってしまったのは、仕方がない事だったのだろう。


「まー、お土産を有り難く貰っておこうかな」

「あはは」


 相も変わらず呑気なニクラスに、ソラが笑う。そうしてそんな話をしながらもニクラスは書類仕事を続け、三十分後には二人も聞き込みに出掛ける事にするのだった。




 二人が強盗事件の犯人の調査を開始しておよそ三時間。昼の12時を少し回った頃合いだ。二人は再度警察署に戻っていた。と言っても、戻ってきたのは二人だけだ。

 基本的にエマニュエルの部下達の統率はニクラスが行う。これは階級等を考えても可怪しくはない。なのでエマニュエル不在時に有った事を報告する義務が彼にはあり、当然の事だった。とはいえ、どうやら二人が警察署に戻った時にはまだ彼は戻っていなかった。


「あ、まだ帰ってきてないか。ソラくん、ブロンザイトさんから何か聞いてないかい?」

「あ、さっき通信でトリンを介して話したら、空港までお師匠さんが迎えに行く、と仰ってました。証拠の預け先へ一緒に受け取りに行く、と」

「ああ、それで。便の到着と移動時間計算して帰ったけど、そこ計算には入れてなかったなー」


 昨日言われていた通り、ソラは今日の朝にブロンザイトより今日一日の大まかな流れを言われていた。その際に彼には教えられていたのである。


「さて……ソラくん。一応聞いておきたいんだけど、監視は?」

「居ますね。もうバレても良い、と考えてるっぽいです。そろそろ動く、って向こうも把握したんでしょうね」

「そー」


 ソラの報告にニクラスが笑う。流石に相手も内通者の正体が露呈しているかも、との考えが出始めたらしい。ソラに襲撃される危険性を鑑みても、それ以上に行動を監視する方が良いと判断されたようだ。昨日の一件以降、もう隠す事はなくなっていた。


「……今回は、どうやら俺達が勝ったらしいね。流石は君のお師匠様、と言っておくよ」

「まだ早いと思うんっすけどね」

「あはは……大丈夫さ」


 笑うソラの言葉にニクラスもまた笑う。実は幾つかの事については監視があるのを承知で、口に出して話していた。内通者が居るのなら、監視があるのならそれを利用しろ。ブロンザイトの言葉だった。と、そんな事を話していると扉が開き、エマニュエルとブロンザイト、トリンの三人が入ってきた。


「帰ったぞ」

「お帰りなさい、課長」

「うむ……ソラくん。迷惑を掛けたな。詳細は聞いておらんが、気絶させられたという話は聞いた」

「いえ」


 エマニュエルの謝罪にソラが首を振る。何の謝罪かというと、昨日の一件だ。無事に帰還は出来たものの、あえなく気絶させられたのだ。一応は協力者である以上はその事について詫びを、というわけであった。


「さて……報告を聞こう」

「はい」


 兎にも角にもまずは普通の仕事の話を。エマニュエルの促しを受けて、ニクラスは昨日自分達が調べていた強盗犯の調査報告を行う。


「ふむ……わかった。であれば、その人相書きを基に指名手配を行おう」

「お願いします」

「うむ」


 警備員に怪我をさせた強盗犯だ。指名手配を行うには十分な理由となるだろう。これについては流石に前の強盗殺人犯の様に懸賞金は出ないが、危険性がある事には変わらない。

 正義感のある冒険者達が動いてくれれば、あっという間に見付かるだろう。更には人相書きと一緒に指名手配がされれば、正規のルートで街から出る事も難しい。封じ込める事も出来た。

 と、そうして一通り強盗事件に関する話をした所で、エマニュエルが一度ブロンザイトへと視線を送る。それを受け、ブロンザイトが結界を展開した。


「それで? コレットの張り込みはどうなった?」

「あ、はい」


 ため息混じりのエマニュエルに向けて、ニクラスはそうだろうな、と思いながら報告を開始する。


「……と、いう事だそうです。これについては、ブロンザイトさんが情報屋に確認も取ってくれました。確定として良いかと」

「なんと……ブロンザイト殿。些事に渡り申し訳ない。必ず、この一件が片付いた折りにはラグナ連邦として謝礼が支払われる様に手配致しましょう」

「いえ、内通者のあぶり出しが何より重要ですからな。それにエマニュエル殿であれば憚られようと、流れ者である儂であれば、問題にはなりますまい。匿名の情報提供者とすれば良いでしょう」

「かたじけない」


 ブロンザイトの明言にエマニュエルは改めて頭を下げる。昨日言っていた最後の手配というのの一つに、この情報屋との接触があった。流石に何でもかんでも自分達で調べ上げるには無理がある。

 なので彼は内通者がわかった時点で、その裏を取るべく情報屋に接触していたのである。そしてブロンザイトの事を知る情報屋だ。あちらも彼の望んだ情報を全てくれたのであった。


「で、課長」

「うむ……内通者を捕らえに行く。それと合わせて、ブロンザイト殿」

「ええ……そちらにはソラをお貸し致します。もしもの場合には、お使いを」

「ありがとうございます」


 エマニュエルがブロンザイトの支援に感謝を示すと、一つ彼はため息を吐いた。長かった大捕物もここからが本番で、そしてこれで終わりだ。思う所があったのだろう。そんな彼に、ブロンザイトが少し冗談めかして告げた。


「そのお姿も、もう見納めですか。折角、慣れ始めた頃なのですがのう」

「あはは……これは安全策の為ですからな。ここからを考えれば、まだ少しは脱げません」


 ブロンザイトの言葉に、エマニュエルが楽しげに応ずる。元々ソラも聞いていたが、彼のこの姿は偽装だという。ブロンザイトは本来の姿を知っていても不思議はない。この様子だとよほど変化しているのだろう。というわけで、笑い合う二人を横目に、ソラがトリンへと問い掛ける。


「そんなに違うのか?」

「うん。詳しい事は、事件後にするけどね」

「へー……」


 一体このエマニュエルの本当の姿とは如何なるものなのか。ソラは僅かに興味を抱く。三年前の一件にはニクラスも参加していたという事なので、この中で唯一エマニュエルの真の姿を知らないのは、彼だけと言って良いのだろう。と、そんな話をしていると、僅かな感傷に浸っていたエマニュエルとブロンザイトも会話を終わらせていた。


「ソラくん。行くよ」

「あ、うっす。トリン、お前も気を付けてな」

「うん」


 ソラの激励にトリンは頷いて立ち上がる。そうして、それぞれがそれぞれの向かうべき場所に向かう事になるのだった。




 ブロンザイト、トリンと別れ、エマニュエルに協力して内通者を捕らえるべく動いたソラ。彼はニクラスと共に、その内通者の所へとやって来ていた。


「うん? おぉ、ソラ。お前さんか」

「うっす、マルセロさん」


 ソラは今日も今日とて聞き込みを行っている最中らしいマルセロに気軽に応ずる。


「で、どした? ニクラスも一緒の所を見ると、こっちになんか手がかりあったか?」

「うっす……」


 マルセロの問いかけにソラは頷くと、ニクラスへと視線を向ける。そうして、彼は一つの名を口にした。


「ロサーノ・カバリエ」

「? 誰だ、そりゃ」

「誰だ、は無いだろう。君の名前なんだから。君に逮捕状が出てるよ。容疑は機密情報漏洩やら公文書偽造やら、まぁ、後で見せてあげるから自分で確認しなよ。君も一年警察やってたんだから、礼状ぐらい見れるだろ?」

「っ……」


 ロサーノ。そう呼ばれたマルセロははっきりと断言したニクラスの態度で、自分が内通者とバレた事を悟ったらしい。僅かなしかめっ面を浮かべていた。とはいえ、どうやら組織からバレつつあるとは聞いていたのだろう。彼は諦めた様に僅かに強張っていた身体から力を抜いた。


「……どうやって気付いた」

「まぁ、俺だけだったら気付けなかったというか……多分、ソラくんが居ないと気付けなかったよ」

「疑ったのは、この間の民泊の捕物っす。あの時の強殺犯。俺、戦闘って事で気配にはしっかり気を配ってたんっすけど……掴めなかったんっすよね」

「あれか……」


 どうやら、マルセロの側も自分が疑われるきっかけについて納得が出来たらしい。なるほど、と苦い顔だった。


「ありゃ、失敗だった。実はあいつはウチの組織があの日に合わせて連れてきた奴だったんだがな。だからまさか、俺に不意打ち来るとは思ってなくてな。つい咄嗟に避けちまった」

「やっぱり、そうっすか。わかってないとキツイタイミングか、明らかに申告してる腕には見えなかったんっすよね」

「なんだ。分かってたのか」


 ソラの言葉にマルセロはわずかに目を丸くする。これについては素直に驚いていた様子だった。


「うっす……始め、俺達はコレットさんが怪しい、と思ってたんっすよ。まぁ、当然なんっすけど」


 当然。何が当然かというと、これはマルセロがそう仕組んだからだ。それにソラ達はまんまと引っかかった、というわけである。そうして、ソラは更に続けた。


「でも、昨日の一件でコレットさんは外れって理解したんで」

「昨日の一件か。ありゃ、ウチの組織の奴が見張ってたが……まぁ、殺されなかったからバレてるのかも、とは聞いたんだがな。そこまでのヒントになったか?」

「これっす」


 疑問を呈したマルセロの問いかけに、ソラは己のポケットに入れられていたボタンを取り出す。が、それを見てもマルセロは何がなんだかさっぱりだった。


「それがどうしたってんだ。単なるボタンだろ?」

「うっす。単なるボタンっす……まぁ、これは俺にしかわからない暗号、と言った方が良いかもしれないっすね」

「? お前にしかわからない暗号? お前さん……あいつらと知り合いってわけか?」


 そんな情報は聞いてないんだが。ソラの言葉にマルセロが訝しむ。まぁ、当然だろう。ソラの調査を行っただろう組織とて、彼のどこを洗った所で暗殺者ギルドとの繋がりなぞ出てこない。そして勿論、繋がりなぞ皆無だ。故にソラもまた首を振った。


「いえ、違うんっすけど……でも聞いた事があったんっすよね。暗殺者ギルドが警告を送る時に使われる封筒に」


 ソラは改めて、金縁の施された漆黒のボタンを見る。そうして思い出したのは、カイトが何時かの折りに語ってくれた話だ。暗殺者ギルドは自分達が好意的に思う相手に対して、警告として封筒を送ってくれるという。現にカイトはラエリアの内紛が勃発する際、アルミナという女性から内紛の勃発に関する警告を貰っていた。そして、このアルミナ。これこそがルビーのヒントの答えだった。


「実は俺の知り合いに一人、暗殺者ギルドの大幹部と知り合いって奴が居るんっすよね。そいつが、ちょっと教えてくれたんっす」


 ルビー。酸化アルミニウム。俗称は、アルミナ。アルミナと金縁で漆黒。この二つを考えた場合、もう答えは一つしかない。これはソラへの暗殺者ギルドに近い者からの警告だった。

 封筒にしなかったのは、この相手が暗殺者ギルドの所属ではないから。であれば、コレットが会っていたという相手は必然として彼にも理解出来た。


「俺とマルセロさんが見たコレットが会っていた相手……それは多分」

「ヴィクトル商会の支社長よ」

「コレット……」

「ども。おそらく今頃動くかな、と思って張り込んでました」


 驚いた様子のマルセロ――それどころかソラとニクラスの二人も驚いていた――に、コレットが何時もの様子で手を挙げる。そうして、彼女が教えてくれた。


「実はあの時、ちょっとした縁でヴィクトル商会からヘッドハント受けてたのよ」

「ヴィ、ヴィクトル商会から……君、相変わらず時々ぶっ飛んでるね」


 確かにコレットの才能を見る限り、不思議がないと言えば不思議はない。ニクラスはそれを知ればこそ、頬を引き攣らせていた。


「にしても、君もよくマルセロが内通者ってわかったね」

「別に、普通だし。随分と前から見張られてる、というか疑われてるのは今度の勤め先とヴィクトル商会から教えてもらえたから」

「ちっ……」


 どうやらさすがの敵もヴィクトル商会――ひいては情報屋――が敵に回っていた事までは想定出来ていなかったようだ。マルセロの顔に苦いものが浮かんでいた。

 とはいえ、そのヴィクトル商会と会っている事を利用したのは彼らでもある。ある意味、これはヴィクトル商会側からの意趣返しとも言えた。


「と言っても、内通者があんたって気付いたのはつい最近よ。あの民泊の一件の後の飲み会であんたが私とヴィクトル商会の面談を見た、って聞いた時ね」

「疑って調べたんっすけど、最初に疑うきっかけになった店の前通るの、ちょっと遠回りだったっすね」

「……」


 コレットの言葉に続けたソラの言葉に、マルセロは何も言わなかった。ソラの言っている事は正解だった。そもそも祝賀会を開く提案をしたのは彼で、あの強殺犯を呼び込んだのも組織だという。

 なら、この祝賀会までの流れを作れないわけがない。場所の設定も彼が行った。ソラにコレットの会談を見せる事は容易だった。コレットが内通者ではない、となった時点で逆に疑われるのは必然だっただろう。とはいえ、これについては少しだけ彼にも不運があった。


「あんたの唯一の誤算は、あの日予約してたレストランで事故があって、別のレストランを押さえる事になった事でしょうね。直線ルートで帰れるルートから外れてしまった」

「……ま、そういうこった」


 コレットの言葉にマルセロが深くため息を吐いた。何があったかは詳しくはソラ達も知らないものの、とりあえず事故があった事は事実だそうだ。

 とはいえ、支社長ほどの人物の予定をそう安々と変えられるものでもない。というより、彼らからすれば場所を変えれば良いだけで、それぐらいヴィクトル商会の力があれば造作もない事だ。なので日程や日時はそのままに場所だけを変えたのであった。


「さて……そろそろ良いかな? 納得出来た所で、そのまま大人しく捕まって貰おうか」

「わりぃが、それは出来ねぇんだわ」


 手錠を取り出したニクラスに、マルセロがわずかに苦笑する。そもそも彼が大人しくしていたのは、とある理由があるからだ。そうして、彼が気迫を滲ませた。


「ふんっ!」

「「「っ」」」


 マルセロから迸った力の奔流に、ソラ達は目を見開いた。冒険者で言い表わせば明らかにランクB以上の風格がそこにはあった。どうやら何らかの封印を施していて、その解除の為に会話に付き合っていたという事なのだろう。


「ほんとは、お前さんら殺したくはねぇんだが……流石にもうこの状況に至っちゃそうも言っていられねぇか。万が一の場合にゃ爺追いかけて、証拠奪取しろ。それが組織の命令だ」


 マルセロはそういうや、何らかの武術の構えを取る。そうして、内通者であったマルセロとの戦いが開始される事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

 次回予告:第1594話『賢者と共に』

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