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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第62章 南の国の陰謀編

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第1203話 謀り謀られ

 追撃の指揮官を手紙一つで引かせたカイトが率いる避難民達の集団は、村への殲滅部隊の到着から更に数時間を経て、日が暮れ始める頃にエルリック一派の籠城する近辺へとたどり着いていた。

 そしてであれば、当然向こうからも発見される。そうして飛空艇の甲板に立った見張りが即座にコルネリウスへと報告を上げた。


「コルネリウス様! 誰かが来ます! 方角と様子から、敵では無い模様!」

「誰か? 誰だ?」

「まだ、わかりません!……あれは……この間の少年です! 盾を持っていた、あの少年が集団に混じっています! 彼が先頭に立って、白旗を上げています!」

「ああ、あれか……彼が何故だ? 他は!」


 見張りの言葉にコルネリウスが首をかしげる。当然だが、彼らは村への襲撃を知り得ない。故にソラを含めた者達の来訪には首を傾げるしか無かった。


「あれは……っ! 鉱山へ食料を提供していた村の村長の息子です! 以前、一度自警団の会合に参加した折り、見た事があります! 他もおそらくその村の住人かと! 数人、見覚えが!」

「っ! まさか……怪我は!」

「少年以外、総じて負っている模様!」


 思わず顔を青ざめさせたコルネリウスの問いかけに見張りが声を張り上げる。それに、コルネリウスは慌てて指示を出した。


「攻撃するな! 彼らは敵ではない! 再度、命じる! 決して彼らを攻撃するな!」


 コルネリウスは大慌てで彼らへと向けられつつあった魔導砲を停止させる。そうして、内心の忸怩たる思いを思わず口にしてしまった。


「ちぃ……危惧していた事が起きたか……ミランダ。即座に手当ての用意を」

「はっ。医務室にけが人が多数来ると告げろ! 手の空いている者は収容準備に入れ! 敵が紛れ込む可能性もある! 十分に気を付けろ! だが、安易に不安がらせるな!」


 コルネリウスの指示を受けて、ミランダが即座に指示を飛ばしてく。それを背後に聞きながら、コルネリウスは彼らを手ずから出迎えるべく即座にその場を後にした。そうして、しばらく。エルリック一派の立て籠もる野営地の少し離れた所で、コルネリウスはソラと出会う事になる。


「……この間、あのカイトという少年の援護をしていた少年だな」

「ああ。ソラ・アーマンだ。今回、見て分かる通り武装はしていない」

「……確かに、そのようだ」


 鎧も外して武装放棄を明言したソラにコルネリウスはやはり、と内心で嫌な気分が滲むのが抑えられなかった。ソラの顔が何より、彼の感情を露わにしていた。


「……大凡、事情は理解している。彼らの村に襲撃があったのだな?」

「……ああ。それで、彼らからの依頼でここまで護送させて貰った。彼らは食料を手土産に保護を頼みたいそうだ」


 コルネリウスの問いかけにソラが僅かな怒りを滲ませる。それに、コルネリウスは僅かに安堵した。この怒りは彼らへの物ではない。ラフネック侯らこの一件の裏で暗躍する者達への怒りであるぐらい、彼にもわかった。


「そうか……君たちが善人で良かった」

「善人、ってわけじゃねぇよ……依頼だからな。仕事だ。これも、あれも」

「そうか……それでも、君たちは彼らを殺さずにここまで護送した。それは事実だ。感謝しよう。この間の蒼い髪の少年は?」


 コルネリウスは怒りを堪えているからかぶっきらぼうなソラ――これは半ば演技だが、半ば素でもある――の対して掛け値なしの感謝を送る。それに、ソラははるか彼方に見える討伐軍の野営地を示した。


「あいつは今回の一件にゃ関わってねぇよ。向こうの野営地だ」

「そうか……なら、君も戻らねばならないか」


 コルネリウスはソラの返答に僅かに残念さを滲ませる。これでカイトが居れば説得も出来たかもしれない、と思ったようだ。


「ああ……今回の事で怒られるだろうけど、俺が勝手にやっただけだ」

「いや……君も見ただろう。これが、彼らのやり方なのだ。出来れば君たちにも引いてもらいたいが……そこは君たちのマスターが判断する事になるだろう。もしその時には、手加減してくれよ」


 コルネリウスは気丈に笑ってソラへと一つ頷いた。どうやら、彼は英雄に相応しい資質を持ち合わせているようだ。とは言え、そんな風格を一瞬見せた彼は即座に気を取り直してヤハ達に明言する。


「それで……彼らの保護は私の名で明言させてもらおう。彼らが居れば、まだなんとかなるかもしれない」

「なんとか?」


 ヤハへと告げるコルネリウスの言葉にソラが問いかける。どうやら、無闇矢鱈に引きこもっていたわけではないのだろう。


「……なんとか、王都へ向けて伝令を発しようと思っている。上手く侯爵の不正を伝えれば、なんとかなる。村人達がこちらに居れば、敵とて襲撃に冒険者は含められまい。少しぐらいは時間が稼げる」

「上手くいきそうか?」

「……なんとか、やってみよう」


 コルネリウスは力なさげに頷いた。どうやら、彼としてもかなり厳しいというのはわかっているらしい。当然だ。周囲は隙間なく飛空艇が巡回している。カイト達程魔術を使えればこそ、見付からなかっただけだ。とは言え、コルネリウスらはそれに縋るしかないのも事実だ。


「さぁ、君はもう戻れ。隠形で隠してはいる様子だが……あまり仲間を危険に晒すな」

「ああ……あー……おっさん。こっちもなんとか出来るかやってみるから。そっちも死ぬなよ」

「ははは。君は良い少年だな。わかった。頼りにさせてもらおう……君達は即座に陣地に。すぐに馬車も居れさせよう」

「……ありがとうございます」


 ソラの激励にコルネリウスが今度は気負いなく笑って、ソラへと帰還を促す。その一方、ヤハへは陣地へ入るように促した。それを背に、ソラが馬車を止めてある場所へと戻る。


「終わったぞ」

「ああ……翔」

「おう」


 カイトの言葉に翔が頷く。カイト達に手傷は無い。外に見回りに行っていて無事だった、というのが彼らの設定だ。


「ソラ。気を付けて帰れよ」

「ああ、わかってる……良し。装備完了」


 カイトの促しをソラは装備を再度着こなしながら頷いた。そうして、彼の装備が終わると同時に再び馬車は進み始め、後に残るのはソラ率いる冒険部のメンバーと、ルミオ達地元組だけだ。


「大丈夫……なのか?」

「やれるさ、あいつらならな」


 ルミオの問いかけにソラは絶対の信頼を滲ませる。なにせ勇者カイトだ。おまけに相棒も一緒だ。必ず、何か成果を上げてくると思っていた。そうして、彼らは後の事をカイトと翔へと託して陣地へと帰還する事にするのだった。




 さて、一方その頃の陣地であるが、ここには既にライアードを始めとしてこの不正行為に関与していた全ての貴族達が集結していた。そしてその前には、村を訪れた指揮官より報告を受けてオルガマリーに扮したティナが呼び出されていた。


「さて……一体どういうつもりなのかを伺わせてもらおうか」


 そんなティナの真ん前、貴族達の一番中央には30代なかばから後半の一人の男性が優雅に腰掛けていた。彼は優雅な男性で、横のライアードと並べるとこれでも同じ男かと思える程の優男だった。

 とは言えこの彼こそが、ラフネック家当主のラフネック侯だった。そんな彼はにこやかな笑顔で、ティナへと問いかける。本物のオルガマリーはカイト達と相談の上で近くの街へ移動して、情報屋に接触すべく動いていたのである。


「君の所のサブマスターの手紙は勿論、読ませて貰った。我々に献策をしたい、という言葉も受け取った」

「はい……確かに、我が弟子はそう申し出た様子」


 ラフネック侯の言葉にティナも優雅な笑みで頷いた。彼女が気圧される道理はどこにもない。元々が相談の上だ。それに何より、いざとなればこの場の全員を殺して逃げる事ぐらい容易なのだ。そうして、そんな彼女は一つの紙片を取り出して、床に置いた。


「それは?」

「式神ですわ、ラフネック侯。弟子の事ですので、弟子に説明させるべきと判断しましたの」


 自己紹介はまだされていない。優雅な問いかけのラフネック侯であるが、これは実際には査問会だ。故にラフネック侯と呼んだティナはそう言うと、紙片に所定の手順を行って式神を起動させた。


『この様な形で失礼します。少々、故あって今は出られません故、この様な形になる事をお許し下さい』

「ああ、構わないとも。さて、それで早速君の献策を聞かせてもらおうか。なにせ他の貴族達はこの有様だからね」


 ラフネック侯は相変わらず柔和に笑いながら、左右に控える他の貴族達の様子を示す。誰もが今にも怒りを露わにしそうだった。

 と言うより、おそらく呼び出されるまではそれこそ立て板に水の勢いで罵詈雑言を吐いていたと思われる。それをラフネック侯が抑えていたと見て良いだろう。とは言え、その様子でカイトはラフネック侯がバカではない事を理解して、笑みを深めた。


『これはおかしな事を……侯爵閣下は既に私の献策を見通していらっしゃると思われる』

「おや……私は何も言っていないが」

『あっはははは。これはこれはご謙遜を……故に一人、余裕の笑みを浮かべていらっしゃるではありませんか。何より、先には他の貴族達は、と仰っておいでだ。自分は気付いているぞ、と言外に仰っていたではありませんか』


 敢えてとぼけてみせたラフネック侯の言葉にカイトは笑いながら、彼が言外にこの方策を認めている事を明言する。それに、他の貴族達が一斉にラフネック侯を見た。そうして、目を丸くしたライアードが問いかけた。


「か、閣下? 一体、どういう……」

「ははは……君たちも申し訳ない。実は彼が村人達をエルリック将軍……いや、元将軍の所へ移動させたという報告を聞いて少し疑問を得てね。そこで更に献策をしたいと聞いた時点でこれは盲点だった、と思わされたのだ。つまりは、そういうことなのだろう?」

『はい、そういうことなのでございます』


 笑顔のラフネック侯の問いかけにカイトも笑顔で深々と頭を下げた。あの手紙に書かれていた事は、二つ。一つは、より効率の良い口の塞ぎ方を教えたい。もう一つは、より確実な隠蔽方法をお教えしたい。この二つが書かれていた。それを聞いて、ラフネック侯はカイトの言いたい事を理解したのであった。


「あれは時間稼ぎでは無かったのですか?」

「うむ。そうだとも……ふむ。これは取引だ。そして私が教えられたのも事実。どれ、君から語ってやると良い」

『ありがとうございます』


 ラフネック侯の頷きにカイトが笑顔で己の考えを語り始める。


『さて……ミリックス伯。貴方の作戦には幾つかの粗がございます』

「む、むぅ……」


 カイトの指摘にライアードは思わず不貞腐れる。とは言え、既にラフネック侯がそれを肯定しているようなものなのだ。素直に聞くしかなかった。


『まず第一に、幾らエルリック一派を偽装しようとそれが立て続けに幾つも続けば何も知らぬ兵士達も冒険者達も伯爵閣下の手腕を疑いましょう。それは今後の統治を考えれば、幾つもの村への襲撃を防げなかったというのは周知して良い事では無いはずです』

「……それは確かに。それで?」

『はい……別に皆殺しにする必要なぞないのです。口を塞げれば良い……とは言え、それは難しい。金を積もうと人の口に戸は立てられぬとも言いますからね』


 カイトはライアードの促しを受けて、敢えて難しいと明言しておく。とは言え、それが難しいからこその献策だ。


『さて……ではどうすれば良いか。まぁ、殺せれば良いのでしょうが、それでも今回我々が来たようにどうやっても生き残りは出るでしょう……なら、村人達も逃げられない場所にまとめてしまえば良い』

「それが、エルリックの所だと?」

『はい……残念ながらもう起きてしまった事は戻せません。故に伯爵閣下の手勢が村を襲ったという事実は変えられません。ですがそれを利用してやれば、村人達は次は自分の番だと思いエルリック将軍を頼るしかなくなるでしょう。よしんば頼らなくとも、その時は彼らに扮して殺せば良いだけの話です』

「ふむ……」


 ライアードはカイトの献策をなるほど、と思う。村人達はあの襲撃が自分の差し金だと理解しているだろう。なにせ彼らにも後ろめたい事はあるのだ。理由がわかっていて自分達には来ないとは思わない。

 そしてコルネリウスが村人を受け入れるだろうというのは彼でも分かる。であれば、もし襲撃を流せば村人達は生き延びようと必ずエルリック一派を頼るはずだろう。それしか生き延びる術が無いからだ。というわけで、彼はその先を問いかけた。


「で、どうするのだ?」

『はい……兵士達や冒険者の中に近隣に縁のある者は居るでしょう。そう言った者達に密かに敢えて事実を教えてやり、村に伝えに行かせるのです。勿論、そこに攻撃を加えてはなりません。そして更に敢えてそれが真実に見えるように暗殺者の影を見せれば良いのです』

「なるほど。であれば、村人達は自分達の襲撃が近いと思い込み、自発的にエルリックの所へ逃げ込むわけか。必死で逃げような」


 得心が行った。ライアードが顔に笑みを浮かべてカイトの言葉に頷いた。そしてそこまでわかれば、その先もわかった。勿論、それは周辺の貴族達も一緒だった。


「そしてどういう形とて逃げ込めば、我々からすれば賊徒に協力した者になる」

「合法的に引っ捕らえる事も、抵抗した者として殺す事も可能なのか」

『そういうことです。そして後は捕らえた者達は記憶に処置する等しておいて、折を見て恩赦という形で村に戻してやれば良い。エルリック一派に協力した理由は一部の軍の暴走により、という事で良いでしょう。伯爵閣下が自ら手を下すより、軍の暴走として恩を売った方が遥かに上にも下にも聞こえは良いではないですか?』

「なるほど……」


 ライアードはカイトの献策に気分良さげに笑顔を見せる。最初は何を考えているのだ、と思っていた彼であるが、たしかにこちらの方が遥かに自分の名も傷つく事がないと思ったのだ。そうして他の貴族達が大凡を理解したのを見て、ラフネック侯が頷いた。


「うむ。そういうことだよ」

「閣下……こういうことであれば一言おっしゃってくだされば良いものを」

「ははははは。いや、すまないね。たまには一人優越感に浸らせてくれても良いだろう」


 ライアードの少し照れくさそうな苦言に、ラフネック侯は笑いながら明言する。そうして、そうであればとカイトへと申し出た。彼らが求める物なぞわかりきっているとばかりだった。


「それで……幾ら欲しい?」

『そちらについては、ぜひともマスターへと。世の中でありふれている事は知っていますが、残念ながら私には相場がわかりません。閣下のご不興を買いたくはありませんので……』

「ふむ。随分と慎重だ……が、そこも良い判断だ。幾らだね」

「そうですわね……大ミスリル10枚で如何でしょう。飛空艇に女の子も増えましたので、そろそろ増築か買い替えなぞを考えておりまして……支度金が欲しいのですわ」

「……よかろう。それについてはラフネック家当主、シャルマン・ラフネックの名において即座に用意させよう」


 ティナの求めにラフネック侯が僅かに眉を動かして、しかし即座に気前よく応ずる。彼が名を敢えて述べたのは、査問会で彼らへと罪無しを明言する為でもあった。そうして、そんな彼はカイトへと視線を向ける。


「にしても……若いのによくもまぁ、こんな策を考えついたものだ。仲間達は知っているのかね」

『いえ、知りませんよ。世の中が綺麗事だけで回らないと理解しているのは、私と師のみ。故にこの事も師にしか相談しておりません。彼らはまだ、綺麗事だけで世界が回ると思っている。いえ、知っていても理解していない。領主に睨まれて良い事なぞ何もない。義侠心で動いても、数の暴力には抗えない。私は確かに勇者カイトと同じ名を持ちますが、勇者カイトではないのですからね』

「そうかそうか……どうだね。私の所へは来ないかね。君なら私の特殊部隊を任せられる」


 シャルマンは笑いながらカイトを勧誘する。どうやら、気に入られたらしい。が、これにティナが口を挟んだ。


「閣下。師を通り越して弟子を勧誘するのはおやめください。まだあれは未熟者。今回偶然にも上手くいったからとて、調子に乗らせてはなりません。今回の提案とて粗が多い。偶然閣下の知恵が並々ならぬが故に上手く行きましたが、もし気付かず追撃されればご破産ですわ」

「おっと、これは失礼した……もう帰って良い。皆も、異論はないな?」


 ティナの苦言に笑顔で勧誘を引っ込めたシャルマンは一応の確認を取る。それに、異論は出ずにティナはそこから解放されることになる。と、そうして残った貴族達の中で、シャルマンが顔を顰めた。


「弟子に似て食えない女だ」

「どうされました?」

「先に何故、彼女は飛空艇を出したと思う?」


 貴族の一人の問いかけにシャルマンが問いかける。それに貴族達は首を捻るばかりだ。それにシャルマンは内心で呆れながら、答えを教えた。


「弟子は一つ、嘘を言った。いや、嘘ではないか。この作戦を相談したのは師だけ、とな。これは真実だが、真実ではない。確かに、相談したのは彼女だけだろう。が、報告を受けた際には残っている者も一緒に居たはずだ。報告によれば、師は飛空艇の操作が出来ないという。であれば、最低でも誰か一人は一緒に居たはずだ」

「あ……」

「そういうことだ。もし彼女が帰らなかったり要求が受け入れられねば、この事をバラすと言外にこちらに告げていたのだ。彼らは中央に報告も出来た。確たる証拠も握っている。そしてあの腕だ。もし彼らが敵に回れば、厄介だ。金を掴ませて黙らせた方が遥かに良い」


 やっと気付いた貴族達に対して、シャルマンが自分がやけにすんなりと取引に応じた理由を告げる。勿論、これはその程度なら利益に比べれば微々たるものと思ったという事も大きい。そうして、そんな彼へとライアードが問いかけた。


「どうしますか? お望みなら……」

「構わん。金を求めた冒険者には金を握らせておけば良い。敢えて藪をつついて蛇を出す必要はない。彼らも言っていたが、彼らとて我らに睨まれて良い事はない。が、口を塞ぐのも難しい。これは立派な取引だよ、ミリックス伯。弟子の言う通り、世の中のどこにでもある、な」


 シャルマンは先程の優雅さから一転、見下したようにカイト達への対処をそう告げる。所詮は冒険者。金を握らせればどうにでもなる。彼はそう思っていた。そうして、彼らはまんまとカイトの術中にはまる事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

 次回予告:第1203話『密かに』

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