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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第54章 パルデシア砦攻略戦

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第1026話 パルデシア砦攻略戦 ――突入――

 パルデシア砦攻略戦から一時撤退したカイト達だが、そこでの打ち合わせにより超高空からの強襲で敵要塞の結界を打ち砕く戦術を取る事にする。そうして、その作戦の要となるカイトはそれ専用の改造が施された小型艇へと乗り込んでいた。


「お前が、カイトか?」

「ああ、よろしく。ランクS冒険者達が軒並み前線へ移動してるからな。で、仲間の帰還支援して後ろに戻ったら、どういうわけかこのクレイジーな作戦をやらされるハメになった哀れな冒険者だよ。運悪く・・・いや、運良くか? どっちでも良いか」

「あははは、違いない。ご愁傷様、とだけは言わせてもらうぜ。いや、そう言う意味じゃ、俺も変わらねぇか。ああ、俺はパレス。このいかれた作戦で運悪くパイロットに任命されちまった男だ」


 カイトは飛空艇のパイロットから差し出された右手に、己も右手を差し出して握手をする。


「さて・・・俺の作戦目標はあんたとお嬢ちゃんを高度2万メートルまで送る事なんだが・・・残念ながらこの機体に高度2万メートルまで測れる測定器はない。観測機からのデータだけが頼り・・・ミスってたら三人共お陀仏だから、その時は逃げないで仲良くしてくれよ」

「あの世まで行ってむさい男とご一緒したかぁないな」

「ははははは! 違いねぇな。その時はお嬢ちゃんだけで頼む」

「い・や」

「連れねぇな」


 パレスがユリィの言葉に笑いながら、飛空艇の各部に急遽増設された計器を確認する。戦場で急遽組み上げた即興品だ。聞けばかなり魔導炉に負荷を掛ける事になっているらしく、一度しか飛べないらしい。

 なお、彼が選ばれた理由は機体修理中のパイロットの中で一番腕が良いパイロットだから、らしい。そうして、カイトがぼんやりと呟いた。


「さて・・・お互い生きて帰れれば御の字か」

「作戦開始まで、後5分。何か話すか?」

「何か話す事あるか?」

「ねぇなぁ・・・俺はあんたを知らないからな」

「それを話し合うんじゃねぇのかよ・・・ま、オレはそっちを信じるさ」

「あいよ、相棒」


 パレスは笑いながら計器のチェックに集中する事にする。この作戦が成功するか否かに応じて、後続の突入部隊の運命が変わってくる。それを理解している彼の目は真剣そのものだった。

 軽口を叩いたのも、緊張故なのだろう。もしかしたら、何を言っているのか自分でも理解出来ていない可能性はあった。それほどの緊張と極度の集中だった。

 とは言え、それも仕方がない事だろう。この成否が勝敗を左右すると言われている。彼にのしかかるプレッシャーはとてつもない物だろう。


「良し・・・後は、メカニック共を信じるさ」


 パレスは誰でもなく自分に言い聞かせる様に告げる。そうして、彼は外で入念なチェックを行うメカニック達に親指を立てた。それに技術者達も親指を立てて、飛空艇の中は無言になった。


『作戦開始2分前・・・防御艦、全艦所定の位置に移動を確認』


 オペレーターが作戦開始までの合図と共に、作戦の推移を告げる。それを、『パルデシア砦』側も見た。


「なんだ・・・? 北部軍の奴らの陣形が変わった?」

「何かをしてくるのか?」

「各艦艇へと注意を促せ! 何かをしてくるぞ!」


 『パルデシア砦』の司令官達は北部軍の動きを見て、慌ただしく対応に動いていく。と、そんな彼らはこの2分後。超高速で上昇していく一隻の飛空艇を見た。


「なんだ?」

「何のつもりだ?」


 『パルデシア砦』の指揮官達は揃って困惑する。戦場へ来るのでもなく、ただ一直線に上昇を続ける一隻の小さな飛空艇。すでにどんな高性能な魔導砲の有効射程からも外れていて、かと言って超高空に上昇して撤退する様子もない。何を考えているのかわからなかった。と、そんな砦を守る指揮官の中の一人の脳裏に、ふとある作戦がよぎった。


「まさか・・・まさか、あれをやるつもりか!?」

「なんだ!?」

「この世で一番頭が狂ってるって作戦だ! 立案した奴も狂っているし、実行の許可を出した奴も狂っているし、何より成し遂げた奴が一番狂っているあれだ!」

「「「なっ・・・」」」


 気付いた一人に言われて、その場の全員が絶句する。この世で最も狂っている作戦。それは、カイトが立案してウィルとティナがゴーサインを下ろした作戦だ。

 当時どころか今からしても気が狂っているとしか思えない作戦で、有史上それを達し得たのはカイトただ一人――誰もやりたがらない為――だった。そんな狂気の沙汰としか思えない作戦が、今や全員の脳裏に答えとして浮かんでいた。


「っ! 全艦隊に緊急連絡! あそこから来る兵士をなんとしても迎撃しろ! あんな一撃を食らえばこの要塞の結界なぞひとたまりもない! 対空防御ごと吹き飛ばされるぞ!」


 『パルデシア砦』の総司令官が大慌てで伝令を飛ばす。そうして一気に動き始めた敵の陣形を、シャリク達は数キロ先から見ていた。


「・・・本当にその通りに動いたな」

『そうせねばならないのだから、そうするに決まっている。敵は当たれば結界を破られる事を知っている。あの一撃はあまりに強い。どんな冒険者だろうと技量さえ備われば放てて、そして強固な要塞の結界だろうと一撃で破壊しきる』


 シャリクのつぶやきに通信を繋げていたレヴィが断ずる。敵は、カイトが突撃してくる事を理解している。であれば、その前に幾つもの障害を置こうとするのは自然な流れだ。、まだ比較的無事な全ての超弩級戦艦を砦の上空に配置して、対空防御を完全に展開していたのである。


「・・・何時聞いても、狂っているとしか思えない作戦だ。しかも今度は距離はともかく、状況が狂っている。かつては高度が高く、対空防御は殆ど無かった。今はこの雨の中を雨粒を躱しながら進まねばならん。どちらにせよこれを考案した貴殿も、この作戦を聞いて了承を示した彼も正気の沙汰ではないな。ユリシア殿の支援があってようやく成功の見込みがある作戦ではあるが・・・それでも、狂っているとしか思えん。特にユリシア殿は・・・本気で彼女も彼女で狂っているな。勇者と共にあるにはあの程度が必要なのかもしれんが・・・」

『正気で作戦の立案なぞやってられん』


 シャリクの苦言とも呆れとも取れる言葉に、レヴィは肩を竦める。どちらにせよこれが最善とシャリクも思ったのだ。ならば、彼にできるのは作戦の成功を信じて待つだけだ。それ故、彼は残り時間を問いかける。


「さて・・・残り時間は?」

「後30秒で揚陸部隊の出撃開始です」

「そうか・・・」


 シャリクはその時をただ、静かに待ち続ける。そうして、その時はすぐに訪れた。


「・・・突撃兵、降下開始!」

『では、突入部隊を発進させろ』

「突入部隊、出撃命令が下りました! 各艦発進してください!」


 レヴィの合図に合わせて、突入部隊を乗せた飛空艇が発進していく。それを『パルデシア砦』側も見る。


「各艦、対空防御及び接近してくる艦艇に向けて一斉射撃を開始しろ! 一隻たりとも通すな! 要塞の結界は出力を最大まで上昇させろ! 出せるのなら120%、いや、リミッターを外し150%の出力を出させろ! 生み出せる全エネルギーを砲撃と障壁に回せ! 後のことは気にするな! あの一撃だけは、なんとしても防ぎきらねばならん!」


 こちらはこちらで必死だ。特にカイトに対する攻撃は熾烈の一言に過ぎる。射程に入る前から攻撃を仕掛けており、少しでも勢いを削ごうと必死だった。それを、カイトは遥か上空から見ていた。


「覚悟は良いな?」

「今更だな」


 パレスの問いかけに、カイトは笑う。本当に今さらだ。ここまで来て帰りたい、は言えない。だからこそ、カイトは覚悟を決める。


「さぁ、やるか」

「おっけ。やりたくないけど、やろう」


 カイトの言葉にユリィが応ずる。そうして、二人は飛空艇から飛び降りた。そこから少しだけ、自由落下で落ち続ける。


「進路上には超弩級戦艦が6隻・・・一葉。状況は?」

『状況はクリア。妨害は見受けられず。測定も完了。何時でも行けます。ホタルはご指示通りに』

「よろしい。あいつには存分に技術力の差を見せつけてもらおう・・・ユリィ。思念同調」

「おっけ」


 二人はお互いに意思疎通が出来る様に、思考の速度を同期させる。此処から先は本当にコンマの刹那より僅かな時間でやり取りをせねばならないのだ。言葉を交わしている暇なぞ無い。思考を繋げて、意思を交え合うのだ。


『良し、行くぞ!』


 カイトは各所での準備完了を見て、大剣を手に虚空を蹴って一気に加速を開始する。そうして、即座にユリィが魔法陣を展開した。


『<<増幅(ブースト)>>、<<増幅(ブースト)>>、<<増幅(ブースト)>>!』


 ユリィはただひたすら<<増幅(ブースト)>>を連続させる。それに一つ飛び込む度にカイトは加速して、更に身に纏う力を増大させていく。

 これを、地上までの約20キロもの超長距離の間に繰り返し行うのだ。最終的な速度は光速には至らないまでも、亜光速にはかなり近い事になる。それ故、カイトは更に一工夫加える。


(時乃)

(あいわかった)


 亜光速に到達した時点で、特殊相対性理論に基づいた時間の遅延現象が発生する。それを無効化してやらねばならなかった。本来はそこらを魔術で調整するのだが、カイトは面倒なので時乃にぶん投げた。そうして、瞬く間に二人の速度は秒速1キロを軽々と突破した。だが、それではまだ終わらない。


『<<増幅(ブースト)>>・・・こっから一気に上げていくよー!』


 <<増幅(ブースト)>>で増幅をさせ続けていたユリィが、更に手を変える。如何に<<増幅(ブースト)>>と言えども、増幅させられるエネルギーには限度がある。それ故ある程度上がるとそれに対応する魔法陣に変更しなければならないのである。


『<<大増幅(ハイ・ブースト)>>!』


 ユリィが更に上の強化を施すと同時。ただでさえ速かったカイトが更に加速する。ここまで来るともはや音速なぞ遠の昔に置き去りだった。


「っ! 絶対にあの男を行かせるな! 撃って撃って撃ちまくれ!」


 カイトへ向けて、各飛空艇の砲撃手達が必死で砲撃を行う。カイトが結界にたどり着いてしまえば、その時点で彼らは一気に苦境に立たされる。それ故、魔導炉のオーバーヒートも砲身が焼け付くのも覚悟の上のまさに雨のごとくの砲撃だった。


『カイト! 来るよ!』

『わかってる!』


 カイトは目の前に迫りくる砲撃の雨を確認し、一気に反射神経を加速させる。そうして、勇者の絶技が始まった。


『ここだ!』


 雨あられの如く向かってくる魔弾を、カイトは一切の後退無しに躱していく。その姿は、複雑奇っ怪な動きを取る蒼い電だった。


「な・・・」


 戦場全ての者が絶句して、唖然となる。雨のごとく、否、嵐の中の雨粒よりも大量に降り注ぐ魔弾をカイトは一切後退する事なく全て回避していた。だがそれは決してカイト一人で出来得た事ではなかった。


『っ! ユリィ!』

『あいさ!』


 当たり前だが嵐よりも更に苛烈に降り注ぐのだ。全てを完璧に避けきる事なぞ不可能に等しい。だが、減速は出来ない。であれば、答えは一つ。後退せずに後ろに下がるのである。

 転移術で強引に後ろに戻って、魔弾の壁に穴が出来た瞬間に突っ込んでいくのであった。カイト一人でも無理だし、ユリィ一人でも無理。阿吽の呼吸とお互いへの絶対の信頼。その二つがあってはじめて出来る神業だった。


「っ! させん!」


 そんな超絶の技術を見て、カイトと交戦した魔術師は魔導砲による砲撃の雨では抜かれると悟る。このまま直進されると困るのだ。とは言え、単に妨害しても意味はない。単なる妨害ではカイト達は止められない。

 ならば、彼ら超級にのみ許される手を使うしかない。例えば地面の直前に転移させれば良いだけの話だ。そうすればカイト達は勝手に自滅する。これはそんな諸刃の剣の作戦なのだ。

 それ故、転移術を使える彼が迷う筈がなかった。だがそれは、カイト達からしても分かりきった話だ。だから、レヴィはきっちり対策を考えていた。


「そのまま味方を巻き込んで地面に激突しろ!」


 わずか一秒にも満たない時間で彼はカイトとユリィを捉えると、その進路上に空間の裂け目を作り遥か遠くの北部軍の本陣近くの地面の前へと強制的に移動させる。空間の繋がりを置換して、空間の先を本陣近くに設定してやったのだ。

 流石にこれは転移術ではない為、加速し続けるカイト達にも回避は難しかった。が、北部軍本陣への移動と同時。そのカイト達の前に再び空間の裂け目が出来上がり、再び『パルデシア砦』の上空へと移動する。


「何!?」

『それはあまりにわかり易すぎるでしょう? 豚君』

「豚!? その声はジュリエット・ゲニウス!? 先程からの魔術はやはり貴様か!」


 脳裏に響いた声に、魔術師は敵の魔術師が自分の知己であった事をようやく理解した。その顔は苦渋と怒りに満ちており、この行動が完全に読まれていた事とカイトの攻撃がもはや回避不能である事を理解させた。


『ちぃ! この借りは何時か必ず返させてもらうぞ!』

「・・・逃げた、か。相変わらず逃げ足の早い奴だこと。まぁ、次の戦闘で会うでしょう。その時は引導を渡してあげるわ、ピッグ・デタング」


 ジュリエットは旗艦の上空から、敵の魔術師が砦より離脱した事を見る。ピッグというのが、彼の名らしい。何処かの地方の方言らしいのだが、英語で言う豚と一緒だ。それと体型を含めて彼を嘲ったあだ名だそうだ。そうして彼が逃げた一瞬の後。カイト達は超弩級戦艦の壁の前に到達した。


「突っ込んでくるぞ! 耐ショック用意! 飛空艇が轟沈されようと、僅かにでも勢いを削ぐ!」


 超弩級戦艦の壁の一番上に座する艦長が戦艦の各所へと注意を促す。そうして来るべき衝撃に備えた次の瞬間、彼らの予想外の方角から衝撃が戦艦を襲った。


「うぉおおおおお! な、なんだ、何が起きた!?」


 唐突な横合いの衝撃に艦長が困惑する。何が何だかわからないが、唐突に横から衝撃を受けて強引に飛空艇の位置をずらされたのだ。そして彼は即座に何が起きたのかを悟る。


「狙撃!? あんな所にいつの間に!?」


 彼は続けざまに戦場の東西の遥か彼方から飛来する数発の弾丸を見る。それがカイトの直撃する寸前に超弩級戦艦の側面に直撃、その巨体を強引に移動させたのである。真正面からは注意していたが、流石に東西方向の遥か彼方は見きれなかったのだ。


「こちらを移動させて強引に道を作ったのか!」


 超弩級戦艦が強引に移動させられて、人が一人が通れる程度の隙間が出来ていた。出来上がったのはほんの僅かな隙間だ。だがそれでも、人が通るには十分な隙間だった。

 そしてそれは本来なら、戦艦の位置を自動修正するシステムが働いて即座に無くせるだろう僅かな隙間だ。だがそれはカイトが通過する一瞬だけを狙って、作られていた。そうして、その僅かな空白が出来た次の瞬間。飛空艇が位置を軌道修正する直前。更に巨大な振動が、彼らを襲った。


「うぉおおおお!? っ! 姿勢制御急げ! こうなれば引き続き突入してくる奴らを迎撃する!」


 僅かに出来た隙間を、カイトが轟音さえ置き去りにして通り抜ける。そうして、超弩級戦艦の壁を突破したカイト達を最後に出迎えたのは、敵の大型魔導鎧の軍団だった。彼らは防御用の障壁を全開にして、戦艦と同じく我が身を犠牲にしてわずかでもカイトの勢いを削ぐつもりだった。


『ホタル!』

『了解』

『っ! 転移術を使うゴーレムだと!?』


 ホタルと交戦していた何処かのギルドの保有する大型魔導鎧のパイロットが、大いに驚いて思わずホタルの制止に失敗する。

 ホタルはカイトの指示を受けて、大型魔導鎧の一団を戦場の端に移動させて交戦していたのであった。流石に大型魔導鎧を着込んでいては、ランクSの冒険者もカイト達の阻止には間に合わない。が、近ければ間に合う可能性がある。それ故、物理的に遠ざけたのであった。そうして、彼女はカイトの進路上に立ちふさがろうとした大型魔導鎧の軍団へと、襲いかかった。


「<<メギド・波(メギド・ウェーブ)>>」


 ホタルは転移と同時に、『古代魔術(エンシェント・スペル)』の一つをティナが独自に改良した魔術を展開させる。それは威力を落として、範囲を拡大した物だった。

 敵を吹き飛ばしたり一掃したりする場合、つまりはこの場合においては、最善の一撃だった。そうして、カイトとユリィの進路上から今度こそ障害物は一切無くなる。


「おぉおおおお!」


 カイトが吼えて、今まで彼の身体に蓄積されていたエネルギーが全て大剣へと移動する。それに従ってカイトは急減速をして、移動速度がゼロとなると同時にカイトは『パルデシア砦』を守る障壁に着地。移動距離にして約20キロ分のエネルギーが蓄積されもはや光の塊となった大剣を大上段に構えた。


「<<超過大斬撃オーバーブレイク・インパクト>>!」


 大上段に構えた大剣を、カイトは結界へと叩き付ける。この一撃はあまりに強大な一撃故、大剣に蓄積されたエネルギーが一瞬毎に漏れてしまうのだ。それ故、この距離まで近づかなければ使えない必殺技なのであった。

 そうして約20キロ分の間で蓄積されたエネルギーを全て込めた一撃はその余波で強烈な光を上げて、轟音を戦場へと轟かせる。


『今だ! 全機あの光を目指して突っ込め!』


 カイトの一撃の直後。それを確認したレヴィが一気に号令を掛ける。そうして、それと同時。ガラスの砕け散る音と共に、『パルデシア砦』を守る強固な障壁がはじけ飛んだ。


「迎撃に構わず降りろ! この飛空艇が何時まで無事かわからんぞ!」

「下の方が安全だ!」

「急いで降りろ! 周囲の安全は後で確保しろ!」


 各飛空艇に乗り込んだ指揮官達は『パルデシア砦』の城塞内に僅かにでも入り込んだ瞬間、全ての戦士達に向けて強引でも良いから出撃する様に命ずる。

 何時まで対空防御が止まっているかわからないのだ。とりあえず兵員を降ろす事が何よりも重要だった。それに強引にでも制圧してしまえばこちらの勝ちだ。なら、気にしてもいられない。


「遅れんなよ! 敵の超級の奴らは軒並み撤退を開始してる! 今が、攻め時だよ!」

「俺達も行くぞ!」

「「「おう!」」」


 レヴィの作戦にて撤退し合流したカリンに続いて、瞬達ソラを除いた冒険部と<<粋の花園(すいのはなぞの)>>の人員が一斉に飛空艇から飛び降りる。そうして戦いは『パルデシア砦』内部へと移行して、ついに最終局面へと移行するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。あと少しで攻略戦も終了です。

 次回予告:第1027話『パルデシア砦攻略戦』

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