第1019話 パルデシア砦攻略戦 ――進軍――
敵からの遠距離攻撃を受けて、やむにやまれず敵陣を強襲する事になったカイト。その彼が放った斬撃は直線距離にしてカイトの着地地点から約1.5キロ、幅にしておよそ10メートルの超巨大な斬撃となり『パルデシア砦』の結界にまで届いていた。
が、やはり距離がありすぎた為、結界を破壊するまでには至らなかった。至らなかったが、それでもその威力は凄まじく、両軍に超級の冒険者が戦場に降り立った事を否が応でも理解させていた。
が、その前の時点。カイトが蒼い光となった時点で、気付いていた者が居た。それはカリンやフロド達と同じランクSの超級と言われる冒険者達だった。
「・・・総員、出撃準備」
「ありゃぁ・・・敵も切り札を切ってきたねぇ。さて・・・私も出るか」
『発進準備を急がせろ! こちらも出るぞ!』
「ありゃ・・・あの青髪・・・この間のか。あー、やべぇのが居るって教えてやったのが間違いだったか・・・まさか突っ込んでくるたぁな・・・さぁ、メインディッシュと行こうじゃねぇの」
良くも悪くも、カイトが先陣を切ったのは敵味方共に次の動きを促していた。そうして、両軍共に次の段階へと進んでいくのだった。
一方、その頃。南部軍所属のランクS冒険者の妨害によって急降下を余儀なくされたカイト達はとりあえず最前線の一歩手前に着地すると、カリンが即興で作り上げた塹壕の中に避難していた。
「うおっ! 怖かったー!」
避難して早々、ソラが声を荒げる。彼はカイトが突撃した為、冒険部では一人で周囲からの砲撃を防いでいたのだ。まぁ、冒険部からは一人と言うだけで他にも援護の手はあったのでなんとかなったが、それでも精神的なプレッシャーはとてつもないものだったらしい。
「ソラ、回復薬は?」
「あ、いや、大丈夫っす。すんません、心配掛けたみたいで・・・単に精神的なもんなんで問題は無いっす」
瞬が取り出した回復薬を見て、ソラが慌ててまだ大丈夫である事を明言する。今回、カイトが突貫した所為で彼一人にプレッシャーがのしかかった訳だが、逆にカイトが一気に敵陣へと乗り込んでくれたお陰で彼の方もかなり体力・魔力的にはかなり余力があった。
精神的なプレッシャーで緊張したのであって、それは言ってしまえば魔物相手の時も一緒だ。飛空艇の魔弾が飛び交う戦場という場が初めてである、と言う程度しか負荷は掛かっていなかった。総合的に見れば、予定よりも体力は余っていた。
「そうか。なら、良い。が、辛くなったら即座に言え。で、カイト。現状はどうなんだ?」
「ちょっと待った・・・流石に妨害電波に似た何やらでノイズが酷いからな・・・」
カイトはウェアラブルデバイスを片手に、本陣に居る筈のレヴィとの連絡を取るべく通信を試みていた。基本的な話として、カイトの突破力を北部軍の司令部で正確に理解しているのはこの戦場では彼女一人だ。不測の事態に陥っているのなら、まずは彼女に指示を仰ぐのがベストだろう。彼女もこの様な事態は想定していた為、密かに通信回線を一つカイト用に取っておいたのが功を奏した。
「ちっ・・・もう少し出力を上げて・・・一葉。そちらから・・・ああ、繋がった。サンキュ」
『カイトか。とりあえず無事着地は出来た様だな』
「ああ、着地はな。現在地は最前線から少し離れた所だ。そこに即興で塹壕を作って一時避難している」
『そうか・・・ならばそこは最前線からおよそ200メートルほど前方だ。こちらの初手の結果と兵士達の士気の高さがあり、想定されていた地点よりも500メートルほど押し込めている』
カイトの報告を受けて、レヴィが現状をカイトへと通達する。カイト達は途中から最高速度で駆け下りた為、当初の降下予定ポイントよりも遥かに前方へ降下していた様子だった。
まぁ、この程度の想定外は戦場ならよく起きる話だ。別に不思議でもないし、それならそれを前提として行動するだけだ。カイトにもレヴィにも焦りはない。
『まぁ、その地点なら幸いと言えるだろう。幸いそのエリアは敵の砲撃の薄い地域だ』
「そうか・・・災い転じて福となす、としておくか」
カイトは改めて、この結果を良しとしておく。攻撃を受けての決断だったが、偶然にも北部軍と冒険者集団の陣形の合間に着地してしまったらしい。
交戦が起きていない訳では無いらしいが、それでも比較的安全な空白地帯に入っていた様だ。一時停止するのなら、最適なポイントだった。敵陣のど真ん中や戦闘の最前線に着陸するよりも遥かに安全だろう。
『ああ。そして実の所、戦況としても少々良い。敵としてもまさかそんな最前線に近い所に超級の冒険者が降りるとは考えていない筈だ。対応にはしばらく時間が必要だろう。今の内に、戦線を一気に押し上げろ』
「と言う事はこのまま増援を待つのでは無く打って出ろ、言う事か」
『そう言う事だ。ただ、前を目指して進め。後方の冒険者の集団は今、貴様らが切り開いた道を途絶えさせない様に全速力で進ませている。敵の超級が出て来る前になるべく戦線を押し上げてやれ。貴様らのお陰で少々予定は狂ったが、それを利用して速攻で片を付けるべきと判断した』
「りょーかい。いたずらに長引かせて被害を受けるよりは遥かにマシ、って訳ね」
レヴィの指示を受けて、カイトが通信を終了する。必要な情報は全て手に入れた。これで、後は突き進むだけだ。
「良し・・・全員、準備は良いな? ここから先、誤射が怖くなるからどちらも援護射撃は貰い難くなる。前に敵が出ても躊躇うな。けど、殺す必要は無い。こっちの目的は砦を落とす事。落とせさえすればそれで十分だ」
カイトはウェアラブルデバイスを異空間に仕舞うと、爆音に紛れて聞こえない事を避ける為にヘッドセットを通して一同に指示を伝える。それに全員が頷いたのを見て、カイトはもう一つ指示を与える。
「良し・・・全員深呼吸・・・行くぞ!」
自分でも深呼吸を一つした後、カイトは号令を掛けるや塹壕から外に飛び出る。外はどこもかしこも激戦と言って良い状態にあり、そこかしこで戦闘が起きていた。
「これだけ敵も味方も多いと<<縮地>>は使えない! 全員、走んな!」
カリンが冒険部全員に対して注意を促す。<<縮地>>は一直線に走り抜けるものだが、それ故に進路上に障害物があると使えない。これは転移では無いのだ。障害物は透過出来無い。
いや、厳密には使えない訳では無いが、ソラ達程度が使っても途中では曲がれない。長距離では衝突を回避出来無いのだ。そうして、カイト達は最前線まで一気に走り抜ける事にする。
「っ!」
「わーってる!」
カイトから指示が飛ぶよりも前に、ソラが最前列へと躍り出る。上から降り注ぐように魔導砲による砲撃が加えられたのだ。どうやら、こちらを標的にする事にしたらしい。数は4隻。規模は小型艇だ。
「ホタル! 右二隻! オレは左二隻をやる!」
「了解」
「あたしらは先に進むよ! 付いて来な!」
このまま狙い撃ちを食らうのは有難く無い。それを見たカイトとホタルは上空でこちらに攻撃を仕掛けている4隻の小型飛空艇を狙う事にして、一方のカリン達がソラ達を引き連れてそのまま直進する事を決めた様だ。幾らソラの盾が有るからとて、立ち止まれば砲撃の的だ。先に進むのが一番安全だろう。
と、そうして身を屈めて空中の飛空艇へと攻撃を仕掛けようとした所で、その4隻の小型の飛空艇の胴体が一斉に風穴を空けた。横から複数の魔弾の直撃を受けたのだ。
『マスター、上は気にしないで良いよー』
「三葉か! 助かる!」
ヘッドセットを介して響いた三葉の声にカイトは何があったかを理解して、そのままホタルと共に先行するカリン達を追いかける。一葉がこちらに攻撃が加えられたのを見て、三葉に命じて支援砲撃を行わせたのである。
「ん? えらく早かったね」
「ちょいと援護が入ったからな。上を気にする必要は無さそうだ」
カイトはカリンの問いかけに後方を後ろ手に指差して告げる。今回、一葉達はその役割としてカイトへの近接支援を行えない可能性が高い事は分かっていた。
なのでティナは魔導殻の兵装として遠距離からの砲撃による支援を行える様に設定していたのであった。彼女らによる超長距離狙撃は戦場でも有効だと言うのが証明された形になった。
「そうか・・・じゃあ、行くか」
「おう」
カリンの言葉にカイトも同意して、更に進軍速度を速くする。砦に設置された魔導砲や飛空艇による上空からの砲撃はあるが、カイト達を狙い撃つ攻撃についてはこれで考えなくて良いのだ。
後は、如何に敵の冒険者達が出る前に敵陣を切り崩せるか、であった。そうして、瞬く間にカイト達は500メートルの距離を駆け抜けて、最前線にたどり着いた。
「全員、一気に最大出力で攻撃をやれ! とりあえず敵の陣形を崩す!」
「ソラ! あんたはウチの盾持ちと一緒に攻撃後の反撃に備えな! 攻撃する奴の命、あんたに預けるからね!」
カイトとカリンが一斉に指示を下す。ここから最前線も最前線に至るまで、あと数秒しか時間が無い。が、それで良い。それだけあれば、近接戦闘を行う者達は全力で攻撃出来る。
「カイト! あんた久々だからって忘れてないな!」
「まだお前より年下のガキだ! ボケるにゃ早い! ホタル、付いて来いよ!」
カイトとカリンが大声で話し合う。もう誰も気にしていられる状況では無い。とは言えここではカイトは攻撃には参加しない。カイトが攻撃する為に、他が攻撃するのだ。そうして、カリン達が攻撃に入ると同時に、カイトは身を屈めて何時でも跳べる様に準備を行う。
「咲きな、<<壱花>>!」
「力をお借ります! <<鏃の槍>>!」
「木更津! 行けるな!?」
「はい、部長!」
「「<<一房・砲>>!」」
各々が各々の持てる最大の攻撃を放つ。それはこの数ヶ月の訓練に見合っただけの高火力で、並の兵士達に受けきれる物では無かった。そうして、彼らの放った攻撃により敵の最前列は大きくかき乱される事になる。それを見てカイトが地面を蹴って大きく跳び上がり、敵陣営のど真ん中の上空へと躍り出た。
「これやるのも久しぶりだが・・・ま、忘れちゃいないさ」
敵陣のど真ん中の直上に躍り出たカイトは、それと同時に周囲に無数の武具を創造する。流石に敵も目の前から超高火力の連撃を食らった上に突然現れた無数の武具だ。流転する事態に状況の把握が出来ず、ただ呆然と見守るしか出来無かった。
「行くぜ・・・<<魔煌流星群>>!」
呆然となる敵兵士に対して、カイトは容赦なく振り上げた右腕を振り下ろす。そしてその動きに合わせて、音速の壁をぶち破ってカイトの作り上げた武器が雨の如くに降り注いだ。
が、着弾して終わりでは無い。今回は突破力をメインにしておらず、全て着弾と同時に爆発する様に設定していた。防がれても大丈夫な様に、爆風で吹き飛ばすつもりだった。
これは殺し合いでは無い。戦争だ。如何に効率よく敵を殺すか、では無く如何に効率的に戦略目標を攻略するか、が重要なのだ。敵を殺す事、手柄を立てる事に意識を割いた所で負ければ無駄なのだ。
そうして敵陣の各所にて幾つもの爆発が起きて、敵が吹き飛ばされていく。今のカイト達の目的は敵陣をズタズタに切り裂いてしまう事だ。一気に戦線を押し上げて、『パルデシア砦』へとたどり着くのである。
「今だ! ラエリアの勇敢なる兵士達よ! 敵陣は大いに乱れた! 一気に押し込め!」
「「「おぉおおおお!」」」
カイトの号令を受けて、最前線で戦っていた兵士達が鬨の声を上げて一気に突き進む。カイトの攻撃により、敵の前線は大きく引き裂かれた。残る兵士達も予想外の展開には流石に浮足立つしかない。今こそが、進むべき時だった。
と、そんな風に目立つ行動に出れば当然、敵の注目も浴びる。一斉にカイトへと敵の魔導砲の砲口が向けられた。が、それはカイトとてわかっていた。だからこそ、ホタルに支援を申し出ていたのだ。
「ソラ様。マスターの防御をおまかせしてよろしいでしょうか」
「おう! ホタルちゃんは!?」
「当機はマスターを狙う超弩級戦艦二隻を撃破します。二隻の主砲はソラ様では対処不可能かと存じ上げます」
「お、おう・・・」
ホタルの返答にソラは<<操作盾>>を操ってカイトへの軽い砲撃を防ぎながら、少し引いた様に頬を引き攣らせる。ここらで手元が狂う事が無いあたり、彼もかなり鍛えられているのだろう。と、ホタルに対して、敵陣に出来た空白地に降り立ったカイトが転移術を使って何かを投げ渡す。
「ホタル! 使え!」
「感謝します」
投げ渡された『試作縮退砲』を、ホタルは右手で抱える。そうして左手でもう一つ、自分用に調整された同じ物を抱えて、しっかりと地面を踏みしめた。カイトと自分用の二つを同時に使い、二隻の戦艦を一気に轟沈させるつもりだったのである。
「『試作縮退砲』チャージ・・・一葉、応答を」
『わかっています。マスターへ攻撃を仕掛ける不届き者の露払いはこちらにおまかせを』
「肯定します・・・出力最大。マルチロックオンシステム起動・・・照準良し。想定される出力による撃破可能と判断・・・射程内です」
ホタルは一葉と即座に打ち合わせを行うと、二隻の超弩級戦艦からカイトへと主砲が発射されるよりも前に二丁の『試作縮退砲』の引き金を引く。そしてそれとリンクするかの様に、後方より魔導殻による援護射撃が加えられ、周囲にて弩級戦艦を守るべく結界を展開していた小型の飛空艇を撃墜していった。
「っ」
『試作縮退砲』による砲撃を行ったホタルが、わずかに目を見開いた。一隻の撃沈には成功したのだが、残る一隻は失敗した。が、これは外したのでは無い。彼女の砲撃の前に、障害物が立ちはだかったからだ。
「嘘・・・だろ? 戦艦落とす奴を防ぐのかよ・・・」
「来るか。まぁ、そりゃそうだろうね。高位の奴ほど、戦場でやばい瞬間は分かるもんだ。カイトとあたしが出たのを直感で悟ったね、あいつらは。対応が早い」
唖然となるソラに対して、カリンが楽しげに牙を剥いて教えてやる。ホタルの砲撃を防いだのは、大型魔導鎧。それも軍が操る物ではなく、『試作縮退砲』の砲撃を防ぎきれる様なかなり高位の冒険者の操る特別な改良の施された大型魔導鎧だった。ついに、敵も高位の冒険者達が出陣して来たのであった。
「マスター、申し訳ありません」
「いや・・・ありゃ、やばい奴らだからな。気にするな」
「お返しいたします」
「ああ」
カイトはホタルの謝罪に慰めを送ると同時に、彼女から返却された『試作縮退砲』を受け取る。何とか、敵の最前線をズタズタに切り裂いて戦線を更に押し上げる事は出来た。
だが、ここからが一気に難しくなってくる所だった。と、そうして受け取ったと同時。カイトが何らかの魔術によって拘束される。
「ん? っ!」
カイトは己に何がされるのかを理解して、その対処を探る。拘束されるまでは良い。こんなものを引きちぎるのは容易い。が、困るのは更にカイトとその周辺の空間を強制的に転移しようとしていたことだ。
術者は間違いなく、ランクSの冒険者だった。おそらくカイトにこれ以上戦線を崩される事を厭って、どこかに飛ばそうとしているのだろう。
そうして、カイトは即座に何処に飛ばそうとしているのかを理解した。良くも悪くも転移術ではなく空間を置換する事で移動させようとしていた事だろう。転移術とは違い空間置換は強制力が高い為カイトでも逃げるのが難しいが、移動先の場所を理解するのは簡単だった。
「この上空200メートルって所か! なるほど! 願ったり叶ったりだ! カリン! 敵の魔術師はこっちで押さえ込む! あれは飛空艇より遥かにヤバイ! そっちは今の内に進め! ホタル! ソラ達を頼むぞ!」
「ああ、魔術師は頼んだよ!」
「了解」
カイトの言葉を聞いて、カリンとホタルはカイトをその場に置いて一気に戦線を進む事にする。単なる兵士なら、彼女らは止められない。カイト一人を置き去りにしてでも進むべき時だった。
カイトの相手になるのはランクSの魔術師だ。単独で絨毯爆撃をしてしまえる様な相手だ。これを放置していれば多大な被害が出る。どちらも放置すればお互いの陣営をボロボロにしかねない相手なのであった。お互いが迎え撃つのは、ある意味当然だった。
が、残念ながらそう上手く進んでくれる事は無かった。一同の目の前に、先程の大型魔導鎧が立ち塞がったのだ。そうして一瞬の内に、ホタルをかっさらった。
『っと! お嬢ちゃんは厄介だな! こっから見た限り、ゴーレムか! お嬢ちゃんは俺のお相手を頼もうじゃねぇか!』
「っ!」
ホタルの顔に驚きが浮かぶ。一瞬で自分がゴーレムだと見抜き、この中でもトップクラスに厄介だと理解したのだ。紛う事無く、こんな鎧を着なくてもランクSの実力者だった。そうして大型魔導鎧の手で握りつぶさんと力を込めた相手に、ホタルは出力を上げて応ずる。
「はっ!」
『っ!』
『カリン様。こいつは当機が足止めを』
『任せるよ! 足を止めたら確実に巻き込まれる! 先へ進む!』
ホタルから入った通信を受けて、カリンが先へ進む事を決める。このままここに残れば、カイトとホタルの戦闘の巻き添えになりかねない。そうなれば嵐の中に浮かんだ泥舟と一緒だ。カリンでも拙い。が、戻る事も出来無い。であれば、進むしか無い。
「ちっ・・・ホタルも離脱か。とは言え・・・さぁて・・・じゃあやろうか」
無理やり戦場の上空200メートル地点に飛ばされたカイトは、遥か先の『パルデシア砦』の一番高い所に立つ人影を睨みつける。そこに居たのは、一人の杖を構えた男だ。その視線はカイトへと向けられていた。彼こそが、カイトを転移させた敵だった。ランクSの魔術師と言って良いだろう。
「とりあえず、まだ先も長い。適度に創っておいて後はタイミングを見計らうとするか」
カイトは敵が生み出す無数の光球を見ながら、自分も無数の武器を創造していく。これから始まるのは、壮絶な撃ち合いだ。弾数には気をつける必要があるだろう。そうして、敵が一歩先んじて光球を一気にカイトへと投じる。
「行け!」
敵が光球を放つと同時に、カイトもまた無数の武器達に命ずる。それは音速の壁を軽々とぶち抜いて、敵の光球目掛けて一直線に進んでいく。光球の動きは複雑で、一直線では無かった。相当な技量だろう。
それにカイトは武器を操り、光球を破壊して、同時に光球によって無数の武器が破壊されていく。そうして、カイトは戦場の空中にて敵のランクS冒険者と壮絶な撃ち合いを始める事になるのだった。
お読み頂きありがとうございました。
次回予告:第1020話『パルデシア砦攻略戦』




