第983話 獣のお姫様
桜が単独で『風地竜』を討伐した一方。カナンと魅衣はいつも通りコンビで戦っていた。と、そうして幾度目かの牽制を終えると、カナンと合流した魅衣が口を開いた。
「さて・・・どする?」
「どする? って言われても・・・ねぇ?」
「今回ってこの数ヶ月の戦闘の総仕上げって所でしょ?」
「うーん・・・」
魅衣の言葉にカナンもそれはそうだけど、と悩ましげな顔を見せる。
「なんというか・・・私あれ、あんまり使いたくないんだよね」
「そうなの?」
「魅衣は?」
「私の使い捨てだから・・・あんまり、見せれないのよね。タマちゃんからも切り札で、って念押しされたし・・・」
カナンの問いかけに魅衣はため息を吐いた。彼女の手にした呪符は基本的に使い捨てだ。効果は高いが、身代わりになったりしてくれる物があったりとあまり見せれる札ではない。敢えて攻撃を食らいに行くのも馬鹿だろう。
「カナンは・・・伯父さんというかレイさんの力だっけ?」
「と言うか、<<月の子>>」
「あの真っ赤な髪でしょ?」
「うん」
カナンは少し胸元を開いて服の内側の呪符を確認する。数ヶ月の訓練で何とか一枚には出来ていた。剥がれたりはしていない。なので使おうとすれば、使える。
「で、なんで使いたくないわけ?」
「・・・」
「・・・なんで黙るわけ?」
何故か頬を染めて何も語らないカナンに、魅衣が笑いながら問いかける。そんな魅衣に、カナンは恥ずかしげに答えた。
「・・・身体火照る」
「・・・ごめん、もう一回言って?」
「あれやっちゃうと、身体がものすっごい火照るの!」
小声過ぎて聞こえなかったらしい魅衣が問い直すと、カナンが耳まで真っ赤にして答える。が、そんな事を恥ずかしげに言われた所で魅衣には当たり前だ、としか言えない。
「・・・そりゃそうでしょ。戦闘やってんだから」
「そういうことじゃなくてぇ~」
何を当たり前な、という表情の魅衣に対してカナンが恥ずかしげにどう説明したものか、と悩ましげな表情を見せる。ぶっちゃけてしまえば、非常に手っ取り早い。一言で良いので、一瞬だ。が、それは少々恥ずかしいらしい。そうして、カナンは少しだけ過去を思い出すのだった。
さて、事の発端は今より二ヶ月程前。彼女が服の内側に貼り付けた呪符の一枚を外しても大丈夫だろう、と判断が下された時の事だ。
「っとと・・・うん、大丈夫」
カナンは<<縮地>>の反動を少し苦慮しながらも、ほとんど危なげなく対処し終える。<<縮地>>は使える様になっていたし、走る分には普通に走れる。相当なスタミナを消費するというデメリットはあるものの、現状のカナンはランクBの冒険者に匹敵するだけの性能を得られていた。
「どう思う? そろそろ、大丈夫だと思うんだが・・・」
「まぁ、良いんじゃねぇのか?」
カイトの問いかけにラカムも太鼓判を押す。が、レイナードは僅かに顔を顰めていた。
「まだ、早い様にも思えるが・・・」
「つってもあんま抑えてやっても意味はねぇ。そもそも出力に耐えきれねぇってだけでよぅ・・・慣れさせねぇと、敵の事もある。狙われねぇとも限らねぇ」
「ふむ・・・確かにそれはそうか」
ラカムの指摘にレイナードは己の意思を翻意して、そろそろ大丈夫、というカイトの意見に同意する事にした。そうして、三人の間で同意が得られた事で次の段階へ進ませる事を決める。
「おーい、カナンー! ちょい中断してこっち来てくれ!」
「あ、はーい!」
カイトの呼びかけを受けたカナンは『焔髪』から元の白銀の髪に戻って、三人の前にやってきた。そうして、カイトが口を開く。
「良し・・・カナン、今三人で話し合っていたんだが、そろそろ呪符を一枚取っても大丈夫だろう」
「そうですか?」
「おう・・・そのぐらいの技量がありゃぁ、一枚抜いてもやれるだろうよぅ」
カナンの問いかけにラカムが太鼓判を押す。確かにあの様子なら大丈夫そうではあった。というわけで、少しの解説の後カナンは胸元から一枚目の呪符を引剥した。と、そうして取り出した呪符を見て、カナンがカイトに問いかける。
「あ、これどうすれば?」
「持っとけ。いざって時には使える」
「はーい」
カナンは懐に無力化した呪符を適当に突っ込んでおく。こういうがさつさは冒険者故の物だろうが、ラカムとレイナード――とシア――が後々このがさつさを何とかしようと努力する事になるが、それは横に置いておく。とは言え、とりあえず懐に呪符を仕舞ったカナンは次の指示を待つ事にした。
「ふむ・・・とりあえず一度『焔髪』を発動してみ? 次はそっから考えよう」
「はいっ・・・って、発動しただけじゃ何も変わりませんね」
「とりあえず、今と同じように一通りの訓練開始だ」
とりあえずカイトの指示に従って『焔髪』の状態へ以降したカナンだが、そのままでは何も変わらない事を思い出す。というわけで、さらなるカイトの促しを受けて一通りの簡単な行動を行ってみる事にする。
「っとととと・・・ふぅ」
「ん、なんとかバランスは取れる様になっているな」
少し己の出力に振り回されながらもしっかりと走り抜いたカナンを見て、カイトが頷いた。やはり段階的な訓練を行っていたからか、一枚抜いた所で大丈夫なだけの感覚が養われていた様子だ。
この状態で性能としてはランクAの下位か、ランクBの上位という所だ。この様子なら、今のカナンでも呪符を無しにした場合では第一段階の『炎華』でランクAの上位に匹敵するのだろう。末恐ろしい才能だった。
「ふむ・・・もう一段上に行かせてみるか?」
「んー、一度見ておくか」
「危険じゃないか?」
レイナードの言葉に同意したラカムに対して、カイトは少しだけ眉を顰める。
「いや・・・どんなもんか誰もわかんねぇだろうよぅ」
「んー・・・そりゃ、そうか。つってもそのままじゃあなんにもなんないか。なら、ついでか。一度戦ってみるか」
「貴様がやるのか?」
「万が一の場合にはルーンで封印使えるからな」
レイナードの問いかけにカイトは指を動かして空に文字を描く。万が一暴走した場合には、この間と同じように封印してやれば良いのだ。なんとかなる、という見込みだった。
「おーし! カナン! 更に因子を活性化させろ!」
「大丈夫なんですか?」
カイト達の前に戻ってきたカナンが問いかける。
「わっかんね。とは言え、身体は大丈夫だろ。ここ当分慣らしてるしな。けど、どのぐらい上昇するかとか色々わからん事も多い。で、一度それを見る事も含めて、オレと戦っておこうって腹だ。どの程度の力か見ておきたいだろう?」
「マスターと?」
「嫌そうな顔すんな」
勇者カイトと戦うとあって嫌そうな顔をしたカナンに対して、カイトは笑いながら軽く準備運動を行う。とは言え、本人もどのぐらいの実力なのか、というのは見ておきたい所なのだろう。
嫌そうな顔はしたものの、胸を借りるつもりで戦う事にしたようだ。カナンは更に力を込めて、獣の因子を活性化させる。すると、彼女の目は白銀に光り輝いて第二形態『焔月』へと移行した。
「んっ・・・」
「どうだ?」
「なんというか・・・身体がぽかぽかします」
「かなり、血が活性化しているだろうからな。無理はするなよ」
「はい」
当たり前だろうな、とカイトはそれを当然と処理する。今のカナンは『夜の一族』の因子の活性化を受けて、軽度の興奮状態にあるのだろう。それは『夜の一族』の力をよく知っていれば別に不思議な事でも無いし、座学でそれを教わったカナンも当然と処理していた。そうして、適度な距離を取ってカナンが短剣を構えた。
「来い」
「行きます」
カナンはカイトの準備が整ったのを見て、地面を蹴ってカイトへと襲いかかる。その速さは先の比ではなく、確実にランクAでも上位クラスに位置していた。
とは言え、まだ振り回される事を恐れていて、カナンは全力は出していない様子だ。というわけで、カイトがそれを指摘する。
「カナン。オレの事は気にするな。とりあえず、全力を出してみろ」
「はいっ!」
すれ違いざまに指摘を受けたカナンは、更に力を漲らせる。そうして、今度こそ音を置き去りにしてカナンが駆けた。
「っ・・・良い速度だ」
確実にランクSクラスの才能はあるな、とカイトが笑みを浮かべる。ラカムとレイナードの血脈の間の子だ。まだまだ才能が眠っているにも関わらずこの出力。やはり、末恐ろしかった。と、そんなカナンが更に加速して、轟音と共に再度地面を蹴った。その速度は、先よりも更に速い。
「っ・・・良いね。まだ上がるか」
背後からの強襲にカイトは余裕で対処する。そうして数度縦横無尽に駆け回るカナンの攻撃を受け止め続けて、この状態だとランクSの下位クラスの実力がある、と判断した。
「だいたい、こんなもんか・・・にしても・・・」
カイトが僅かに顔を顰める。だんだんとカナンの攻撃に遠慮が無くなってきていたのだ。
「おい、カナン。少し力を抑え、っ!」
「あはっ」
衝突の瞬間、カナンの顔に笑みが浮かんでいた事をカイトは見る。頬は高揚し、吐息は荒かった。その様子を、ラカムとレイナードの二人も見ていた。
「少しやばかぁねぇか?」
「ふむ・・・もしや・・・」
「どした?」
「低度の興奮状態になるだけかと思ったのだが・・・獣の因子が活性化した事で獣に立ち戻っているのかもしれん」
「はつじ、ごふっ」
「はしたない言葉を使うな」
ラカムがレイナードのぶん殴りの直撃を食らう。油断していた様子だ。そうして、しばらく二人が殴り合う事になる。が、その一方でカイトもカナンとかなり本気の戦いを行っていたわけで、カイトも同じ結論に至っていた。
「これは・・・カナン! そろそろ止まれ!」
「はぁ!」
己の言葉を無視したカナンの打ち上げを受けて、カイトが上空へと猛烈な勢いで吹き飛ばされる。
「っ!」
吹き飛ばされたカイトは、空中で姿勢を取り戻して強引に停止する。と、その直前、カナンは地面を蹴って、空中へと躍り出ていた。
「ちっ」
カイトは転移術でカナンの追撃を回避する。が、そうしてカイトが現れた瞬間。カナンが虚空を蹴った。
「<<空縮地>>? いや、違う!」
轟音と共に射出する様に背後のこちらへ突撃したカナンを見て、カイトが目を見開いた。カナンはまだ<<空縮地>>を使えない。元々使えない技術を『月の子』の力を使ったからと使える様にはならない。なので彼女は超速で虚空を蹴る事で空気を圧縮して、その圧縮した空気を地面に見立てて虚空を蹴ったのである。
「ちぃ!」
どんっ、という轟音と共に急加速したカナンに対して、カイトは即座に刀を合わせる。そうして更に、僅かに軌道を逸して姿勢を崩してやる。が、カナンはそれに数瞬で対応してくるん、とカイトの方を向いて、再度虚空を踏み抜いた。
「っ! やる!」
カイトは思わず笑みを浮かべる。ここまでとは想像以上だった。だったが、だからこそ楽しくあるのだ。それに対して、カナンも笑っていた。
「はぁ!」
「はっ!」
再度、二人がぶつかり合う。が、今度はカイトもそこそこ本気でやった。というわけで、カナンは勢い良く地面へと落下していく。が、着地の直前、彼女は姿勢を整えて猫の様に器用に衝撃を受け流してやった。
「うまいな。獣の血が解放されてるからか・・・?」
「ふぅ・・・熱いです」
まるで何事も無いかの様に立ち上がったカナンは、そのまま汗を拭い胸元を開ける。と、そうして立ち上がったカナンを見て、カイトが少しだけ違和感を覚えた。
「うん・・・? こんな背高かったっけ・・・?」
カナンの何時もの背丈は160センチ強。長寿の血を引いているので成長途中だ。この程度でも不思議はない。が、今の彼女はそれより少し高い様な印象があったのだ。
「威圧感が存在感を増している・・・のか?」
「行きます!」
首を傾げたカイトに対して、何も思わない様子のカナンが地面を蹴る。それはあまりの力で地面が砕け、カイトをも僅かに押す程に力強かった。が、そうして力の押し合いになって、カイトは違和感が違和感でない事を理解した。
「っ! どうみても成長してるよな、これ!?」
「何?」
「あぁ!?」
カイトの言葉を聞いて、じゃれ合いの真っ最中だったラカムとレイナードが中断してそちらを向く。そして、彼らも目を見開いた。
「「メリー?」」
二人は同時に、カナンの母の名を呼ぶ。表情や髪色が違う等の違いはあるが、今のカナンは顔立ちは大人びておりスタイルも遥かに良くなっていた。
ちなみに、なぜカイトが分かったかというとまず間合いが僅かに伸びていた事と、何より彼女がはだけた胸元から覗く谷間が明らかに何時ものカナン以上だったからだ。更に言うと、服はそれ専用の素材ではないのでへそが見えており、とかなり危うい様子があった。
「カナン、そろそろ終わりだ! とまれ!」
「どうしてですか? こんな気持ちいいのに・・・もっとしましょうよぉ・・・だって、マスターすっごいいい匂いなんです。冷たくて、暖かくて・・・身体がぽかぽかします。これが発情期なんでしょうか・・・初めての感覚です・・・」
とろん、とした様子でカナンがカイトへと告げる。どうやら、身体が火照り正常な判断が出来ていないらしい。それに、カイトはため息を吐いて幾度目かの激突の折に刻んでおいたルーンを起動させる事にした。
「はぁ・・・オスとして好かれてんのか、それともシャルの神使故にか・・・ま、とりあえず。まだまだオレ達の方が上なんだよ。その程度で勝てると思わない事だな」
「あっ・・・ぴぎゃ!?」
「はーい、目ぇ覚めたか?」
スナップと共に封印を起動させたカイトは、更に冷水をぶっかけて正気を取り戻させる。それに、カナンが正気を取り戻した。
「あ、はい・・・なんかおっきくなってる!?」
「今頃!?」
カナンは己の姿を見て、成長していた事に気付いたようだ。
「とりあえず、今のうちに力抑えろ」
「あ、はい・・・」
シュルシュルシュルとカナンが縮んでいく。そうして、因子が完全に不活性化した所で何時ものカナンの姿に戻った。それに、カナンが少し残念そうな表情を見せた。かなりの美女の姿だったので、やはり女として惜しいのだろう。
「あ、もどった・・・ちょっと残念です」
「あっはははは。魅衣にほぞを噛まれる姿だったな。にしても、予想外だった。まさか急成長するとは・・・」
「何が起きた?」
「わからん・・・つか、オレも初めて見るってのは知ってんだろ」
レイナードの問いかけにカイトが笑う。何が起きたのかはさっぱりだ。が、推測は出来た。
「推測としては、戦闘に最適な肉体を得たって所だろうな。元々お前ら二つの種族は共に肉体の成長にゃ精神的な趣が強い。その影響だろうぜ」
「はぁ・・・あ」
何が何だかさっぱりなカナンは生返事を返したわけだが、そこで何時もの如くお腹が鳴った。
「はぁ・・・飯行ってくる」
「っと、金は?」
「オレが出すよ。オレが言い出しっぺだからな」
「そうか・・・では、頼んだ」
レイナードはカイトにカナンを任せる事にする。ここら残念ながらカナンの好む食べ物はカイトの方が良くわかっている。彼に任せるのが丁度良いだろう。
それにレイナードとラカムが一緒では何事か、と周囲が騒がしくなる。カイトが連れて行くのが一番だろう。そうして、二人は連れ立ってご飯を食べに屋台巡りを開始する事にするのだった。
と、そんな事があったので悩ましげなカナンを見て、ティナが補足説明をくれた。
『はははは。まぁ、仕方があるまいな』
「あ、ティナちゃん」
『うむ、余じゃ。ぶっちゃければあれの第二段階以降は常時発情期の様な物になってしまうんじゃ』
「は、発情期・・・」
「うぅ・・・」
カナンは羞恥で更に頬を染める。そして魅衣も何故使いたがらないかよく理解出来た。獣人として発情期があるのは、致し方がない。獣の性質を持つ生命体が故にそれだけは避けられない。
が、それを女の子が堂々と発言するのはまた違うだろう。と、言うわけで魅衣が少しおずおずとティナに原因を問いかけた。
「え、えっと・・・どして?」
『うむ、良い質問じゃ。『夜の一族』の血の活性化は手っ取り早く言ってしまえば一時的な興奮状態に陥らせる様な物じゃ。レイナードらが血を抜き取るのは、謂わば興奮させて鼻血の様な感じで血を過剰に循環させて、毛細血管を破裂。そこから血を抜き取っているわけじゃ』
「なるほどね・・・」
魅衣はティナの解説を聞いて、なるほど、と納得が行った様に頷く。基本的に彼女は考えるより動く方が好きだが、頭そのものは悪くはない。ティナの援助があれど天桜に入学出来ている事からもそれは分かるだろう。
『まぁ、そう言っても活性化の際には軽度の興奮状態に陥らせておるだけなので、血管が破裂して脳卒中などと言う事はない。そもそも獣人の因子が活性化した際に血管の強度も上がる・・・と余は推測しておる。まぁ、この推測は横に置いておくとしても、問題はあるまいな』
「で、興奮状態にあるから発情期になる、ってわけ?」
『そういうことじゃ・・・とは言え、第一段階『焔華』の状態じゃと問題はあるまい。幸い敵はランクB。それで行けるじゃろう』
「あ、そっか」
ティナの指摘を受けて、カナンはそういえば、と思い出したらしい。第一段階『焔華』の段階で留める事にする。
「良し」
「あ、ちょっとこっちまで暖かい空気が流れてる」
「そうなの? 私としてはちょっとぽかぽかして興奮状態にあるぐらいだけど・・・」
熱を発している当人は興奮状態にあるわけなので、熱気が漏れている事はわからないようだ。とは言え、いつまでもおしゃべりはしていられない。これは魔力ではなくスタミナを食らう。どうにせよ速攻はせねばならないのだ。
『カナン。おしゃべりは良いからはよせんか。腹減るぞ。食料、限りあるからの』
「っと、いってきまーす」
「いってらっしゃ・・・って、はやっ!? そしてつよっ!?」
残像さえ残さず消えたカナンを見て、魅衣が目を見開く。と、その次の瞬間だ。カナンが魔力で爪を使って、地竜を二体ともやすやすと切り裂いていた。と、そんなカナンに、ティナが苦言を呈した。
『二体とも殺る奴がおるか・・・これは訓練じゃぞ。一体で良い』
「あ、ごめん・・・」
どうやら軽度の興奮状態だからかついうっかりやってしまったようだ。カナンが少ししょんぼりとした様子を見せる。そうして、図らずもカナンがあっさりと二体倒してしまった事により、この日の一度目の訓練はあっさりと終了してしまう事になるのだった。
お読み頂きありがとうございました。
次回予告:第984話『粋の花園』




