<閑話:美少女は家で>
<閑話:美少女は家で>
とある町のとある家。
そこには町で一番の美少女がいた。
美少女はかわいらしい顔を涙で濡らしていた。
その手は血がついている。
指先が少し切れて無くなってしまっているようだ。
「大丈夫だよ、もう血も止まったし。」
「でも、痛いんだもん。」
慰めながら美少女の頭を撫でているのは、美少女によく似た美少年であった。
「どこでケガしたの?」
「あそこの原っぱで、きれいな石を拾おうとしたら、よくわかんないけどケガしたの。」
「ふうん。草かなんかで切れたのかな。」
「銀色でとってもきれいな石だったんだよ。痛くても拾ってこれば良かったなぁ。」
美少女はうっとりと目を細める。そんな姿もかわいらしい。
そんな美少女を見て、美少年はニヤリと笑った。
「僕が拾ってこようかな。」
「ダメー!お兄ちゃん、ダメだからね!」
「なんで?」
「なんでも!ダメなの!」
「でも、僕も見てみたいし。」
美少女は、不安げに兄を見た。
きれいな石は取られたくないけど、美少女は兄が大好きなのだ。
見せてあげたいけど、取られたくなかった。
「見るだけだよ。明日は一緒に行こうね!」
「うん、いいよ。」
兄と約束して、美少女は満足気に微笑んだ。
兄のほうも美しく微笑んでみせたが、美少女が後ろを向くと明らかに悪いことを考えている顔になった。
将来はイケメンになるだろう美少年だが、まだまだ悪戯の好きなクソガキでもあるのだった。