棒人間と魔族の色
<棒人間と魔族の色>
リリカがお母さんをだまくらかして、ボクは『お嫁さん』と一緒に暮らせることになった。
しかし、リリカのお母さんはボクの嫁を犬か猫と思ってる。
ボクはペットじゃないんだってば!
「あのなあ、わしは一緒に暮らしてもいいとは言っておらんぞ。もちろん嫁になるとも言っておらん。」
「ボクはカルミナと一緒に暮らすんだもん! 結婚するんだもん」
「ゲンさんはうちの子なの! カルミナさんも家族になればいいの!」
呆れたカルミナがくっついてるボクを剥がそうとするけど、ボクは離れない。
リリカがとっても悲しそうな顔で、瞳に涙を浮かべながら言った。
「それとも、あたしたちと家族は、いや?」
ボクは、あ、リリカの小演技始まったな。と思った。
あざとい!あざとすぎる! ボクがやられたら、ノリ突っ込みして返してる。
「うーむ。」
カルミナも演技は見抜いてるだろうけど、より深く見れる分、リリカが本気で家族になって欲しがってる事がわかるんだろうね。
すごく返答に困ってる。それがまた可愛い。
「お前たちがそう言ってくれるのは嬉しい。わしはな、見ての通り闇のような色の髪の毛と目をしておるからな、そんな事を本気で言っていてくれる人間は始めてなんじゃ。」
「え? どうして?」
「魔族と同じ色なのじゃ。そして普通にはない能力がある。昔はひどい迫害を受けたもんじゃ。この街に住みつけたのも、髪がすべて白くなってからじゃ。今は魔族をあまり見かけないからか、昔より生きやすくはなってきたようじゃがの。」
ボクはまだ見たことないけど、魔族っているんだね!
しかし、魔族と色が一緒だからって、こんな可愛い子をいじめるなんて……好きな子イジメ?!
「昔は食べるものもなかったからな、もっとガリガリに痩せていて、しかも傷だらけじゃったよ。」
カルミナは今もかなり痩せてる。さらに痩せてるとなると、骨と皮しかない状態?
そんな時代のカルミナにごはんを食べさせてあげれたら良かったのに!
逆にボクが食べさせてもらってるし! 至福の時だし!
「考えてることも読み取ってしまっていたから、周囲の者がわしのことを悪く思っているのも伝わってきてな。ずっと人里から離れておった。歳をとって身動きが取れなくなる前に、わしのことを知る者のいない街に居住を構えたがな。」
「苦労してたのね。」
カルミナの話を苦労の一言で済ませるリリカ。
相変わらず理解する気なしだけど、自分に関係のない事はまったく気にしないってのは、良いところなのかもしれない。って今だけ思う。今だけね!
「わしはおぬしらが不思議じゃ。わしのことを気味が悪いとか思っておらんのだからな。」
「あたしが気味悪いと思うのは、媚びすぎたゆるキャラだけかなー。」
「ボクはカルミナが気持ちイイ……イテッ!」
ボクはまたゲンコツを食らった。
ちょっとカルミナの二の腕をふよふよしてただけなのに!
「それじゃ、嫌じゃないなら、一緒に暮らしてもいいでしょ?」
「そういうわけにはいかん。わしは老い先の短い身じゃ。迷惑をかけることになる。」
「ええ!若返ってるんじゃないの?」
ボクは驚いてカルミナをじっと見てみた。
シワ一つないすべすべのお肌。年齢がよく出ると言われる、手の甲や首元もシミがなく瑞々しいと言えるよ?
「全盛期の力が出せるようになっておるだけじゃ。この魔薬を使って全力を出さない、という話は聞いたことがないが、若返りの薬ではないはずじゃ。寿命は変わらんじゃろうし、力が少しずつ抜けて、いずれは元に戻るじゃろう。」
「……定期的に魔薬の原料を入手しないと!!」
「そういう問題ではないじゃろうが。」
そういう問題だよ!魔族だろうがババアだろうが、可愛ければいいんだ!
しかも一番のボクの理解者なんだよ?今のところ、唯一ヒト扱いしてくれる人だよ!
ボクは色んな意味で、カルミナがいないと生きていけない体になってしまったの!
「じゃあさ、なおさら一緒に暮らそうよ! あと少ししか生きられないなら、あたしたちと一緒に楽しく暮らそ?」
「そうそう!今まで苦労してたんだもん、ボクが幸せにする!」
カルミナは瞳から涙を一粒落として、顔を背けて隠してしまった。
うはー、可愛い! 二頭身じゃなかったら押し倒してた!
今ほどリリカが邪魔に感じたことない!
そっと股間にレア棒を取り付けたら、リリカがこっちを見ないで手刀で落とした! こわい。
「ふふ、ふふふ。何をやっておるんじゃ。面白い。許されるなら、おぬしらと一緒に暮らすのも良いかもしれんな。」
「やった!」
「やったね、ゲンさん!家族が増えるよ!」
ボクはカルミナの笑顔に見惚れていたけど、ふとリリカを見ると『計画通り』という顔をしていた。
なにその顔。 こわい。




