棒人間と膝の上
<棒人間と膝の上>
「やだ! カルミナと一緒がいい! ここに住む!」
ボクが占い師のカルミナにへばり付いて離れないので、リリカは怒ったり困ったりしてた。
「ゲンさん、わがまま言わないの!」
「カルミナがいないと、ごはん食べられないもん!」
「すっかり幼児退行しとるな……。」
どさくさに紛れて、カルミナの胸に頭をなすりつけてふわふわしてると、ゲンコツをくらった。いたい。
「うーん、とりあえず、ゲンさんに餌をあげてみてもらってもいい?」
「そうじゃな、粥をあげてみよう。」
餌じゃないし!
ボクはカルミナの膝の上で、お粥を食べさせてもらった。
なにこれ赤ちゃんプレイ? そこまで退行してないよ?
でも普通に食べられたし嬉しかった。たまには赤ちゃんプレイもいいかもしれない。たまにだよ?
「食べれたね。……良かった、けど腹立つ。」
「そうじゃな、本当に食べられるようじゃ。」
リリカの視線が冷たくて怖い。カルミナから離れたら死ぬかもしれない。
「ゲンさんが怯えておるようじゃぞ。リリカ、撫でてみてはどうじゃ。」
悔しそうな顔をしたリリカが手を伸ばして、ボクに触れた。
ボクはカルミナの膝の上でじっとしていた。
触られていた時の不快感はなかったよ。カルミナと離れたらわからないけどね!
リリカはボクを撫でられたら、ちょっと機嫌がおさまったみたいだ。
今までボクはさんざんリリカを避けてたもんね。
「ねえ、カルミナさんもあたしの家においでよ!」
「な、なんじゃと?」
「部屋もなんとかなると思うし。お母さんに聞きに行こ!」
リリカは強引にカルミナを連れて、自宅周辺まで来た。
「あのな、わしは……。」
「シッ、ちょっと待ってね。」
リリカは家の中の様子を窓からそっと伺った。
リリカのお母さんは、忙しそうに家の仕事を片付けていた。
「よし、中に入るよ。」
リリカは一分の隙もなく自宅へ入っていった。
自宅へ帰るのってこんなに緊張感がいるんだっけ?
「ただいまー。」
「ただいま。」
「……お邪魔する。」
「お帰りー。あら、新しいお友達? こんにちは。」
「うん。お母さん、ゲンさんのことで話があるの。」
「なに? ちょっと時間がないんだけど。」
「あのね、ゲンさんがお嫁さんを見つけたんだ。」
「へえー。裏の家のマリーちゃんかしら。それともココア?」
リリカのお母さんはせわしなく働きながら、リリカの話を聞いていた。
マリーちゃんは猫だ。ココアは犬だ。獣姦は勘弁してください!
「それで、お嫁さんと一緒に暮らしたいんだって。連れてきてもいいかな?」
「ふーん、いいんじゃない?」
「よかった! ありがとう!」
「ボクもありがとう!」
「じゃあ、お母さん仕事に行くからね。いってきます!」
リリカのお母さんは慌ただしく出て行ってしまった。
「ふう。時間がない時に交渉するのも成功率が上がるの。」
リリカは額の汗を拭う仕草をして満足気に勝ち誇った。こわい。こわいよ。
っていうか、バレたら怒られるよね?




