棒人間と理想の彼女
<棒人間と理想の彼女>
ボクはなんとか二日間を乗り切り、占い師のババアの場所に辿り着いた。
さらに縮んでるし、なんだかフラフラする。
ちゃんと食べてないからもあるけど、精神的に疲弊したよ……。
「おねが……しま……す……。」
「なんじゃ、疲れたふりして。ちゃんと座らんか。」
ぐったりと床に臥してみたけど、演技だって一発でバレた。やっぱりすごい。
やはり亀の甲より年の劫というやつか。それとも占いとか魔術的なものなの?
占い師のババアは、そんな疑問はスルーして赤黒く光る魔薬を取り出した。
「ほれ、始めるぞ。」
ババアが魔薬を頭上に掲げると、赤黒かった魔薬が光り、体を小さな光の粒で包んだ。
あまりの眩しさにボクは手で光を遮ろうと思ったんだけど、棒状の手を交差させたところで、光は遮れなかった。
目が! 目があああ!!
光が消えて、ボクの目がまともに見えるようになると、ボクの目の前にすっごい可愛い娘がいた。
清楚で、可憐で、儚げで、ボクの理想そのものの可愛い娘!
さらっさらの長い黒髪を一つに縛っていて、夜空のように輝く眼で、ボロボロの黒い衣をまとってて……え?!
「もしかして、占い師の、カルミナさん?!」
占い師の名前は確か、カルミナさんだった。リリカのお母さんが言ってた!
全盛期に戻るって言ってたけど、たぶん十八歳ぐらいかな?
先ほどまでの面影がカケラもないんですけど!?
「そうじゃ。では、いくぞ。」
「ままま、待って!」
「なんじゃ?」
「力を使ったら、おばあさんに戻っちゃうの?」
「そうじゃ。全力を使いきって、もう少し老いるかもしれんな。」
「ダメ! 待って! もう治りました!」
「はあ? 何を言っておるのじゃ。」
ボクはカルミナの腕にしがみついて、ボクを下ろそうとするリリカに威嚇した。
「ほら、触れてるし、カルミナさんがあーんしてくれるなら食べる!」
「ゲンさん、何言ってるの!わたしがあーんしても食べなかったくせに!」
リリカが怒ってるけど知ったことではないのだ!
ノーン オブ ユア ビジネス!
「カルミナさんなら大丈夫! 好きです! 結婚してください!」
「な、なにを……。」
カルミナはボクを見て本気だと感じ取ったみたいだ。
少し頬を赤くして狼狽えてる。可愛い!
「ちょっと落ち着くんじゃ。わしみたいな年寄りに本気になってどうする。」
「大丈夫! 問題ない! だってボクのが年上だもん! わかるでしょ?」
ボクはカルミナをじっと見つめた。
しまった。リリカに顔に書かれた『・з・』の落書き、消してくればよかった!
「な?! 百五十六億年? ……しかも、まるで成長していないだと?!」
やめて! ボクの心の柔らかい部分を傷つけないで!
ほとんど寝るか妄想するかだし、誰とも喋れなかったんだから仕方ないでしょ!
昔より少しは賢くなったつもりだったのに!!
まあ、元からバカなので仕方ないんだけどさ。
そんなところまで見なくていいから!




