棒人間と空の旅
<棒人間と空の旅>
失くしてしまった紙飛行機を探すこと、小一時間。
巨大なヘビさんの下敷きになってたよ……。
ぺちゃんこでグシャグシャになってるのを、必死で復元したボク。
ちょっとヘナヘナだけど、紙飛行機が復活したよ!
さて、どうやって紙飛行機を飛ばそうかな?
ボクが悩んでいると、さっき助けたスズメさんがボクを咥えて空へ飛んでくれたよ!
せっかく直した紙飛行機は、そのまま置き去りになった。
スズメさんに咥えられての空の旅。
行きより低く飛んでいるし、自分の意志から離れての飛行だからちょっとこわい。
しかも、山を抜けたら疲れたらしくて地面に落とされたよ!
感謝してるけどね! してるけど! ボクじゃなかったら大惨事だよ?!
残りの帰路を、ボクはスズメさんを頭に乗せて歩いて帰った。
スズメさんは、このまま巣に帰らない気なのかな?
ボクがなんとか家に辿り着くと、スズメさんはリリカの家の屋根に飛んでいった。
リリカのお母さんはもう仕事に行ってて、リリカが怒ってた。
「ゲンさん!遅いよ!」
「ええー!」
ボクは、リリカのお母さんが仕事に行く前には帰ってこないとダメだったらしい。
なに無茶苦茶なこと言ってるのこの子?!
普通には一泊でも無理な距離だったよ??
「まぁ帰ってきたからいいけど、冗談で紙飛行機に乗せたのに、本当に飛んでってビックリしたよー。」
「冗談だったの?!」
ナチュラルに紙飛行機に乗せられて飛ばされたから、そういうものかと思ってたよ!!
っていうか、飛んでなかったら高台からまっさかさまじゃん!!
この子、ボクのこと喋るぬいぐるみと思ってるの?!
ボクは今生きている事実に感謝した。
「ところでゲンさん、なんか小さくなったね。」
「え、どこが?」
「全体的に。最初より小さいよ。」
ボクがレベルアップ棒、いわゆるレア棒と自分の腕を比べてみると、確かに小さくなってた。
短くなってるし、細くなってる。
ハイテクだから小型化が進んでるのかな?さすがボクだね!
翌日、ボクたちは占い師のババアのいる、裏通りの細い道に入った、ぼろぼろの掘っ立て小屋に行った。
「たのもー!」
「こんにちはー」
ボクがレア棒にささったヘビさんの心臓をかざしながら中に入ると、リリカは草や干物をババアに押し付けた。
「ナテイアンフェタートと、ブロキナスチン塩酸塩はすでに受け取っておるよ。よく貰えたのお。」
「そりゃ、家族の命がかかってるからね!」
リリカって、ボクのことをちゃんと家族って思ってくれてたんだね!
ボクはキミのことを誤解してたよ。いい子だったんだね!
「だいぶ縮んだようじゃの。」
「そうなのー。小さいのも可愛いでしょ。」
リリカは嬉しそうに微笑んで、ボクを撫でようとしたから、ボクはサッと天井の隅に張り付いた。
ボクは男だし、可愛いって言われても嬉しくないんだよ!?
「可愛いのかもしれんが、食べないでおるから縮んでいくのだぞ。」
「そうなの?!」
「時間があまり無いようじゃな。」
「原料も揃ったし、すぐ治して!」
「魔薬は作るのに時間がかかるのじゃ。また明後日においで。」
「んー、仕方ないよね。わかったわ! お願いします!」
明後日!
リリカはものすごく決意をした目でボクを見ている。
これは危険な予感しかしない!
ボクはここで待ちたいぐらいだったけど、しぶしぶ帰宅したよ。
リリカの地獄の「あーん」攻撃に心が折れませんように……。




