棒人間と大蛇の絵
<棒人間と大蛇の絵>
ボクは高台から紙飛行機に乗って飛び立ち、ルード渓谷へ辿り着いた。
これは徹夜になるかもしれない。
だって着陸したらもう帰れない気がして、紙飛行機から降りれないんだもん。
ボクが今回、ここに探してきたのは、十センチくらいの赤い実の近くにいる大蛇。
実を取りに来た動物をエサにして生きているらしい。賢いね!
ボクは体のサイズ的に巨大なものは持てないんだけど、大蛇の心臓だけ持ち帰ればいいんだって。
ボクが低空飛行で赤い実を探していると、チチチッと甲高い鳴き声が聞こえてきた。
反射的に鳴き声がした方を見ると、イタチが藪の中にある、大きめのスズメっぽい鳥の巣を襲っている所だった。
ボクは思わず、紙飛行機を方向転換させて近づき、飛び降りてイタチを踏んづけてしまった。
イタチの頭蓋骨は陥没し、しばらく痙攣していたけど、やがて動かなくなった。
ああー、やっちゃったよ!
クマさんの時に反省して、手加減したつもりだったのに、また殺っちゃったあああ!
ボクが最強すぎるとしても、ちょっと脆すぎるんじゃ?
キミたちの骨はなに?豆腐でできてんの?カルシウム取って適度な運動しといてよ!
いきなりの過度な運動は疲労骨折を引き起こすから気をつけてよね!
そしてやはり、ボクの手にはまた棒が一本握られてた。
これで棒は合計五本。ボクはレベル五になったってことだね!
そんなことより、紙飛行機がどっかいっちゃった……どうしよう。
余った棒は手に持ったまま、武器として使うことにした。
オスだったら棒状のものを振り回すのは好きだよね!
球を転がす派の人と、棒状のものを振り回す派の人とだいたい二つに分かれるよね!
ボクはボールとは友だちになれなかった。きっとボールはボクのことを嫌ってた。悲しい過去だ。
ボクは悲しみと絶望を胸に、助けたスズメさんたちの巣の横で体育座りで寝た。
巣の中には入らないよ?ボクが入ったらスズメさんが入れなくなっちゃうからね。
ボクが目を覚ますと、ボクはなにやらベタベタした手触りの狭くて暗い所にいた。
寝ぼけながら手で周囲を探ると、ボクが殺っちゃったイタチがあった。
この谷って、ベタベタした場所に変わる呪いがかかってるの?こわい。
困っていると地面が動いて、くぐもった音でスズメさんたちのするどい鳴き声や、木の枝をへし折る音が聞こえた。
うーん、もしかして、ボクは閉じ込められてるのかもしれない?
ボクは思いっきり、ベタベタヌルヌルする天井を蹴飛ばした。
天井は簡単に吹き飛んで、そこから青空が見えた……と思ったら、地面がものすごい揺れだしたよ?!
ボクは慌てて外に飛び出すと、そこには全長九メートルほどの巨大な蛇がのたうち回ってた。
もしかして、ボクっていつの間にか食べられちゃってた??
昔は色んな物をさんざん丸呑みしまくってたボクだけど、ボクの体内もこんな感じだったのかな?
ベタベタはしてないはずだけど、快適な空間を提供できていたとは思えないなぁ。
体内にソファとパソコンとドリンクバーとマンガを設置する方法を検討すればよかった!
ボクはリリカからもらったメモを見た。
ファンシーな字体のリリカの文字で、原料となる大蛇の簡単な特徴と変な絵が書いてある。
どうも、この変な絵はヘビの絵らしいよ? どう見ても長芋です。本当にありがとうございました。
原料の大蛇の特徴は、尖ったウロコで、黄色ベースに黒の模様だって。
大きさ…おおきい。体重…おもい。長さ…ながい。……この情報っているの?
ボクが見る限りは、そこで暴れてる巨大なヘビさんと同じ特徴な気がする。
でも、コレから心臓を取るのかー。蛙の解体もしない現代っ子になんて仕打ち!
それでも、ボクがヘビさんの頭から二メートルくらいの部分に穴を開けちゃったから、このヘビは遅かれ早かれ死んじゃうんだよね。
嫌がってないで、早く楽にしてあげないと可哀想かもしれない。
ボクは思い切って、レベルアップ棒、略してレア棒でヘビさんの頭を断ち切った。
レア棒は棒なので、ヘビさんは撲殺だと思ってたんだけど、なんの抵抗もなくスカっと切れた。
そして切断面は鏡のようにキレイ。なんなのこの棒。
ヘビさんを倒して、さらにレア棒が三本増えた。
いいかげんちょっと邪魔だなって思うと、体内に収納可能になった。
レア棒でヘビさんのお腹を裂いて、心臓をゲットした。
うう、そのまま持ちたくない。ボクはレア棒に突き刺して持ってみた。
このまま焼いて食べれそう。絶対に食べないけどね?!
ヘビ肉は食べたら美味しいって聞いたことあるけど、ボクは食べる気しないなー。
浅い谷に流れる細い川でボクは体のベタベタヌルヌルを流して、ちょっと清水を飲んで、ボクは家に帰ることにした。
……さっきなくした紙飛行機は、どこですかー!




