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「ボクはわるいスライムじゃないよ!」……そんなふう考えていた時期が私にもありました。  作者:
次こそ人間に生まれたいって願ったら、棒人間に転生した。
20/28

棒人間と劇薬のおねだり

<棒人間と劇薬のおねだり>


 またボクは夜中にうるさかったらしい。

廊下に落とされていた。なんだか落ちている位置的に投げられた感じするんだけど。

リリカに聞いてみたら、「クマさんごめんなさい。」って言ってたらしい。

いやさ、ボクを投げたかどうか聞いてるんだけど?!


 そして昼過ぎの、夜間勤務のお母さんが起きてきた時。

そんなちょっとお母さんがぼんやりとした時間に、リリカはおねだりを始めた。

寝起きに頼まれると断れないという高等テクニックだそうだ。こわい。


「お母さん、ナテイアンフェタートと、ブロキナスチン塩酸塩が欲しいんだ。」

「ダメよ? 劇薬指定で子供には渡せない。危ないわ。」

「でも、それがないとゲンさんが死んじゃうの。」

「えー。ちゃんと説明して。」

「んーと、詳しくは忘れたけど、占いのおばあさんが、ゲンさんを助けるために必要だって。」


 おいー!全然説明になってないよー!

リリカが魔薬の原料のメモをお母さんに見せると、お母さんは眠そうな顔から仕事の顔になった。


「この材料……カルミナさんが。……そうなの。じゃあ、お母さんがカルミナさんに直接渡しておくわ。」

「ありがとう、お母さん!」


 占い師のババアはカルミナさんと言うんだね。知らなかった。

じゃなくて!劇薬をそんなホイホイ横流ししていいの?!

寝起きマジックなの? それともババアがすごい人なの?


 こっそりあとでリリカに聞いてみると、お母さんは医療従事者だから、誰かが死にそうって聞くとわりと融通きかせてくれるらしい。

本当かな?モグリの闇医者だって言われても驚かないよ?



 昨日に稼いだお金で、リリカは乾物屋にいって何かの干物を買っていた。

これも原料の一つらしい。何の干物かは知りたくないような形だった。

世の中には知らないほうがいいことがいっぱいあるよね!


 色んなことを知れば知るほど、感動がなくなってつまんなくなるよ。

何も知らないってことは、思考がなんの制約も受けず、自由な発想が可能になるんだよ。

ああ、ボクはバカで良かった!この世界に祝福あれ!



 さて、足りない原料はあと一つになった。それが難しいらしい。

何が難しいかって、日帰りでいけない場所にあるから、お泊まりNGのリリカが行けないのだ。

おまけに、やっぱり危険なんだって。


 そんなわけで、ボクが一人で取りに行くことになった。

リリカが、今夜はお母さんが仕事休みだから、今から一人で行ってきてって。


 なぜだろう、すごく寂しい。家族っていったいなんなの?

ボクの疑問に答えてくれる人はいなかった。


 そしてボクは、紙飛行機に乗せられて、高台から飛ばされた。

アイキャンフラーーーーーーーーーーイ!


 ボクは空の旅を楽しんだ。棒人間の隠された力なのか、紙飛行機は思ったとおりに飛んでくれた。

飛びまくった。ループ飛行まで可能だった。尾翼から煙が出ないのが残念だった。


 高度を上げると、美しい景色が眼下に広がった。

広がる田園風景。遥か彼方に海が広がってきれい。。

ボクが暮らしている街は、ライトグレーの街道に雑多な形の家が集まっていた。

もっと景観を大事にしたほうがいいと思う。統一感とかまるでないよ!


 空を飛ぶと、目的地がものすごく早い。

目的地であるルード渓谷にはすぐ辿り着きそうだ。


 ……えっ、これ、帰りどうすんの?


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