自分のことをメタルキングだと思っていた時期もありました
<自分のことをメタルキングと思っていた時期もありました。>
考えたくないけど、やっぱり考えてしまう。
ボクってかなりのスライム脳だから、なんか夢だったみたいに実感わかないけど。
ボクは人を殺したんだ。
いや、あれは事故!悲しい事故なのよ!
すみません、遺族の皆さん。事故なんです。
しかし、ボクはスライムだし魔物だから、いいんじゃないの?
いやだめだ、ボクがいやだ。悲しいし辛いし気持ち悪い。
なんで人を殺してはいけないの?
だってボクは殺されたくないから。自分がされたくないことはしないもんだよ。
ボクはもう人じゃないよ。
でも、ボクは人の心を持ってるよ。人にはなれなかったけど、心まで人を捨てたくないよ。
魔物なんだよね、ボクは。
そうだね、メタルスライムだもんね。魔物だよね。
ああ、誰か美少女がテイムしてくれないかな。美少女に使役されるっていいよね。
寝そべってテレビ見ながらポテチとか食ってる美少女のために、外で頑張って働くんだ。
それで少ない給料を丸々渡して、足蹴にされるの。
幸せだよね、美少女が。美少女が良ければすべて良し。
美少女っていいよね。優遇されまくってお得だと思う。
でも何故だろう?転生後が選べるとしても美少女は選びたくない。
メリットもデメリットも多すぎるんだろうね。
ボクは生まれ変わっても、またメタルスライムに……は絶対なりたくないよ?
苦労は買ってでもしろっていうけど、恨みは買いたくないもん。
すでに被害者さんたち×三ぐらいの数には恨まれてそう。でもね、ボクも被害者なんだよ!
事故は双方が被害者となるんです。悲しいですね。
横断歩道では曲がってくる車に気をつけて!思いやり運転でいこう!
しかし、ボクもかなり大きくなったよね。
このサイズ、もうメタルキングを名乗ってもいいんじゃないの?
王冠を乗せたら必ず溶けると思うけど。
そういえば、ボクって全裸だ。服着ても溶けるよね。
全裸で正座しながら進んでると思うと、楽しくなってくるなー。
あれ、なにか考え事をしてたような気がするけど、なんだったかな。
そうそう、美少女にテイムされたいんだった。
誰か、お客様の中に魔物使いの方はいらっしゃいませんかー?
あ、オッサンとかお断りですから。
お客様の中に美少女の方はいらっしゃいませんかー?
楽しく歩いていると、ガサリと音がした。
ボクが振り返ると、心の友のリーダーだった。
「ピキー!」
思わず嬉しそうな音を出してしまった。恥ずかしい!
リーダーは不思議そうな顔をして、ボクを見つめている。
あんまり見つめちゃイヤ!フラッシュしちゃう!
リーダーは付近に落ちてる葉っぱや枝をボクに投げ入れ始めた。
なんかちょっと楽しそうだ。ボクも楽しくなってきた。
そして、ゆっくり、ぽつりぽつりと独り言のように話しかけてくれた。
「よう。」
「ピキー」
「なんでも食うのか?」
「ピーキー」
「自分から攻撃はしないのか?」
「ピキー」
「なんで方向が変わったんだ?」
「ピキーッ、ピキッ」
「もしかして、言ってることがわかるのか?」
「ピキー!」
「……。」
「ピキー!ピキー!」
やはりリーダーは心の友だね!ボクのことわかってくれてる。
シブくてかっこいいし賢そうだし、女だったらきっとホレちゃってたね。
「あっちに進めるか?こっちも良くない。」
「ピキー!」
「じゃあな。」
リーダーは帰っていった。
いやー、素晴らしいね。リーダー最高。
ボクはリーダーの指し示した方向に向かって進みだした。
太陽の沈む方向だ。バカなボクだって間違えない。
今日、スライムになって初めて、人と話したよ。
人と話せるって幸せなことだったんだね。知らなかった。




