最強チート転生!だと思っていた時期もありました。
<最強チート転生!だと思っていた時期もありました。>
ある日、ボクは死んだ。
死ぬ間際に、最強チートで転生したいって願った。
そして、ボクはいま、ここにいる。
ボクのまわりには、巨大な植物たち。そして、大きな岩がたくさんある。
貴族のお屋敷のベッドからスタートが良かったけど、残念ながら屋外だった。
何もかもがデカい。アリが自分より大きいぐらいのサイズ。すごい世界に来てしまった。
こんな世界で最強とか無理すぎる。
願いは叶わなかったのか。まあ、そんな都合よくはいかないよな。
ふと気づいた。
これって、ボクが小さいんじゃ?
自分の姿をよく見ると、手足がない。そしてまぶしい。
18-8ステンレスみたいな銀色をした、丸っこい玉みたいな形だった。
これって……メタルスライム?!
ボクは極小サイズのメタルスライムに転生したようだ。
人間には転生できなかったみたいだ。
スライムに転生で最強とかよく聞くし、最初っからメタルなのはスゴイかもしれない。
やっぱり最強じゃなかったとしても、普通のスライムよりは強い、と思いたい。
サイズ的に不安があるけど。
体を動かすと、思ったよりもノロノロと進む。
メタルスライムって、素早いもんじゃなかったの?
産まれたてだから仕方ないのかな。まるでカタツムリのごとく遅い。
ズリズリと下手な匍匐前進で進んでいるような感覚で、とにかく進む。
足があったら歩くんだけど。
このサイズでこの遅さ、一時間で一メートルも進まなさそうだ。
別に目的地があるわけでもない。ここがどこかわからない。
ボクがメタルスライムなぐらいだし、地球じゃないんだろう。
そして人間じゃないんだから、人が住んでる場所にも近づけないかもしれない。
ずっとひとりぼっちは、ちょっと寂しいなぁ。
もし、ボクがわるいスライムじゃないってわかってくれる人がいたら、誰かと暮らせるかもしれない。
筋肉ムキムキのオッサンでも我慢するけど、できれば可憐な美少女がいい。
筋肉ムキムキのオッサンでもまぁ我慢するけど、えーと、普通の女の子でもいいかも。
筋肉ムキムキのオッサンでも仕方なく我慢するけど、ブサカワの女の子でもいいから!
オッサンでも我慢する、けど……なるべく30歳以下の女性でぜひお願いします!
ふいに、空が暗くなった。超巨大な獣が近づいてくる。
踏み潰される!ノロマすぎて逃げられない!
超巨大と言っても、ボクが小さすぎるだけだ。タヌキっぽい動物だ。
最弱でタヌキ相手に即死するために、前世の記憶を持って転生するとは思わなかった。
さようなら、次は最強の人間として生まれますように。
ボクを踏んづけた超巨大な獣は、ビクリとして素早く飛び退り、走って逃げていった。
……あれっ?
ボクは踏まれても死ななかった。
タヌキが踏んでも大丈夫。きっとゾウが踏んでも大丈夫だろう。
極小メタルスライムは、砂や小石にまぎれて地に少し沈んだだけ。
金属のツブが踏み潰されるわけがなかった。
あと、なぜか少し大きくなった気がする。
踏まれてレベルが上がったの?マゾなの?
この疑問はすぐに解決した。
ボクと同じように道を這う、デカい雑草に触れたら、触れた所が消えたのだ。
そしてボクはほんの少し大きくなった。
なんか他のものを触ると吸収して、サイズが大きくなるらしい。
極小サイズすぎてつらいので、もう少し大きくなっておきたい。
ボクはデカい雑草に触るため、必死で這いずりまわった。
ようやく極小ビーズの大きさから小ネジの頭のサイズになる頃には、すっかり夜。
メタルスライムの体はちっとも疲れてないけど、精神的にひどく疲れた。寝た。