それでも私は⑤
とんでもなく久しぶり
半年ほど空きました…(笑)
なんとなくの息抜きにまた書いてみただけですので、
みなさんも息抜き程度で読んでいただければと思います!
その後もデートの尾行は続いた。
キヨとトモの見解にからすると、プリンスは福原にデレデレという印象しかなかった。
夕方5時ごろ、プリンスが福原を家まで送ってデートはお開きとなった。
その夜、キヨは福原と連絡をとりあった。
「今日はありがとう。何か得られたモノはあった⁇」
「うーん…。彼氏が福原さんにデレデレということだけは、わかりました…」
「いつもあんな感じなの。だから余計に、誰か他の人とヤってるとこを見てしまって、動揺とか怒りとか悲しみとかが一気にドバーッとね…。」
「…一つ、大事なことを俺はまだ聞いてなかったです。福原さんは…最終的には彼氏とどうなって、彼氏にどうして欲しいんですか?」
かなり漠然とした質問となってしまったが、2人の間では通じた。
「…私、今日わかったけど、光亮のことやっぱり好きだし、別れたくないって思った。だから。だからこそ、爛れた関係の人を作らないで欲しいって思ったわ。」
「…福原さんの考え、しっかり受け取りました。それを聞ければ充分です。だから」
ここで一呼吸置いた。
「やっぱりその想いを全部彼氏さんにぶつけることが1番だと思います。すごく、辛いことかもしれませんがね…」
福原はそれを聞いてしばらく黙ってしまった。
「…恋愛は本来、当事者同士で解決していくもの。第三者の陥入はややこしいことになりがちです。…。…こちらに一つ、いい手があります。その手を使い、福原さんが彼氏に本音をぶつけられるようセットはしますが、結局のところやるからやらないかは、福原さん次第です。」
キヨが言うことをすべて終え、少しすると、黙っていたままだった福原が一言こう、告げた。
「…よろしくお願いします…。」
何かを決意した、そんな雰囲気の返事だった。
「ってワケでトモ、頼む!」
今度はトモに連絡をした。
「頼むって…。具体的に何すればいいの?」
「竹原光亮と接触してほしい。」
「…それは、まあ難しくないけど、会ってどうするの?」
「こう言って。」
ゴニョゴニョと説明した。
「…キヨはそれでいいの?」
「…いいよ。別に。」
「…そう。わかった。…大丈夫、私はキヨのことわかってるから。」
「…え?それは俺への慰め?(笑)」
「慰め…とは違うけど、…まぁ、何?励まし?キヨはホントはそんなヤツじゃないってゆー理解の証明?」
「なんか小難しいこと言ってんなー(笑)いや、言いたいことは伝わったよ。ありがと!」
「…うん。じゃ、明日頑張るわ。」
「よろしくなー」
翌日、月曜日は1学期終業式だった。
「キヨー、これからどっか行かねー?」
親友の清水太一が話しかけて来た。
「あー、行きたいけどこの後ちょっと用事が…」
「またバイトか?」
「まーな。」
「そっかー…。クラスのヤツら何人かで集まろうと思ったのによー。」
それを聞いてキヨは少し考えた。
「…昼は無理だけど、夕方からの合流ならいけるハズ…」
「…え!マジ?なら来いよ!」
「いいなら行く!」
「来い来い!みんなお前のこと待ってんだから。」
「…わかった!行かせてもらうよ。場所は?」
「あー、まだわかんね。LINEするわー。」
「んー。」
「トモ!この後どっか行かない⁇クラスの子何人かで!」
佐伯未来がトモに声をかけた。
「あー…ごめん、この後ちょっと用事が…」
「バイト?」
「うん…」
「そっかー、大変だね…。」
「ごめんねー」
「いや、残念だけど仕方ないよ!」
ここでトモは少し考えた。
「…ねえ、何時ごろまで遊んでる?」
「え?夜ご飯食べて帰るくらいにまでは…かなー。」
「…私、夕方からなら合流できるかも!」
「え、ホント?じゃあ来てよ!」
「それでいいなら行く行く!」
「もちろん!場所は後でLINEするね!」
「うん!」
放課後、キヨは少しだけ恋愛相談所でバイトした後、トモの指定した場所まで行った。
トモの家の近くの公園。
ベンチには1人の男が座っていた。
キヨはその人に近づいて声をかけた。
「…竹原光亮さん、ですよね?」
「…ってことは、君が阿部聖隆くん?」
「はい。トモから話は…」
「…ふん。聞いてるぜ。」
「なら、もう前置きは省きますね。」
キヨがスッと息を吸った。
「…これ以上爛れた関係の人間を作るのなら、福原さんは俺がもらいます。」
「…本気か⁇」
「本気です。」
2人は睨み合った。ジリジリとまるで火花が散っているようだ。
「…俺は…、裕美香のこと、めっちゃ好きだ。まさに愛してるそのものだ。別れる気なんてさらさらねーし、みすみす誰かにやるつもりもねー。」
「…じゃあ、…ではなぜ、セフレを作るんですか?福原さんが大事なら、なぜそんなことを…?」
プリンスが空を見上げた。
「…何回デートを重ねても、何度いい雰囲気になっても、裕美香は絶対にヤることだけはさせてくれなかった。そもそもそういう行為にかなり抵抗があるらしく、セフレなんて作る男はもっての他だって言ってた。」
「…なら…」
「でも!仕方ねーだろ⁇今まで女遊びばっかしてきたんだから、そう簡単に爛れた関係なんて…切れねーよ…」
プリンスは俯いた。
「…で?それで埋め合わせにはなってるんですか?」
「…なってねえ…。埋まるどころか大きくなるばっかだ…」
「…後悔、してるんですね?」
「…ああ。あの日も罪悪感はあったけど誘われたから、ヤったんだ。…まさか裕美香が唐突にやって来るなんて考えてもみなかったからな…」
「…福原さん、相当傷ついてました。現場を目撃してしまったショックと、あなたを好きだという想いの狭間で、かなりの苦労をしたと思います。…そんな彼女に、何か言いたいことはありますか?」
「…なんか気づけば、話がお前のペースだな…(笑)…裕美香に言いたいこと?そんなんいっぱいありすぎてわかんねーよ…」
プリンスが泣き出しそうだった。それだけ福原のことを想っているのだろう。
「一言でまとめて言うと?」
「…好き。」
少しの照れと、後悔と、苦悩と…いろんな感情が混ざった、そんな感じの「好き」に聞こえた。
「…合格です。」
「…は?」
「合格。と、言ったんです。ちょっと待っててください。」
「…え?は?一体なんの…」
キヨが公園のちょうどキヨとプリンスの死角になる場所へ行った。
「さ、これでわかりましたか?もう、俺に出来ることはこれ以上ありません。あとは福原さんがあと一歩、前に進むだけです。」
死角の場所に話しかけると、次の瞬間、そこから出てきたのは福原だった。
「…え…裕美香…?なんで…」
「…どうしても…自分でいきなり全てを話して受け止めるのは、無理だったから…。手伝ってもらったの…」
そう言って、福原はプリンスに近づく。
「あ、キヨくん、ありがとう。私、いまならいける。ちゃんと言える。ホントにありがとう…!」
「いえいえ。コレが俺の仕事ですから。」
「後日、また今度はお礼をしに行くわ。」
「いえ、そんな悪いですよ(笑)」
「私がしたいんだから、ありがたく受けとってよね(笑)」
「…では、はい(笑)お待ちしてます。じゃあ俺はココらでお暇します。福原さん。頑張ってくださいね。」
「ええ。感謝してるわ!」
とりあえず、最後までたどり着きました…(笑)
このあと、もう少しだけ先があります!