それでも私は②
今回は恋愛相談というより、事務所3人のほぼ雑談です(笑)
ストーリーは次からしっかり進めますよw
その日の晩、キヨの元にLINEが届いた。
福原は理由をつけて、しばらく会わないようにしたらしい。
キヨもそれが正しいと思った。が、
LINEの返信に一つ、忠告を書き加えて返した。
「一応はこれで回避できますが、しばらく会わないと言うことは、それだけいろいろ溝ができてしまうかもしれない。ということです。そこは覚悟しておいてください。」
福原から一言 はい とだけ返って来た。
「キヨ。今回エラい大変みたいだね。」
今はトモと白銀と3人で焼肉に来ている。
「ああ。一番面倒なパターンのヤツだ。しかもわりと最悪の状態。」
「最悪…って⁇」
「…トモ。ちょっと下品な話になるけどいい?」
「え…うん…」
「えっとな、今回の依頼人の彼氏はセフレが何人もいるヤり手だ。例えるなら学生時代の白銀先生のような…」
「おい!(笑)何言うんだ!」
思わず白銀がツッコんだ。
「え、先生。俺今から先生の学生時代の話、トモにすべて言ってもいいんですよ?」
「…チ。こーゆーときキヨは天敵だな。」
「先生はそれだけのことを学生時代してきたんですから当然です。」
「ねえ、それで話の続きは?」
脱線しかけていた話をトモが戻しにかかった。
「あ、それで、依頼人のほうは彼氏と経験あるのかってゆーと、それどころか、人生で一回も経験がないらしい。」
できる限りオブラートに包んだ。
「つまりは処女ってワケだ。」
それなのに、白銀が思いっきりドストレートに言った。
「…トモ。後で白銀先生の学生時代の話、いっぱいしてやるからな。」
「え、うん、楽しみにしてる❤️」
「あ、コラ!先生に向かってその態度はねーだろ!」
「…俺は今激しく後悔してます。」
「何を?」
「白銀先生を先生と呼んでることです。こんな倫理観のカケラもない人を先生だなんて。呼び捨てでもいいくらいなのに…」
「おい(笑)お前さっきから言いたい放題だな(笑)」
「それだけのことをしてきたのが悪いんです。白銀悠也先生?」
「…キヨ。お前の恋愛事情もバラすぞ。」
「別にいーですよ?そんなやましいことはしてないですしー。」
白銀はついに対抗手段をなくしてしまった。
女を落とすテクは白銀のほうが断然上だが、会話の落としかたはキヨのほうが断然上のようだ。
「で、何が最悪の状態なの?」
再びトモが話を元に戻す。
「考えてみろよ?彼氏がそんなんなんだから、いくら表面上ではいい彼氏に見せてても、2人っきりで一つの空間にいたりすると、どーしてもそーゆー空気になってヤりたくなると思うだろ?」
「うん。」
「もう大学生だし、彼氏一人暮らしって言ってたし、依頼人は合鍵を持ってた。つまり、もうすでにしててもおかしくないんだ。」
「でも、してない…?」
「そ。つまり、依頼人自体にも何か問題があるんじゃねーかなってさ。」
「あー…」
そこまで言ってトモはキヨの言ったことを頭の中で整理した。
「要するに、依頼人の問題と彼氏の問題、両方をほぼ同時に解決しないとってことか。」
「だから、困ってんだよね。」
と、ここで白銀が急にぶっこんだ。
「キヨ。ヤったことあるか?」
「は⁉︎急に何言い出すんですか⁉︎」
「いや、お前自身に経験がないと、アドバイスしにくいかなって思ってさ。」
「余計なお世話です。」
「お、ヤったことあるってか?(笑)」
「先生にそれを答えなきゃならない義務でも?」
「社長命令だ。」
「職権乱用です。」
「口答えすんな。その返答だとお前、やっぱ童貞か。」
「もし、そうだとしても、先生になんてアドバイスもらわないですから。」
「んな、照れんなよー(笑)」
「照れてません!一応トモもいるんですから、そーゆー話は少しオブラートに包むなり、控えるなりしてください。」
トモは顔を赤らめていた。
「…トモは処女?」
さらに白銀はぶっこんだ。
「え!何聞くんですか⁉︎やめてください!」
「おい、白銀のおっさん。セクハラにもほどがあるぞ。」
トモは顔を真っ赤にしている。キヨがついに白銀をおっさん呼ばわりし始めた。
「おっさんとは社長に向かって失礼な。俺はただ2人のことをもっとよく知りたくてだなー」
「もっと他に聞くこととか、やり方とかあるでしょ?精神年齢低すぎます。一体それでどうやって教師してたんですか?」
キヨがかなり早口でまくしたてた。
「…ちっ。わかったよ。変なこと聞いて悪かったな。」
白銀はあからさまにしょぼんとなっていた。
「にしても、なんで先生今日はそんなテンション高いんだろーね?」
トモがキヨに聞いた。
「…多分…コレだろ?」
キヨが指したのはジョッキ。
「…ビール…?」
白銀はビールを3杯飲んで、今4杯目だ。
「先生、そろそろお酒はやめてください。」
「え?お前らにおっさん呼ばわりされて、やってられっか!俺は飲むぞー!」
「…な?」
「…うん…」
そのあと、酔いまくった白銀に絡まれ、ぶっ倒れ、事務所まで運ぶハメになったのは言うまでもないかもしれない…
なんとかして、白銀のサイフから勝手にお金を出して支払い、2人で事務所まで連れてきた。
とりあえず、ソファに寝かせた。
「…なんか、教師してた頃は硬派なイケメン先生だと思ってたけど、こーやってみてると」
「ただのセクハラオヤジだよねー…(笑)」
「ま、こんなんだから逆にモテる部分があるのかもしんねーけど。」
「キヨと先生が普段どんな会話してるのか、かなり心配になったよ…」
「え?ああ…。ほぼ男子高校生並みだよ…」
事務所に鍵をかけ、駅へと向かいながら話す。
「あれが白銀先生の素だと思うとちょっとやだよね(笑)」
「あの人女落とすときだけ、かなり性格変わるからな(笑)」
「この前も用事で、恋愛相談中に部屋に入ったら、ケッコーヤバかった(笑)」
「俺もだいぶ前だけど、もーあと5分ありゃ、あれは確実にヤってたな(笑)」
「先生の場合恋愛相談ってゆーより、慰めの会みたいになってるよねー…」
「慰めともちょっと違うと思うけどな…。少なくとも恋愛相談とは違うな(笑)」
「まともに仕事して!って言いたいんだけど」
「案外しっかりすることはしてるし、文句もあんま言えねーんだよな。」
「そーそー。結局私たちは雇ってもらってる側だし。」
「職権乱用だけは絶対認めねーけどな。」
ハハっとトモは笑った。
駅に着いて電車に乗る。地元の駅までは15分ほどだ。
地元に着いた頃には夜9時をとっくに回っていた。
一応キヨも男なので、トモを家まで送る。
「…ねえ、キヨ。さっき先生の言ってたことなんだけど…」
なにやら聞きにくそうにトモは言った。
「さっきって…?」
「その…ど、童貞がどうとか…」
「…え?ああ…。そんなこと気にしてんのか?(笑)」
「ちょっとね…。どーなんだろーって思って。」
ふーんと、言ってキヨは少し黙った。
「どーゆー答えが欲しいの?」
ふいにキヨはトモのほうをみて聞いた。
「え、別に欲しい答えがあるわけじゃないんだけど…。ただ興味本位というか…」
「…じゃあ、俺も交換条件で、トモの聞きたいんだけど。」
「え、私?」
「そ。」
ニコっと笑ってキヨが答えた。
「…いーよ。ただし、2人だけの秘密。」
「俺もな。」
「じゃ、ヤったことあるなら はい。ないならいいえで、答えてね。せーの」
そう簡単には秘密をバラさないです(笑)
でもいつかわかる日が来るかもですね。