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プロト版魔法少女キリングフィールド小林  作者: 東山ききん☆
第一部 魔法少女小林とファンシーランドの大冒険
7/22

熱帯夜のホラー番外編 恋のドキドキ肝試し!?真夏のお化け屋敷で大混乱!!の巻

今更であるが小林の本名は賤ヶ岳ヨドミという。実は小林と呼ばれるたびに訂正している小林であるがこんな生活も五年目である。

これはまだ小林が高校一年生になったばかりの頃に起きた事件である。


「あーあ、今日は七夕かぁー。」

小林は教室の机に座るとため息をついた。

「どうしたの~小林ぃ?」

「おすおはよー、むっちん。」

小林は右手を気だるげに挙げて会釈を交わした。

「最近元気無いじゃん小林どうしたの~?」

「それが今日は七夕の日なのに予定が一つも無いんだよーぅ。

むっちんはいいよね~森岡君と祭に行くんでしょー?」

その時、メガネを掛けたセミロングの学生と長髪の美女がこちらに近づいてきた。

「おはよー小林、むっちん。今日は特ダネが沢山あるよー。」

「あ、くまだんにしばっちだ。おはよー。」

ここで登場人物について説明をする。

くまだんと呼ばれた女は熊田というメガネで、しばっちは芝川という長髪、むっちんの名前はムーアである。全員中学の時からの仲良しグループで行動する時はいつも一緒なのだ。


「そうだ今日は七夕だからチョコレート作ろうよ。」

小林は言った。

「そういえば最近七夕に作るチョコレートが流行っているらしいな。」

「そんな事より聞いてよ。」

しばっちが何か話し始めた。

「ウチの家が火事になって私は死んだの。」

「えっ」

「ほら見てよ。」

芝川の顔が、肉体が煙を発しながらどんどん黒く染まってゆく。

「きゃああああ」


「……ぽん。起きるポン。起きるんだポン。」

「ふぁい?」

小林は目覚めた。

「なんだ夢だったのね。よく考えたら芝川とかそこまで仲良く無かったわ。」

小林は安心した。よくよく考えてみればボディービルダー部の芝川の肌が黒いのはいつもの事だったのだ。そこに何もおかしい事はないのだ。

「今日は七夕の日ね。」

「いや、今日はクリスマスだポン。」

「FUCK」

小林は悪態をついた。

「そんな事よりついたポン。ここがアニマルタウンだポン。」


アニマルタウンは自然豊かなタウンである。

「わあ凄い。」

小林の目に入ったのは頭部が動物の形をした不思議な人間達である。まさにここはおとぎの街なのだった。

「象みたいな人もいるわ。」

「僕はパオ丸だゾウ。」

「浮浪者もいるわ。」

「小生は忠兵衛と申す者。」

「犬みたいな人もいるわ。」

「ワンワン!!」

「兎みたいな人もいるわ。」

「hallo.」

「凄いわねアニマルタウン。」

そして今日は年に一度の夏祭りがあるのだ。

「このアニマルタウンの夏祭りでは闘牛をやるんだゾウ。」

「よろしくお願いします。」

出て来たのは白装束の牛みたいな人だった。

「では。」

相対するのは普通にスペイン人のおっさんである。海外から闘牛士を呼んだのだ。

両者は睨み合った。数瞬後にはどちらか、あるいは両者共に死ぬ運命である。

「うおおおお」


闘牛の後は焼肉大会だ。

「いやあ今年も大変でしたね。」

パオ丸とパオ丸の弟のウサ吉と闘牛士が会話していた。一応小林もいたが大人の会話についていけない。

「保険に加入して良かったですよ。」

「20を過ぎたら保険ですなあ。そんな事より聞いてくださいよ。」

ウサ吉が何か話し始めた。

「私の家が火事になって私は死んだんですよ。」

「えっ」

「ほら見て下さいよ。」

ウサ吉の顔が、肉体が煙を発しながらどんどん黒く染まってゆく。

「きゃああああ」


「……ぽん。起きるんだ。起きるんだ死ぬな。」

「えっ?」

闘牛士は目覚めた。その脇腹は牛人の角が深々と突き刺さったままであったが。

「ああ、保険に加入して良かった…。」

「闘牛士ィーーッ!!」


人は悲しみを乗り越えてゆく。それは人生という船が荒波に飲まれるようなものだ。必要な物は運、そして優秀な船員を見抜く鑑定眼と彼等を雇う金である。

アニマルタウン保険は人々の暮らしを支えています。


-------


アニマルタウンのお祭りは大成功だった。その中でも一番人気はお化け屋敷である。

だが、小林はお化け屋敷で割りとテンションが下がった。恐怖のためではない。むしろ恐くなかったからだ。


まず、赤いテントのお化け屋敷に期待をこめて入場した小林の前にいたのは幻術使いだった。もうこの時点で小林は現実から目を背けたが幻術使いの幻術は厄介だった。日本にいる筈の友人がいきなり灰になるのである。

しかし、その後の展開は知っての通りである。知りもしない闘牛士が死に、保険会社の宣伝をして終わるのだ。

そして幻術が解けたら当初から何一つ動いていなかった自分に気付いた。そして金を取られてテントから出た。まるで詐欺にあった気分である。

「私はまだ16よ。保険は早いわ。」

「それは甘いですよお嬢さん。拙者は悪質な保険会社に騙されたんでござるよ。」

「あら浮浪者さん。あなた現実に存在したんですね。」

「そんな事より聞いてくれでござるよ。 」

浮浪者が何か話し始めた。

「拙者の家が火事になって拙者は死んだんでござるよ。」

「えっ」

「ほら見てくれでござるよ。」

「あなた浮浪者でしょ。」

「拙者の家が火事になって拙者は社会的に死んだんでござるよ…。」


今回の話は番外編です。実在の人物、団体とは一切関係ありません。

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