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境界  作者: はらぺこ姫
第4章
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餌の気持ち

ユウ視点

数日後


「ユウさん、今度の場所は、南西。湿地帯の街です。ユウさんの出身地は、確か北東でしたよね。これで、この国の全ての街は制覇したも同然です」


ギルドの受け付けの人の言葉に、目がぱちぱちとなる。


「そうなの?」


ギルドの人が地図を取り出す。


「まず、この地図の北東部。ここがユウさんの出身地辺境」


何度も見慣れた地図の左上の隅。


「最初の依頼に行っていただいたのが、南東部、港町」


地図の下部には海。左下まで続いている。陸地が始まった場所がそうだ。


「この前行っていただいたのが、北西部、草原の街」


地図の右上。そこから下った母鳥のいた場所には、砂漠が広がっているのが見える。


「そして、今度の場所が、ここ。南西部。湿地帯の街です」


地図の右下。そこまでは分かる。


「ねえ、この地図の外側には世界、ないの?」


ユウの問いに、ギルドの受け付けの人の声が少し小さくなって。


「この地図に載っていない先は、境界が広がっています。

下手すると、境界に呑まれます。

端的に言えば、戻ってこれなくなるということです」


忠告するような声に、ユウは頷くしか出来なかった。


「だから、うちは観光案内所じゃないからな」


ニールさんは、書類の山と格闘しながらユウに告げる。


「あそこに綺麗な姉ちゃん居ても近づくなよ、喰われる。

あと、そうだなあ。人喰いピラニアとか。

他はなんかあったか?」


ニールさんは近くの団員に声を掛ける。


「あの辺は確か、豆とじゃがいもじゃ無かったですか?」


ユウがメモを取るのを確認したニールさんは。


「今、忙しいからまたな」


と、詰所を追い出した。


ユウの旅支度も、ずいぶん様になった。


必要なものは、どの店に行けばいいかわかる。


おまけに、顔見知りの王都スパイス店のおじさんは、おまけもくれる。


「なあ、ユウ。今度、店出すんだ。肉パンの店。

店頭で、目の前で作る店にしようと思うんだが。

店頭で働けそうな若い娘知らないか?

せっかく制服まで用意したんだが、人が来ない」


一瞬。ナナの顔が浮かぶが、首を振る。


ナナは、絵本作家として忙しい。


~湿地帯の街~

湿地帯への道は、明るい商人のお兄さんと二人だった。


湿地帯の森の中で小さな集落を見つけ。


そこで女性達から、地元の名産の豆とジャガイモを使った手料理を振る舞われた。


そこまでは、ユウの意識にある。


ピッ


ドラきちの声に目を開ける。


隣には、大きな布の塊。


『我に喧嘩を売っておる』


やや怒り気味のドラきちの声。


『餌となる連れ合いを置いていけば、見逃すと言っておるが』


目の前には、先ほどの女性達の上半身と、下は蜘蛛のような姿。


どうやら、自分たちを餌と思われているらしい。


「ねえ、連れ合いって、商人のお兄さん?それとも…」


ユウがドラきちを見る。


少し考える。


「食べるとこ無さそうだけど」


ドラきちの身体が赤く光る。


『冗談を言っとる場合か!この場合の連れ合いとは。

お主と、なんか軽い男その二人じゃ!』


ユウが、塊を見ると、微かに動いている。


「まさか、あの塊って」


ドラきちが、近づいて来ようとする女性?達に炎で牽制する。


お互いの間に、炎の柱が出来た。


『あの軽い男じゃよ。助けるつもりなら、早くしてやれ』


ユウが、塊に触れると、絹のような手触り。


手のひら大の幅の布をくるくると巻き取って行くと。


幸せそうな顔をして眠っているお兄さんの顔が見えて来る。


「料理上手の嫁さんゲット」


夢の中でも、お兄さんはブレて無いようだ。


道中、


「ユウが女の子だったらなあ。美味しい飯食べ放題」


やら、


「この際、男でも…飯さえ美味ければ」


という物騒なつぶやきを思い出したユウは、再び布を巻き直そうと力を入れる。


その時、お兄さんの目がぱちりと開いた。

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