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境界  作者: はらぺこ姫
第4章
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隠し子?騒動

「この家に住んでいる者を呼べとの旦那様からの伝言です」


執事の顔からはなんの表情も伺えない。


団員達は顔を見合わせる。


「僕、ですか?」


この家に住んでると言えば、自分だよな。とユウが名乗りをあげる。


「まだ、大人になったばかりの者を一人で行かせるのは心配だ。

―自分が付いて行きます」


ニールさんが、ユウを背に庇いながら告げるも。


「いえ、お一人で、とのことです」


ユウは、ニールさんに頷くと、一人で馬車に乗り込んだ。


シェルガード本邸に着く。部屋の奥には、黄金色の髪の女性の姿が見えた。


ユウは、跪き、腕を重ね顔の前に置く。


これは、王族に謁見する際の平民のマナーだ。


「そこまで畏まる必要はないわ。で、この者が何と?」


女性の言葉に、隣にいた男性が、いや、そんなはずと呟いている。


「父上、この青年は、村で才能を見込み、“育てている”者です。

私の隠し子とか言われましても。

それに、おっしゃる女性も心当たりがありません」


ラオスおじさんの表情もいつもと違う。


「とりあえず、隣室のお客様は、ラオスとは関係無さそうよ。お帰り頂いて」


女性の言葉に、執事が退室して行く。


「では、私が面倒を見ている村の青年は、私が送りましょう」


ラオスおじさんが、ユウを部屋の外に連れ出してくれる。


馬車の中で。


「怖かったよう」


半べそのユウの頭を、ラオスが撫でる。


「すまん。私の愛人と名乗る存在は珍しくもないんだが。ただ。

今回は、父上がユウの存在を知ったらしくてな。それでこの騒ぎだ」


ラオスおじさんの言葉に、ユウは自分が泣いていたのも忘れて、顔をあげる。


「リリーちゃんが、お父さんのそんな姿許す訳無いじゃん。

それは絶対ない。僕が何か言えば良かった?」


ラオスおじさんは、首を振った。


「ユウの行動は正解だ。作法はコラディウスに教わったんだろう?」


ユウの髪の毛をわしゃわしゃ撫でるせいで、ユウが返事を出来ずにいると。


「この騒ぎで、赤マントはしばらく出ないだろう。

部下達にも伝えておく。しばらく一人になるけど大丈夫か?」


その言葉には、頷くしか無かった。


ラオスの帰っていく馬車をドラきちと見送る。


そして、本当に一人きりになる。


「静かだね」


そこかしこに、皆で騒いだ名残りが残っている。


靴下の片方だけ。

何かの飲みかけの瓶。

散らばったカード。


それらを一つづつ片付け、自分で作った肉パンを齧る。


一口。


首を傾げ。


また一口。


目の前のテーブルの上で食べているドラきちを見る。


「味がしない」


いつもと同じもののはずなのに。


『すまんのう。この姿では、抱きしめてやることも出来ぬ』


ドラきちが、ユウの頬を舐める。


ユウの頭の中に、自分より少し大きくなったドラきちの姿が浮かぶ。


「そうだね。大きくなってくれたら嬉しい」


人差し指の先で、そっとドラきちを撫でた。

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